みなさんは、春特有の災害って何か分かりますか?つい最近、ある集まりで同じ質問をしたら、「花粉症!」と複数の人にいわれました。
確かに昨今では花粉症に悩んでいる人にとっては、災害級になっていますからね。ただ、今回お伝えするのは花粉症ではなく、「雪崩」についてです。
特に今年は大雪と暖かい日が繰り返されているので、積雪のある地域では雪崩には十分警戒が必要です。
雪崩の危険個所は全国で約20,000ヵ所以上存在している
日本は国土の半分以上が、豪雪地帯に指定されている国であることをご存じでしょうか?
東北地方の日本海側は、ほとんどが豪雪地帯となっています。そして、日本全国には約20,000ヵ所以上(正確には20,501ヵ所)の、雪崩危険個所が指定されているのです。
雪崩によって毎年何らかの被害が起きていますし、人命が失われるケースも多くあります。
雪崩には2種類あり、表層雪崩は最高時速200キロにもなる
ここで雪崩について、詳しく解説しておきましょう。雪崩には「表層雪崩」と「全層雪崩」の2種類があります。
表層雪崩は雪が降り続く1月~2月に起きる雪崩で、古い積雪の上に新たに雪が積もると上側の新雪が滑り落ちる現象です。
表層雪崩のスピードは時速100キロ~200キロと大変早く、表層雪崩が起きると逃げ切るのは不可能でしょう。
春先に起きるのは全層雪崩で時速は最高80キロ!
春先の融雪期に起きるのが全層雪崩で、斜面の全ての雪が流れるように滑り落ちてきます。先の表層雪崩と異なり、古い雪も新しい雪もすべての雪が滑り落ちてくるので雪崩の規模は大きくなります。
スピードは表層雪崩ほどではありませんが、それでも時速40キロ~80キロと自動車並みなので逃げるには早期退避が必要です。
雪崩の発生しやすい場所と条件とは?
雪崩の発生しやすい場所は、先にもお伝えしている雪崩危険個所は最も警戒すべきところになります。
それ以外では、一般的に傾斜が30度以上の斜面で目安としては、スキーの上級者コースの斜面と同等です。
また、雪崩が発生しやすい条件をまとめると、次のようになってきます。
表層雪崩(ひょうそうなだれ)
気温が低く既にかなりの積雪がある上に短期間に多量の降雪があったときや、雪庇(せっぴ)や吹きだまりが出来ている斜面、0度以下の気温が続き吹雪や強風が伴うときには表層雪崩が起きやすくなっています。
全層雪崩(ぜんそうなだれ)
過去に雪崩が発生した斜面や春先や降雨後・フェーン現象などによる気温上昇時などには、全層雪崩が起きやすい条件となります。また、斜面に積雪の亀裂が見られるところでは、全層雪崩が起きやすくなっています。
雪崩の主な前兆現象6パターンを解説!
ここでは、雪崩が起きる際の6つの前兆現象を解説しておきましょう。
1:雪庇(せっぴ)
山の尾根からの雪の張り出した部分が、雪のかたまりとなって斜面に落ちる。
2:巻きだれ
雪崩予防柵からの雪の張り出した部分が、雪のかたまりとなって斜面に落ちる。
3:斜面が平らになっている個所
斜面に元の地形が分からないほど、平らに雪が積もっている箇所。
4:スノーボール
斜面をボールのように、コロコロ雪のかたまりが落ちてくる現象。
5:クラック(ひびわれ)
斜面にひっかき傷が付いたような、雪の裂け目が見られる個所
6:雪しわ
積もった雪が、ふやけた指先のようなシワ状の雪の模様になっている箇所。
雪崩が自分の近くで起きた場合の5つの対処法!
もしも、自分の近くで雪崩が起きた場合は、次の5つの対処法を覚えておきましょう。
- 流されている人を見続ける
- 仲間が雪崩に巻き込まれた地点(遭難点)と、見えなくなった地点(消失点)を覚えておく
- 雪崩が止まったら見張りを立て、遭難点と消失点にポールや木などの目印をたてる
- すぐに雪崩ビーコン(無線機)などを用いて捜索する
- 見つかれば、直ちに掘り起こして救急処置を行う
自分自身が雪崩に遭遇した際の7つの対処法!
今度は、自分自身が雪崩に遭遇した際の対象法を7つお伝えしておきますので、このことも覚えておくと役立ちます。
- 雪崩の流れの端へ逃げる
- 仲間が巻き込まれないように知らせる
- 身体から荷物をはずす
- 雪の中で泳いで浮上するようにする
- 雪が止まりそうになったとき、雪の中での空間を確保できるよう、手で口の前に空間を作る
- 雪の中から上を歩いている人の声が聞こえる場合があるため、聞こえたら大きな声を出す
まとめ
参考サイト