ライターの永野です!
寒さもピークを超え、だんだん春が近づいている感じがしますね。私が住んでいる地域は昼間は驚くほど暖かい日も増えたのですが、寒暖差がとんでもないです。この記事を書いている3月8日は、最低気温5度、最高気温24度という意味不明な数字で、昼間は汗ばむほどなのに、朝晩は寒いという…
皆さんがお住まいの地域は、いかがでしょうか。
大寒波のときには幅広い地域で寒さによる影響がありましたが、雪や路面凍結は車のスリップを引き起こすこともあり危険です。また、スリップの原因はほかにもあるので、1年を通して注意する必要があります。
というわけで、今回のテーマは「車のスリップ」。原因や対策、スリップした車を見かけたときの対処法などをまとめましたので、車に乗る前の参考にしてください。
「車がスリップする」とはどういう意味?
車を運転していると、「スリップ注意」などの文言を目にすることがあります。想像のつく方も多いでしょうが、改めてスリップの意味を確認しましょう。
スリップとは
スリップは「すべる」という意味の言葉です。さまざまな場面で使用できますが、特に車の走行中にタイヤが滑ることを指します。スリップの原因は後述しますが複数あり、車のタイヤが滑ることで思わぬ事故を起こす可能性があるため危険です。
スリップするとどうなる?
車がスリップすると、タイヤが滑ってしまってアクセルを踏んでも加速できません。後方からの車がこれに気づかず突っ込んでくれば、事故が起こるのは一目瞭然です。
また、アクセルを踏み込んでスリップ状態から戻ると、急加速により前の車に追突することもあります。さらにタイヤが滑りハンドル操作に影響が出ると、カーブから飛び出す、車線をはみ出してほかの車と衝突するということも。
いずれにしても非常に危険ですので、スリップが起こらないよう原因と対策を把握しておく必要があるでしょう。
車がスリップする原因
危険な車のスリップはなぜ起こるのか、大きく4つの原因を見ていきましょう。「スリップ」というと凍った地面や雪道で起こるものだと思われがちですが、さまざまな原因で1年を通し、幅広い地域で発生する可能性があるため注意が必要です。
ハイドロプレーニング現象
タイヤには溝がありますが、この溝が排水できず、タイヤと路面のあいだに水が入り込んだ状態になることがあります。これが、「ハイドロプレーニング現象」です。
ハイドロプレーニング現象は雪道や凍結した路面、雨が降っているときなど、路面に水が溜まった状態のときに起こりやすくなります。路面の状態がよくないときにスピードを出し過ぎるとスリップしやすくなるので、雨天時や積雪時、外気温が低い時期などは特に注意しましょう。
土や砂が多いこと
車が走るのは舗装されたアスファルトの上が多いですが、砂や土が多い場所を走るのも、スリップの原因となります。細かな砂や土がタイヤの溝に入り込んでしまうことで、ハイドロプレーニング現象と同じような状態を作ってしまうのです。
雨天時はハイドロプレーニング現象が起こりやすいといいましたが、雨が降り始めたタイミングは、路面の土や砂が浮くため、これもスリップの原因となります。
タイヤの溝が少ない
タイヤの溝はスリップを防ぐために重要な役割を果たしていますが、使用するうちにタイヤがどんどんすり減り、溝は浅くなります。タイヤの溝が浅いと排水性が低くなるため、同じ路面でもスリップが起こりやすくなり危険です。
タイヤの溝は、新品の状態で8ミリありますが、どんどんすり減り1.6ミリを下回ったタイヤは、法律で使用が禁止されています。1.6ミリのところで「スリップサイン」というものが現われるので、これが出てきたら速やかにタイヤを交換しましょう。
落ち葉などにも要注意
街路樹などがあると、当然葉っぱが落ちてきます。落ち葉は数枚ならその上を走行しても問題ありませんが、多くの落ち葉が積み重なっている場所の上を走ると、スリップしやすいため注意が必要です。
特に、濡れた落ち葉は凍結した路面や雪道と同じくらい滑りやすいといわれています。葉っぱには油分が含まれており、落ちて水に濡れると油分が浮き出るのが、滑りやすくなる原因です。
車がスリップしたらどうする?
