富士山ハザードマップを徹底解説!地域限定のハザードマップの正体とは

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日本を象徴する山はなんですか?と聞かれれば、「富士山!」と、ほとんどの方が応えるに違いありません。

毎年20万人を超える登山客で賑わう富士山なので、活火山ということを忘れてしまいます。

富士山に関わる自治体では、「富士山火山防災マップ」が作成されていて、噴火時の災害に対応しています。

今回は地元の方しか知らないであろう、富士山ハザードマップをご紹介しましょう。

目次

富士山火山防災マップ作成の目的

富士山が噴火したのは、今から約300年前。

それ以降、活動を停止していて静かな状態が長く続いています。

ただ、地下深くではマグマが活動を続けている立派な活火山です。

万一、噴火する予兆が現れた時や、噴火してしまった時に備えて命を守る行動がとれるように、ハザードマップが作成されています。

富士山ハザードマップと富士山火山防災マップの違い

最初に作成されたのが、富士山ハザードマップです。

富士山ハザードマップには、多くの情報が記載されていて一見するだけでは危険度が分かりずらいデメリットがありました。

広く住民に危険度を知らせるために、富士山ハザードマップを元に作られたのが「富士山火山防災マップ」です。

富士山ハザードマップから、被害が想定される自治体単位に切りだして作成されたのが、富士山火山防災マップになります。

富士山火山防災マップの作成対象自治体

富士山火山防災マップは、次の4市1地区の地域で作成されています。

富士吉田市

御殿場市

富士市

小田原市

足柄上地区

それぞれの自治体にて、富士山が噴火した際の危険度をマップに表示しています。

富士山火山防災マップの内容

富士山火山防災マップは、富士山ハザードマップを元に誰でも分かりやすい防災マップとして作られてました。

ここでは、御殿場市のマップを実際に見てみましょう。

出典:御殿場市の火山防災マップ

http://www.bousai.go.jp/kazan/fujisan-kyougikai/fuji_map/img/Gotenba_l.jpg

色分けがされていて、濃いピンクが「火口ができる可能性の高い範囲」です。

この範囲全てが火口となる訳ではなくて、この内のどこかに火口ができる予測となります。

薄いピンク色の範囲は、噴火しそうな時または、噴火が始まったら直ぐに避難が必要です。

富士山のふもとになるので、山部分が大多数ですが民家も存在します。

オレンジ色の範囲は、直ぐには危険とはなりませんが火口位置によっては避難が必要です。

黄色の範囲においては、直ぐに危険になる訳ではありませんが、大変大きな噴火の場合に避難が必要になります。

また、濃いピンクの破線は火砕流が発生した時に、高熱のガスが高速で届く範囲です。

この範囲に留まっていると、確実に死亡してしまうでしょう。

青の破線は、火口から噴出した石がたくさん落ちてくる範囲となり、かなり危険です。

オレンジの破線は、溶岩が流れ始めた場合に、すぐ到達するかも知れない範囲となっています。

直ぐとは、3時間程度を想定しているようで、溶岩流ですからこの範囲から逃げなければ、確実に死亡してしまうでしょう。

富士山の火山ハザードマップ

先に解説した富士山火山防災マップの元になっているのが、富士山ハザードマップです。

令和3年3月に、なんと17年ぶりに富士山ハザードマップが改定されました!

富士山ハザードマップが作成されるきっかけとなったのは、平成12年10月から平成13年5月頃にかけて、富士山直下で低周波地震が多発したことによります

この現象を受けて、平成13年7月に、内閣府・消防庁・国土交通省が事務局となって「富士山火山防災協議会及び富士山ハザードマップ検討委員会」が設置されます。

その後、平成16年6月に富士山ハザードマップの策定に着手します。

令和3年3月に富士山ハザードマップが改定された

そして、今年の3月に富士山ハザードマップが改訂されて、次の項目が見直されています。

・想定火口設定

・対象とする噴火年代

・過去5,600年間の噴火の規模と回数

・溶岩流シミュレーションにおける計算開始点(小規模噴火・大規模噴火の例)

・シミュレーションによる溶岩流出の時間経過(小規模噴火の溶岩流ドリルマップの例)

・シミュレーションによる溶岩流出の時間経過(大規模噴火の溶岩流ドリルマップの例)

・溶岩流シュミレーション

・火砕流シミュレーション

・融雪型火山泥流シミュレーション

・山体崩壊

・大きな噴石・降灰・降灰後土石流

・とりまとめ

改定個所を使って富士山ハザードマップを見てみよう!

