地震の大敵は「パニック」!二次災害を防ぎ命を守るために、普段からできることは

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ライターの永野です!

前回、首都直下型地震についての記事を書かせていただきましたが、大きな地震を経験された方は、実際地震が起こったときにどういった行動を取られたか覚えているでしょうか。

度々申し上げているのですが、永野は東日本大震災のときに東京の木造アパートの2階におり、「あ、死ぬな」というくらいの揺れを体験しました。揺れが落ち着いてからは手も足もブルブルで思うように行動できませんでしたし、揺れている最中はなぜか「テレビが大変」だと思い、テレビを必死に押さえていた記憶です。

もっと守るべきもの(自分の頭とか自分の頭とか自分の頭とか…)があるはずなのに、なぜテレビを抱きしめていたのか、落ち着いて考えると全く理解できませんが…。予期せぬ出来事が起こったとき、人は不可解な行動を取りがちなのだということを、身をもって体験しました。

ちなみに、地震が起こったときの行動や心理のなかで、最も危険なのは「パニック」なのだそうです。そこで今回は、地震の際のパニック状態がどういった影響をもたらすのかを、解説します。

少しでも落ち着いた行動を取れるようにできる内容についても触れていますので、ぜひ参考にして、万一のときの行動につなげられれば幸です。

目次

地震でパニック、人はどうなる?

大きな地震が起こったとき、人はどうなるのでしょうか。災害時の行動心理について、ご紹介します。

多くの人は「思考停止」状態に

大きな地震という予期せぬ恐ろしい出来事に直面したとき、多くの人は思考停止状態になるといわれています。その割合はおよそ75%。大半の人が大規模災害というあまり経験のない事態に思考が追いつかなくなり、逃げなければいけない、適切な行動を取らなければいけない状況なのにぼーっとしてしまうそうです。

パニック状態で衝動的な行動を取る人も

75%が思考停止状態になりますが、残りのうちの15%の方は、パニック状態に陥ります。パニック状態になると自分を見失い、感情をあらわにしたり泣き叫んだり、安全かどうかもわからない方向へ走り出したりと、衝動的な行動を取ることもあるようです。

何も考えられなくなっているあいだに建物の倒壊や火災などに巻き込まれてしまう危険性もありますが、衝動的な行動というのは予想もつかない内容もあるので、周囲に危害が加わる可能性もあり、より深刻だといえるでしょう。

冷静な判断ができる人はほんの一部

多くの人が思考停止状態、パニック状態になっているなかで、そのほかの10%の人は冷静な判断や行動が取れるのです。こうした人がリーダーシップを取って周囲を落ち着かせる、適切な行動を取らせることができれば、被災者の軽減につながると考えられます。

地震時のパニックはなぜ危険?

大規模災害が起こったときにパニック状態を起こすのは、全体の15%。つまり100人いれば15人、1,000人なら150人が、衝動的な行動を取ったり感情をあらわにしたりといったことをします。

この数が多いと思うか、少ないと感じるかは個々の見解によって異なるでしょうが、それ以外の人のほうが85%と圧倒的に多いので、特に危険だと感じない人もいるでしょう。しかし、地震時のパニック状態は周囲にも影響をもたらすため注意が必要です。

思考停止状態の人は「パニック」行動に同調しやすい

思考停止状態の人は、パニック状態の人の衝動的な行動に同調しやすい傾向です。たとえば、パニックに陥った人が突然走り出すと、思考停止状態の人はそれにつられて同じ方向に走り出してしまうことがあります。

1人のパニック行動が、パニック状態と思考停止状態の人、つまり全体の90%ほどに影響を与える可能性があると考えると、地震時のパニックがいかに危険かがわかるのではないでしょうか。

結果、大きな被害をもたらす事故が起こることも

大勢が突然走り出したり押し合いを始めたりといった行動を取ると、大きな被害をもたらすこともあります。将棋倒しのような事故が起こるかもしれませんし、危険な経路に入り込んで、助かるはずだった多くの命が失われる可能性もあるでしょう。

こうした被害が起こらないようにするためにも、1人でも多くの人がパニックに陥らないこと、1人のパニック行動が全体に広がらないようにすることが求められます。

地震でパニックを起こさないためにできること

地震に関わらず、人は予想していなかった展開や想像もつかないことに直面すると、緊張したりパニックになったりしやすいものです。大きな地震でもパニックにならず、冷静な判断や行動ができる「10%」の人になって、自分の命はもちろん、多くの方の命を守れるようになるには、日頃からどういったことを心がけていけばよいのでしょうか。

シミュレーションで「心」の備えを

予期せぬ出来事でパニックになってしまうなら、日頃からさまざまな展開を想定しておくことで回避できると思いませんか。「もし職場や学校で地震に遭ったら」「家族がバラバラの状態で地震が起こったら」「遊びに行っている先や旅行先で…」など、さまざまなシチュエーションを想定して考えてみましょう。

