ガスや灯油を使ったストーブだけでなく、電気ストーブを家庭や職場で使用する機会も増えていますが、電気ストーブも注意点を守って使用しないと、火災を引き起こす可能性があることをご存じでしょうか。
電気ストーブ火災を防ぐには5つの注意点を守ることが大切です。また、子どもや高齢者がいるご家庭では、特に注意を払って使用するひつようがあるといえます。
今回は、電気ストーブによる火災の事例、使用時の注意点などをまとめました。現在使用中の方もこれから購入を検討されている方も、改めて注意点を確認しましょう。
電気ストーブとは「電気を使った暖房器具」のこと
そもそも電気ストーブとはどういった暖房器具かわからない、という方もいるかもしれませんが、電気ストーブは電気の力で高温を生み出し、機器周辺を温める暖房器具です。
従来の灯油やガスを使用した燃焼系ストーブとは異なり、においが気にならない、換気をしにくい環境でも使用できる、空気があまり汚れない、すぐに温まる、音が静か、乾燥を防ぎやすいといった特徴があります。
電気ストーブの火災は多発している
燃やして温める燃焼系ストーブよりも、電気を通して熱を生み出す電気ストーブのほうが安全なイメージを持ちますが、実は、暖房器具による火災のうち、7割は電気ストーブが原因となっています。
電気ストーブによる火災にはどういった特徴が挙げられるのでしょうか。
電気ストーブ火災の事例
電気ストーブによる火災の1つは、引火しやすいものの接触です。たとえば電気ストーブをつけたまま眠ってしまい、布団がストーブに接触したことで出火、火災につながり死亡した方もいます。
また、電気ストーブ周辺は暖かく、冬場でも洗濯物が乾きやすいことから、電気ストーブの上に洗濯物をつるしておく方も少なくありません。その洗濯物が電気ストーブの上に落下し、火災につながるケースもあります。
電気ストーブ火災の特徴
電気ストーブが原因で起こる火災の特徴は3つあり、1つは火災による死亡者の7割が75歳以上の高齢者であることです。電気ストーブの近くにものを置いたりしてしまうことが原因だと考えられます。
また、一人暮らしの方が引き起こす火災は就寝中であることが多い傾向です。布団への引火も火災の原因として多く挙げられるため、布団と電気ストーブとの距離にも注意が必要です。
さらに、大規模な火災にはならずぼや程度で済んだとしても、着ている服に着火してしまったり、一酸化炭素中毒になったりすると死亡する可能性が高くなります。電気ストーブはきちんと取り扱わないと非常に危険ですので、使用前には家族全員で使い方を確認すると共に、注意点を把握するとよいでしょう。
電気ストーブ使用時の注意点
電気ストーブによる火災を防ぐためには、使用時に以下のような注意点を守ることが重要です。
近くに燃えやすいものを置かない
電気ストーブ火災の多くは、近くに燃えやすいものを置いていたことによる引火です。電気ストーブの周辺にものを置かないことは必ず守りましょう。紙類や布類はもちろん、溶けやすいプラスチック製のおもちゃなども危険です。可燃物だけでなく、周囲にものを置かず、きれいにして使用することで、火災のリスクは大幅に軽減できます。
ストーブの周囲、上に洗濯物を干さない
電気ストーブの上や周辺は暖かい空気が流れており、冬場に乾かなかった洗濯物を干すのに最適だと思われる方もいます。しかし、電気ストーブの周囲や上には、洗濯物を干してはいけません。
洗濯物が落ちる、何かの拍子になびいてストーブに触れることで引火すれば、火災が起こってしまいます。洗濯物は部屋干しをするにしても、ストーブから離れた場所に干しましょう。
電気ストーブの説明書をよく読んでから使用する
電気ストーブ使用前には、必ず取扱説明書をよく読むようにしましょう。説明書のなかには電気ストーブの詳しい使用方法はもちろん、何をすると危険か、使用時にはどういうことに注意したらよいかがしっかり書かれています。
説明書に書いてあるNG行為を理解し、安全に使用することで火災が起こる確率を下げることができるでしょう。
外出時・就寝時には電源を切る
ストーブをつけたまま外出してしまうことで、外出中に自宅内のものに引火し火災が起こることもあります。「ちょっとのあいだだから」という気持ちは捨て、ゴミ捨てに行く数分でも必ず電源を切るようにしましょう。
また、就寝時の火災も非常に多いですので、寝る前にも電源を切ることを忘れてはいけません。最近の電気ストーブには一定時間になると電源が切れる、タイマー設定ができるものもありますが、少し寝返りを打ったことで布団が電気ストーブに接触してしまうこともありますので、布団に入る際に電源を切ることを習慣づけるようにしてください。
定期的な掃除・動作チェックを怠らない
燃えやすいものに引火するだけでなく、電気ストーブに溜まったホコリに引火する、電源プラグやコードの傷みが漏電を引き起こすなどの恐れもあります。電気ストーブ本体の定期的な掃除、傷みがないかのチェックも怠らず、気になる部分があったら小まめに手入れをする、修理に出すようにしましょう。
子ども・高齢者がいる家庭での対策と注意点
電気ストーブが原因の火災では、高齢者の死亡率が高い傾向にあると説明しましたが、家庭内にご高齢の方や小さなお子さまがいる場合は、電気ストーブの取扱いにより注意が必要です。
最後に、子どもや高齢者がいる家庭内での電気ストーブの導入方法、考え方をみていきましょう。
「使わない」という選択肢も視野に入れる
小さなお子さまは電気ストーブが「危険なもの」という認識がないため、近づいて触ってしまうため危険です。やけどやケガはもちろん、最悪の場合火災を引き起こす可能性もあります。
また、高齢者の電気ストーブによる火災も非常に多いため、子どもや高齢者のいるご家庭では、そもそも電気ストーブを使わないという選択肢も視野に入れておきましょう。
電気ストーブが導入できるようになるまでは、温風機のような安全な暖房器具をエアコンと併用するなどの工夫をして、暖を取ることをおすすめします。
使用時には必ずストーブガードで囲う
もしどうしても電気ストーブを導入したいと思った場合には、ストーブガードを使うようにしましょう。ストーブガードとはストーブの周りを囲い、侵入を防ぐ柵のことで、ストーブガードを置くことでお子さまがストーブに近づくのを防ぐことができます。
ストーブガードがあれば、ご高齢の方がガード内に引火しやすいものを置くことを避けることも可能です。
子どもや高齢者のみのときは使用を控える
使用方法を守れる年齢のお子さまでも、子どもだけで留守番をする場合には万一のことを考え、電気ストーブの使用は控えた方が賢明です。
また、子どもや高齢者の自室には電気ストーブを置かず、リビングなどの共用スペースのみで使用するようにすれば、就寝時や不在時の火災の確率を大幅に下げることができます。電気ストーブを使用する際はどの部屋に置くかも、家族でよく話し合うとよいのではないでしょうか。
電気ストーブにも危険は多い!事故防止の対策をしっかりと
便利な電気ストーブは、以下の5点を守って使用すると火災の防止になります。
- 近くに燃えやすいものを置かない
- ストーブ上部、周辺に洗濯物を干さない
- 説明書をしっかりと読んでから使用する
- 外出・就寝時は電源を切る
- 定期的にチェックし、掃除やメンテナンスをする
特に、子どもや高齢者のいるご家庭では、電気ストーブの導入についてよく話し合いましょう。使用しない、共用スペースでのみ使用するといった選択も、火災防止のためには必要です。安全な使用で、温かく冬を乗り切りましょう。