避難所での新型コロナ感染症対策は可能なのか?ガイドラインは策定済だが・・

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世界的に猛威を振るい、健康、経済など、あらゆる所に影響を与えてきた新型コロナウイルス感染症ですが、最近ではやっと落着きを取り戻しつつあります。

新型コロナウイルスは、新しい生活様式など、これまでとは異なる生活スタイルを構築せざるを得ない状況を生み出しています。

防災の分野にも影響はあり、避難所運営のガイドラインも新しいものとなりました。

ただ、災害時に新型コロナウイルス感染症対策が、ガイドライン通りに運営が可能かは疑問が残ります。

今回は、防災士のひとりごと#03として、避難所でのコロナ対応についてつぶやきます。

目次

みんな知らない!避難所に持っていくべきものとは

内閣府が公開している、令和3年6月16日交付「新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練ガイドライン 」第三版、では、受け入れ時に避難者が持ってくる物の確認項目があります。

ですが、避難者はここに記載されている必需品を知りません。

避難所に持っていくべき5つの必需品

ガイドラインでは、次の5項目の必需品を避難者が持参しているか、確認することになっています。

マスク:装着しているマスク以外の予備を指しています

体温計:ほとんどの方が持参しないはず

消毒液:これも予想では半数程度ではないでしょうか

上履き(スリッパ、靴下等):スリッパは避難所にあると思っている方が多いです

ゴミ袋:備蓄している方以外は持参は難しいでしょう

これらが必要であれば、政府広報で全国民に発信して備蓄してもらうか、セットを無償配布するべきだと感じますね。

恐らく、コロナ対応のガイドラインに沿った避難所運営訓練を経験した者でないと、知らない情報です。

運営スタッフのPPEの装着は実際に可能なのだろうか

受け入れ態勢には、避難所運営スタッフのPPEを準備して「新型コロナウイルス感染症患者、発熱者等、濃厚接触者に関わる人は場面ごと、地域の実情に応じて適切に PPE を選択して着用する」となっています。

PPEとは個人用防護具のことです

PPEとは(Personal Protective Equipment)の略語で、個人用防護服のことです。

テレビなどで見たことがあると思いますが、コロナ病棟の医師や看護師が装着している防護服がこれに当たります。

ガイドライン上でのPPEは簡易的

出典:新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練ガイドライン 

https://www.mhlw.go.jp/content/000794047.pdf

ガイドラインに記載されているPPEの種類は、比較的簡易なものが挙げられています。

「眼の防護具は目を覆うことができるもので代替可。長袖ガウンについては、レインコート(カッパ)など、体を覆うことができ、破棄できるもので代替可。撥水性があることが望ましい。」

引用:新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練ガイドライン 

https://www.mhlw.go.jp/content/000794047.pdf

具体的には、マスク・フェイスシールド・ゴム手袋・カッパとなります。

ないよりはマシなのでしょうが、新型コロナウイルス感染症患者に対してこの程度のPPEで、果たして感染対策は十分だといえるのかが疑問です。

以前の避難所よりもプライバシーは保たれる

今回のガイドラインではソーシャルディスタンスを取り入れているので、一家族毎の占有スペースとの距離が1m以上となり、他家族との距離が保たれるようになりました。

これまでのパーティションのみの仕切でないのが、安心に繋がるでしょう

一区画は3m×3mが目安となる

一家族には基本的に、一区画が与えられます。

もちろん人数に応じて区画の大きさは変更されますが、基本的な大きさは「一区画=3m×3m」となっています。

9㎡となるので、約5.4畳の広さですね。大人2人、子ども2人が何とか生活できるスペースでしょう。

各区画のスペースは最低1m以上あける

各区画とのスペースは、最低1m以上の間隔を開けるようになっています。

このスペースは、先にも触れていますがプライバシーの点では安心できるといえます。

さらに、飛沫対策としてパーティションを、座位で口元より高く設置するようになっているので、一層プライバシーが保たれる結果となります。

発熱者・濃厚接触者の専用スペースを作る

避難所で発熱者や濃厚接触者が発生した際には、一般避難者の占有スペースとは別の棟・階などにある部屋へ案内するようになっています。

しかしながら、別の棟や階のない避難所ではどうすればよいのでしょう。

ガイドラインでは全ての避難所を想定していない

ガイドラインの策定は、あくまで標準的な避難所を基準に作られます。

学校の体育館などが公的避難所として指定されているので、これらを基準に作成しているでしょう。

ただ、地域の公民館も避難所になり得るわけで、このような小規模な避難所に対してのケアまではできていません。

コロナ対策は「自助・共助」だけではムリだと感じる

今回のガイドラインを見て感じるのは、あらゆる避難所に対応したガイドラインになっていない点です。

全ての避難所に当てはまるガイドラインの策定は、難しいことでしょう。

しかし、コロナ対策は保健所など行政主導で行わねば、自助・共助で対応するのはムリです。

もしも対応が可能なのであれば、これだけの感染拡大は起きていないでしょう。

コロナ禍における避難所を開設した事例としては、熱海の土砂災害が記憶に新しいところです。

この時は近隣のホテルが協力して、避難所の代わりをしてくれています。

誰もが直面したことのないコロナ禍の避難所運営は、恐らく手探りになってしまうことは否めません。

ですが、避難所でクラスターが発生すればどうなるでしょう。

ただでさえ、その地域は被災しているので、病院も100%機能しているとは限りません。

このような状況で、コロナ対応を行いながら避難所を運営していく、避難所で生活していくことができるのか、心配でなりません。

そのような事態が起こらないことを、祈るばかりです。

出典:新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練ガイドライン 

https://www.mhlw.go.jp/content/000794047.pdf

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

1963年生まれ、兵庫県在住の防災士&フリーライター 
2014年から本格的にライターを開始!これまで多数の記事を執筆
2017年にひょうご防災リーダー講座を受講し防災士を取得。ハザードマップなど防災業務に長年従事し、防災関連の講演も行っています。
経験を活かして防災に関する情報をできるだけわかりやすく、みなさんへ届けたいとの想いを持って執筆しています。詳しいプロフィールはこちら

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