太陽光発電の火事は消せない説はほんと?ツイートはでたらめだった

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最近「太陽光発電の火事は消せない」とのツイートが話題になっています。

我が家も太陽光発電を導入しているので、気になって調べてみました。

消防士が感電するとか、燃え尽きるまで消せないなどのツイートがありますが、調べてみれば普通に消火できるとのことです。

今回は、太陽光発電の火災について、自分で調査した経緯と結果をご紹介します。

目次

こんなツイートから疑問が・・「エッ本当に?」

現職の東京都議までが「感電する」から設置に反対とのこと。貼り付けられているニュースでは、熊本県益城町寺迫(てらさこ)で起きた火災を報じる内容で、「消火活動中も太陽光パネルの発電が続いていたため、放水による感電の恐れがあった」との熊本消防局のコメントが掲載されていました。

東京都の新築一戸建てに太陽光発電パネルの設置義務化への反発

実はこの手のツイートは2022年5月に発表された「東京都の新築一戸建てに太陽光発電パネルの設置義務化」への反発でもあります。

2022年12月15日の都議会で、義務化となる「改正環境確保条例」は成立しています。

再生エネルギーとして有効だと感じて、我が家でも導入してローンを返済中ですが、義務化に反対するから太陽光発電は危険との考えはいかがなものかと、本当に危険なのか調査することにしました。

【結論!】注意は必要だが消火は可能である!

色々調査してみると、2013年(平成25年)3月26日に「消防庁消防・救急課 消防庁消防研究センター」が、各都道府県消防防災主管課宛に通達した事務連絡を見つけました。

タイトルは「太陽光発電システムを設置した一般住宅の火災における消防活動上の留意点等について」です。

感電および出火の危険性として感電の危険性はあるとしている

全12ページで構成されている通達には、まずは「感電および出火の危険性」があると指摘。なかには、夜間であっても炎の光によって、発電が継続し感電の可能性があると記載されています。

これを読むと「やっぱり太陽光発電が火事になると感電するんだ!」と思ってしまいます。

しかし、通達を読み進めていくと、次のような対策が記載されています。

・棒状での放水は、水を伝わって感電する可能性があるため、粒状で建物に水がかかるよう、
放水の距離や筒先の調節(噴霧状等)を行うようにする。

・太陽光発電システムの配線が切断されて建物に触れている場合は、消火活動により水が浸み
こんだ手袋で安易に建物に触れないようにする。建物内部で活動する場合は、絶縁性の高い
手袋(高電圧用ゴム手袋等)を活用するようにする。

・残火確認等のとき、太陽光発電システムの太陽電池モジュールを握った手から感電すること
があることから、見た目の破壊が進んでいるものも含め、安易に触れたり、破壊したりしな
いようにする。

・取り外した太陽電池モジュールは感電や発火を防ぐために、太陽電池モジュール表面を遮光
するか裏返しに置くようにする。

消防庁消防・救急課 消防庁消防研究センタ ー 事務連絡

太陽光パネルが設置されていれば、このような対処法にて消火が可能であるとされています。

つまり、消防士が感電するから消火ができない危険な装置ではない、となります!

感電のあった消火活動も実際に起きている!

ただし、先の感電の危険性に関しては、実際に感電した消防士は存在するようですが、感電死までには至っていません。

「片手を梯子に、もう一方の手で断熱材に触れた時、手に電撃を感じた。」「モジュールの裏面を押したときに、バーンという電撃を感じた。」といった事案で、幸いにもハシゴから転落するなどの被害はなかったようです。

さまざまな実験をおこない対策を講じている

このような事案を受けて、消防研究センターでは太陽光発電システムのさまざまな火災実験をおこなっています。

火災時の炎の光によって、どのような発電をするのかの実験では詳しいことは別にして「太陽光発電システムが設置された建物が火災に見舞われた際、夜間の消防活動であっても火炎の光により発電している恐れがある」とまとめてあります。

どうやら、火災の炎の光によって発電する可能性があるものの、必ずしも発電しないことが分かります。

太陽光発電の火災時の注意点

通達では、太陽光発電を有する建物が火災になった場合の消防中の注意点を、危険性の面から掲載されています。

そこでここでは、その危険性と優位点を簡単にまとめてみました。

絶縁性の高い手袋(高電圧用ゴム手袋など)を活用

消火活動によって水が内部まで浸み込んでいる手袋では、感電の危険性が高まるため、建物に近づいて消火活動をおこなう際は、絶縁性の高い手袋(高電圧用ゴム手袋など)を活用する方が安全とされています。

そのほかの注意点

  • 高所での作業では、落下防止の措置をとる
  • 粒状で建物に水がかかるように、距離や筒先の調節をおこなう
  • 可能であれば、接続箱やパワーコンディショナ部分の開閉器を切ること
  • 夜間であっても炎の光を受けて発電するので、感電の危険はなくならない
  • 太陽光発電システムが設置されている建物であるかを活動開始までに把握すること
  • 太陽光パネルのガラスが水を遮ることや裏面に直接水をかけづらいことから消火に時間がかかる

消防隊員が感電死することも、燃え尽きるまで消火しないことはデタラメだった!

今回調査した結果、最近ではなく既に10年前に太陽光発電システムが設置されている建物では、感電することが分かっており対策も講じられています。

つまり、2022年の東京都の新築一戸建てに太陽光発電パネルの設置義務化以前に、火災時の注意点まで通達されているのです。

それによれば、感電した事案は数件あるものの、感電死した消防隊員はひとりもなく、消火も可能とされています。

根拠のないでたらめなツイートは、やめてもらいたいものですね。

シゲネコ

こちらの「太陽光パネル火災、消防士は感電死を避けるため燃え尽きるまで消火できない」は誤り。東京都の設置義務化めぐり拡散」記事でも、ツイートは誤りであると報じています。

参考サイト
消防庁消防・救急課 消防庁消防研究センタ ー 事務連絡

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この記事を書いた人

1963年生まれ、兵庫県在住の防災士&フリーライター 
2014年から本格的にライターを開始!これまで多数の記事を執筆
2017年にひょうご防災リーダー講座を受講し防災士を取得。ハザードマップなど防災業務に長年従事し、防災関連の講演も行っています。
経験を活かして防災に関する情報をできるだけわかりやすく、みなさんへ届けたいとの想いを持って執筆しています。詳しいプロフィールはこちら

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