家庭内は子どもにとって、居心地のよい場所であると同時に、危険がいっぱいある場所にもなってきます。
大人では何でもないことが、子どもには命に関わることにもなってきます。また、昔は良かったけれど、現代ではミスマッチな考え方も生まれています。
今回は、防災士のひとりごと#06として、家庭内には子どもにとって何が危険なのか、つぶやきます。
ゴキブリ対策のホウ酸団子は要注意!
昭和の時代には、家庭内のゴキブリ対策としてホウ酸団子を自作して、部屋に置いていました。それなりに効果があり、害虫を駆除する方法として広く普及しています。
ですが、平成の時代を終え令和に突入した今、自作のホウ酸団子は果たして「時代に合ったゴキブリ駆除法」であるか疑問です。
2020年6月に誤食による急性薬物中毒事故が発生
日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会の報告によれば、2020年6月に1歳2ヶ月の男児が、ホウ酸団子を誤飲して救急搬送されています。
幸いにも大事には至らなかったようですが、これまでにはホウ酸団子の誤飲によって、生後18ヶ月の幼児が死亡した事例もあります。
今回の中毒事故も、誤飲したホウ酸団子は市販のものでなく、祖母が自作したホウ酸団子を誤飲したようです。
自作のホウ酸団子はそのままで、口に入れやすい
市販のホウ酸を使用したゴキブリ駆除剤は、誤飲できないようにパッケージが施されています。ですから、市販の駆除剤を誤飲するケースは見当たりません。
一方で、自作するホウ酸団子はホウ酸の割合も自由になりますし、なにより団子自体をゴキブリが食べないと効果がないので、団子のままです。
ですから、小さな子どもが口に入れやすいモノとなってしまいます。
自治会や婦人会で自作して販売するところも
地域によっては自治会や婦人会などで集まって、ホウ酸団子を作って希望者に格安で販売するところもあります。
ですが、今の時代にその対応はミスマッチを起こしているのではないでしょうか。
市販のゴキブリ駆除剤も、金額が高いモノではありません。
ホウ酸を購入し、分量を間違えないように量り、手間をかけて作るよりも、市販の方が安全で安価であるのは間違いありません。
なにより、小さな子どもが誤飲することがないのが一番ではないでしょうか。
タバコの誤飲事故もまだまだ多い!
喫煙者が、肩身の狭い思いをする時代が到来しています。
2020年4月1日より全面施行された、健康増進法によって「望まない受動喫煙」が実施されて、今や病院では敷地内で全面禁煙となっています。
パチンコホールも今やキレイな空気になっている
一昔前のパチンコホールしか知らない方では、白い煙がモクモクと立ち込めて、タバコの臭いでいっぱいのイメージがあるかも知れません。
ですが、パチンコホールでさえも館内全館禁煙を実施。喫煙者は、駐車場の一角に設けられた喫煙所でタバコを吸っています。
スモーカーの方は家庭内ではタバコを厳重に保管しよう
このように、法律の規制によって喫煙者は以前よりも減少しています。
何を隠そう、そう言う私もつい4年前まではスモーカーでした。タバコを止めた原因は、孫ができてその孫が喘息を患っていたからです。
ドクターから「タバコを吸う限り、お孫さんを苦しめるから抱っこしないように」と言われ、禁煙外来にて禁煙に成功。今でも、タバコを吸う夢はみますよ。
話を元に戻して、家庭内で幼児がタバコを誤飲して救急搬送される件数は、少なくなっていますがなくなっていません。
なので、スモーカーの方は家庭内では、タバコの管理は厳重にして、子どもの手の届く範囲においてはダメです。
令和3年3月に消費者庁から誤飲の注意喚起がされている
令和3年3月19日付けの消費者庁のNews Release(ニュースリリース)でも、「乳幼児のたばこの誤飲に注意しましょう!」と注意喚起がされています。
内容を確認してみると、500人を対象にアンケートを取った結果、子どもが誤飲した、または誤飲しかけたと回答した人は、100人であり約20%が危険な状態だったようです。
電子タバコだから大丈夫!は間違い
スモーカーの方には、「紙タバコでなく電子タバコだから誤飲は大丈夫!」と、思っている方は多いかも知れません。
ですが、実際には「電子タバコ(加熱式たばこ)は、紙巻たばこより誤飲しそうになった割合が高く、より注意が必要です」と警告されています。
電子タバコ(加熱式タバコ)のカードリッジは、子どもが誤飲し得る形状であり、紙タバコよりも短いので飲み込んでしまう確率が高いようです。
コーヒーのカンやペットボトルを灰皿にするのもNG
タバコの誤飲は、タバコ本体だけではありません。空き缶やペットボトルを灰皿代わりにしている方も多いはず。
実際、これまで私も家の外でタバコを吸っている時は、空き缶を灰皿代わりにしていましたからね。
例えばキッチンの換気扇の下で、そのような灰皿利用をしていた場合、小さな子どもはその灰皿の液体を飲んでしまうケースが多いのです。
当然、ニコチンなどが恐縮された毒物ですから、嘔吐やめまいを起こして救急搬送する必要が発生します。
ですから、家庭内では絶対にカンやペットボトルを、灰皿代わりにしてはダメです!
口に入りうそうなモノは全て危険!ホウ酸団子とタバコは特に要注意
今回は、家庭内の子どもの危険についてつぶやいてみました。
小さな子どもがいる家庭では、子どもの手が届く範囲にあるもの全てが危険物になってきます。
口に入りそうなモノはもちろん放置してはダメですし、ヘアドライヤーや扇風機までも危険なモノに入ります。
その中でも、今回紹介したホウ酸団子とタバコは、命の危険に関わる毒物となりますので、家庭内での取扱いには十分注意してくださいね。
- ホウ酸団子は人体に影響ないと聞いたのですが、どうなのですか?
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ホウ酸は吸収しても12時間以内に排出されますが、80%以上のホウ酸が排出されるには5日以上必要です。致死量は乳児で 2~3g,幼児で 5~6g,成人で 15g 以上とされています。自作の場合、ホウ酸の量を適当に作ると本当に危険な団子ができ上ります。
- もしもタバコを誤飲したらどうすればいいですか?
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先ずは、口の中にあるタバコを取り出します。その場で、水や牛乳などを飲ませてはいけません。基本的には誤飲後、30分以内に受診することが望ましいとされています。先ずは、誤飲しないように、タバコを管理することが一番です。
参考サイト
日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会 傷害速報
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/injuryalert/0097.pdf
消費者庁 News Release「乳幼児のたばこの誤飲に注意しましょう! 」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_048/assets/caution_048_210319_0001.pdf