首都直下型地震で日本はどうなる?被害想定や発生確率、対策を改めて確認しよう

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ライターの永野です!

東日本大震災から12回目の3月11日を迎え、3月は多くの方が改めて地震や津波の恐ろしさ、大震災の影響を意識した月なのではないでしょうか。

永野も例に漏れずその1人で、キッチンの整理をしながら自宅にあるレトルト食品や缶詰めの見直しをしたり、防災新聞で学んだ地震への知識や備えを家族とシェアしたりしました。

内陸なので津波の心配はないのですが、津波がどういった影響をもたらすものなのかを知ることもしています。

いつ起こるかわからない自然災害に対しては、常に備えをしておくべきだという意識が多くの方に芽生え始めているかなとは思いますが、今後発災の不安が大きいものの1つというと、やはり首都直下型地震ではないでしょうか。

そこで今回は、首都直下型地震で日本がどうなるかを、改めて確認していきたいと思います。被害想定はもちろん、今後高確率で起こる可能性がある首都直下型地震にどう備えるべきなのかも、一緒に見ていきましょう。

目次

首都直下型地震とはマグニチュード7以上の大地震

首都直下型地震(首都直下地震)は、南関東のどこかで近い将来起こる可能性がある大きな地震です。その規模はマグニチュード7を超えるともいわれており、非常に規模が大きいことが分かるでしょう。

「マグニチュード」で表すと、大きいことは分かっても具体的なイメージがつきにくいというという方もいるかもしれません。マグニチュードは地震の力で、震源が陸地から離れていれば陸地での地震の震度に大きく影響するわけではないため、一概に「これくらい」とは言い難いのも事実です。

しかし、目安でいうと陸地でのマグニチュード7は震度6前後、海で起こった場合は震度4前後だといわれています。「首都直下」ということなので想定されているのは陸地を直撃する地震。つまり、震度6前後の大地震が首都圏を中心に関東地方を襲うことが予測されています。

首都直下型地震は本当に起こる?発生確率などに関する予測

「起こる」とずっといわれていながら長年起こっていない地震というと、「東海地震」ともいわれる、南海トラフ地震が有名です。筆者が住んでいるのも岐阜県で東海地方にあたるので、小学生の頃から「東海地震がくる」とずっといわれて育ってきましたが、35歳を迎える現在まで、大規模な地震が東海地方を直撃した記録はありません。

こうした経験から、「首都直下型地震も起こらないんじゃないの?」と思っている方は少なくないでしょう。ここからは、首都直下型地震の発生確率などから、本当に起こるかどうかというところに迫ります。

首都直下型地震の発生確率

国土交通白書2020」によると、地震調査研究推進本部地震調査委員会で、首都直下地震で想定されるマグニチュード7程度の地震の30年以内の発生確率は、70%程度だといわれています。ちなみにこれは、2020年1月24日時点の予測で、データによっては90%以上というものも。

どちらにせよ発生確率は高いので、近い将来首都圏を中心とした大地震が起こると思ってよいのではないでしょうか。

南海トラフ地震の危険性も…

前述のデータでは南海トラフ地震(東海地震)についても言及されており、2020年1月時点の予測は、マグニチュード8~9クラスの地震が30年以内に発生する確率は70~80%です。首都直下型地震と同時に、南海トラフ地震にも警戒が必要なことがわかりますね

首都直下型地震が起こるとどうなる?被害想定は

高確率で発生の危険がある首都直下型地震。実際に起こると、どういった被害があるのでしょうか。さまざまな観点から、被害想定を見てみましょう。

死者やけが人、建物などの被害想定

2022年5月、東京都では防災会議を実施し、10年ぶりに被害想定を見直しました。これによると、江東区や江戸川区などを含む11の区で、一部震度7という大きな揺れを観測。23区の6割が震度6以上を観測すると予想しています。

