「防災家族会議」と呼ぶと、ものものしく感じますが内容はシンプルで、いつでも行うことのできる、家族での会話程度のモノです。
ですが、そのシンプルな家族の会話がとても重要で、防災家族会議を行っているか否かで、災害時のリスクが大きく変化します。
今回は、防災家族会議のポイントを、分かりやすく解説しましょう。
自宅の災害リスクを家族全員で共有しておくことがポイント
最近では、災害が起こる度に被害状況と、ハザードマップを比較したコメントが目立つようになっています。
その理由の一つに、平成26年豪雨による広島市の土砂災害があります。
土砂災害で被害を受けた地域はハザードマップの危険区域と一致
平成26年豪雨による広島市の土砂災害では、家屋はもちろん尊い人命までも多く失う結果となっています。
そして、災害後に土砂災害が起きた場所をハザードマップに記載されている、土砂災害警戒区域と比較すると、ほとんど一致していました。
それから、災害が起きる度に、各種ハザードマップとの比較によるコメントが多くなった経緯があります。
警戒区域になっているのになぜ避難しないのか!?
「ハザードマップを見れば、土砂災害警戒区域にあるのに、なぜ避難しなかったのでしょう!?」
時には、ハザードマップが正しいとして、逃げ遅れて被災した人に対しての辛辣な言葉を発するコメンテーターも現れています。
言っていることは正しいのですが、その前に「ハザードマップを確認して、家族でリスクを共有しよう!」
とのコメントをして欲しいと、防災士としては感じています。
と、同時にみなさんも災害を対岸の火事と捉えずに、「明日は我が身!」と捉えて、真剣に災害リスクを把握して欲しいと願っています。
家族で自宅の危険度を把握!逃げるのか自宅に留まるかを共有しておく
家族で共有して欲しいのは、自宅の災害リスクについてです。
大雨の時に、河川がはん濫する事態となり、自宅は何メートル浸水するのか!
このことを知らないと、避難するのか、自宅にいるのか決めることができません。
【浸水想定区域の確認】
1:全く浸水しない⇒自宅に留まる
2:0.5m未満⇒自宅に留まる
3:0.5m以上3m未満⇒自宅2階に留まるor避難する
4:3m以上⇒絶対に避難する
浸水については、このような判断ができます。
最も難しいのは、3のパターンでしょう。
現在の浸水ランクでは、0.5m以上は「0.5m~3m」と、とても幅の広いランク設定となっています。
これは、国土交通省のハザードマップ作成マニュアルで、決められているランクとです。
1mの浸水で収まるケースもあれば、0.6mで収まる場合もあります。
また、2.5mのケースなど、考えられる浸水深は数多く挙げられます。
国の考えとしては、0.5mまでは低地でも床下浸水で済む、もしくは浸水しない。
0.5m以上は床上浸水の可能性が多く、3mが1階が水没するボーダーライン。
と想定しています。
つまり、0.5mから3mのランクは1階が浸水する可能性が高いランクであるので、できれば避難するか、自宅の2階に垂直避難するかを検討するようになっています。
2階に垂直避難する場合は2階に備蓄品などを準備しておく
検討する理由として、1階が水没するけれど自宅で垂直避難を選んだ際は、水や食料などの備蓄品を2階に用意しておく必要があります。
そのことも同時に考えるように、促してるのです。
1階が浸水して、飲み水も食べ物もなく数日過ごしたケースもあります。
そのようなことが無いように、2階での避難生活ができるように準備しておく必要があると言うことです。
土砂災害警戒区域内に自宅があれば、必ず避難する
次に、土砂災害についてですが土砂災害ハザードマップで、自宅が警戒区域に入っていれば必ず避難してください。
「急傾斜地の崩壊・土石流・地すべり」どの種別でも、警戒区域に指定されていれば、避難しないとダメです。
「これまで何十年も大丈夫だったのだから、ウチは大丈夫!」
との自己判断で、亡くなった方が大勢いらっしゃいます。
家族で話をするメリット!長老の先入観を潰す
家族で災害リスクを話し合うメリットは、長老(おじいさん・お父さん)の頑固な意見を、ハザードマップにて潰すことにもあります。
先に伝えたとおり、これまでの経験から「逃げなくても大丈夫!」だとの先入観で、大雨時にも関わらず、避難指示が発令されているにも関わらず、避難しない方が多いのも事実です。
その結果、土砂災害にてケガをしたり、最悪命を落とす結果になっているケースはたくさんあります。
ハザードマップを見せて、危険であることをしっかり話し合うことで、自分たちの命を守ることが可能となります。
家族内でも防災リーダーを決めておこう
防災家族会議の重要性は、お分かり頂けたでしょうか?
災害時に連絡方法などを決めておくことも大切ですが、先ずは自宅から避難するのかしないのか!
このことが最優先課題となります。
自宅に留まれるなら、自宅に集合すればよいですし、避難するならどこの避難所に逃げるかを決めておけば、自然に集合場所が決まっていきます。
そして、家庭内でも誰がリーダーとなるのかを決めて、リーダーの指示に従うようにしておけば、意思統一もはかることができます。
早速、ハザードマップを確認して、自宅の災害リスクについて話し合ってみましょう。