地震への備えが大事とわかっていても「何をどうやったらいいの?」と悩むことはないでしょうか?
筆者は全国でも地震が多い県である宮城県に住んでいますが、東日本大震災を経験するまで防災対策はほぼしていませんでした。しかし、震災を経験したことで「災害・避難生活に備えること」そして「災害について知識を得ておくこと」が必要だと実感したのです。
とは言え「食料や懐中電灯のほかに何を備えたらいいのかわからない」という声を聞くことがあります。
そこで今回は、筆者が日常生活に取りいれている地震への備えをご紹介します。さらに、2022年に発生した地震回数をもとに「地震が多い・少ない県ランキング」もお伝えします。
日本各地で地震が発生する中、いざというとき後悔しないよう、今からできるとりくみをはじめましょう!
日常のなかで無理なくできる5つの防災対策
地震ランキングはこちらでお伝えしますが、まずは筆者が実践している5つの備えをご紹介します。
災害に必要な備えはたくさんありますが、ここでは「揺れへの対策」そして「日常生活にとりいれやすいと思われる行動」をお伝えします。
寝室は安全なスペースにする
まず地震にはほかの災害と異なり「揺れ」への対策が必須です。
より耐震性のある住宅にすることはもちろん大切ですが、すぐにはできないこともあるでしょう。そのため、まずは家具などが倒れてこないようにすることが必要です。
地震では倒れてきた物の下敷きとなって圧死するリスクのほか、逃げ道となるドアがふさがれてしまう可能性もあります。
とくに、就寝時は起床時より逃げるまでに時間を要するため、寝室の対策は欠かすことができないでしょう。筆者の寝室では頭上に倒れてくる危険性のある物はおかず、自宅内でもっとも安全なスペースになっています。
寝室に置く家具を厳選したり固定する、そしてレイアウトを見直すと良いですね。
「必要数+1~2個」多めに購入
次は、備蓄に関することです。
災害用の備蓄として、一定量の食料や日用品はストックしているものの、避難生活が長期化する可能性もあります。
そのため、普段スーパーで買い物をするとき、「ある程度長く保存できるもの」は必要数よりも1~2個多く買うようにしているのです。
そうすることで、避難生活ではカセットコンロ調理で食べることができますし、急な体調不良時にも買い物のことを心配しなくてすみます。
スマホ以外の連絡手段を知っておく
日頃の連絡手段と言えば、スマホや携帯電話が主流となっています。しかし、災害時には停電などのためいつものように連絡することはできなくなります。
そのため、スマホの充電もできる多機能ラジオを準備したり、災害時のための連絡手段である「災害用伝言板」や「WEB171」のつかいかたを知っておくことが大切です。
「災害用伝言板」や「WEB171」は自分の状況を100文字以内で伝言として登録したり、安否を知りたい人のメッセージを確認することができます。
とくに「WEB171」では、災害時に伝言を送りたい相手のメールアドレスをあらかじめ登録しておくことができます。登録には時間も要するため、災害がおきていない普段の生活でこそとりくんでおくとよいですね。
トイレ用品を携帯・備蓄する
ソニー損保が2023年8月に発表した調査結果によると、「地震に備えた非常用品・備蓄品ベスト5」は次のようになっていました。
1位「飲料水(64.9%)」
PRTIMES|ソニー損害保険株式会社より引用
2位「懐中電灯(50.8%)」
3位「食料品(48.5%)」
4位「軍手(34.5%)」
5位「鍋や携帯コンロ(33.8%)」
上位には生命維持に欠かせない食料(水)と停電への備えである懐中電灯が入っていますね。
しかし、このほかにも「携帯・備蓄トイレ」を備えておくことをおすすめします。
たとえ家族間であってもトイレの便器に排泄物がたまっている状態はストレスになります。多くの人が利用する避難所であれば、そのストレスは相当なものになるでしょう。
実際、東日本大震災(2011年3月11日発生)のときには、衣装ケースをトイレとして使わざるを得なかった避難所もあったのです。
自宅には備蓄(簡易)トイレ、外出時には携帯トイレを持ち歩き、災害時にトイレのストレスが軽減するよう対策をすすめましょう。
外出時には寒さ対策グッズをもつ
四季のある日本では、暑さや寒さといった季節に応じた災害への備えが必要です。
筆者は3月に発生した東日本大震災のとき職場からの帰路で津波に遭遇・避難し、一時屋外で過ごしました。このとき、たまたま職場から持ち出していた一枚の薄い膝掛け毛布の暖かさに救われたのです。
また、バッグの中にカイロを入れていたため、おなじ場所に避難してきた津波で体中が濡れた人へ差しだすことができました。
外出時の寒さ対策には、カイロのほかにもエマージェンシーシートがあります。100円ショップやホームセンターなどで購入できるため、ぜひ持ち歩くことをおすすめします。
地震が多い県ランキング|直近1年間
ここからは、気象庁のデータをもとに「地震が多い・少ない県」についてみてみましょう。
