大人もこどももマスクをつけて生活を送るのが「当たり前」な風潮から一変。2023年のゴールデンウィーク明けからは、マスクをしないで外出する方も多く目にするようになっています。
とはいえ、まだまだ感染対策をしっかりしたいという方も多いなか、小さなこどもはなかなかマスクが上手につけられないこともあるでしょう。
マスクは感染症予防はもちろん、花粉やホコリなどを防ぐのにも効果的です。しかし、こどものマスクの扱いは注意しないとかえって体調不良の原因となることも。どうすれば安全にマスクを着用できるのでしょうか。
今回は、こどもがマスクを使用する場合の注意点や、2023年5月時点での筆者のこどもたちのマスク事情などをお伝えします。
こどものマスクは2歳頃から
マスクをつける年齢はどれくらいからか、というのは以前の記事で詳しくご紹介しました。こどものマスクは2、3歳頃からがよいといわれており、2歳未満のこどもがマスクをつけると息苦しくなったり、熱中症になったりする可能性が高まるため危険です。
また、2歳以上のこども、高齢者や健康な大人も、季節によっては注意してマスクを扱わないと体調不良の原因となることがあります。
マスクは正しく装着!できていないと感染リスクが高まる
マスクはただつけていればよいというわけではなく、口元や鼻をしっかりと覆い、正しく装着しなければ意味がありません。
マスクを誤った方法で装着した場合には、どういった問題が起こるのでしょうか。
感染症にかかるリスクが高まる
マスクから鼻が出ている、マスクと口元のあいだの隙間が大きい、人込みで通気性を重視したマスクを使用するなどしていると、感染症にかかるリスクが高まります。
マスクは飛沫などから身を守り、感染症にかかりにくくするためのアイテムです。しかし当然のことながら飛沫が鼻や口から容易に侵入できるようなつけ方をすれば、正しくマスクを使用している人よりも感染症にかかりやすくなります。
「マスクはダサイ」「息苦しいから鼻を出しておきたい」と思われる方がいるかもしれませんが、自身の健康のためにも正しく装着しましょう。
他人に感染させてしまうことも
「自分は健康だから感染症にかかることはない」「別にかかっても問題ない」という思いから、マスクをしないという方も少なからず存在します。しかし、マスクにはもう1つ、重大な役割があることを忘れてはいけません。
マスクは自身の感染予防はもちろんのこと、万一自身が感染症にかかっていた場合に、他人に移してしまうリスクを軽減させることができます。
たとえば新型コロナウイルスに感染しても、無症状だったという方は少なくありません。「無症状=コロナではない」と判断してマスクをしないで生活をしていると…その間に接触した方への感染リスクが高まるのは一目瞭然です。
自分の身を守るだけでなく、マスクには周囲の大切な方を守る役割があることも覚えておきましょう。
こどもがマスクをする場合に注意したいポイント
2,3歳頃からのこどもがマスクをする際には、どういった点に注意すればよいのでしょうか。正しい方法で使用しないと、小さなこどものマスクの使用はかえって危険な場合もあります。
着用は「密」な場合に限定する
4歳くらいまでのこどもがマスクを着用する場面は、「密」が避けられないときに限定しましょう。こどもの気管は狭く、マスクを長時間していると息苦しさを覚える場合もあります。不要な場合はできるだけ外し、周囲の大人や年齢の高いこどもがマスクを装着するとよいです。
筆者のこどもたちが通う保育園でも、室内での活動の時間のみマスクを装着し、外遊びや給食、お昼寝など「密」の心配がない多くの時間は外して生活をしています。
大人の目が届く場所でのみ着用する
マスキは大人が見ていられる場所でのみ着用するようにします。こどもだけでいるときにマスクをしていても、外してもよいタイミング、外すべきシチュエーションがわからず熱中症などの症状を引き起こす可能性があるからです。
また、こどもの行動は未知数ですので、万一ふざけあっていてマスクを口に詰め込むなどの遊びが始まるなどすると、命に関わる重大な事故につながるかもしれません。
息苦しさによる体調の変化に注意
小さなこどもがマスクを長時間していると、夏場はマスク内に熱がこもり熱中症になる可能性があります。また、通年でマスクによる息苦しさ、そこからの頭痛や吐き気などの体調不良にも注意が必要です。
やはり、マスクをする場面や使用時間には気を使わなければならないことがわかりますね。
屋外では熱中症を避けるため外しても◎
屋外での遊びの時間や体育の授業、登下校の際は熱中症を避けるためにマスクを外してもよいとされています。ただし、マスクを外していると飛沫による感染などのリスクは当然高まるので、「無駄な私語はつつしむこと」「一定間隔で会話をすること」などを指導するとよいでしょう。
小さなこどもにはなかなか難しいかもしれませんが、繰り返し教えていくことで少しずつできるようになります。
過去の苦労や現在~我が家のマスク事情~
2022年4月より年中と小1になる我が家の息子たち。コロナの影響で保育園に行く際はもちろん、外出時にもマスクをつける生活が当たり前になっています。
そんな息子たちにマスクをつけさせる際、どういったことに苦労したのかをお話させていただきます。