富士山ハザードマップには、非常に多くの情報が記載されています。

想定火口範囲・溶岩流・火砕流・融雪型火山泥流・大きな噴石・降灰・降灰後土石流 など、全てを解説するのは難しいので、ここでは、改定個所を使って富士山ハザードマップを見てみることにします。

因みに、富士山ハザードマップの全貌を知りたい方は、こちらのページからご確認頂けます。
https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/hazardmap.html

想定火口設定の見直し

出典:富士山火山防災対策協議会

https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/documents/samary.pdf

平成16年度版での想定火口範囲よりも、かなり詳しい想定に見直されているのが分かります。

この範囲のどこかで、火口が発生することとなるので麓付近での発生はかなり危険度が高くなってきます。

対象とする噴火年代

出典:富士山火山防災対策協議会

https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/documents/samary.pdf

新たな年代整理に基づいて、噴火年代を約5,600年前から現代までに拡大されています。

過去5,600年間の噴火の規模と回数

出典:富士山火山防災対策協議会

https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/documents/samary.pdf

最新の調査研究によって、貞観噴火での溶岩の噴出量が13億㎥に見直されています。

それだけ、この時の噴火は激しかったということですね。

溶岩流シミュレーションにおける計算開始点(小規模噴火・大規模噴火の例)

出典:富士山火山防災対策協議会

https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/documents/samary.pdf

想定火口範囲が見直されたことにより、溶岩流シミュレーションにおける計算開始点も新たに見直される結果となっています。

これは、この計算開始点から溶岩流が流れるシミュレーションに利用されます。

シミュレーションによる溶岩流出の時間経過(小規模噴火の溶岩流ドリルマップの例)

出典:富士山火山防災対策協議会

https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/documents/samary.pdf

先の計算開始点から流れ出る溶岩流の、シミュレーションを図化したものです。

全ての計算開始点からのシミュレーションが、富士山ハザードマップには記載されています。

シミュレーションによる溶岩流出の時間経過(大規模噴火の溶岩流ドリルマップの例)

出典:富士山火山防災対策協議会

https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/documents/samary.pdf

先のシミュレーションと同じく、大規模噴火時の溶岩流のシミュレーションです。

溶岩流シュミレーション

出典:富士山火山防災対策協議会

https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/documents/samary.pdf

平成16年版の約5倍となる地点を設定して、溶岩流の流れるシミュレーションを新たに作成しています。

火砕流シミュレーション

出典:富士山火山防災対策協議会

https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/documents/samary.pdf

平成16年版の約4倍となる35地点を設定して、火砕流のシミュレーションを新たに作成しています。

融雪型火山泥流シミュレーション

出典:富士山火山防災対策協議会

https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/documents/samary.pdf

富士山に積雪がある場合、火砕流だけでなく融雪水が谷に集まって火山泥流となって被害を拡大させます。

平成16年度版の約3倍となる55地点を設定して、新たに融雪型火山泥流のシミュレーションを作成しています。

山体崩壊

出典:富士山火山防災対策協議会

https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/documents/samary.pdf

約2万年前まで遡って、過去の実績を表示しています。

大きな噴石・降灰・降灰後土石流

出典:富士山火山防災対策協議会

https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/documents/samary.pdf

大きな噴石が降ってくる可能性のある範囲も、想定火口範囲が拡大されたので新たに作成されています。

降灰は平成16年度版を継承し、降灰後土石流は現行の土砂災害防止法を踏まえて作成してあります。

とりまとめ

出典:富士山火山防災対策協議会

https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/documents/samary.pdf

とりまとめでは、平成16年度版との比較としてより詳細なドリルマップ(溶岩流・火砕流・融雪型火山泥流)を、全ケース掲載したことを強調。

今後の対応として、改定後のハザードマップを活用し「正しくおそれ、備えにつなげる」を記載しています。

富士山ハザードマップは情報が盛りだくさんのマップだった

ご覧頂いたとおり、富士山ハザードマップはさまざまな情報が盛りだくさんのハザードマップでした。

津波や土砂災害も恐ろしい災害ですが、火山の噴火は確実に命にかかわる災害だということを、改めて認識しました。

あんなに美しい富士山が一たび活動を開始すれば、多くの犠牲と甚大な被害が発生してしまいます。

富士山と共存している住民の方は、ただキレイでは済まない現実で生活していることを、認識させられるマップでしたね。

 

出典:富士山火山防災対策協議会

https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/documents/samary.pdf

御殿場市の火山防災マップ

http://www.bousai.go.jp/kazan/fujisan-kyougikai/fuji_map/img/Gotenba_l.jpg

 

 

 

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

1963年生まれ、兵庫県在住の防災士&フリーライター 
2014年から本格的にライターを開始!これまで多数の記事を執筆
2017年にひょうご防災リーダー講座を受講し防災士を取得。ハザードマップなど防災業務に長年従事し、防災関連の講演も行っています。
経験を活かして防災に関する情報をできるだけわかりやすく、みなさんへ届けたいとの想いを持って執筆しています。詳しいプロフィールはこちら

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