災害時の安否確認に発煙筒が有効な理由!通信手段が途絶えても連絡可能

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2024年1月1日に発生した、令和6年能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
被害を受けられた皆様の安全と、1日でも早く平穏な生活に戻られますことを心よりお祈り申し上げます。

今回は、災害時の安否確認に発煙筒が有効なお話です。

元旦に発生した能登半島地震では、本稿を執筆している1月10日時点で約3,000人が孤立したままのようです。

陸路・空路・海路の全てが使えないため人海戦術で物資を運んでいるようですが、十分な支援が行き届いていないのが現状です。

ただ、発災から10日が経過して行方不明者を除き、ほとんどの地域で安否確認は進んでいるようですが被災範囲が広いため、実際にはまだ安否確認ができていない地域があるかも知れません。

そこで今回は、災害が発生した直後に携帯電話が使えない際の安否確認に「発煙筒」が有効な理由をお伝えします。

目次

発煙筒の煙の色で生存確認と現場の状況を伝えられる

前職にて複数の自治体の地域防災計画の策定に携わっていましたが、その際に「孤立集落対策」の安否確認手段として発煙筒を提案しましたが、非現実的だと不採用となりました。

しかし、煙は古来から遠くの地域との連絡方法として使われており、代表的なのが「のろし」です。

近代的なアイテムが使用できないからこそ原始的な手段が活きる

確かに発煙筒を使った「のろし」による通信方法は近代的ではありません。

しかし、今回のように携帯電話が使えないなら、原始的な手段が有効になるはずです。

調べて見ると細谷火工株式会社から「無公害発煙筒 モーク」が販売されており、白・赤・黄・黒の4色が利用可能です。

例えば、この4色の煙を次のような信号として利用すれば、孤立した際に生存確認や救援要請が可能です。

発煙筒の色信号内容
けが人なし・ここに取り残されて救援を要す
重傷者あり、大至急救助を要請する
軽症者あり、至急救援を要請する
医療チームの派遣を要請する

内容はあくまでも参考ですが、発煙筒の煙が上れば孤立していることを知らせることは可能です。

細谷火工株式会社


空からの視認でなく、平地からの視認が可能

内閣府 孤立集落対策について(概要)

政府の孤立集落対策には、「地上に文字を書く等の手段の活用」も記載されています。

実際に今回も複数の地域でパイプ椅子などを使って「SOS」の文字を書いて救助を求めていました。

しかし、これはヘリコプターなどによって上空からの視認による手段であり、一定の広さが必要となります。

一方で、発煙筒なら広い敷地が必要ありませんし、上空だけでなく平地からも視認が可能であり、避難者の存在をより確かに知ることができるはずです。

衛星携帯電話よりも安価で誰もが使える

内閣府 孤立集落対策について(概要)

実は地域防災計画や政府の孤立集落対策には「孤立集落における情報確認、伝達手段の確保」の取り組みとして、衛星携帯電話の確保と運用が挙げられています。

しかし、衛星携帯電話は高額なため広く配置することがむつかしく、地域でも常に充電しておくことと定期的なメンテナンスや試験運用が必要です。

そのため、誰もが使うことができず地域の防災担当者に使用が限られるでしょう。一方で発煙筒ならほとんどの方が利用できて、運用マニュアルも簡単で済みます。

とにかく、孤立していても生存確認ができるだけで、災害対策本部が救援体制を取りやすくなるのは確かです。

「孤立」の定義と条件について

防災計画での「孤立」の定義と条件は次のようになっています。

【孤立の定義】
中山間地域、沿岸地域、島嶼部などの地区及び集落において、以下の要因等により、道路交通及び海上交通による外部からのアクセス(四輪自動車で通行可能かどうかを目安)が途絶し、人の移動・物資の流通が困難もしくは不可能となる状態とする。
・地震、風水害に伴う土砂災害等による道路構造物の損傷、道路への土砂堆積
・地震動に伴う液状化による道路構造物の損傷
・津波による浸水、道路構造物の損傷、流出物の堆積
・地震または津波による船舶の停泊施設の被災

【孤立の条件】
孤立可能性を判断する上で、以下の条件を基本とした。
・地区または集落へのすべてのアクセス道路が土砂災害危険箇所(土石流危険渓流、急傾斜地崩壊危険箇所、地すべり危険箇所)または山地災害危険地区に隣接している。
・船舶の停泊施設がある場合は、地震または津波により当該施設が使用不可能となるおそれがある。

内閣府 孤立集落対策について(概要)

これらの定義と条件は、正に現在被災地で孤立している地域に当てはまります。

元旦に起こった災害は予想以上の被害だった!

元旦に発生した能登半島地震は、震度7を観測し大津波警報が発表されるなど、日本列島に衝撃が走りました。

X(旧Twitter)を見ると、30分も経たないうちに現場の被害映像が公開され、ニュースよりも早く甚大な被害が起きていることが分かりました。

時間の経過とともに被害の状況が分かりつつありますが、本稿を執筆している1月10日時点でも全ての被害状況が分かっていません。ただ、いえることは「想像していた以上に酷い被害となっている」ことです。

阪神淡路大震災の時も孤立した避難民に救援物資が届かなかった

阪神淡路大震災は1995年(平成7年)1月17日に起きていますから、29年経過しており当時と現在の状況を単純には比較できないでしょう。

しかし、現状をみると当時と似た状況に陥っています。当時筆者はインフラ関係の仕事に従事しており、被災地にてインフラの復旧チームに属していました。

被災地に泊まり込み、現地にてインフラ復旧を行っていましたが、救援物資がまんべんなく被災者に届かない現実を目の当たりにしました。

消費期限の短い食料は配給所近くに多く配布された

お弁当やおにぎりなど消費期限が1~2日程度の食料は、配給所に長時間保管できません。

無駄にしないために急いで配るのですが、どうしても配給所の近くにある指定避難所に多く集まってしまいます。

すると、避難所では消費できないほどのお弁当やおにぎりが集まる結果となり、指定避難所以外に避難している方には届かない現実がありました。

災害時には安否確認と避難先の報告が重要となる

これまで複数の自治体の地域防災計画の策定に携わってきましたが、自治体が設置する災害対策本部が把握できる情報は計画通りにはいきません。

その理由は、自治体で把握できる避難者は指定避難所に避難している住民が基本となるからです。

そのため、自宅避難している方や複数人のコミュニティを形成して避難している方、公民館など指定されていない施設に避難している方は、自らが本部に申告しないと存在が分からないのが現実です。

実際に、携帯電話も使えない状況では指定避難所以外で避難している方の把握は、非常に難しいといえるでしょう。

報道されないたくさんの地域で被災している現実がある

被災状況を報道できる地域は限られており、どうしても大きな被害が起きる地域がクロースアップされます。

阪神淡路大震災時でもそうでしたが、倒壊建物が多い場所だけでなく広い範囲で被災していました。

しかし、報道されないことから救助が後回しになったり、義援金が届かない地域があったのも事実です。

これまでの過去の被災経験を活かして、できるだけ多くの被災者の方に広く救助・救援・支援の手が差し伸べられることを祈るばかりです。

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

1963年生まれ、兵庫県在住の防災士&フリーライター 
2014年から本格的にライターを開始!これまで多数の記事を執筆
2017年にひょうご防災リーダー講座を受講し防災士を取得。ハザードマップなど防災業務に長年従事し、防災関連の講演も行っています。
経験を活かして防災に関する情報をできるだけわかりやすく、みなさんへ届けたいとの想いを持って執筆しています。詳しいプロフィールはこちら

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