アーバンベアの出現は災害と同じ!クマ被害はどうすれば防げるのか

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今回は、世間を騒がせている市街地に出没するアーバンベアについてお伝えします。

アーバンベアとは、都市部に住むクマのことです。近年では、人間の生活圏に侵入するクマの被害が増えていますが、その中には都市部で暮らすようになったクマもいます。

2023年はアーバンベアにて災害級の被害となっていますが、なぜ都市部にクマが出現するのでしょう。そして、人間とクマの共存は可能なのでしょうか?

この記事では、アーバンベアの生態や問題点、対策について詳しく解説します。

目次

アーバンベアの特徴!実は2021年から始まっていた

アーバンベアとは、都市部や郊外に住むクマのことで人間の生活に適応しているため、食べ物の選り好みが少なく人間を怖がりません。

また、夜行性で隠れるのが得意なので人目につきにくいです。先日、偶然に射殺された「OSO18」と呼ばれる巨大なヒグマは、別名忍者グマとよばれ猟師の前に姿を現さない特徴がありました。

今年は特にアーバンベアの出現率が高く、物的被害だけでなく人的被害も多くなっています。

実は、アーバンベアへの対策は2021年から行われていたのをご存じでしょうか?

2021年4月2日に「クマ類の出没対応マニュアル」が改定された

アーバンベアとは市街地に出没するクマのことで、北海道に住むヒグマと本州に住むツキノワグマ共通で呼ばれています。

アーバンベアと呼ばれるようになったのは、およそ2022年ごろからですが、実は2021年4月2日に環境省が「クマ類の出没対応マニュアル」を改定しています。

このことから、アーバンベアの発生は2021年には既に始まっていたと考えてよいでしょう。

近年、人里へのクマ類の大量出没による人身被害が増加しており、人とクマ類のあつれきは一層深刻な状況となっています。このため、環境省では、このような現状を改善することを目的として、これまでに蓄積されてきたデータを踏まえ、14 年振りに「クマ類の出没対応マニュアル」を改定しましたので、お知らせします。

環境省 報道発表資料より

2023年(令和5年)6月27日の西村大臣閣議後記者会見録を紹介

2023年(令和5年)6月27日の西村大臣閣議後記者会見録を見ると、テレビ朝日の川﨑記者と次のような質疑応答がなされています。主要な部分を抜粋して紹介しましょう。

【川﨑記者】市街地の近くで育ったアーバンベアと呼ばれるようなクマも問題になっています。最新のクマの出没状況と環境省の対策について伺わせてください。

【西村大臣】
非常に全国的に多くクマが出没しているという状況でございます。環境省ではこういった市街地等へのクマの出没を抑制して、被害を軽減する参考資料として、2021年の3月に「クマ類の出没対応マニュアル」というものを改定いたしまして、都道府県等に配布をいたしました。北海道、岩手、新潟、長野、福井、奈良6道県を対象にクマの出没時の対応体制の構築や、専門人材の育成等を支援するモデル事業を実施しておりまして、市街地のモデル事業もこれに含まれているところでございます。

この質疑応答から、環境省のアーバンベア対策は「クマ類の出没対応マニュアル」が軸になっていることが分かります。

クマ類の出没対応マニュアルにおける対応策を抜粋

では、環境省が改定した「クマ類の出没対応マニュアル」には、どのような対策が記載されているのでしょう。

ここでは、マニュアルの概要からメインとなる対策を抜粋してお伝えします。

【人の生活圏への出没防止の具体策】

誘引物対策方法
果樹、公園の樹木不要なものは伐採します。伐採が難しいものについては、剪定して管理できるサイズにする、トタンを巻く、電気柵で周囲を囲うといった対策を検討します。
また、落下した果実を放置しないことも重要です。
ハチの巣可能であれば除去します。
養蜂箱電気柵が有効です。
生ゴミ(残飯、廃油、食用油)屋内で保管し、収集日当日に出すようにします。ゴミ集積場にクマ対策ゴミ箱を設置するなど、クマが開けることができない構造のゴミ箱やゴミ集積場を導入します。
コンポスト極力においを抑えるために、定期的に土や腐葉土、石灰、発酵促進剤を投入します。
肉や魚、果物など、強いにおいを放つものは投入を控えるようにします。
発酵食品、ペットフード、ペンキ塗料、有機肥料、家畜・養魚飼料、油かす、燃料など屋内で保管するようにします。また、クマが屋内に侵入できないよう設備を強化することも重要です。
農作物の放棄残滓
(廃果や野菜くずなど)
土中深くに埋めるか、電気柵で周囲を囲う対策が有効です。
田畑や果樹園などの農地、養蜂箱、畜舎、養魚場など電気柵で周囲を囲う対策が有効です。
環境省 クマ類の出没対応マニュアルから抜粋