地震による死者は約6,000人。けが人は9万3,000人ほどになるのではという見解です。建物は地震による全壊が約8万2,200棟、地震後の火災で11万2,200棟で消失すると想定されています。耐震強化などが前回の被害想定を出した頃よりも進んだことから、被害想定も少ない数値となっていますが、やはり多くの人が集まり、多くの建物が建て並ぶ首都圏や関東地方では、甚大な被害が及ぶ可能性が高いといえるでしょう。

ライフラインやインフラの回復は

地震は人や建物だけでなく、ライフライン、インフラなどにも大きな影響をもたらします。前述の予測によると、地震直後から翌日にかけては広範囲に及ぶ停電が起こり、首都機能維持のために計画停電も実施される可能性があるとのこと

水道は地震直後に23区の3割、多摩地区の1割で断水しますが、電力ほどの影響はないとの見解です。しかし、発災から1カ月後も一部水道が利用できない状況は続き、水道やトイレが自由に利用できない可能性も危惧されています。

情報収集や連絡手段のための電話やインターネットへの被害も深刻です。地震直後は電話やインターネットが使えない、つながりにくい状況になることは避けられないでしょう。また、基地局の燃料枯渇により、時間が経過するにつれてインターネットを利用できない地域が広がる可能性もあるようです。

在来線や私鉄などのインフラも、多くが地震直後から運行を停止。1週間後も多くの区間では運行停止が続きます。1カ月後も、震度6弱以上だった地域では6割しか復旧が見込めず、首都圏では交通機関が利用できないという不便な状況が継続するとされており、橋脚などの被害程度によっては、復旧までにさらに多くの時間を要することになるでしょう。

被害はどれくらいの地域に及ぶ?

「首都直下」という言葉やこれまでの内容からも分かるように、最も被害が及ぶのは東京都の23区です。なかでも荒川区や足立区、墨田区と江東区の一部など、23区の北側・東側の地域の被害が深刻視されています。

東京都以外にも、千葉県・茨城県・埼玉県・神奈川県・山梨県などは、震源となる可能性が危惧されており、この地域にも深刻な被害が及ぶ可能性が…。東京都を震源とするよりもさまざまな被害は小さくなるでしょうが、人口の多い地域が震源となると、やはり被害は甚大になるでしょう。

ほかにも、関東地方周辺の地域も、さまざまな被害を受けることになります。

経済への影響は…

首都直下型地震による経済被害は、1年で95兆円、20年で731兆円にもなるといわれています。大きな額だということはわかりますが、具体的に世の中がどうなっていくのかは、想像がつきにくいかもしれません。

もちろん、復興需要で経済にプラスの影響があることもあります。しかし、食料や水などの物資不足が深刻化することで、「ものの定価」が存在しない世の中になることも、危険視されているのです。

もともと100円だったものが、200円、300円でしか買えなくなるなど、昭和の「闇市」のような状況に陥ることもあるかもしれません。東日本大震災のあとにも、被災地で「白菜1玉1,000円」「おにぎり1個数百円」など、考えられない価格での取引があったという噂がありますが、首都直下型地震はより多くの人やものへの被害が想定されるため、事態もさらに深刻になる可能性があります。

円安による輸入品の値上げもあれば、経済面への影響やトラブルは一層深刻なものになるでしょう。

首都直下型地震に向けてできる対策を考えよう

首都直下型地震を起こらないようにすることはできませんし、地震の被害を受けないために首都圏を離れるというのも、現実的ではないでしょう。もし引っ越しなどをしても「地震大国」と呼ばれる日本で、完全に地震の被害が及ばない場所を選ぶのは難しいといえます。

いつ起こるかわからない大地震の被害や影響を最小限に留めるために、私たちが日頃からできる対策は何でしょうか。これまでも「地震への備え」としてまとめてきた内容と重複しますが、改めて確認しましょう。

防災グッズや備蓄の準備

まずは、防災グッズや備蓄の準備をしましょう。避難所へ持ち出せる食料や日用品をまとめたバッグを常に身近に置いておくことはもちろん、自宅避難で数日生き延びるために、備蓄も用意します。

定期的な点検、ローリングストックの活用などをすることで、こうした備蓄品も無駄なく使えるので、日頃から賞味期限や使用期限ができるだけ長いものを備えておけるような工夫もしていきましょう。