スリップが起こらないよう、日頃から安全に走行することは当然です。しかし、どんなに注意をしていてもスリップが100%起こらないという保証はありません。
もし運転中に車がスリップしてしまったら、どういった行動をとればよいのでしょうか。
アクセル・急ブレーキは×
タイヤが滑ったと感じると、ブレーキを踏んで滑りを止めようと思うかもしれません。また、タイヤが滑って車が動かないと、アクセルを踏んでなんとか車を動かしたいと焦ることもあるでしょう。
しかし、スリップにアクセルや急ブレーキは厳禁です。タイヤが滑っている状態でアクセルを踏んでも加速はできませんし、無理に動かそうとアクセルを踏み込みすぎると、急加速・急発進して事故を起こす可能性があります。
また、急ブレーキを踏むとタイヤがロックされますが、その状態でさらにスリップが起こるので、制御不能に。自分ではどうすることもできなくなり、大事故につながることもあります。
ハンドルを戻すときは少しずつ、「カウンターステア」を活用
アクセルや急ブレーキとともに、急ハンドルも避けましょう。スリップした状態ではハンドルが軽いので回しすぎてしまい、スリップから元の状態に戻ったときに車が急激に方向転換して危険だからです。
大きくスリップしたと思ったら、ハンドルを少しずつ戻す「カウンターステア」というテクニックを活用します。カウンターステアは、カーレーサーなども使う技術ですが、操作はあまり難しくありません。
たとえばタイヤが右側にスリップしていると思ったら、ハンドルを右にゆっくりと動かします。左の場合は左にと、急ハンドルではなくタイヤの状態を把握しながら慎重に動かすというものです。
冷静な対処が重要
アクセル、急ブレーキ、急ハンドルは避け、カウンターステアの技法を使うことはわかりましたが、結局スリップが起こったらどうすればよいのでしょうか。
スリップが起こってしまうと慌ててしまいますが、まずは落ち着いて、どういった状況なのかを見極めます。スリップは多くの場合、正しい操作をすればタイヤのグリップ力が徐々に回復し、滑りを止めることが可能です。
大きくスリップしていると感じても、前述のカウンターステアを実行すれば、だんだん元の状態にもどるので、焦らず慎重にハンドルを操作しましょう。
車のスリップを防止するためにできること
スリップは誰にでも起こり得るものですが、できるだけスリップが起こらないようにするには、どういった対策をすればよいのでしょうか。運転中はもちろん、車のチェックや装備にも気を遣うと、より安心です。
スピードの出し過ぎ厳禁
当然かもしれませんが、スピードの出し過ぎは避けましょう。スリップが起こりやすい雪道や凍結した路面などはもちろん、日頃から適切なスピードで走行することを心がけます。
スピードの出し過ぎは、スリップに関わらずさまざまな大事故につながるため危険です。同じ事故でもスピードが出ているほど被害は大きくなるので、安全運転を心がけること、またスリップが起こりやすい道ではさらに速度を抑えることを意識しましょう。
アクセル・ブレーキを急に踏まない
雨天時の走行や落ち葉の上、雪の上、凍結した路面を走行する場合は、アクセルやブレーキを急に踏まないようにします。急発進や急ブレーキをしようとすると、スリップが起こりやすくなるからです。
カーブではスピードを落とすのが通常の運転操作ですが、なかにはスピードを落とさない方もいます。速度を出してカーブを曲がるのも、スリップの原因になることがあるため、曲がり道はゆっくりと走行することも、忘れてはいけません。
スタッドレスタイヤの装着
雪の多い地域、気温が低く路面凍結しやすい地域では、寒い時期になるとスタッドレスタイヤを装着することも多いでしょう。冬場はスタッドレスタイヤにするだけで、スリップの可能性を大幅に軽減できます。
スタッドレスタイヤは、地域によっては標準装備となっていることもありますし、オプションで選択も可能です。ただし、スタッドレスタイヤは寒い時期以外に装着するリスクもありますので、時期を限定して装着し、ほかのシーズンはノーマルタイヤに替えるようにしてください。
タイヤの溝や空気圧はこまめにチェック
注意をして運転していても、タイヤの状態がよくないとスリップの可能性を高めてしまいます。タイヤの溝は前述の通り、1.6ミリが最低ラインです。スリップサインの出ているタイヤは使用しないこと、できればスリップサインが出るよりも前に、使用期間やタイヤの状態を見て安全なタイヤに交換するようにしましょう。