【参考文献】気象庁「●令和4年(2022 年)の都道府県別の震度観測回数表」
2022年「地震が多かった県」ランキング
2022(令和4)年に地震が多かった県は、次のとおりです。
なお、エリアは気象庁の予報区分(気象庁サイトに移動)にもとづいています。
順位 | 道県名 | エリア | 回数 |
---|---|---|---|
1位 | 福島県 | 東北 | 338回 |
2位 | 宮城県 | 東北 | 315回 |
3位 | 岩手県 | 東北 | 237回 |
4位 | 北海道 | 北海道 | 229回 |
5位 | 茨城県 | 関東 | 214回 |
6位 | 石川県 | 北陸 | 202回 |
7位 | 鹿児島県 | 九州南部 | 173回 |
8位 | 東京都 | 関東 | 157回 |
9位 | 沖縄県 | 沖縄 | 153回 |
10位 | 千葉県 | 関東 | 149回 |
地震が多い順にみてみると、上位5県は「福島県・宮城県・岩手県・北海道・茨城県」となっています。
上位5県の沖合はプレートが潜り込む海域
上位5県にはどのような特徴があるのでしょう。
上位5県はいずれも太平洋沖に位置しています。
そして、これらの海域には海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込んでできる「海溝」が存在するのです。
具体的には北海道沖に「千島海溝(千島カムチャツカ海溝)」、東北地方の三陸沖および茨城県沖には「日本海溝」があります。
地震には大きくわけて、断層の動きによるものとプレートによるものがありますが、地震が多い県はこのプレート運動の影響をうける地域なのです。
石川県の地震には「流体」が関係している
ただし、6位の石川県で地震が多い背景には「流体」の存在が指摘されています。
一般的に流体とは地下に存在するマグマやガス、そして水だとされています。専門家は石川県に影響をもたらす流体は“水”であると予想しているのです。
そして、この流体が断層の隙間に入り込んで岩盤を押し上げたり、ゆっくりとしたプレートの動き(=スロースリップ)をひきおこすと考えられています。
2022年「地震が少なかった県」ランキング
ここでは、2022年に地震が少なかった県をお伝えします。
もっとも少なかったのは、佐賀県の10回でした。
もっとも多かった福島県では338回なので、とても大きな差がありますね。
順位 | 県名 | 回数 |
---|---|---|
1位 | 佐賀県 | 10回 |
2位 | 香川県 | 15回 |
3位(同数) | 愛知県 | 17回 |
3位(同数) | 岡山県 | 17回 |
4位 | 山口県 | 18回 |
5位 | 福岡県 | 20回 |
少ないからと言って安心はできないかもしれません。
なぜなら、過去には全国すべての都道府県で揺れを観測した地震があるのです。
2015年5月すべての都道府県で地震が発生
2015年5月30日に小笠原諸島の西方沖を震源とする地震(マグニチュード8.1)が発生しました。
気象庁によると、最大震度「5強」を東京都小笠原村・神奈川県二宮町で観測し、『全国47都道府県全てで震度1以上を観測』したのです。
この事例からは、あらためて地震はいつどこでおこるかわからないと教えられますが、このほかにも震源地から離れた場所でも揺れが生じる異常震域という現象もあります。
地震が多い県に住む人が備えるのはもちろん必要ですが、そうではない県であっても防災対策が重要なのです。
【参考文献】
*気象庁|地震について
*気象庁「平成27年5月30日20時24分頃の小笠原諸島西方沖の地震について」
まとめ|地震発生ランキング&日常生活でとりくむ備え
最後にあらためて、2022年に発生した中から「地震が多い(少ない)上位5県」をお伝えします。
「地震が多い県ランキング(2022年発生)」
1位:福島県(338回)
2位:宮城県(315回)
3位:岩手県(237回)
4位:北海道(229回)
5位:茨城県(214回)
「地震が少ない県(同上)」
1位:佐賀県(10回)
2位:香川県(15回)
3位:愛知県・岡山県(17回)
4位:山口県(18回)
5位:福岡県(20回)
たとえ地震が少なくても豪雨など他の災害にも気をつけなければなりません。
筆者が日常生活で実践している「5つの備え」はこちら ↓
- 寝室は安全なスペースにする。
- 保存の効く食料品は「必要数+1~2個」購入する。
- 多機能ラジオを備え「災害用伝言板」や「WEB171」の使い方も知っておく。
- 自宅に備蓄トイレ、外出時には携帯トイレをもちあるく。
- 外出時にはカイロやエマージェンシーシートで寒さ対策する。
このほかにも「ガソリン残量が半分になったら給油」したり、寒さ対策として石油ストーブを準備しています。
どれか1つでも参考となり、それぞれに応じた災害への備えにつながっていただけると幸いです。
【参考文献】気象庁「●令和4年(2022 年)の都道府県別の震度観測回数表」
(以上)