収れん火災は火がない所で発生!原因は身近にある物ばかり

本サイトはプロモーションが含まれています。

収れん火災とは、太陽光が“ある物”によって一点に集まり、可燃物を燃やすことでおきる火災です。この“ある物”自体は、日常生活にある何気ない物です。

そのため、ガスコンロの火のように、火気そのものに注意するものではないため、火災への注意が劣りがちになってしまいます。 

そこで今回は、収れん火災はなぜおきるのか、その原因となる“ある物”とは何か、そして、収れん火災を防ぐための方法をお伝えします。

何がどうして危険なのかわからないと、危険を回避することは難しくなります。収れん火災の危険を知って、火災を起こさないようにしましょう。

目次

収れん火災は太陽光の屈折・反射が引き起こす

収れん火災とは「収れん現象」によっておこる火災のことです。「収れん現象」とは、太陽光が“ある物体”によって屈折(または反射)して、光が一点に集まることです。

つまり、収れん火災は、➀太陽光 ➁太陽光を屈折(または反射)させる物 ③可燃物 があることで発生します。

➁の太陽光を屈折(または反射)させる物こそが、収れん火災の原因であり、次のような物で発生する危険があるのです。

収れん火災の原因になるもの(一例)
めがね・ステンレス製ボール・拡大鏡・タイやのアルミホイール・水の入った水槽・水晶玉 など

具体的な事例は後述しますが、車のフロントガラスに取り付けたお守りに使用されていた、透明な吸盤が原因で、ダッシュボードが焦げたという報告もあります。

それでは、具体的な事例を、消防博物館のサイトを参考に、ご紹介しましょう。

ペットボトルで太陽光が屈折、収れん火災が発生

虫メガネで太陽光を集め、黒い紙にあてて発煙するという実験を、小学生の頃にやった覚えはないでしょうか。これと同じ理屈で収れん火災が発生します。

物が拡大して見える虫メガネには、中央に厚みがある「凸(とつ)レンズ」が使用されており、光を通します。そして、その光は出るときに折れ曲がり(=屈折)、一点に光が集まります。

これと同じ現象が、水の入った透明なペットボトルでおき、収れん火災が発生したという事例が報告されています。

事例➀

発生日時:2007年(平成19年)8月、12時頃
発生原因:水の入った透明なペットボトル
発生場所:住宅の庭
発生状況:
鋳物のテーブル上に置かれていたペットボトルで太陽光が屈折。同じテーブル上にあった新聞紙、ドライフラワーに着火し火災が発生。近くのスプレー缶(殺虫剤)が爆発した。

【参考元】消防防災博物館:火災原因調査シリーズ(50) 収れん火災ペットボトルの「収れん」による火災事例について

この火災では「スプレー缶の爆発音」があったことで近所の人が気付き、初期消火をおこなっています。その音がなかったら、火災は広がっていたかもしれません。

また、ペットボトルによる収れん火災では、猫よけに置いてあるペットボトルにも注意が必要です。

ステンレス製ボールで太陽光が反射、収れん火災が発生

今度は、ステンレス製ボール内の凹(おう)面で太陽光が反射したことで、収れん火災が発生した事例をご紹介します。

事例➁ 

発生日時:2001年(平成13年)12月、12時30分頃
発生原因:ステンレス製ボール
発生場所:ベランダ
発生状況:
ベランダに、くわがたの飼育用品を置いており、その中の一つにステンレス製ボールに入れた木片があった。太陽光がステンレス製ボール内で反射し中の木片に光が集まり発煙、後に発火した。

この事例は、実況見分時などでは原因が特定されず、後におこなった調査・実験によって、収れん現象から1時間30分後に発火することが明らかにされました。

【参考元】消防防災博物館:火災原因調査シリーズ(33)  収れん火災ステンレス製ボール容器の収れんによる火災事例について  

このように、収れん火災は原因となる物によって太陽光が屈折・反射しておきるのですが、いずれの場合であっても、もとは「火の気がない所」でおきるという怖さがあるのです。

収れん火災は条件がそろえば一年中おきる

太陽光が関係している収れん火災ですが、発生時期に特徴はあるのでしょうか。

収れん火災は冬におこりやすい?!

消費者庁の発表(3頁 図4 発生月別収れん火災件数)によると、収れん火災が発生している時期は、1月が最も多く、次が4月です。太陽の光が関係している火災にもかかわらず、冬に多いとは意外に感じるかもしれませんね。

これには、冬は太陽の位置が低いこと、空気が乾燥していることが関係しています。太陽の位置が低いので、部屋の奥まで太陽光が入り込むのです。

室内の卓上鏡が原因で座布団が焼けた

室内で発生した収れん火災の事例に、卓上の鏡が原因で発生したというものがあります。この鏡はメイクの時などに顔が拡大して見える物だったため、凸(とつ)レンズと同じ働きをし、近くの座布団が焼けてしまったのです。

夏には何の問題がなかった物でも、太陽の位置が変わることで、火災が発生してしまうことがあるのです。また、春先の4月は風が強いこともあり、小さな火種が大きな火災へつながる可能性もあります。

収れん火災は、太陽の高さ・風速・可燃物の位置といった条件がそろえば、一年中、室内外を問わず発生する可能性があります。

火の気がない所に発生する収れん火災だからこそ、季節を問わず常に注意しておきたいものです。

日常的に収れん火災への対策を忘れずに

最後に、収れん火災を防ぐ対策についてお伝えします。

収れん火災を防ぐために
➀メガネなどの原因になる物を、太陽光があたる場所に置かない
➁外出時にはカーテンをする(隙間なく閉める)

窓の近くに鏡を置いたり、車内にメガネを置いたままにしていないでしょうか。車を日常的に使用していない場合は、なおさら注意が必要です。

一度、室内外を点検し、太陽光が入る範囲に原因となる物が置かれていないかチェックすると良いでしょう。

収れん火災は日常のなかに潜む危険の一つと言えます。原因を取り除き、安心して過ごせるようにしてくださいね。

【参考文献】
NHK生活情報ブログ:冬場に多い「収れん火災」に注意 2013年11月13日(水)https://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/300/172624.html

NHK生活情報ブログ「お守りに”思わぬ災い”も」2020年9月09日(水)https://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/435547.html

消防防災博物館:火災原因調査シリーズ(50) 収れん火災ペットボトルの「収れん」による火災事例について https://www.bousaihaku.com/foffer/7335/?msclkid=6b3ebbb2bc7d11ec840843947b2bc188

消防防災博物館:火災原因調査シリーズ(33)  収れん火災ステンレス製ボール容器の収れんによる火災事例について  https://www.bousaihaku.com/foffer/7318/

和歌山市「鏡で火災!?」http://www.city.wakayama.wakayama.jp/syoubou/bousai_yobou/1007724/1013872.html

消費者庁News Release:鏡やガラス玉で起こる「収れん火災」に注意! -日差しが部屋の奥まで届く冬場に発生しています- 」令和2年11月26日 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_043/assets/caution_043_201126_01.pdf

(以上)

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
詳しいプロフィールはこちら

目次