高齢者の方がケガをする最も多い場所は、一体どこだと思いますか?意外にも屋外でなく、家庭内でケガをするケースが圧倒的に多いのです。
家庭内での事故率は、高齢者のみならず20歳以上65歳未満の方も圧倒的に多いです。
今回は、防災士のひとりごと#05として、高齢者の家庭内事故についてつぶやきます。
医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故
少し古い統計情報になりますが、独立行政法人 国民生活センターが公開している「医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故」の資料によると、高齢者のみならず20歳以上65歳未満の方の事故発生は、家庭内(住宅内)が圧倒的に多い結果となっています。
高齢者になるほど症状は悪化する
先の円グラフを見れば一目瞭然ですが、どの年代でも事故の場所は家庭内が70%オーバーとなっています。ただ、異なってくるのはケガの程度です。
65歳未満の場合は、入院を要さない「軽傷」が78%ですが、65歳以上では58%と低くなり、入院を要する「中等症」が34%、命の危険性が高い「重症」も6.2%に達しています。
つまり、同じように家庭内の事故に遭っても、高齢者の場合は命にかかわる可能性が高くなることが分かっています。
実体験から高齢者の家庭内事故を考えてみた
先の説明で、一般的にも高齢者の家庭内事故は件数が多く、事故に遭うと命の危険性が高いことを、あくまで一般論として解説しています。
では、自身の実体験から高齢者の家庭内事故について考えてみましょう。
頑固に我が道を行く高齢者にどう接するか?
我が親は戦前生まれの88歳と86歳ですが、子の言うことを全く聞きません。特に父親は、2年前からやっと病院に通うようになったほどです。
訳あって同居していませんが、近くに住んでいます。先日も、ネコを相手に遊んでいて転んでケガをしています。こうなると、いつどんな状態でも、ケガをするのは仕方ないことだと感じてしまいますね。
バリアフリーの住宅で、つまずくところもないのにネコと遊んでいて転ぶのでは、注意のしようがありません。
餅は危ないからと言っても好きだからと毎日食べる
高齢者というより年寄りの死亡原因に、餅を詰まらせた窒息死も多くみられます。なので、「餅は危ないから食べないでね!」と言っても、好きだからと毎日食べています。
まぁ、逆に毎日食べているなら食べ方も分かっているから、詰まらせる確率は少ないのだろう、と諦めています。
風呂は脱衣所を温めてから服を脱ぐこと
脱衣場でもヒートショックを防ぐために、風呂に入る時は脱衣場を温めて服を脱ぐこと。
と言っても、「やっとる」といいつつ、実は実行していないことが多いです。
ヒートショックの言葉が通じない
ヒートショックの意味が分からないようなので、噛み砕いて「寒いところから、急に温かいところにいったり、風呂であたたまって脱衣所が寒いと、倒れるからね」と言っても、理解しようとしません。
「なんでじゃ」「そんなことあるかい」「風呂あがったら熱いわい」もう、ホント説明するのが疲れます。
塩分を取り過ぎに注意⇒これまでの食生活を変えれない
さらに、高血圧などの心配もあるし運動能力の低下につながるので、塩分は控えるように言ってもムダ。
ヘルパーさんからも「塩分控えめの梅干しは、ダメだと言い張るんですが・・」と、お困りの連絡が・・
塩分の少ない梅干しは梅干しにあらず
本人曰く、酸っぱくない梅干しは梅干しではない!とのこと。
つまり、これまで自分たちが食べ慣れてきた食品が、年寄りの体には良くないとは思わず、これまでどおりのモノを食べたいようなので、仕方ありません。
カロリーゼロのマヨネーズもNG
近年では減塩やカロリーゼロの食品が多くあり、年寄りの体に良い食べ物があるにも関わらず、昔からある商品に固執します。
カロリーハーフやカロリーゼロのマヨネーズはダメ。キュピーの赤いキャップのマヨネーズでないと、マヨネーズではないと言います。
転ぶと危ないから散歩もしない
両親が住んでいる住居は、車がほとんど通らない所にあり、直ぐ傍に広い公園もあります。
散歩には持って来いの場所ですが、散歩中に転ぶと危ないからと散歩もしません。
普段運動していないから筋力が低下している
部屋の中では歩いていますが、外へはゴミ捨てに出るくらいの運動量なので、日々筋力が低下していっています。
ドクターからも「少しは運動をしないと、動けなくなるよ」と注意してもらっていますが、なかなかどうして、散歩は危ないそうです。
好きにしていいけど、ケガしても自分の責任ね!
そんなこんなで、教科書通りの高齢者の家庭内事故防止の方法を実行するにも、本人たちの努力なしにはムリであることが分かりました。
多分、このような家庭は多くあるのではないかと察します。何を言ってもダメなので、「好きにしていいけど、ケガしても病気になっても、全て自分の責任ね!」と、納得してもらっています。
人生100年時代と言われていますが、90歳に手が届こうとしている年寄りに、生き方を変えろといってもムリなのでしょう。
取敢えずは、自分の生活は自分で出来ているので、それを良しとして、自由に自分なりに注意をしながら生活してもらうしか、対処法はありませんね。
参考サイト :医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故-高齢者編-
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20130328_3.pdf