大雨が降り道路が冠水すると、思わぬ二次災害が起きていることをご存じでしょうか?
台風の強風や大雨から、土のうを積んで浸水を防ぎ被害を免れた商店があります。
台風一過の翌日、雨も風もないのに突然店のシャッターが壊れ、サッシのガラスが割れて、雨水が店内に侵入してきたのです。
この商店に、一体何が起きたのでしょう!?
台風一過の翌日 道路はまだ冠水していた!
台風が通り過ぎても、災害が終わったとは限りません。
例えば、台風による停電や断水、屋根などの破損被害など、台風が去っても災害は続いているケースが多くあります。
道路の冠水もその一つ。台風通過後も、膝上までの水深となる冠水が、半日以上残るケースはよくあることです。
仕事としてトラックが冠水した道路を走る
災害が残っていたとしても、台風が去れば直接的な被害はありません。
ですから、仕事を再開するのは至極当たり前のこととなります。
ただ、その当たり前の仕事が、新たな二次被害を起こしているのです。
冠水した道路を走る車によって両サイドに波が発生する
さてここから、冒頭からの続きとなります。
台風が去った後に商店を襲った被害は、冠水した道路を走るトラックが引き起こしたモノでした。
冠水した道路を、トラックが走り抜けていきます。
その際に、トラックを起点に両サイドに雨水の波が発生。
その波が商店を直撃して、シャッターを破壊し、サッシのガラスを割って雨水が商店の中に流れ込んできたのです。
水深約1mでもトラックは走行可能
約1mの水深があれば、乗用車は走行することができません。
ですが、トラックなら可能です。
しかも、10トントラックなど大型になればなるほど、走行することができます。
トラックが大型になれば、タイヤも大きくなってきますから、引き起こす波も比例して大きくなってきます。
このことが、被害を大きくする要因になってしまうのです。
トラックドライバーは悪気はない!だけど・・
当然、トラックも仕事のために道路を走行しています。
もしかすると、被災地への緊急物資を運んでいるのかも知れません。
ですから、トラックドライバーが100%悪いとは言えないのです。
ですが、被害に遭った側からすれば、「冠水時には走らないで欲しい!」と、切なる願いがあるのも事実です。
実際の被害!ガラス・シャッター・フェンス・基礎が破壊された
冠水した道路をトラックが走行することで、実際に被害が出ています。
・道路に面した大量のガラスの破損
・道路面の壁が破壊
・シャッターの破損
・ガレージフェンスの破損
・フェンスを支える基礎ブロックが破壊
このように、想像以上の被害が実際に起きています。
苦労して、工夫して台風をやり過ごしても、人災被害でダメージ
合板でシャッターを覆い、土のうを積んで浸水を防ぐなど、台風からの被害を苦労して、工夫して凌いだのに、自然災害でなく人災によってダメージを受けるのは、いかがなモノでしょうか。
被害額も半端な金額には収まりませんし、火災保険が使えるのかも分かりません。
さらには、被害を引き起こしたトラックや会社には賠償する責任がないとなれば、泣き寝入りするしかありません。
冠水道路の波は、小さな津波と同じ!水深1mで約4.5tの威力
冠水した道路を走って起きる波が、本当にそんな破壊力があるのか!?を、調査してみました。
先ず、トラックによって起きる波は、小さな津波と考えることができます。
そこで、小さな津波の威力を調査してみました。
NHKそなえる防災 津波の威力から解説
色々と調査した結果、NHKそなえる防災「津波の威力~津波の恐ろしさを知って避難する~」の内容が分かりやすく、冠水道路で起きる波とオーバーラップする内容だったので、この内容から解説しましょう。
水深1mでは幅1mあたり4.5tの力が作用する
出典:NHKそなえる防災 津波の威力 ~津波の恐ろしさを知って避難する~
https://www.nhk.or.jp/sonae/column/20161234.html
ここでの説明では、動いていない状態の水でも1mの水深があれば、水に接している面には約0.5t/mの力が影響しているそうです。
そこに、勢いを持って衝突すると約9倍の力が加わることとなり、約4.5tもの力が作用することが分かっています。
仮に0.5mの水深でもその半分の、約2.25tの力が作用します。
約4.5tもの力が加われば、家自体も倒壊するほどの力となる
この波の力から言えば、基礎のブロックが破壊されたり、窓ガラスが割れるのは当たり前で最悪の場合、家自体が倒壊する可能性のある力です。
このことは、世の中に広く知ってもらう重要な情報だと認識します。
超最悪なシナリオ!人命が失われる可能性も十分ある
現在の所、冠水した道路を走るトラックが引き起こす波による、人命被害は出ていません。
ですが、冠水した道路内に人がいて、約4.5tの威力のある波を受ければどうなるでしょう。
命を落とす可能性は十分考えれるはずです。
水深0.5mでは人が道路上に現れる確率は高くなる
水深が1mあれば、流石にそんな中に出る人はいないでしょう。
ですが、0.5mになれば冠水した道路上に人が現れる確率は高くなります。
実際に、ひざ下、ひざ上程度の水深の道路上を、人が歩く映像をよく見かけます。
先の解説によると、0.5mの水深でも約2t超の力が作用します。
・足をとられて倒れて溺れる
・流されてブロック塀に頭を強打
・流されて、ガラスに頭ごと突っ込んで深い裂傷
このような、重い人的被害を想定するのはカンタンになります。
人的被害が起きれば、刑事告訴される可能性も0%ではない
道路が冠水する場所は、大雨の度に冠水を起こします。
なので、このような被害は1回や2回ではありません。
今のところ、人的被害は出ていませんが、地元では被害が出る度に警察へ相談しています。
つまり、雨のたびに被害が常態化していることを把握していることとなります。
そのような場所で、先の人的被害が発生すれば地元住民の怒りは真骨頂に。
状況によっては、刑事告訴される事態に発展する可能も0%ではありません。
これ以上の被害が出ない内に!広く周知が必要
道路が冠水する情報では、アンダーパスの冠水によって車が水没する危険性や、水深何メートルまでなら車は走行できる、などの情報は多くあります。
その背景には、実際に水没して人命が無くなったケースが多くある現状によって、情報が多くなっていると思われます。
ですが、今回のような車が走行することによって、引き起こされる人的災害があることも、広く知られるべきだと考えます。
これ以上、人災による被害が起きないよう、ドライバーが加害者にならないよう、状況を広く知って頂きたいと願っています。
出典:NHKそなえる防災 津波の威力 ~津波の恐ろしさを知って避難する~
https://www.nhk.or.jp/sonae/column/20161234.html
Yahoo!ニュース 「何しよっとか」 冠水道路、トラック走行で被害? 国道34号沿いガラスや壁破損 住民や事業者ら、怒りのやり場なく
https://news.yahoo.co.jp/articles/cc4e0e8b9dafe096da1191d56e6de46dfd4ef23d