猟銃は免許があれば誰でも購入可能?一般人が猟銃を持てる条件を調査してみた

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2023年5月25日、長野県にて悲惨な事件が起きてしまいました。

「長野猟銃立てこもり事件」と呼ばれるこの事件では、2人の高齢者を刃物で刺して殺害し、その後現場に到着したパトカーの運転席の窓越しから猟銃を2発発泡。

そして、2名の警察官を射殺しています。

犯人は猟銃の所有許可(免許)を得ていたようで、一部のニュースでは「息子が欲しいと言うので、父親が猟銃を買ってやった」との報道もあります。

日本では、一般人が銃を所持するのはハードルが高いはずですが、これを見ると簡単なように思えてなりません。

そこで今回は、猟銃を所持するにはどのような免許や許可、手順が必要なのか調査してみました。

目次

猟銃は「狩猟・有害鳥獣の駆除」を目的で所持できる

日本では法律上、銃の所持は銃刀法にて禁止されています。

ただし、猟銃は「狩猟・有害鳥獣の駆除」や、スポーツである「標的射撃」の選手であれば、公安委員会の許可を得れば所持が可能です。

ライフルは猟銃を所持して10年以上の経験が必要との条件があるため、ライフルを所有するにはかなりハードルは高くなるでしょう。

しかし、散弾銃であれば手順を踏めば所持することは可能です。

ステップ1:猟銃等初心者講習会を受講する

猟銃を所持するための最初のステップは、各地区の警察署が開催する「猟銃等初心者講習会」を受講することです。

開催する警察署住所地を所轄する警察署
提出書類猟銃等講習会申込書 1通
申込書貼付用の写真 1枚(30mm×24mm)
印(申込書に押印)
受講料6,900円
年齢20歳以上

講習会は約2か月毎に開催されているので、20歳以上の方なら誰でも参加可能です。

ただし、講習を受けた後に、講習会用のテキスト「猟銃等取扱読本」から出題されるテストに合格しなければなりません。

テストは「○×形式」で50問が出題され、合格するには9割以上正解でなければいけません。

難易度は高くなく、講習会用のテキスを理解していれば、問題なく合格できるようです。

合格すれば即日に「講習終了証明書(交付から3年間有効)」が交付されます。

ステップ2:教習資格認定の申請

猟銃等初心者講習会を受講してテストに合格しても、猟銃を所持できる訳ではありません。

次は、教習射撃の資格認定申請が必要です。

ここで「猟銃を持たせても犯罪に利用しない、許可しても問題がない人物なのか?」が判定されます。

そのため、提出書類は多く医師の診断書までも必要になっており、この教習資格認定も所轄の警察署によって開催されます。

申請する警察署住所地を所轄する警察署
提出書類・教習資格認定申請書
・本籍のある住民票
・本籍地でもらう身分証明書(現住所と間違えないように!)
・経歴書
・同居親族書
・診断書
・証明写真
・印鑑
・講習修了証明書(原本とコピー1部)
手数料 8,900円

この中の診断書は心療内科に行き、専門の精神科医の診察を受けて「精神的に健康で全く問題がない」ことを証明してもらいます。

診断書の費用は心療内科によって異なりますが、5,000円~10,000円の範囲がほとんどでしょう。

これらの書類を揃えて提出し、射撃教習を受ける資格がある人物なのか審査が行われます。

審査に合格していれば、約1か月後に「教習資格認定書」が交付されます。

申請時には警察官の面接も受ける

教習資格認定の申請では、担当の警察官による面接が行われますが、質問されたことに正直に応えるだけの簡単な面接です。

ただ、不審人物でないか見極めるためにたくさんの質問をされるので、面接の苦手な方にとってはハードルは高くなるでしょう。

親族への聞き込みもある

さらに、親族への聞き込み(身辺調査)も行われます。

独身であれば両親になりますし、結婚していればパートナーへ聞き込みが行われます。

ステップ3:警察署に行き教習資格認定書の交付を受ける

先の「教習資格認定の申請」にて審査に合格すれば、所轄の警察署に赴き「教習資格認定書の交付」を受けます。

「教習資格認定書」の有効期限は最長3か月で、この期間内に「射撃教習を受講」しなければいけません。

それには射撃教習に使用する実包を購入するための、猟銃用火薬譲受許可証の申請を行い譲受許可証の交付を受けます。

必要な書類と手数料は次のとおりです。

提出書類・猟銃用火薬類等譲受許可申請書
・消費計画書
・印鑑
手数料2,400円

ステップ4:射撃教習の受講

教習射撃を受けるのは警察署でなく、最寄りの射撃場になり予約が必要です。

猟銃(散弾銃)は、射撃場で借りることができて実技試験のような扱いになります。

とはいっても、ほとんどの方が初めて猟銃を持ち発砲するため緊張するでしょう。

ただ、講師から丁寧な説明や指導を受けられるため、ほとんど合格となるようです。

講習修了時に「教習修了証明書」が交付され1年間有効です。

必要な書類・教習資格認定証
・猟銃用火薬等譲受許可証
・筆記用具
手数料約40,000円(地域によって異なる)

