今回は、北海道教育大学教育学部釧路校教授の酒井 多加志氏が執筆した、「地図から読み解く自然災害と防災(減災)」のレビュー記事をお届けします。
記事内で紹介していますが、偶然にも故郷との出会いがあり何ともほっこりできたページもありました。
この本を選んだ理由は「地図が好きだから!」
この本はamazonでも試し読みはできない、最近では珍しい本でした。
最近では書籍を選ぶ際には、プロローグや目次は試し読みできるようになっていて、ある程度、本の中身を把握して購入するかを決める方が多いでしょう。実際に私もそうですからね。
なのに、試し読みもしないでどうしてこの本を選んだのかというと「単純に地図が好きだから!」です。
もともと測量会社に勤めていて、一応測量士補の資格はあるので、地図やGPSなどの測量に携わっていたことも関係しているでしょう。
多分ですが、地図が好きでなければこの本は選んでない可能性が高いですね。
この本の目次をご紹介
amazonでも試し読みができない以上、あまり内容を深くお知らせできないのが残念ですが、せめて目次だけはご紹介しておきましょう。
1 自然災害・防災と地図記号
2 自然災害・防災を読図する
3 歴史に見る自然災害と防災
4 災害地名をたどる
5 先人から学ぶ防災―安政の地震と防災教育
6 学校における避難所運営と防災教育
7 防災まち歩き
著者紹介
この本の著者は、酒井 多加志氏で、略歴は次のとおりです。
地図記号と実際の写真が対比してあるので分かりやすい
地図好きとしては、地図記号を見るもの楽しみの一つです。
「こんなところに墓地がある」とか、「ここは岩の多い崖なんだ」とか、見始めると時間が早く過ぎていきます。
かと言って、全ての地図記号を正確に答える自信はありませんが・・
この本の「1:自然災害・防災と地図記号」では、災害に関係する地図記号と、実際の写真とが対比して掲載されているので、地図が嫌いでない方にはおすすめです。
ボリュームがあるので、読破に2日かかった
先の目次と、著者の略歴から想像できるかも知れませんが、この本はどちらかというと教科書的な構成と表現になっています。
全国の昔に起こった災害を、歴史的な背景と地図による地形から解説しています。
なので、歴史が好き、地図が好きな方にはおすすめです。逆に、地図を見るのもあまり好きじゃないし、ピンポイントの歴史を言われてもピンと来ない。と、いわれる方にはあまりおススメはできません。
なんと故郷との出会いが、偶然にもこの本で起きた
あくまでも個人的なことなのですが、私が高校まで過ごしていた故郷である、広島県呉市のことが記載されていたのです。
「海猿」の映画をご覧になった方は多いと思いますが、ロケ地は呉市でした。その中で訓練シーンに使われていた階段を、覚えている方もいるでしょう。
両城の200階段は、中学生活の想い出が詰まった階段
その階段が「両城(りょうじょう)の200階段」と呼ばれる階段です。
呉市は平地がほとんど無く急斜面に住宅が密集している、変わった地域で「よくこんなところに家が建っているなぁ」と、地域外から来た人は誰もが思うほど凄い地形をしています。
その斜面に実際は200段以上のコンクリートで作られた階段があり、中学時代陸上部だった私は、その200階段をうさぎ跳びで何往復もしていたのです。
現代ではこの階段を、うさぎ跳びで使用するのは確実にNGでしょう。なにせ勾配が急すぎるので、後ろにひっくり返るとかなり下まで落ちてしまいます。
当時は体罰やいじめなどなく、スパルタが当たり前でしたから、何度も階段から落ちましたよ・・
本の中では、急な斜面の階段ということと「映画のロケ地」でもあることが紹介されています。
「いやいや、懐かしいやん」と、偶然の出会いにほっこりしたページでした。
改めて、この本は地図好きにはおススメ!
最後に改めてになりますが、この本は地図の好きな方には、おすすめです。そうでない方には、あまりおすすめはできません。
例えば、測量士補や土地家屋調査士を目指している方には、地図が好きでなくても「地図を読むことができる本」としておススメはできますね。