スプリンクラーの仕組みには貯水槽が重要!せっかくなので設置基準も解説

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スプリンクラーは天井部分から水をシャワーのように噴出させて、自動的に消火する設備のことです。

その他にも農業用の散水装置として、農作物や芝生などに定期的に散水する装置もスプリンクラーと呼ばれています。

今回は、火災時に用いられるスプリンクラーについて、その仕組みと設置基準などを解説します。

目次

スプリンクラーはどんな場所に設置されるのか

最初にスプリンクラーはどのような場所に設置されるのか、その設置基準について解説しましょう。

普段の買い物で訪れるスーパーや地下街などには、スプリンクラーが設置されていますが、天井を見ながら歩く訳ではないので、気づかないことがほとんどです。

では、スプリンクラーはどのような基準で設置されるのかというと、それは、消防法によって定められています。

設置基準は消防法施行令第12条で定められている

スプリンクラーの設置基準は「消防法施行令第12条」で細かく定められていて、建物の階数・用途・延べ面積で条件が変わってきます。

細かくというのは防火対象物としての施設が細かく分類されていて「劇場等・キャバレー等・遊技場等・料理店等・旅館等・病院等・図書館等・共同住宅等」と、全部で30以上もの施設に分類されています。

さすがに全てを個別に解説するのは難しいので、ここではスプリンクラーが必要となる代表的な条件を解説しておきます。

総務省消防庁 消防法施行令 別表第1

因みに全ての分類を確認したい方は「消防法施行令 別表第1」をご覧ください。

高層階や広さ・窓のあるなしで設置が決まる

スプリンクラーの設置基準を大まかにまとめると、次のようになります。

11階以上の高層階の建物全ての階に設置が必要
床面積1,000㎡以上で窓のない建物該当の階に設置が必要

施設別の設置条件

ここでは代表的な施設における、スプリンクラーの設置基準をご紹介しておきましょう。

基本的に先の2つの条件(11階以上のビル&窓のない1,000㎡以上の建物)は、スプリンクラーの設置は絶対ですから、それ以外の条件による設置基準を紹介します。

映画館・劇場・集会場・キャバレー・カラオケなど

・1~3階までの床面積6,000㎡以上の階
・4~10階までの床面積1,500㎡以上の階

その他、ホテル・旅館・幼稚園・養護学校も上記の条件が適用されます。

飲食店・デパート・スーパーなど

・1~3階までの床面積3,000㎡以上の階
・4~10階までの床面積1,000㎡以上の階

スプリンクラーの仕組みは貯水槽が重要!5種類のスプリンクラーを紹介

名古屋市公式サイト

スプリンクラーの基本的な仕組みは、火災報知器が熱を感知し信号が「流水検知装置」に送られて、貯水槽に溜めてあった水がスプリンクラーに送られ、天井から水が放出されます。

  1. 火災報知器が熱を感知
  2. 信号が流水検知装置に送られる
  3. 制御弁が開く
  4. 貯水槽から圧縮した水がスプリンクラーに送られる
  5. スプリンクラーヘッドから水が放出される

また、熱を感知した時点で報知器によってベルなどの音響が鳴り響いて、火災の発生を知らせていち早い避難行動を促します。

スプリンクラーの設備では、貯水槽・自動警報装置・スプリンクラーヘッド・送水口などで構成されていますが、スプリンクラーヘッドの種類によって、開放型と放水型・閉鎖型に分かれてきます。

スプリンクラーヘッドも重要ですが、消火に必要な貯水槽に水が溜まっていないと消火ができません。なので、最も重要なのは常に貯水槽に水が溜まっていることとなります。

ここでは、スプリンクラーの仕組みと種類をご紹介します。

開放型スプリンクラー

トータルソリューション株式会社
開放型スプリンクラー

開放型スプリンクラーは、ヘッドにある放水口が常に開放されているタイプで、ヘッドには感熱部がありません。

別途の火災報知器が熱を感知して制御弁が開き、一斉に水が放出されます。

設置に向いている場所
・劇場の舞台部分や化学工場、倉庫など

放水型スプリンクラー

トータルソリューション株式会社
放水型スプリンクラー

放水型スプリンクラーは、壁や天井にスプリンクラーヘッドが設置されていて、別途の火災報知器が熱を感知して一斉に放水を開始します。

またセンサーによって火災場所を狙って、放水銃のようにピンポイントの放水ができるのが大きな特徴です。

設置に向いている場所
・展示場や10mを超える高天井、店舗では6mを超える天井

湿式スプリンクラー(閉鎖型)

トータルソリューション株式会社
湿式スプリンクラー(閉鎖型)

一般的に最も採用されているのが湿式スプリンクラーで、閉鎖型とはスプリンクラーヘッドに感熱部を搭載しているタイプです。

スプリンクラーヘッドまで常に水が溜まっている状態が特徴で、火災によってヘッドが破損すると直ちに放水を開始します。

感熱部といっても火災報知器のようなセンサーではなく、熱によって物理的に破壊されることで水を放出する仕組みです。

設置に向いている場所
・展示場や10mを超える高天井、店舗では6mを超える天井

乾式スプリンクラー(閉鎖型)

トータルソリューション株式会社
乾式スプリンクラー(閉鎖型)

乾式スプリンクラーは先の湿式スプリンクラーと同様に、ヘッド部が熱で破損することで水を放水する仕組みとなっています。

ただ、乾式スプリンクラーはヘッドの放水口まで水ではなく圧縮空気が充満していることで、その理由は、ヘッド部までの配管内で凍結を防ぐためです。

設置に向いている場所
・寒冷地で配管内の水が凍結する可能性のある場所
・展示場や10mを超える高天井、店舗では6mを超える天井

予作動式スプリンクラー(閉鎖型)

トータルソリューション株式会社
予作動式スプリンクラー(閉鎖型)

予作動式スプリンクラーは先ほどの「乾式スプリンクラー」に、火災報知器をプラスした仕組みで、スプリンクラーヘッドまでは圧縮空気が充満していて、火災報知器が熱を感知すると水が送られます。

ただし、ここで一斉に放水されるのはなく、この後にスプリンクラーヘッドが熱で破損することで放水が開始されます。

つまり、ヘッドが熱以外の事故で破損しても、火災報知器が熱を感知しない限り水は放出されない仕組みとなっています。

設置に向いている場所
・スプリンクラーヘッドの誤破損による水被害を防ぎたい場所
・通信機器やコンピューターなどを扱う部屋など
・展示場や10mを超える高天井、店舗では6mを超える天井

まとめ

今回はスプリンクラーの仕組みと、設置基準について解説してきました。

スプリンクラーは初期消火に有効な消火装置であることから、消防法にて設置が義務付けられています。

また、複数の種類が存在していて状況に合わせて、必要なスプリンクラーが設置されています。

ただ、スプリンクラーからの放出を止めるには、自動ではなく手動です。火災時には有効ですが、そうでなく誤作動による放出は要注意といえるでしょう。

参考サイト
消防庁 消防法施行令 別表第1
トータルソリューション株式会社
名古屋市公式サイト

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これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

1963年生まれ、兵庫県在住の防災士&フリーライター 
2014年から本格的にライターを開始!これまで多数の記事を執筆
2017年にひょうご防災リーダー講座を受講し防災士を取得。ハザードマップなど防災業務に長年従事し、防災関連の講演も行っています。
経験を活かして防災に関する情報をできるだけわかりやすく、みなさんへ届けたいとの想いを持って執筆しています。詳しいプロフィールはこちら

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