なお、先の実包購入時に必要となった「猟銃用火薬譲受許可証」は、教習射撃の後に警察署に返納する必要があるため紛失は厳禁です。

ステップ5:銃砲店にて「譲渡等承諾書」を受ける

ここまで来てやっと銃砲店にて、好みの猟銃を1丁予約することが可能となります。

ただし、予約だけであり購入は出来ません。

好みの猟銃とガンロッカー、装弾ロッカーが必要となります。

ここ時点で銃砲店から「譲渡等承諾書」を受け取ります。

ステップ6:銃砲所持許可の申請

銃砲店にて好みの猟銃や、その他保管に必要なガンロッカーなどを予約したら、所轄の警察署にて「銃砲所持許可の申請」を行います。

この時も多くの提出書類が必要になるため、漏れなく準備することが重要です。

申請する警察署住所地を所轄する警察署
提出書類・銃砲所持許可申請書 1通
・同居親族書
・経歴書
・精神科医等が作成した診断書
・申請人の写真 2枚(無帽・無背景、30mm×24mm)
・印(申請書に押印)
・身分証明書(市町村役所等で取得)
・本籍地の記載のある住民票の写し
・譲渡等承諾書(銃砲店から取得)
・講習修了証明書(提示のみで可)
・教習修了証明書(狩猟の方のみ必要。提示のみで可)
手数料10,500円

これらの書類を提出し再度審査が行われますが、ここでも心療内科にて診断書が必要であり「精神的に健康な人物」であることを証明しなければなりません。

問題がなければ概ね1か月後に「銃砲所持許可証」が交付されます。

ステップ7:銃の購入と受取

所轄の警察署から「銃砲所持許可証」が交付されて、初めて猟銃の購入が可能となります。

先のステップ5で「譲渡等承諾書」を受けた銃砲店に来店し、猟銃やその他必要なものを購入し受け取ります。

また、猟銃を持ち歩く際には銃ケースが必要なので、併せて購入しておきましょう。

購入した銃を警察署に持参し、譲渡等承諾書の内容と同じ銃であるか確認を受けます。

その後「銃砲所持許可証」に確認印が押されて、初めて猟銃の所有が認められます。

実包についても、購入と消費について帳簿管理が義務付けられているので、サボると許可が取り消されてしまいます。

狩猟だけでなく競技射撃でも所持が可能

猟銃と聞けばシカやイノシシ、クマなどの狩猟を目的とするイメージが強いですが、クレー射撃など競技用として所有している方も多いです。しかし、先にお伝えしている手続きでは、2回も心療内科の精神科医に診断書を書いてもらうこととなっているので、精神疾患のある人物では猟銃を持つことは叶いません。

猟銃を所有できるまでのステップのまとめ

ここまでで、猟銃を法的に所有できるまでの、7つのステップを解説してきました。

ここで改めて、ステップごとの重要ポイント(許可証など)をまとめておきましょう。

・ステップ1:猟銃等初心者講習会を受講⇒「講習終了証明書(交付から3年間有効)」
・ステップ2:教習資格認定の申請⇒「教習資格認定書」
・ステップ3:射撃教習を受講⇒「教習修了証明書」
・ステップ4:銃砲店で猟銃などを予約⇒「譲渡等承諾書」
・ステップ5:銃砲所持許可の申請⇒「銃砲所持許可証」
・ステップ6:銃砲店にて猟銃やガンロッカーなどを購入
・ステップ7:警察署で猟銃の検査・確認⇒「銃砲所持許可証に確認印が押印」
※「銃砲所持許可証に確認印が押印」されて初めて猟銃の所持が許可される
「銃砲所持許可証」の更新は3回目の誕生日まで、期間を過ぎると所持許可が取り消される

まとめ

今回は、猟銃を持つための免許とも言える「銃砲所持許可証」が発行されるまでの手続きと、猟銃の購入方法について調査してみました。

やはり、簡単に猟銃を取得することは出来ず、精神的な疾患があれば申請しても許可は下りないようになっています。

また、警察官による面接や親族への聞き込みもあるため、誰にも知られず猟銃を保持することはできません。

結果として猟銃を所有するのは、狩猟を行う猟師かクレー射撃などの競技を行う人物に限られれることも、改めて知ることができました。

参考サイト
兵庫県警 初心者用猟銃等講習会
一般社団法人 全日本指定射撃場協会 
Yahoo!ニュース 長野4人殺人事件

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この記事を書いた人

1963年生まれ、兵庫県在住の防災士&フリーライター 
2014年から本格的にライターを開始!これまで多数の記事を執筆
2017年にひょうご防災リーダー講座を受講し防災士を取得。ハザードマップなど防災業務に長年従事し、防災関連の講演も行っています。
経験を活かして防災に関する情報をできるだけわかりやすく、みなさんへ届けたいとの想いを持って執筆しています。詳しいプロフィールはこちら

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