「クマ類の出没対応マニュアル」には、このほかさまざまな対応が記載されています。興味のある方はぜひご一読ください。

下の画像をタップするとマニュアルが開きます。

2020年と2023年の被害状況の違いを比較

ここでは、マニュアルが改定された前年度2020年までの、クマ類による人身被害を確認してみましょう。

環境省 クマ類の出没対応マニュアルから抜粋

このグラフはマニュアルに記載されているもので、2019年から人的被害が増加していることが分かります。

そのため、マニュアルの改定がなされた訳ですが、注目すべきは被害場所で「住宅地・市街地・農地・道路・河川」など、一般的に人の生活圏での被害はおよそ140人の半分ほどなので、70人ほどでしょう。

しかし、2023年10月31日現在でNHKのまとめでは18の道府県で170人以上が被害に遭い、残念ながら死亡者も出ています。

この数字を先のグラフと比較すれば、アーバンベアが日常化して災害級の被害に至っていることが分かります。

クマは基本的に憶病な動物!なのに襲われるのはなぜ

クマは基本的には臆病な動物であり、これまではクマと人間との生活圏はきちんと住み分けされていたはずです。

そのため、クマの生活圏に入っていく登山者などは「クマよけの鈴」をリュックや腰にぶら下げています。

ところがアーバンベアは逆にクマが人間の生活圏に侵入しています。

では、臆病なクマがなぜ人を襲うのでしょうか?

山にエサがなく人間の生活圏に食料を求めている

近年の山林は所有者の高齢化や相続放棄などにより、手入れがされず放置されたままのケースが多いです。

そのため、昔よりもドングリや柿などの果物など食料が減少傾向にあります。さらに今年はクマの主食であるブナやナラの実が凶作だった影響もあるようです。

クマは冬になると冬眠に入るため、秋の間にできるだけ多くの食料を食べて栄養を蓄える必要があります。

北海道に住むヒグマは、冬眠中に出産するのでしっかり栄養をとらないといけません。そのためクマは本能的に、食料を求めて市街地に現れるといわれています。

クマも驚いて攻撃する?

あくまでもニュースからの情報ですが、アーバンベアが人間を襲う理由は「驚く・食事の邪魔をされた・エサを取られないため」といわれています。

とはいっても、自分の庭の柿を食べにクマが出現するとは誰も思わないでしょう。

無防備な状況でクマに遭遇して「オレのエサを取るな!」と攻撃されたら、たまったもんじゃありません。

アーバンベアとの共存は不可能!

アーバンベアが人間の生活圏で暴れれば、住宅などが破壊されますし住人自体が死亡するほどのケガを負います。そのため、自治体の依頼にて猟友会の猟師によって射殺されます。

クマが可哀そうだ!とのクレームが、多く入っているとの情報が報じられていますが、野生のクマと人間とが仲良く共存するのは不可能でしょう。

クマの生活圏である山中での射殺は考えものですが、人間の生活圏でのクマの排除は致し方ないところでしょう。

アルピニストの野口健さんも、クマが人間の生活圏に侵入しなくて済むように、クマが生息しやすい森づくりが必要と見解を述べています。

アーバンベアの対策は冬眠している間に行うのがベスト

クマは冬になれば冬眠するため、アーバンベアは出現しなくなるのが普通です。その間に冬眠から目覚めたクマの被害を防ぐ方法の検討が重要でしょう。

ただ、個人的に心配なのはアーバンベアは市街地で活動するクマなので、生態系も変化し完全な冬眠をしないかも知れません。

今年は暖冬傾向にあり、雪も少ないとの予測がされています。となれば、エサが豊富な人間社会で越冬するクマが現れても不思議ではありません。

現在政府も、緊急のクマ被害対策に関する関係省庁連絡会議を開催しています。個人レベルでの防衛は不可能に近いため、自治体や国の支援が重要でしょう。

参考サイト
ニュースパス 野口健氏 クマ駆除に抗議殺到に持論「泣きながら抗議の電話をされる方は森づくりの活動に…」
NHK 解説委員室 クマ被害過去最悪!”アーバンベア”対策は?いざという時身を守るには?
環境省 大臣談話・大臣記者会見要旨 西村大臣閣議後記者会見録
環境省 報道発表資料 クマ類の出没対応マニュアルの改定について
環境省 クマ類の出没対応マニュアル 概要版 

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

1963年生まれ、兵庫県在住の防災士&フリーライター 
2014年から本格的にライターを開始!これまで多数の記事を執筆
2017年にひょうご防災リーダー講座を受講し防災士を取得。ハザードマップなど防災業務に長年従事し、防災関連の講演も行っています。
経験を活かして防災に関する情報をできるだけわかりやすく、みなさんへ届けたいとの想いを持って執筆しています。詳しいプロフィールはこちら

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