避難経路や避難所の確認

もし地震が起こったら、どのような経路を通って、どこの避難所へ行くのかを把握しておくことも重要です。自宅から避難所、職場や学校から避難所へ安全に避難できる経路は、地域のハザードマップを見ることで確保できます。

各地のハザードマップは、国土交通省「わがまちハザードマップ」で簡単に調べられるので、ぜひ活用してください。また、日頃からこうした情報をご家族などと共有することも、忘れてはいけません。

避難訓練への参加

地域や学校、職場などで実施される避難訓練、防災訓練には積極的に参加しましょう。自分の身を自分で守る「自助」ももちろん重要ですが、いざというときには周囲の方と助け合って、1人でも多くの命を守る「共助」も欠かせません。

地域にどんな方がいて、どのような助けを必要としているか、自分は地域や組織の一員として、いざというときにどのような動きをすればよいのかを周囲と確認しておけば、災害時にも落ち着いて、スムーズな避難や救助ができます。

地震保険などへの加入

持ち家などが倒壊した際に、少しでも多くの経済的援助が受けられるよう、地震保険などに加入することも、災害対策の1つだといえます。最近はさまざまな災害に対応した保険が用意されているので、住んでいる地域や住宅・家財の状態を把握し、保険会社の方とも相談しながら最適なプランを選択しましょう。

保険は使わなければ「無駄なお金」に感じられるかもしれませんが、かといって実際に使わなければいけない場面に遭遇したいという方も少ないため、「保険にどれだけお金をかけるか」は難しい問題です。しかし、もしものときに少しでも経済的な余裕ができれば、その後の復旧にも役立ちます。「大切な備え」の1つとして、今一度保険の見直しや加入も検討してみてください。

どうなる?首都直下型地震!常に命を守る対策を

30年以内に高確率で起こる可能性がある大地震に、私たちはどう対応していけるのでしょうか。知識やモノの備えをしっかりとしていても、深刻な状況でそれがどれだけ役に立つのかはわかりません。しかし、「ないよりあるほうがよい」というのは絶対ですので、いつ起こるか分からない災害のなかで自分の命を守れるよう、できる限りの備えと対策をしておくことは重要です。

1秒も気を抜かないというのは無理ですが、「職場にいるときに地震が起こったら」「自宅だったら」「街で遊んでいるときに発災したら」など、さまざまな状況を多くの方が想定しながら過ごしていけば、被害を最小限に抑える行動につながるのではないでしょうか。

編集後記

先日、別件の仕事で阪神淡路大震災で被災され、防災士の資格を取得された方のラジオ放送を聞く機会がありました。その方は「外出時にペットボトルの水を1本持っておく、モバイルバッテリーを常にバッグに入れておくのも、小さな備えだ」とおっしゃっていました。

もし外出中に地震が起こったらと思い、大きな防災リュックを日頃から持ち歩くことはできません。しかしたった数分のラジオで、水1本、ハンカチ1枚持っているだけでも、もしものときに役立つ可能性があることを改めて学んだ気がします。

そのラジオ放送以降、バッグに水やお茶を入れておくこと、カード払いやバーコード決済などをメインにしていますが、お財布には最低限の現金も入れておくことなど、日常的な意識をちょっとだけ変えて行動するようになりました。

こうした積み重ねが、もしものときに役立つのかなぁと思う反面、「まだまだ防災への意識や準備が甘い」と感じる部分も多いのも事実です。さまざまな学びを生活のなかに反映しながら、これからも少しずつ災害への準備や意識を変えていきたいなぁと、改めて思ったのでした。

参考サイト

工学院大学「首都直下地震で、大都市はどうなる? 高層ビルの被害を解説」
首都直下地震 東京の“地震危険度”ランキング 実際どこが危険なの?
首都直下地震 新想定 「災害シナリオ」 東京はどうなる…?

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語教師を経て2018年よりライターに転身。子どもと学べる防災に関心を持ち、日々災害や備えについて勉強中。
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