電気火災の発生原因は?対処法や電気火災防止のためのポイントまとめ

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ライターの永野です!

冷蔵庫やホットカーペット、換気扇、乾燥機など、身近な電化製品が火災の原因になる可能性があることを、記事を通して解説させていただきました。

「火事=ガス」というイメージが強い方も多いでしょうが、私もその1人。

電化製品、しかも「熱」とは無縁に思われる冷蔵庫や換気扇などが火災の原因になるとは、思いもよりませんでした。

以前にも書いたと思うのですが、ライターは「このテーマについてよく知っています」「専門家です」というスタンスで書かなければいけないことも少なくありません。しかし!私は防災のプロでも家電のプロでもなく、防災新聞での執筆を通して、自分自身も学んでいるような状態です。

電化製品による火災は少なからず起こるもの、というのも執筆を通して知りましたが、こうした火災は「電気火災」といい、さまざまな原因によって起こります。

今回は改めて、電気を原因とした火災がなぜ起こるか、そしてどのように防止していくかなどをまとめました!生活のなかで起こる可能性のある危険を防止するための参考になれば、幸いです。

目次

電気火災とは?発生状況を確認

火災は、規模によっては命に関わる危険なものです。冷蔵庫や換気扇などの例を見てみると、電化製品を原因とした火災はあまりないような印象ですが、発生状況はどうなっているのでしょうか。

電気火災とは

電気火災はその名の通り、電気機器などが原因で起こる火災です。電気関係の配線が原因で起こることもあり、電線のショート、半断線などが原因の火災を特に「電気コード火災」ともいいます。

また、東京消防庁は電化製品や電気設備機器だけでなく、モバイルバッテリーのようにリチウムイオン電池などを使用したものからの出火も、「電気火災」と定義しているようです。

電気火災は年々増加している

オール電化住宅の増加や、リモートワークで自宅で過ごす時間が長くなったことなど、さまざまな原因により、電気火災は年々増加傾向です。

東京消防庁の調査によると、令和3年には東京消防庁管内で発生した火災3,935件のうち、電気火災は1,399件。前年から236件増加しており、全火災件数の35.6%占める結果となりました。

東京消防庁の広報より

平成29年から、電気火災件数はわずかながら増加しています。令和2年には一度減少しましたが、この年は全火災件数も例年より少なく、その後の令和3年は、過去5年間で電気火災件数が最も多い結果に。

全国での具体的な発生件数については定かではありませんが、以前と比べると電気火災が起こる確率は上がっているといえそうです。

電気火災の原因

増加する電気火災ですが、なぜ電気関係のものが要因となり火災に発展するのでしょうか。原因となる現象について、ご紹介します。

過電流

過電流とは、コンセントや延長コードの定格容量許容電流を超えて電気が流れることです。たこ足配線などにして多くの電気機器を使用すると、定格容量をオーバーした電流(過電流)によって、発熱・発火する可能性が。

同じコンセントに電子レンジとオーブントースターのプラグをつないで同時に使用した際などにも、過電流は起こりやすい傾向です。

接触部加熱

プラグの差し込みがじゅうぶんでないと、接触抵抗が増加します。また、配線や電気機器の接続部がゆるんだりしても、接触抵抗増加により、「接触部加熱」が起こる可能性が。

接触部からの発熱から、火災に発展することもあるため、注意が必要です。

トラッキング

コンセントや差し込んだプラグの周りにほこりが溜まり、そこに湿気や水分が加わると、火花放電が繰り返され、出火する可能性があります。これを、「トラッキング現象」といいます

特に、長年使っていて見えない場所にあるコンセントに射しっぱなしのプラグなどは、ほこりが溜まっていることが多く、突然出火することもあるため危険です。

半断線

コードや配線の何割かが切断された状態を、「半断線」といいます。半断線は、コードが引っ張られる、折れる、踏まれる、挟まれるなどした場合に起こり、半断線したコードを使い続けると、断線部分が発熱・出荷することがあります。

ショート

電気コードの劣化、傷などにより、配線のプラスとマイナスの両極に直接電気がつながることを、ショート(短絡)といいます。古い配線や劣化により固くなった電気コードはショートが起こりやすく、ショートによる出火も少なくないため、じゅうぶん注意しましょう。

コードの過熱

長い電気コードは、購入時束ねられていることが多いですが、この状態で使うとコードの熱がたまりやすく、過熱・出火することがあります。非常に長い電気コードを使用する「巻き取り式」の延長コードも、巻いた状態で使うと熱を持ちやすく、伸ばした状態と同じ電流量を使用すると過熱することがあるため危険です。

電気火災の対処法

電気火災は、身近な電化製品でも起こる可能性があります。さまざまな対策で起こらないようにするのがベストですが、もし電気火災が起こってしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか。

速やかに電気を遮断

火花が散る、熱を持って煙や火が出るなどした場合は、すぐにコンセントからプラグを抜いたり、電気ブレーカーをオフにしたりして、電気を遮断します。

電気が通ったままの状態で消火活動をしても、コンセントから流れた電流で、再度発火する可能性があるからです。電化製品の電源を切るだけでは意味がない場合もあるので、必ず元から電気を断ち切ることを、覚えておきましょう。

