日頃から自転車に乗っている方のなかには、過去に盗難に遭ったことがある方もいるのではないでしょうか。実は自転車盗難は犯罪のなかでも非常に多いため、大切な自転車を守るためには、各々適切な対策が求められます。
今回は、自転車盗難に関する情報、盗難防止のための対策などをご紹介します。防犯アイテムも活用し、快適に自転車を使用しましょう。
日本で最も多い犯罪の1つ「自転車盗難」
一般刑法犯の75%を占めているのは、窃盗です。そのなかでも自転車盗難はおよそ3割で、日本で最も多い犯罪ともいわれています。自転車盗難は大きく3種類。目的によって分類されます。
まずは、自転車盗難に関する情報をみていきましょう。
過去の自転車盗難件数
警視庁の発表によると、令和元年度の自転車盗難認知件数は、全国でなんと16万8,703件。1日あたり462台が被害に遭っている計算です。とはいえ、自転車にもさまざまな種類があり、通勤・通学や日常生活で使用するような一般的な形状のものは、盗難に遭っても戻ってくるケースも多数。
しかし、ロードバイクのように何十万円もする自転車が手元に戻る可能性は極めて低くなっており、確率にすると3~4%ほどです。これには、「盗難の目的」が関係していると推測できます。
【盗難の種類①】足代わり盗難
足代わり盗難とは、「ちょっとした移動に置いてある自転車を盗んで使う」というものです。駅やスーパーの入り口などに停めてある自転車、自宅に置いてある鍵のついていない自転車を盗み、目的地に着いたら乗り捨てます。
足代わり盗難の場合、乗り捨てられたものや撤去されたものの防犯登録の情報などから、持ち主に連絡が入り、手元に戻ってくることが多い傾向です。
【盗難の種類②】個人利用目的の盗難
ロードバイクのような高級な自転車は、個人利用を目的とした盗難に遭うことが多くあります。こうした自転車の部品は規格が決まっているので、分解して使われてしまうのです。
「フレームに刻印がされているから安心」などと思われるかもしれませんが、細かな部品にはシリアルナンバーなどがないため、バラバラにすれば盗難かどうかわからなくなってしまいます。個人利用目的の盗難をされてしまうと、自転車が手元に戻ってこない可能性が高いです。
【盗難の種類③】転売目的の盗難
昨今特に増加し、問題視されているのが転売目的の盗難です。こちらもロードバイクのような高級自転車がターゲットとなることが多く、転売を想定して盗難されます。盗難のための道具や移動手段が用意されており、一般的な盗難防止のための対策をしていても、被害に遭うこともあるようです。
フレームは転売すると盗難がわかってしまうため、個人利用目的の盗難同様、分解してパーツをリサイクルショップやオークションに売って現金化します。
自転車盗難が多い場所は?
自転車盗難はさまざまな場所で起こりますが、特に盗難が多い場所というのは当然あります。また、自転車の種類によっても盗難の確率が上がるので、盗まれやすい自転車を持っている場合は、特にしっかりとした盗難対策が必要です。
最も多いのは「自宅」での盗難
意外かもしれませんが、自転車盗難が最も多いのは自宅です。特に共同住宅は目の届きにくい1階の駐輪場に自転車を停めておくことが多く、盗難率も高くなっています。
上図を見た通り、もちろん駅の近くやスーパーの駐輪場、道路など、出かけた先で盗難される可能性も少なくありません。しかし、「住宅」全体で5割を占めていることから、「住宅の敷地内なら安全」ということはないことがわかりますね。
標的となりやすい自転車の種類
足代わり盗難は、ママチャリなどと呼ばれる比較的安価な自転車も被害に遭う可能性があります。しかし、もっとも盗難に遭いやすいのはロードバイクのような高級な自転車です。また、高級な自転車でなくても、人気メーカーのものは狙われやすい傾向です。
高級自転車、人気メーカーの自転車は、中古でも高く売れます。また、ロードバイクなどは軽量で持ち去るのが簡単なため、狙われやすいといわれています。
自転車盗難防止のための基本的な方法
価格に関わらず、自転車が盗難されるのは誰もが避けたいところでしょう。盗難を防止するには、駐車や保管の場所を工夫するほか、ロックなど盗難防止グッズをしっかりと導入するなどの方法があります。
盗難されにくい場所に保管する
