2022年も執筆時点では、ついに残り10日ほどになりました。
正月にはみなさんお餅を食べると思いますが、どのような食べ方をしていますか?
高齢者の方や小さなお子さんのいる家庭では、餅による窒息事故に気を付けないといけません。
高齢の方が餅をのどに詰まらせて、窒息する事故はよく報道されるのでご存じでしょう。しかし、小さな子どもの窒息事故も毎年起きているのです。
そこで今回は「餅は何歳から食べられるのか?」との疑問にお応えすべく調査をしてみました。
併せて、窒息事故を防ぐ工夫と万一の対処法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
餅を食べても大丈夫な年齢は3歳が目安!?
小さな子どもは一体何歳からお餅を食べることができるのか?を調査してみると、大よそ3歳ごろが目安のようです。
年齢としての目安は3歳ですが、3歳だから大丈夫ではなく次の条件を満たしていないと、餅は危険な食品となるようなのでご注意ください。
餅を食べても大丈夫となる条件
日本小児学会によると、餅は「粘着性が高く、唾液を吸収して飲み込みづらいもの」に分類されていて、窒息を起こしやすい危険な食品とされています。餅を安全に食べるには、次の条件を満たしている必要があります。
これらの条件をすべてクリアできるようなら、餅を食べても大丈夫とのことです。
そして、これらの条件をクリアできるのが概ね3歳となりますが、きちんと噛み砕いて食べられることが重要になっています。
餅が詰まる原因は噛まずに飲み込んでしまうから
高齢者の方の餅による窒息事故が多く発生する理由は、噛み砕く力が弱くなり餅を噛まずに飲み込んでしまうことで、気管に詰まって窒息してしまいます。
子どもが餅で窒息する理由も同様で、餅を丸ごと飲み込んでしまうからです。
さらに高齢者よりも危険なのは小さな子どもの気管は狭く、大きな餅を飲み込んでしまうと、直ぐに詰まってしまうことです。
窒息事故は餅だけじゃない!ブドウやトマト、パンでも起きる
お正月が近いので餅をフューチャーしていますが、小さな子どもが窒息するのは餅だけではありません。
ここでは日本小児科学会が注意喚起を行っている、危険な食品を紹介しましょう。
餅と同じ分類の危険な食品とは?
餅と同じ「粘着性が高く、唾液を吸収して飲み込みづらいもの」に分類される危険な食品は、次の食品が公開されています。
信じられないかも知れませんが、ドーナツでの窒息事故や乳幼児用に市販されているパンでも窒息事故が実際に起きています。
小さな子どもに危険となる食品一覧
ではここで、日本小児科学会が公開している小さな子どもに危険となる食品の一覧表を紹介しましょう。
太字で下線のある食品は頻度の高いもので、特に4歳以下の子どもが食べるときには注意が必要な食品です。
小さな子どもの食事で注意工夫する行動
ここでは小さな子どもが食事をする際に、大人が注意したり工夫したりする行動をまとめました。
- 食品を小さく切って食べやすい大きさにする
- 一口の量を子どもの口に合った量に工夫する
- 気管に入りやすいピーナッツや豆類は3歳ごろまでは与えない
- 遊びながらや歩きながら食べさせない
- 食べる時にしゃべらせない
- お茶や水でのどを湿らせてから食べる
- 眠い時に食べさせない
- 必ず大人が側にいる時に食べる
消費者庁のデータでは6歳以下が窒息するリスクが高い
消費者庁が公開しているデータによると、小さな子どもが窒息するリスクが高いことが分かります。
そして消費者庁では、6歳以下の子どもが危険であると注意を呼び掛けているのです。
このグラフは厚生労働省が行った「人口動態調査」による、食品の窒息事故情報をまとめたものです。
0歳~4歳が窒息率が多くなっている
グラフを見ればお分かりだと思いますが、0歳が全体の47%と最も多く、次いで1歳、2歳、3歳、4歳の順に多くなっており、年齢が低いほど、窒息するリスクが高いことを示しています。
グラフから読み取れば、0歳~4歳が最も気を付ける必要があるのですが、消費者庁では6歳までの子どもに注意を呼びかけています。
小さな子どもが窒息した時の対処法
気を付けていても起きてしまうのが事故であり、事故が起きないように注意すると同時に、万一の事故に対応できる知識も必要です。
そこでここでは、小さな子どもが窒息した際の対処法を解説します。
背部叩打法(はいぶこうだほう)
乳幼児の場合は、口の中に指を入れずに乳児を片腕にうつ伏せに乗せ、顔を支えて(図 1)背中の真ん中を連続して叩きます。
また、少し大きい子どもの場合は、立て膝で太ももがうつ伏せにした子どものみぞおちを圧迫するようにして(図 2)、頭を低くして背中の真ん中を平手で何度も連続して叩きます。
ただし、臓器を傷つけるほどの力で叩いてダメなので、加減を考えて背中を叩きます。
腹部突き上げ法(ふくぶつきあげほう)ハイムリック法
年長児では、後ろから両腕を回しみぞおちの下で片方の手を握り拳にして、腹部を上方へ圧迫します(図 3)
もしもハイムリック法が行えない場合には、横向きに寝かせるか、座って前かがみにして背部叩打法を試みます。
サイト内にハイムリック法の詳しい記事があります。「ハイムリック法は命を助ける救助方法!誤えんを見たらすぐに対処しよう」を併せてご覧頂くと、万一の際に役立ちます。
餅はしっかり噛めるようになってから食べよう!
今回は「お餅は何歳から食べられる?」との疑問を調査してみました。
年齢的には3歳が目安となっていますが、しっかり噛んで食べられるようにならないと餅を食べさすのはNGです。
また、小さな子どもには餅以外にも、窒息する危険がある食品が多く存在しています。
今回調査した情報は、日本小児科学会や消費者庁の情報なので、信頼できる情報となっています。
小さなお子さんのいる家庭では本記事を参考にして頂き、窒息事故を防いでくださいね。