同じ地震でも、そのときいる場所や時間帯、季節などによっても、どう行動するかは変わってきます。シミュレーションをしなければ、実際に行動に移すことはできません。心の備えとして、いろいろな場面での地震の危険性、そのとき自分が取るべき行動を予習しておくことが重要です。

備蓄や防災グッズで「モノ」の備えも

自宅に備蓄や非常用の持ち出しグッズを用意しておくなど、「モノ」を備えておくことも、精神的な安心感につながります。もし何日も買い物ができない、救援物資が届かないとなっても、備蓄食料や日用品のストックがあれば、数日間しのげるでしょう。

「モノ」を備えるときも、シミュレーションを忘れてはいけません。自宅で被災するとは限りませんが、常に防災リュックを持ち歩くのは現実的ではないので、「通勤・通学時」や「外出時」に持っておきたい防災グッズを厳選し、バッグなどに入れておくことも大切です。

たとえばペットボトルの水1本、飴やゼリー飲料のように簡単に口に入れられるもの、モバイルバッテリーや携帯トイレ、靴下、絆創膏など災害時に役立ちそうなものをちょっとしたポーチにまとめてバッグに入れておくだけでも、いざというときに役立ちます。

いざというときに声を上げられる勇気を持つ

いくら自分が冷静でも、周りがパニックで衝動的な行動を取れば、それに巻き込まれる可能性があります。そんなときに、声を上げられるリーダーになれれば、多くの人を冷静な行動に導けるでしょう。

状況に応じて「頭を低く」「しゃがんで」などの声をかけられればベストですが、「落ち着いてください」と周囲に呼びかけるだけでも、多くの人は安心感を得られます。「リーダーがいる」という雰囲気を作れば、それに従おうと冷静になれる、パニック状態の人につられない人は増えるでしょう。

リーダーになれなくても、落ち着いた行動を心がける

地震が起こったときに、冷静かつ適切な判断をして、大きな声で周囲に呼びかけられるという人は多くはありません。実際、筆者もこれだけ災害について調べてある程度の知識を得ていても、いざというときに声を上げられるかといわれると、微妙なところです。

東日本大震災のときのことを思うと、そもそも冷静でいられるかも怪しいのですが…。せめて前回のように思考停止状態にはならず、落ち着いた行動が取れるようにはしたいと思っています。そのためには、前述の心やモノの備えはもちろん、豊富な知識、また積極的な防災活動への参加が重要です。

「こういうときはこう動く」ということを理解することはもちろん、防災訓練で身につけることで、自分のなかに定着します。実際の地震と訓練は大きく違いますが、「訓練をした」という経験が自信や安心感につながり、冷静さを保つことに少なからず貢献してくれることは、間違いないでしょう。

地震にパニックはNG!冷静な判断と行動ができる自分作りを

地震のときには多くの人が思考停止状態になり、この人たちは一部のパニック状態の人の行動につられてしまいがちです。パニックは大きな事故を引き起こしたり、人々を危険にさらす可能性があるため、冷静な判断や行動を心がける必要があります。

緊急時に声を上げ、たくさんの人をまとめられるリーダーになれるような人が増えれば、地震による被害を最小限に抑えられるでしょう。人任せではなく、自分がそういったリーダーになれるよう、日頃からさまざまな備えをしていけるとよいですね。

編集後記

小学生の頃に読んだ児童書のなかで、賢い主人公が「人は想像力である程度のことをカバーできる」といい、それを聞いた女の子は「想像力にそれだけの影響があれば、私はいじめられない!」と泣き叫ぶという場面がありました。

いわゆる「いじめ」や「不登校」をテーマにした内容でしたが、子どもだった当時も大人になった今も、「想像力ではどうにもならないこともある」とは思っているのですが…。どう表現すればよいか難しい部分もありますが、想像力でなんとかならない部分ももちろんあるけど、想像や想定は無駄ではないと、経験や学びから感じることはあります。

今回ご紹介した「シミュレーションをする」というのも、ある意味想像力を膨らませてすることです。想像だけでは限界があるので、実際に大きな地震を体験したときに「あ~想像通りだ」と思ったり、想像通りに動けたりする人は少ないでしょう。しかし、想像をしないよりもしておいたほうが適切な行動や判断をしやすいのも、確かです。

想像力だけでカバーしきれないところを訓練で実践する、それでも本当に地震が起こったときは全く違うから、地震体験車や防災関連の施設で実際に近い体験をする、といった行動を繰り返すことで、私たちは本当に何かあったときにも冷静でいられるのではないでしょうか。

仕事や学校などメインでやるべきことがあって、近くにそういう施設がなくて、といった状況で時間や機会を見つけてシミュレーションから訓練、体験すべてを行うのは簡単なことではありません。しかし、もしものときに命を守る行動が取れるよう、時間を作ってみてはいかがでしょうか。

参考サイト

渋谷にいるとき地震が起きたらどうなる?
人はなぜすぐに避難しないのか

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語教師を経て2018年よりライターに転身。子どもと学べる防災に関心を持ち、日々災害や備えについて勉強中。
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