高齢者の食事介助の方法とポイント!介助はなぜ必要?

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年齢を追うごとに、さまざまな力が衰えていくことは誰にでもあります。その1つが「食べる」力です。病気はもちろん、加齢によって食事介助が必要なケースも少なくありません。食事介助は基本の方法の前に、なぜ介助が必要なのか、どういった状況の方に介助をするのかを知っておくと、介助への姿勢や要介助者への対応も変わります。

そこで今回は高齢者の方への食事介助に関する情報をまとめました。ご自宅での食事介助が必要な場合には、ぜひ事前にご一読いただき、参考にしてください。

目次

食事の介助の前に!高齢者の状況について知っておこう

食事介助に関する情報の前に、高齢者の方の「食べること」に対しての衰えについて見ていきましょう。歳を重ねるにつれ、徐々にさまざまな機能が低下するなか、食事にはどのような不便が起こるのでしょうか。

噛む力が低下している

年を取ると体の至る所の力が低下しますが、噛む力もだんだんと衰えていきます。硬いものを噛む、長い時間噛むことができなくなってくるほか、入れ歯を使うこともあるため、しっかり噛まなくても簡単に飲み込める柔らかいものを好む傾向です。

唾液の分泌量が減る

加齢によって起こる変化の1つが、唾液の分泌量減少です。唾液量が減ると、パサパサしたものが食べづらくなります。パンやビスケットなどを食べると、むせてしまうこともあるため注意が必要です。とろみのある食材、水気の多い食材なら、スムーズに食べられます。

のどの乾きがわかりにくい

他の年齢の方と同様ののどの乾きがあっても、高齢者はそれを感じにくくなります。高齢者の方が欲しがるタイミングで水分を補給していては、必要な水分量の摂取に満たず、脱水になったり便秘になったりする可能性があるため注意が必要です。エアコンの効いた部屋でも「隠れ熱中症」になる可能性があるため、こまめな水分補給を促してあげましょう。

味を感じにくい

味覚や嗅覚の衰えから、若い頃よりも料理の味を感じにくくなり、味付けの濃いものを好むようになります。濃い味付けは塩分などの摂りすぎにつながるため、「薄い」と言われても調味料を足しすぎることがないよう、食事管理をするのも介護者の役割です。

また、嗅覚の衰えは食べ物の匂いによる食欲増進を妨げます。においや味を感じないことから、食欲そのものが減退してしまう高齢者の方も少なくありません。

胃もたれしやすい

歳を重ねれば、もちろん内臓機能にも影響が及びます。胃粘膜の分泌量減少、腸の運動能力低下により、消化機能が衰え、胃もたれをしやすい、便秘になりやすいといったこともあり、これが食欲不振につながることもあるでしょう。

食事の介助が必要なのはどんな人?

高齢者は食事に関わるさまざまな機能低下が起こることが分かりました。では、そのなかで食事の介助が必要なのは、どのような方なのでしょうか。

身体的に衰えてしまった人

身体機能が衰えにより、自分で食べることが困難になる方もいらっしゃいます。筋力が衰えれば箸やスプーンが旨く使えませんし、視力が低下して食べ物の場所を正しく認識できなければ、こぼす、落とす可能性があるため危険です。

認知機能が低下した人

高齢者の機能低下は、身体的な部分だけではありません。なかには、認知機能が低下し、認知症などを発症する方もいらっしゃいます。認知機能の低下は、食べ物を認識できない、味覚や空腹感が減退することにつながるため、酷い場合は食事介助の対象になります。

嚥下・咀嚼機能が低下した人

飲み込む力、噛む力が低下すると、食欲だけでなく、「自分で食べよう」という意欲もなくなることがあります。食べなければ栄養失調のリスクがありますし、うまく噛んだり飲み込んだりできない方が自身で食べようとすると、のどにつまらせる、むせるなど「誤嚥」のリスクも高まるため危険です。

なぜ食事の介助を行うの?

食事介助は自身で食べたり飲んだりするのが大変・困難な方に対して行われますが、極端な話、栄養補給は点滴などでも行えます。ではなぜ、あえて介助をしてまで「食事」で栄養を補給する必要があるのでしょうか。

生命維持のため

人間が生命を維持するために欠かせない行動に、睡眠や食事があります。自分で食べることが難しくても、食事介助をしてもらって必要な栄養を摂取することは、生命維持のために欠かせません。

「食」への楽しみを持ってもらうため

生命維持の観点だけなら、もちろん栄養点滴でも可能ですし、点滴のほうがより多くの栄養を補給できる場合もあります。しかし、あえて「食事」をするのは楽しみを持ってもらうためです。「食」への楽しみがあれば、気持ちが明るくなる、活動意欲が増す、味覚から脳への刺激を与えるなどのメリットが得られます。