また、適正な空気圧は車によって異なりますが、多すぎても少なすぎてもよくありません。適正な空気圧は、給油口のふたの裏側や、運転席のドアの内側などに記されていますので、カーディーラーやガソリンスタンド、カー用品店などで調べてもらい、ベストな状態にしてください。
スリップした車を見つけたら…
スリップしやすい道を走行していると、自分がスリップするだけでなく、ほかの車がスリップしている現場に遭遇することもあるでしょう。最後に、スリップした車を見つけたときの対処法をご紹介します。
車両周辺の安全確保
スリップしている車に急に近づくのは危険です。自分が事故に巻き込まれないよう、まずは周辺の安全を確認しましょう。その後、運転席に近づき、安全に停められるよう誘導します。
スリップして路上に停車してしまっている車には、後続車の衝突などを避けるための対処が必要です。動かせるようであれば、路肩や知覚の駐車場など、安全な場所へ移動させましょう。難しい場合はほかの車がスリップ車に気づくよう、発煙筒や停止表示板(三角形のもの)を使用します。
速やかに110番通報
スリップした車が安全に走行できる状態に戻り、けが人や事故なども特にないようであれば問題ありませんが、スリップが原因で事故が起こっている場合は、速やかに110番通報します。
警察の方は必要な情報を質問してくれるので、それに答えるだけでよいですが、基本的には事故が発生した場所と時間帯、被害者やけが人の有無などを聞かれるので、スムーズに答えられるようにしましょう。
けが人がいたら救急車も
けが人がいる、大きな事故で車や周辺が燃えているなど、救助が必要な場合は、110番と同時に119番通報も忘れずにします。119番でも同様に、事故の発生場所や時刻、けが人の状況や周辺の状態を説明してください。消防署の方の判断で、救急車や消防車が出動します。
通報したら立ち会いは必須?
スリップによる事故を発見し、110番、119番通報した場合、通報者の立ち会いは必要なのでしょうか。結論、絶対に立ち会わなければならないということはありません。通報して状況を伝えたら、その場を立ち去ってもよいでしょう。
しかし、けが人がいる、トラブルが起こりそうなどというときは、可能な限りパトカーや救急車が到着するまで立ち会えるのが最適です。応急処置が必要な場合もありますので、周囲の方と協力して、通報や救命・処置などの役割を分担してください。
極論でいえば、スリップによる事故を目撃したからといって、通報や救助の義務はありません。そのまま立ち去っても罪に問われることはないですが、「誰かの命が危険な状態にあるかもしれない」「自分にも起こるかもしれない」などと真摯に受け止め、できる限りの対処ができるとよいのではないでしょうか。
安全運転と日常のチェックでスリップによる事故を防ごう
路面の状態が悪く、タイヤがすべってしまう「スリップ」は、大きな事故を引き起こすこともあります。スリップが起こったら落ち着いて対応すること、日頃から安全な走行やスリップが起こらない対策を行うことを心がけましょう。
また、スリップしている車を見つけたら、できる範囲で助けるための行動ができるとよいですね。
編集後記
運転免許を取得して10年の私ですが、運転をほぼ毎日するようになってからはまだ3年弱しか経っていません。冬は3回越えましたが、未だスリップは起こったことがないので、もしスリップしたときに冷静に対処できるのか、やや不安ではあります。
幸い、大きな事故を起こしたり違反によって減点や罰金を取られたこともまだないのですが、これから何十年も車に乗っていると、どういったことが起こるかわかりません。「大きな鉄の塊を動かしている」と、自動車学校の教習で講師の方がおっしゃっていましたが、便利なだけでなくもしものときのリスクが大きいことも常に頭に入れて、安全な走行をしていきたいと、改めて思いました。
多くの地域が、スリップしやすい冬を越えています。しかし、雨や落ち葉、砂など、さまざまな原因で起こりやすいスリップですので、1年を通してスリップしない運転・車を守っていきましょう。
参考サイト
雨や雪の日は注意しよう! 車がスリップする原因と対処法
車がスリップした時の対応方法とやってはいけないこととは
車が雨や雪で制御不能にならないようにするには?スリップする原因と対処法
落ち葉による車のスリップに要注意!落ち葉は凍結路と同じくらい滑りやすい!?