阪神淡路大震災では、地震が起きた時刻が5時46分と早朝であったこともあり、多くの方が家具や家屋の倒壊による「圧死」にて亡くなってしまいました。
その教訓を生かして生まれたのが「セーフティゾーン(安全地帯)」です。
セーフティゾーンとは「何も落ちてこない、何も倒れてこない、安全な空間」のこと
地震が起きた時に行うべき初動として「机の下に隠れること」と習った方は、非常に多いのではないでしょうか。
ただ、地震が起きた時に即座に机の下に隠れることが可能であるかといえば、現実にはそうでもありません。地震時に滞在している場所にもよりますが、難しい状況もありますし就寝中だとなおさらです。
「何も落ちてこない、何も倒れてこない、安全な空間」であるセーフティゾーンがあれば、圧死から免れることができます。
本記事では圧死から身を守るための、セーフティゾーンの有効性について解説します。
食器棚も家具も倒れてこない空間は、畳み1枚分あれば十分
セーフティゾーンは4人につき2畳分の広さがベストですが、最低1畳の広さがあれば十分です。その根拠は「家族4人が身を丸めた状態で、数分間居ることができればよい」からです。
ただし最も大切な条件は、食器棚や家具などが「何も落ちてこない、何も倒れてこない空間」です。
セーフティゾーンは比較的作りやすい空間
セーフティゾーンに必要なスペースは1畳で十分なので、リビングでも作りやすい空間だといえます。マンションの平均的な天井高は2,400mmで、置き型の食器棚の高さは大きくて2,000mm平均は1,800mmとなっています。
通常であれば食器棚以外で2m近い家具は冷蔵庫くらいで、大抵の場合食器棚と並んで設置されることが多いです。
つまり、食器棚から2m離れることができればリビングでのセーフティゾーンは、確保できることとなります。
リビングにいたなら机の下に隠れる方がよいのでは?
「地震時にリビングに居たなら、セーフティゾーンよりも食卓の下に隠れる方がよいのでは?」と、疑問を抱く方もいるでしょう。もちろん、セーフティゾーンが100%安全であるとはいいきれません。
- セーフティゾーンが100%安全だとはいいきれない
- 地震時に滞在している場所で安全に身を守ることが重要
- 食器棚からお皿などが割れて飛び散る可能性もある
机の下に身を隠すことも、セーフティゾーンに逃げることもどちらも「身を守る」行為であることは間違いないのです。
ただ食器棚が倒れた場合は、机の下へ割れた食器の欠片が飛んでくる可能性も否めませんから、家具の転倒防止は必須になります。
食器棚など家具の転倒防止対策は防災の基本!
食器棚や本棚、冷蔵庫など家具の転倒防止対策は、防災の基本です。
防災に関心のある方は既に実行されているはずですが、まだの方がいるのであれば、早急に対応することを強くおすすめします。
- 家具の転倒防止は防災の基本
- どこに逃げても食器が飛んでくるとケガをする
- 転倒防止がまだの方は早急な対策をしよう
圧死を防ぐには家具を少なくしておくことが防災のポイント!
家具の転倒防止は防災の基本とお伝えしていますが、対策をしていても100%倒れてこないとは限りません。
最も安全となるポイントは、倒れる可能性のある家具をできるだけ少なくすることです。家や部屋全体でなくとも、寝室やリビングでは高さのないチェストなどを有効活用することが、防災のポイントとなってきます。
ベッドルームをセーフティゾーンにしておくと就寝中の地震も安心!
机の下でもセーフティゾーンでも、起きている時は安全な場所に逃げればよいのですが、就寝中はそうは行きませんね。地震を感じて飛び起きても、直ぐに避難行動に移るのは至難の業です。
ならばベッドルームをセーフティゾーンにしておけば、就寝中に起きた地震でも圧死から確実に免れます。
寝室が和室の方はタンスから離れて布団をひこう
寝室が和室の場合だと寝るときは、布団をひいて寝る方がほとんどですよね。壁際にはタンスが設置されているはずですが、高さは概ね1,500mmほどです。
布団をひく場合、部屋に余裕のある方はタンスの高さだけ距離をあけておくようにしましょう。
部屋の広さに余裕のない方は、タンスなどの家具をしっかり固定して寝ている場所に直撃しない工夫をしてくださいね。
寝室が洋室の方はベッドの周りに家具を設置しない
一方で寝室が洋室の方は、ベッドを利用しているはずです。ですから、ベッドの周りに家具を設置しなければ、家具による圧死やケガもなくなります。
- 寝室が洋室の方はベッドで寝る
- ベッドの周りに家具を設置しない
- 基本的にベッドの一方または二方が壁のパターンが多い
- ベッドルームはセーフティゾーンを作りやすい
ベッドルームをセーフティゾーンにしておけば就寝中も安心ですし、起きているときの地震もベッドに飛び込めば身を守ることができます。
家族が少ないほどセーフティゾーンを作りやすい
ひとり暮らしの方ほどセーフティゾーンを作りやすくなってきます。その理由は荷物が少ないからです。
もちろん例外的に、ひとり暮らしでも荷物の多い方がいるのも事実ですが、転倒する家具は比較的少ないはずです。
家族の多い方は荷物の置き場や整理に工夫を凝らそう
家族が多いとその分荷物が増えるのは当たり前のことですが、防災の観点からいうと、タンスの上や冷蔵庫の上などに荷物を置かない工夫ができればよいですね。
特に重くて硬いものをタンスや冷蔵庫の上に置いておくのは完全にNGで、置き場所を少し工夫するだけで安全度はグンと上がってきます。
タンスの上は当たってもケガをしないモノを置くようにする
工夫をしようといっても、部屋のスペースは限られているので完全に整理できないこともあるはずです。
そんな場合にはタンスの上には、当たってもケガをしない洋服類などをソフトケースに整理して置くようにすると、安全は確保されます。
- タンスの上には衣類など当たってもケガをしないモノを置く
- 整理するのはプラスティック製ではなく、布製のソフトケースに収納しよう
- ケガをして後悔するより安全になる工夫が大切!
まとめ
地震時の死亡率NO1となる圧死から身を守るためには、何も落ちてこない、何も倒れてこない空間であるセーフティゾーンが有効になってきますし、セーフティゾーンを作るのは難しくありません。
ちょっとした工夫で命を守れる空間が作れるのですから、ひとり暮らしの方も大家族の方も、本記事を参考にして頂きセーフティゾーンを作ってもらえると嬉しいです。