引き渡し訓練「迎えにいくだけ」ではもったいない~3つのポイント

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保育所や小学校などでおこなわれる「引き渡し訓練」。

子どもを“引き渡す”訓練なので、どうしても保護者は「迎えに行くだけ」といった感覚になりがちです。

ですが、引き渡し訓練の日は、親子で防災について考え行動するチャンスでもあります。

そこで今回は『引き渡し訓練の日に取り組みたい3つのこと』をお伝えします。

この記事をとおして、お子さんの安全を守るためにできること増やしませんか?

目次

引き渡し訓練は子どもの命を守るためにおこなわれる

「引き渡し訓練って何?」という方もいらっしゃるかもしれませんね。

はじめに引き渡し訓練について簡単に説明します。
すでにご存知の方は「引き渡し訓練の日に取り組みたい3つのこと」をご覧ください。

引き渡し訓練は災害や事件の発生を想定しておこなわれる

引き渡し訓練とは、保育所や学校といった主に子どもの施設において、保護者などがお迎えに行き、子どもを引き取る訓練です。

学校であれば「子どもだけで下校させるのは危険な状況」であり、災害や事件の発生を想定しておこなわれます。

お迎えに行くのは「子どもの命を守るため」です。引き渡し訓練ではこの大前提を頭に入れておきましょう。

引き渡し訓練の内容は保育所や学校ごとに異なる

引き渡し訓練の内容は施設によってさまざまです。

お迎えにきた人を「名簿でチェックして終わり」のところもあれば、「どこに避難するか」の確認があったり、子どもと一緒に校長先生のお話を聞くといったケースもあります。

内容によってかかる時間も異なるため、お仕事の合間に参加する場合などは、事前に確認しておくと良いでしょう。

お迎えの手段が限定されることもある

引き渡し訓練では、お迎えにいく手段を“徒歩のみ”など、限定することがあります。

災害時には道路の陥没や渋滞に巻き込まれ、いつものように移動できなくなる可能性もあります。

この点をふまえ、引き渡し訓練では保育所や学校から指示された手段で、お迎えに行くようにしましょう。

事前に登録してある人にしか引き渡されないことも

2011年3月11日の東日本大震災(マグニチュード9・最大震度7)では、学校側の過失により、本来なら引き渡すべきではない人(事前に登録されていなかった人)に子どもが引き渡され、結果として津波の犠牲になってしまったケースがあります。

引き渡し訓練でも、事前に登録している人にしか引き渡さないこともあります。登録する際には「お迎えに行く可能性のある人は誰か」をよく検討しましょう。

引き渡し訓練の日に取り組みたい3つのこと

それでは『引き渡し訓練の日に取り組みたい3つのこと』をお伝えしましょう。

➀より安全な避難先を考えてみる~学校・避難先・自宅のリスクを知る

1つ目は「どこがより安全な避難先か」を考えることです。

引き渡し訓練では、子どもを“引き渡される”ので、どうしても「(そこから)移動しなければならない」といった感覚で対応しがちです。

ですが、災害や事件といった危険が迫っているなら「より安全な場所」を判断し、行動しなければなりません

ある保育所の引き渡し訓練では、先生が「津波注意報が発令されています。この後どこに避難しますか?」とお迎えにきた人に確認します。質問されると「自宅までの道に津波がくる可能性」や「より安全な避難先」を考えるのではないでしょうか?

東日本大震災では、保育所や幼稚園で子どもを引き渡されたあと、避難途中で親子が津波の犠牲になってしまったケースがあります。津波が予想されるなか、保育所や学校が高台にあるならば、「そこにとどまる」または「その場からより高台へ移動する」という判断もあります。

災害時はパニックになり、冷静な判断ができなくなってしまったり、命の危険が迫っていても「まだ大丈夫」と思い込んでしまう心理正常性バイアス』に陥るリスクもあります。 

訓練だからこそ、冷静な状態で考えられることがあるでしょう。引き渡し訓練では、想定された状況のなか、子どもの命を守るためには「どこに避難するのか」「どのルートを通るのか」を考えてみましょう。

➁自宅や避難先までの危険箇所・安全地帯をチェックする 

2つ目は、保育所や学校から自宅までの道を、防災防犯の視点でチェックすることです。

小学生の場合、子どもだけの登下校中に大地震が発生したり、不審者にでくわす可能性もあります。引き渡し訓練の日には、こういったことを頭に入れ、お子さんと一緒に通学路を歩きましょう。

たとえば、大きな地震では自動販売機やブロック塀が倒れてくる可能性があります。

引き渡し訓練の日には、それらの場所を把握しつつ、「大きな地震がきたら頭を守る」「危険な物が倒れてこないか周囲に気を向けながら歩く」といった、防災知識を教えてあげましょう

一方、通学路における“安全地帯”も確認しておくと安心です。それは、一時的に子どもが安全でいられる場所です。たとえば、災害時の一時的な避難場所になっている「公園」などがあるでしょう。

また、不審者がでたといった防犯面の引き渡し訓練では「子ども110番の家」はチェックしておきたい場所です。

子ども110番の家についてはこちら、ブロック塀の危険についてはこちらの記事で、詳しく知ることができます。

③自宅の防災グッズを点検する

3つ目は、防災グッズの点検です。

ストック食品の期限は切れていないか、避難リュックに入っているお子さんの洋服は小さくなっていないかなどを点検しましょう。また、防犯の観点から、防犯ブザーの電池が切れていないか確認するのも良いですね。

引き渡し訓練は親子で参加する避難訓練と言うこともできます。この訓練を活用し、親子で防災について考える機会にしましょう。

このほかにも、災害用伝言板の使い方を確認したり、親子でハザードマップを確認するのも良いですね。

まとめ~お迎えに行く保護者の命も守る行動を

今回は、引き渡し訓練の日に取り組みたい3つのことをお伝えしました。

ですが、この3点は「保護者の方が、無事に、保育所や学校までたどり着けること」が前提です。

今回は、訓練についてお伝えしたのでリスクは小さくなりますが、実際の災害時には、保護者の方が保育所や学校にお迎えに行く途中で被災するリスクもあります

保育所や学校側には、ふだんの避難訓練などをとおし「子どもを守る」ための対応を徹底いただく一方、保護者の方も「子どもを守るために自分の身を守る」という認識ももちつつ、引き渡し訓練など日々の防災対策に取り組んでいただけることを願っています。

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3.11に学ぶ|命を守る避難訓練の内容に!大切なポイントを解説 東日本大震災でお子さんを亡くされたご遺族のお話をもとに、「避難訓練の課題」を知り「内容を考える際のポイント」をお伝えします。

【参考文献】

朝日新聞デジタル「安心して子預ける学校に」http://www.asahi.com/area/miyagi/articles/MTW20180604041050001.html

朝日新聞デジタル「5 引き渡し判断、問われた責任」2021.3.1
http://www.asahi.com/area/miyagi/articles/MTW20220518041180002.html

(以上)

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
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