自宅にあるものを使用した消火活動

電気を遮断したら、自宅にあるアイテムで消火活動を行います。消火器や消火スプレーは、電気火災に対応しているものを使用しましょう。電気火災の際に使えるかどうかは、本体やラベルなどに表示されています。

電気火災対応の消火アイテムがない場合は、水を使って消火をしますが、電気が流れている状態のところに水をかけると、感電の危険性も。必ず電気を遮断してから、水をかけるようにしてください。

安全のために119番通報も

もし自分で消火できたとしても、必ずしも安全とは限りません。念のため119番通報をして、本当に火災のリスクがないかを確認しましょう。また、火災の原因となった電気製品やコンセントは使わず、業者に点検・修理をしてもらうことも忘れてはいけません。

電気火災防止に今日からできること

電気火災は、普段の生活でも起こる危険性があるため、防止策を知り、より安全に電気製品を使うことが大切です。最後に、電気火災防止のために私たちが簡単に実践できる内容をまとめました。

たこ足配線の禁止

許容電流を超えると発熱・発火の恐れがあるため、たこ足配線は絶対にやめましょう。また、使用する電流の大きな電化製品のプラグを1つのコンセントに複数差さないことなども、電気火災を避けるための大切なポイントです。

電気機器の取扱説明書をよく読む

電気機器を購入すると、必ず取扱説明書がついてきます。説明書には基本の操作はもちろん、電気火災を防ぐための安全な使用法も記載されているので、そういった項目もしっかりと読むことも重要です。

取扱説明書は隅々まで読む方、読まない方に分かれますが、誤った使い方で電気火災を起こさないよう、ぜひ目を通してください。

コンセント付近の清潔を保つ

コンセント付近にホコリが溜まっていると、トラッキング現象の原因になりやすいので、清潔に保つことも意識しましょう。乾いた布で拭いてホコリを取り、湿気が溜まらないようにすると、安全に使用できます。

奥まった場所にあるコンセントや、長年プラグをつなぎっぱなしのコンセントがある場合は、この機会にぜひ掃除をしてみてください。

電源プラグの差し方に注意

電源プラグの差し込みが甘いと、そこから発熱・発火することもあります。電源プラグはしっかりと差し込むこと、コードが折れ曲がらないようにすることなどを意識するだけでも、電気火災のリスクを軽減できるでしょう。

また、コードを束ねたままにしない、上にものを置いたり折り曲げたりしないことも、注意したいポイントです。

劣化した部品の修理・交換

電気コードが傷んでいる、プラグ付近に異常が見られる、経年劣化しているなど、気になる部分があるときには、修理や交換を検討しましょう。新しく安全なものを使用すれば、電気火災は起こりにくいといえます。

安全基準に適合した機器の使用

電気機器やコードには、安全基準に適合しているかどうかを判断できる「PSEマーク」というものがついています。PSEとは「Product+Safety+Electrical appliance & materials」の頭文字を取ったもので、電気製品が安全性を満たしているかどうかを示すものです。

PSEマークの例

こうしたマークがついていれば、安全性を確保しているといえるので、新たに電気製品を購入する場合には、PSEマークにもぜひ注目してみてください。

正しく安全に家電を使い、電気火災を防ごう

自宅にある電化製品などが原因で起こる電気火災は、発生件数が増加傾向にあります。身近なものが原因で起こることも多いため、決して他人事ではありません。

1人ひとりが電気火災を予防するための行動を取ることで、電気火災は簡単に予防できます。ぜひできることから実践し、安全を確保しましょう。

編集後記

さまざまな電気火災に関する内容をお届けしてまいりましたが、幸い私は「電気による火災」の危険には、まだ直面したことはありません。電気というとやはり感電のほうが起こりやすい印象があり、「そういえば小学校の頃にコンセントに針金を差して感電したクラスメイトがいたなぁ」ということをふと思い出しました。

あれは小学校4年生の頃。休憩時間に空き教室に忍び込んだ男子3人のうちの1人が、針金をコンセントに挿入。不幸中の幸いといいますか、片手で差したらしく感電による指先のやけど?のような症状で済みましたが、両手でやっていたらと思うと、恐ろしいですよね。

温厚で有名だった当時の担任教師(男性)が、その後の授業で静かに激怒していたのを、今でも覚えています。

息子たちには自分の人生経験のなかで学んだこと、防災新聞の執筆を通して得た情報などを常に伝え、危険を避けられるよう教育しているつもりですが、成長すればするほど見ていないところで何をするかわかりません。

大人が「信頼してあげる」ことはもちろん大切ですが、息子たちが信頼を得られるように指導するのも、大人の仕事。もちろん自分で経験してみないとわからない、失敗しないと得られない学びもありますが、命の危険に関わることは今後もくどいほど言い続けていこうと、改めて思ったのでした。

参考サイト

電気火災の原因と対策、事例を解説
電気を正しく安全に使って火災を防ぎましょう!
電気火災を防ごう

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語教師を経て2018年よりライターに転身。子どもと学べる防災に関心を持ち、日々災害や備えについて勉強中。
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