住宅用火災報知器は、煙や熱を感知したときに音や音声で火事の発生を知らせるものです。
2006年(平成18年)6月に法律で義務化され、新築・既存に関係なくすべての住宅への設置が求められています。
これから火災報知器を設置する方は、どれにしようか迷うところだと思いますが、どんな種類があるのかがわからないと、何を基準に選べばよいのか判断に困ってしまうでしょう。
そこで今回は、火災報知器の種類を3つのポイント別に解説します。
さらに誤作動したときの対処法や火事の原因についてもお伝えするので、ぜひ参考にご覧ください。
火災報知器の種類を3つのポイントで解説
では早速、火災報知器の種類を、次の3つのポイント「何を感知するか(感知方法)」「電源はなにからとるか(電源のタイプ)」、そして「どの火災報知機が反応するのか(警報発信別)」からみてみましょう。
感知方法別(煙式・熱式)
火事の発生を「何で感知するか」、感知方法によって「煙式」と「熱式」の2つに分けられます。
「煙式」は煙を感知するもので、寝室に設置する火災報知器は「煙式」が基本とされています。
一般的に火事では煙が先に発生するため、「煙式」の火災報知器によって早い段階で火事を感知し、消火・避難行動につながることが期待されているのです。
一方の「熱式」は火災報知器の周辺が一定の温度に達したことを感知して、火事の発生を知らせるものです。
「煙式」では誤作動をおこしやすい場所、たとえば台所のように大量の湯気や煙がでるところに設置しやすいでしょう。
電源のタイプ(電池式・コード式)
火災報知器は、乾電池をつかうのか(電池式)、それともコンセントから電源をとるのか(コード式)によっても分けることができます。
それぞれの特徴をまとめてみましょう。
電池式の特徴
・自分で設置(取り外し)ができる
・停電時でも作動する
・ホームセンターなどで手軽に購入できる
・10年をメドに電池交換が必要
コード式の特徴
・電池切れの心配がない
・自分で設置(取り外し)ができない
・本体代のほかに取付費用が必要
「電池式」と「コード式」では、電池交換および取り付け工事が必要かどうかがポイントです。
「電池式」の火災報知器は電池切れに気をつけないといけません。万が一火事が発生したとき、電池切れで作動しないのでは設置している意味がなくなってしまいます。
その反面、「電池式」はバルサンのような燻煙式(くんえんしき)の殺虫剤をつかうとき、誤作動を避けるためあらかじめ取り外しておくことが可能になります。
警報発信別(単独型・連動型)
ある部屋で火事が発生したとき、どこの火災報知器が反応するかによって「単独型」と「連動型」に分けることができます。
まず「単独型」は、火事が発生した場所にとりつけた火災報知器だけが警報をならします。
一方「連動型」は、ある部屋で警報がなったとき、ほかの場所にある火災報知器も連動して警報がなるものです。
たとえば「連動式」では、1階の台所に設置した火災報知器が火事を感知したとき、2階の寝室で寝ている家族にも火事の発生を知らせることができます。
部屋の数や家族の人数・ライフスタイルなどによって、どちらにするか検討するとよいでしょう。
ここまで、感知方法別・電源のタイプ・警報発信別に火災報知器の種類を解説しました。
火災報知器の設置が義務づけられている場所
ここからは、火災報知器をとりつける場所と誤作動への対処法について確認しましょう。
消防法では寝室(階段)への設置
消防法(第9条の2)では、住宅への火災報知器の設置を義務づけています。
具体的には、寝室とそこに通じる階段にとりつけなければなりません(消防法施行令第5条の7ほか)。
その理由は、寝ているときは火事に気がつきにくいためです。とはいえ、火をつかう“台所”ではないことに疑問を感じる方もいらっしゃるでしょう。
その点をカバーしているのが、自治体の条例です。
市町村によっては寝室以外の部屋にも必要
市町村によって異なりますが、条例で寝室以外の部屋にも設置を義務づけていたり、煙式に限定しているところもあります。
「法律で寝室だけだから、そこにだけ・・」と思っていると自治体の条例違反となり、火災発生時の過失割合に影響する可能性も。
もちろん、火災報知器は “法律に違反するから設置する”ではなく、“命を守るため”に必要なものです。この点を念頭にいれつつ、どこに設置すべきなのか確認しましょう。
一般社団法人日本火災報知機工業会(以下、日本火災報知機工業会)のホームページには「市町村条例別の設置場所」が掲載されています。
また、最寄りの消防本部・消防署でも自治体に即した設置場所を教えてもらうことができます。全国消防長会ホームページには、全国各地の消防本部等へのリンク集があります。こちらも活用して、火災報知器の取りつけ忘れがないようにしましょう。
設置場所に注意しないと誤作動することも
火災報知器を天井(または壁)に取り付ける場合、壁(または天井)からの距離が具体的に決められています。
たとえば、天井に設置する場合には「エアコンの吹き出し口から1.5m」離すことになっています。「熱式」の火災報知器では、エアコンの温風で誤作動をおこす可能性があるのです。(参考:総務省防庁「住宅用火災警報器の取付け」)
ほかにも火災報知器は電池切れや故障、煙式では燻煙式(くんえんしき)の殺虫剤などでも誤作動の可能性があるとされています。
誤作動をおこされると焦ってしまいますが、ほとんどの火災報知器は、警報停止ボタンを押す・ぶら下がっているヒモを引いて止めるようです。あらかじめ、取扱説明書やメーカーサイトで確認しておくと安心ですね。
日本火災報知機工業会のホームページには「警報器が鳴ったときの対処」が示されています。メーカー別の資料が掲載されており、対応を知ることができますよ。ぜひご活用ください。
まとめ|火事の原因を知って火災にそなえよう
火災報知器は火事の発生にいち早く気づき避難するために不可欠なものです。
その種類は、感知する対象によって「煙式と熱式」、電源のタイプで「電池式とコード式」そして、警報がなる対象別に「単独型・連動型」とさまざまです。
そのため、どれにしようかと選ぶのに迷うこともあるでしょう。そのようなときは、視点をかえて火事の原因を考えてみるのもよいかもしれません。
本サイトでは、日々何気なくつかっているものや意外な原因がもたらす火災を取りあげて解説しています。
■「家電製品に関連した火災」関連記事
■「その他の原因」による火災
これらの記事も参考に、火災をおこさないよう気をつけつつ、万が一にそなえて火災報知器を設置してくださいね。
【参考文献】
e-GOV「消防法」
e-GOV「消防法施行令」
総務省消防庁「受託用火災警報器Q&A」
一般社団法人 日本火災報知機工業会
(以上)