火事の原因(令和2年中)は、多いものから「タバコ」「たき火」「コンロ」でした。
しかし、火事の原因になるのは、このような火が見えるものばかりではありません。
電子レンジやこたつ、そして鏡やペットボトルまで、生活に身近なものでもおこっているのです。
そこで今回は、これら火事の原因および火災予防と消火活動に役立つ情報を、本サイト内の関連記事をご紹介しながらお伝えします。
身近にあるリスクを知り、火事をふせいでいきましょう。ぜひ最後までご覧ください。
火事の原因はタバコの不始末・コンロの消し忘れが多い
火事の原因には何があるのか、消防庁「令和3年版 消防白書」をもとにお伝えします。
ポイ捨てには火事の危険が!
2020年(令和2年中)に発生した火事の原因は、多い順から「タバコ(3,104件)」「たき火(2,824件)」「こんろ(2,792件)」となっています。
「タバコ」は、その6割以上が「不適当な場所への放置(1,930件)」であり、次の「火源の転倒・落下(579件)」を大きく上回っています。
(参考:消防庁「令和3年版 消防白書 第1節 火災予防」 64頁)
「ガスコンロ」では消し忘れが約半数
また「コンロ」では、“ガスコンロ”によるものが最多であり、「消し忘れ(1,294件)」が約半数を占めています。ガスコンロで調理をする際には、「自分の間違った行動が火事の原因になってしまう」ということを、しっかり頭に入れておかなければいけません。
もし、これまでに消し忘れをしたことがあるという方は、調理中にキッチンタイマーを設定するなど対策をとっていきましょう。
(参考:消防庁「令和3年版 消防白書 資料」34頁)
ここまで、火事の原因として多い「タバコ」と「コンロ」についてお伝えしました。
もちろん、このほかにも「電気機器(1,611件)」や「配線器具(1,206件)」が原因となっておきた火事もあります。
そこで次に、身の周りのものが火事の原因となる危険についてお伝えします。
火事の原因には毎日使っている物からの出火もある
火事の原因は使用中に火が見える物だけではありません。
電子レンジ、そして鏡やペットボトルなどが原因となる収れん火災もあります。
それぞれ詳しく解説します。
電子レンジ火災は10年前の3倍以上おきている
東京消防庁は昨年(2022年・令和4年)12月12日に、電子レンジによる火災が前年中の発生件数を上回っているとして注意喚起をおこないました。
発表時点で74件発生しており、その数は前年(2021年・令和3年)に過去最多を更新した65件より増加していたのです。
電子レンジが原因の火災は、およそ10年前の2012年(平年24年)には22件であり、近年大幅に増加しているのがわかります。(参考:東京消防庁「火災に注意!電子レンジを安全に使用しましょう!」)
電子レンジで火事になる理由には、主に次の点があげられます。
◆「電子レンジ」が原因で火事になる理由
➀では、とくに水分が少ない食品(サツマイモやニンジンなど)に注意が必要です。温めすぎると焦げてしまい、発火につながるのです。
また、電子レンジには使えないアルミホイルやプラスチック製の容器などが原因で、発火することもあります。
食品を温めるときには、パッケージの説明を読んで電子レンジが使えるか確認し、適切な時間で加熱するようにしましょう。
収れん火災~虫メガネの実験をおぼえていますか?
収れん火災とは、太陽光が“ある物”にあたり、光が屈折(または反射)した結果、可燃物に光が集まり燃えるものです。
小学生の頃、虫メガネで太陽の光を集め、紙を焦がすという実験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。それと同じ原理で、収れん火災は発生します。
収れん火災の原因となる“ある物”には、次のようなものがあげられます。
◆収れん火災の原因になる物
ペットボトルが原因の収れん火災には、「猫よけ用に外へ並べておいたペットボトルで太陽光が跳ね返り、その先にあった可燃物が燃えた」という事例もあります。
このほか、「車のフロントガラスに取り付けていた、お守りの“透明の吸盤”が原因でダッシュボードが焦げた」「室内の鏡が原因で座布団から発火」という事例などもあります。
消費者庁の発表によると、収れん火災は1月がもっとも多いとされています。「冬なのに?」と驚くかもしれませんが、冬は夏よりも太陽の位置が低いため、より室内に太陽の光が入り混むのです。
夏だけでなく寒い冬の時期も直射日光があたる場所には物をおかないように気をつけましょう。
◇こちらの記事でも火事の原因を解説中!
・こたつの火事はなぜおきる?映像でみる原因・防炎製品をご紹介
・電気ストーブによる火災に注意!使用時の注意点を守ろう
・コンセントによる漏電火災の被害は?安全に使用するために注意したいこと
・天ぷら火災についての疑問のアレコレ!
防炎性能があるもので火事の延焼をふせぐ
ここからは、火事の延焼をふせぐための対策についてお伝えします。
飲食店や高層建築物(おおむね11階以上)などでは、防炎性能があるカーテンの使用が義務づけられています。
一般住宅は義務ではありませんが、火事の延焼をふせぐためには防炎性能がある物が有効です。
防炎性能があるかどうかは、防炎ラベル(防炎製品ラベル)の有無で見分けることができます。新生活やリフォーム時など新たにカーテンを購入するときは検討してみてはいかがでしょう。
◇こちらの記事では防炎物品について解説中!
火事にそなえて消火器を!使用期限や使い方は大丈夫?
「もし火事になってしまったら・・」。あまり考えたくないことかもしれませんが、万が一火事になったときに備えていくことは大切です。
消火器はご自宅にあるでしょうか?最近はインテリアに馴染む商品もあるので、まだ持っていないという方は購入の検討をおすすめします。
しかし、消火器をもっていたとしても、使用期限が過ぎていたり、使い方がわかっていないと、いざというとき消火できなくなってしまいます。まえもって取扱説明書を読み、使い方を把握しておきましょう。
◇消火器・火災報知器・初期消火について解説中!
・おすすめ家庭用消火器7選!種類や必要性は?
・消火器の種類を解説!住宅用消化器はマルチに利用できる優れもの
・あなたの消火器の使用期限は大丈夫!?旧規格の消火器の処分方法やリサイクルについて詳しく解説
・火災報知器・・大丈夫ですか?10年が寿命のようですよ!
・初期消火が重要な理由!出火から2分が明暗を分ける
まとめ
火事の原因(2020年・令和2年中)は、多いものから「タバコ」「たき火」「コンロ」となります。タバコでは火の不始末、家庭ではガスコンロの火の消し忘れが多くなっています。
しかし、電子レンジ、そして収れん火災を引き起こす鏡やペットボトルなど、火が見えない物が原因となっても起こる火事もあります。
なにが原因で火事になるのかがわかったら、次は火事をふせぐための対策をとりましょう。
火災報知器や消火器の使用期限は過ぎていないでしょうか、そして消火器の使い方はわかっているでしょうか?
本記事をとおして、火事の原因を知り、いま一度、火事の備えについて考えるキッカケとなれば幸いです。
(以上)