※2023年5月加筆:息子たちも学年が上がり、年長と小2に。コロナも5類となり、マスクの着用に関するルールもこの1年で大きく変わりました。現在の子どもたちのマスク事情も、併せてお届けします。
長男の場合
長男は、次男よりもマスクの着用に苦労しました。というのも、長男が保育園に入園してから1年は新型コロナウイルスがまん延する前で、「マスクをしない生活」が当たり前だったからです。
4歳からマスクをつける生活を始めた長男は、未だに気を抜くとマスクから口や鼻を丸出しにしています…。マスク生活が始まった年中のはじめから年長の夏ごろまではマスクを食べる、なめるといったことも多く、布マスクがしっとり、ずっしりと湿っていることもありました。マスクを噛むこともあり、布マスクの内側がボロボロになることも日常茶飯事、という状態でしたが、現在はマスクを噛む、食べるといったことはありません。
これといった特別な指導はしませんでしたが「命を守る大切なもの」であること、「食べると汚いよ。お友達や先生に「汚いなぁ」って思われたら悲しいよね?」「鼻が出てるよ」などとその都度しつこいくらいに声をかけていました。
次男の場合
次男が物心がつくころには、マスクをするのが当たり前の世の中になっていたので、長男よりもすんなりとマスクをしてくれました。むしろお兄ちゃんと同じものがよい、という年頃の2歳過ぎからは、喜んでマスクをつけてくれた記憶です。
とはいえ現在4歳の次男。気を抜くとマスクをなめるのは長男と変わりません。先日はちょっと人の多い場所に行くため不織布マスクを支給したのですが、表から見てもわかるくらいヨダレのシミができており、わが子ながら「うわぁ…」と思ったことを覚えています(苦笑)。
まだまだマスクへの意識や使い方について指導が必要な時期なので、地道に声掛けをしながら、マスクを正しく使えるように見守りたいと思います。
2023年の息子たちは…
この記事を執筆した段階では、2人ともとんでもないマスクのつけ方をしていました。あれから1年が過ぎ、次男はマスクをとても上手に使っています(泣くとびしょびしょですが)。長男は相変わらずで、食べることはなくなったものの、気がつくと鼻や口がマスクから出ているので、「意味があるのだろうか」と時々疑問に感じることも…。
そんな息子たちも新年度から幼稚園や小学校でのマスクは「任意」に。しかし田舎だからなのか地域性なのか、まだまだ筆者の住む地域では、子どもも大人もマスクをしている方が多い傾向です。
私は在宅なので基本的にノーマスクで(自宅なのでね…)、外出も人通りが少ない屋外ならマスクはせず、屋内や人の多い屋外ではまだマスクをしています。息子たちには「してもしなくても好きにしていいよ」と言いましたが、「したい」というのでつけることに。
感染症対策にもなるしマスクをすること自体は「まぁいいだろう」と私は思うのですが、登下校中は気温が上がることもあるため、「行き帰りは外せば?」と提案するも長男は却下…。授業中など、人の多い屋内だけつければよいのになと思うのですが(しかも鼻出してるし…)、本人のこだわりもあるかもしれないのでひとまず自由にさせています。
ちなみにSNSなどでは、「こどもがマスクをして歩いているのを見ると可哀想に思う」という意見もありました。10人いれば10通り、さまざまな意見がありますが、この3年間はマスクや徹底した手洗いで、もらい風邪のような不調が少なかったのも事実です。これからの季節、熱中症などの不調がないよう注意しながら、引き続き我が家では息子たちの意見を優先して対応したいと考えています。
小さなこどもへのマスク指導に求められる工夫
小さなこどもが初めてマスクをつける、マスクに慣れていくにはどういった工夫をするとよいのでしょうか。最後に、マスク指導の際のポイントをご紹介します。
なぜマスクが必要かをわかりやすく説明する
まずは、マスクをする必要がどうしてあるのかを説明することです。口頭で説明してわかる年齢のこどもはよいですが、2~5歳くらいのこどもはまだ口でいうだけでは分からないことも多いでしょう。
小さなこどもには、紙芝居や劇、イラストなどで伝えることが有効です。楽しみながらマスクの必要性について学べば、こどもたちの理解も深まります。
実際にマスクをつけてみる
マスクの必要性について説明したら、実際に正しいマスクのつけ方を一緒に実践してみることも重要です。こどもはどういったつけ方が正しい方法なのかを知りません。先生や保護者の方が一緒になり、鼻や口を覆うこと、耳にどのようにゴムをかけるかなどを手取り足取り教えてあげましょう。
間違ったつけ方をやって見せるのも効果◎
正しいつけ方だけでなく、間違ったつけ方を見せるのも効果的です。「これは正しいですか?」とクイズ形式でつけ方を見せると、こどもたちは視覚から正しい・誤ったマスクのつけ方を覚えることができますし、指導の場も非常に盛り上がります。
小さなこどもには、多くの正しい知識や情報を提供するのではなく、要点をわかりやすく伝えることが重要です。さまざまな工夫で、こどもが興味を持ちながらマスクについて学べる機会をぜひ作ってあげてください。
安全にマスクを活用し、感染症からこどもの身を守ろう
マスクは感染症から身を守る重要なアイテムですが、小さなこどもは正しく使用しないと危険です。大人が見守りながら、安全に活用できるとよいですね。
大人同士でアイデアを出し合いながら、こどもへのマスク指導をしていきましょう。