盗難の被害に遭いにくいのは、屋内です。自宅で自転車を保管する場合は、できれば家のなかに入れておきましょう。屋内保管は防犯面はもちろん、自転車のコンディションを維持するのにも貢献します。
出先で自転車を駐車するときは、人目につきやすい場所、防犯カメラのついた駐輪場などを利用すると安心です。
ロックをかける位置を工夫する
ロックはただかければよいというわけではありません。ロックをかける場所にもこだわると、より盗難の確率を下げられます。
最も安全なのは「地球ロック」と呼ばれる方法です。柱や柵、木など、動かすのが難しいものに自転車をつなぐと、自転車が盗まれにくくなります。
しかし、こうした固定物なら何でもよいというわけではありません。ガードレールや電柱などの公共物、私有地や私有物への施錠は禁止されているので、違法にならないよう注意しましょう。
頑丈な鍵を使う
盗難防止のために、自転車にロックをかけるのは基本です。しかし、ロックをかけた自転車でも盗難されているのが現状ですので、「鍵がついているから」と安心してはいけません。
ロックを頑丈なものにするのも、防犯対策として有効です。チェーンロックやU字ロック、ブレードロックなどを活用すると、盗まれにくくなります。
ロックを2つ以上かける
一般的な自転車は、自転車自体にロックがついていることも多いですが、できれば2つ以上ロックをかけると、より安全です。ロックの数が多い、解錠方法が複雑だとわかれば、窃盗犯も「盗みたい」とは思いません。
盗難防止グッズも活用しよう
ロック以外にも、自転車盗難を防ぐためのアイテムはあります。実際に作動したときはもちろん、こうしたグッズがついているだけでも、抑止効果になる可能性が高いです。盗難防止グッズは値が張るものもありますが、特に高価な自転車を所有している場合は、自転車を守るためにもしっかりと活用していきましょう。
盗難防止力アップのためのアイテムや対策
基本の盗難防止策を取り入れれば、自転車が盗まれる可能性は低くなります。プラスして、以下でご紹介するアイテムや対策を取り入れれば、より自転車盗難率を下げられるので、ぜひ実践してみてください。
防犯登録は必須
店舗で自転車を購入した場合は、その場で防犯登録ができるので心配ありません。しかし、個人間やネット通販で購入した自転車は、防犯登録がされていない状態ですので、必ず登録にいきましょう。
防犯登録は「自転車防犯登録所」とされているお店などで手続きが可能です。有効期限などの詳細は都道府県により異なります。たとえば東京都の場合、登録料は500円、有効期限は登録した日の翌年初めから10年間です。
盗難防止用ブザーの使用
盗難防止のためのブザーは、振動を検知したり、無理に鍵を外そうとしたりした場合に大きな音が出るものです。大きな音で周囲に異常を知らせられますし、窃盗犯が驚いて逃げるなどの効果も期待できます。
GPSトラッカー設置
GPSトラッカーは、位置情報を特定できるアイテムです。もし大切な自転車が盗まれてしまった場合にも、GPSトラッカーがついていれば自転車がどこにあるのかわかり、回収や犯人の特定に貢献します。
自転車カバーも盗難防止に貢献
自転車にカバーをつければ、なかにある自転車がどういったものか、カバーを外さないとわかりません。人気メーカーの自転車や高級自転車だとわからなければ、盗まれる可能性も低くなります。また、わざわざカバーを外してなかを確認し、ガチャガチャと鍵を壊して盗もうとする人も少ないでしょう。
自転車盗難対応の保険にも加入しておこう
日常的に自転車に乗る方には、自転車保険の加入を義務づける自治体も増えています。義務ではなくても、自転車保険は比較的安価に加入できるので、念のため入っておくと安心です。
せっかく加入するなら、自転車盗難に対応したものを検討しましょう。自転車盗難保険のほかにも、車内保管していた自転車が盗まれた場合には自動車保険、建物内保管なら火災保険の特約で補償される場合もあるので、もし盗難の被害に遭ったときは、各種保険の内容を見て保険会社に相談することをおすすめします。
万全の対策で自転車盗難防止に努めよう
自転車盗難は、自転車に乗る方なら誰しもが巻き込まれる可能性のある犯罪です。防犯グッズや保険なども活用し、快適に自転車を利用できるとよいですね。
大切な自転車が被害に遭わないよう、日常的にしっかりと対策を行いましょう。