味覚などの機能低下を防ぐため

食事をすれば味覚が刺激されますし、介助をしてもらいながらでも噛む・飲み込むという行為を行えば、嚥下機能・咀嚼機能の低下を防げます。点滴に切り替えることはいつでもできますが、点滴から食事に戻すのは簡単なことではありません。さまざまな機能低下防止のためにも、食事は重要な行為だということがわかるでしょう。

食事介助の準備として行うこと

食事介助の前には、要介助者の方にスムーズかつ安全に、そして楽しく食事をしてもらうための準備も必要です。万全な状態で食事に臨めば、意欲もより高まるでしょう。

声かけ

まずはこれから食事をすることを、声かけによって説明しましょう。声かけを行うことで、要介助者の方も食事に対する意識が高まり、誤嚥などのリスクを軽減できます。

排泄

食事中に排泄に行くと、せっかく高まっていた意欲が削がれてしまいます。認知症の方などは、排泄を済ませて席に戻ると、自身の食事がわからなくなってしまうことも少なくありません。排泄は食事前に済ませ、気持ちのよい状態で食事が始められるようにすることも大切です。

体調確認

食事前には体調を確認します。気分はどうか、食欲の有無、血圧や体温が正常かどうかなどを、要介護者に声をかけながらチェックしましょう。また、排泄物によって体調が万全かどうかを確認することも忘れてはいけません。

食事のための環境作り

落ち着いて食事ができるような環境作りも、準備として欠かせません。テレビを消す、歌のない音楽を流すなどしてリラックスしながら食事に集中できる環境をつくりましょう。食事の際は両足が床につく状態だと、噛んだり飲み込んだりするときの力が入りやすいです。寝たきりの方の場合は、ベッドの傾斜を調整し、食事しやすい姿勢にします。

嚥下体操

舌を動かしたり声を出したりする「嚥下体操」を行うと、唾液の分泌量が増え、誤嚥の可能性が低くなります。嚥下体操のあとには水分を補給し、口のなかを潤してあげると、より食事がしやすくなるでしょう。

基本の食事介助方法とポイント

最後に食事介助の基本の方法をご紹介します。各工程におけるポイントも提示していますので、快適に食事をしてもらうために意識してください。

介護が必要な方の隣に座る

食事を始める前に、まずは要介助者の隣に座りましょう。立ったままの介助は目線が異なり、要介助者の様子を見ることができません。要介助者が無理な角度で食べなければならない、誤嚥などがあっても気がつけないことがあるため危険です。

適量を口に入れる

食べ物を口に入れるときは、入れすぎないよう適量を意識します。適量の目安はスプーン1杯分ですが、人によってはもっと少ない量しか一気に飲み込めない場合もあるため、要介護者の方の様子をみながら調節しましょう。多すぎる場合だけでなく、少なすぎる場合も咀嚼しにくい、誤嚥のリスクが高まるため注意が必要です。

食事はバランスよく、ゆっくりと

ただ食べ物を口に入れるだけでなく、バランスよくゆっくりと食べさせてあげることも大切です。「三角食べ」といわれるように、主菜や副菜、水分などを順番に口に運ぶことで、口内に適度な湿り気を保つことができます。

口に運ぶ際にも、声かけを忘れてはいけません。「次は~を食べましょう」などと一言あるだけで、「何を口に入れられたか分からない!」とパニックを起こすような事態を避けられます。

また、口にどんどん食べ物を運ぶのではなく、要介助者のペースに合わせてゆっくりと食事を進めることも重要です。長すぎるのも疲れてしまう、食事がいやになってしまう原因となるためよくないので、30~40分くらいを目安にしましょう。

食後の摂取量確認・口腔ケアも忘れずに

食事が終了したら介助も終わり、ではありません。食事が終わったら摂取量を確認し、体調面の配慮を行うこと、歯磨きなどをして口腔内を清潔に保つことも忘れないようにしましょう。

口のなかに食べ物が残っていると、誤嚥や窒息のリスクが高まります。口のなかになにもない状態であることをチェックしたら、食事介助は完了です。

思いやりの心を持った介助で楽しい食事の時間を

食事介助は生命維持だけでなく、高齢者の方が食べる喜びや楽しさを忘れないためにも必要不可欠です。ただ食べ物を口に入れて栄養を補給するだけでなく、食によってさまざまな意欲が湧くような声かけや食べさせ方を意識しましょう。

思いやりの気持ちを忘れず、心を込めて介助しながら、食事の時間を楽しんでくださいね。

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語教師を経て2018年よりライターに転身。子どもと学べる防災に関心を持ち、日々災害や備えについて勉強中。
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