私たちは誰もがいつ犯罪の被害にあうかわかりません。ですが、一人暮らしとなるとその危険性は高まってしまいます。ましてや、最近は思いもよらない手口で犯罪がおこなわれています。
そこで今回は、一人暮らしをスタートさせる準備段階からできる防災対策をお伝えします。もちろん、すでに一人暮らしをしている方も今すぐできる、家の中や日頃の行動における防犯対策もあわせてお伝えします。
何も防犯対策をとらずに生活し被害にあってしまうことは避けなければいけません。少しでも安心して生活するための行動につなぐことができるよう、ぜひ最後までご覧ください。
一人暮らし準備段階の防犯対策は、内覧時間・カーテン・他人が入る場面に注意
一人暮らしをはじめる準備段階からできる防犯対策があります。物件探しから生活をスタートするまでの間に気をつけたいポイントをお伝えします。
物件には昼間だけでなく夕方も行ってみる
お部屋探しはインターネット上でおこなう方も多いのではないでしょうか。探すだけならそれでも良いのですが、防犯対策という観点からすると、物件には直接行って確認することをおすすめします。
行った際には次の点をチェックしてみましょう。
人の行き来はどの程度あるか
物件によっては、昼間は人通りや車の通行があっても、夕方以降ほとんどなくなるなど、夕方以降の周辺環境が昼間とは全く異なる所もあります。騒音を感じるくらいにぎやかでも困りますが、人通りがあることで犯罪の抑止力が働きます。
街灯はあるか、切れていないか
適切な場所に街灯がついているか、明るさは十分かどうかも大切です。また街灯があっても切れたままの状態は、犯罪者には防犯意識が低い地域と認識される可能性があります。
カーテンの柄に注意
新生活の必需品の一つにカーテンがありますが、女性の一人暮らしでは、女性が選びそうな柄はなるべく避けた方が無難です。外からでも女性が住んでいることがわかってしまい、狙われやすくなる可能性があります。
どうしても選びたいときは、外から見えない窓につけると良いでしょう。同じ理由から、女性が好みがちなデザインの物を窓辺に飾るのも控えましょう。
引越当日や立ち会いが必要な場面は一人で対応しない
アパートなどでは作業中の様子から、引っ越し先の部屋がどこか知られてしまうこともあります。引っ越してきたばかりの不安な気持ちを悪用する人もいるので、当日はできれば家族や友人の男性に手伝ってもらい、一人では対応しないようにしましょう。
引越当日だけでなく、入居にともなう作業や点検など「他人が室内に入る状況」では一人で対応しないことを意識しましょう。
ここまでは、物件を内覧する時間帯とチェックポイント、カーテンや他人が室内に入る際の注意についてお伝えしました。
では次に、実際の一人暮らしの生活における防犯対策を見ていきましょう。
玄関の防犯対策|鍵は2つ・防犯グッズを置く・覗きを防ぐ
玄関は、一人暮らしの場合に限らず、住んでいる人の姿を見ることができ、かつ外部の人間が自然に入ることのできる場所です。
ですが、一人暮らしとそうでない場合との大きな違いは、万が一、玄関で襲われたとき「助けてくれる人が室内にいない」という点でしょう。そうであるからこそ、一人暮らしにおける玄関の防犯対策はとても重要だと言えます。
鍵は2つ以上、ドア穴からの除きにも注意
犯罪者は侵入に時間がかかりそうな家を避けると言われています。そのため、鍵は1個よりも2個あったほうが犯罪対策として有効です。
鍵の取り付けには工事を要するものもありますが、賃貸物件などでは工事が許可されないこともあるでしょう。そのような場合は、穴を開けずに取り付けられる簡易補助錠が販売されているので、そちらを選ぶと良いでしょう。
鍵は素早く取り出せるように
もう玄関が見えている状況でさらに周囲を確認。安全を確認したら、早く部屋のなかに入ります。鍵を探している隙を襲われてしまう危険があるためです。そのため、鍵は素早く取り出せるようバックに入れておきましょう。
玄関にも催眠スプレーなど防犯グッズを置いておく
防犯対策として防犯ブザーなどのグッズを持ち歩いている方もいるかもしれませんね。
防犯グッズは、ぜひ玄関の手がすぐ届くところにも置いておきましょう。繰り返しますが、一人暮らしでは玄関で襲われても助けてくれる人がいません。一人暮らしだからこそ、防犯グッズは玄関や室内に備えておきましょう。
「のぞき穴」を塞ぐ、のれんをかける
玄関を開けなくても外の人を確認できる「のぞき穴」。ドアアイやドアスコープとも呼ばれているのですが、実は外から室内が覗けてしまう犯罪行為があります。ワンルームのお部屋では、室内が簡単に見られてしまいます。
この手口への対策としてドアスコープカバーを取り付ける方法があります。比較的お手軽な価格帯なうえに、おしゃれなデザインの物も販売されています。
「ドアスコープカバーをわざわざ買いたくない」という方は、室内が見えないよう玄関にのれんをかけておくのも良いでしょう。
玄関に男物のサンダルを置いておく
玄関に男性の靴をおくことで男性も住んでいるように思わせる対策法です。100円ショップなどでサイズが大きく地味な色のサンダルなどでも良いでしょう。
ただし、ずっと同じ靴だとダミーで置いていることに気づかれてしまう可能性があるため、たとえば、サンダルとスニーカーを交互に出すなどするとより安心でしょう。
室内の防犯対策|屋上からも侵入される・個人情報をばらさない・洗濯物は低い位置
狙っている人は必ず下見をすると言われています。一人暮らしをするうえでは不用心な暮らし方ではいけません。最初は面倒だと感じることがあるかもしれませんが、命を守る行動だと認識して、ぜひ取り組みましょう。
2階以上であっても鍵は必ずかける
在宅時でも必ず鍵をかけましょう。オートロックのマンションであっても、他の住人と一緒に不審者が入ることはできてしまいます。
玄関はもちろん、窓の鍵も忘れてはいけません。過去には、屋上からロープを使って降り鍵のかかっていないベランダから侵入した、近くの建物から飛び移ったというケースもあります。上層階であっても安心できないのです。
たとえ、ゴミ出しなど少しの時間であっても、鍵がかかっていなければ犯罪者は室内に容易に侵入できてしまいます。
ゴミを捨てるときは個人情報に気をつける
名前や職場名などの個人情報が書かれた紙類を、何気なく「ポイッ」と捨てていないでしょうか。
狙っている人は出されたゴミから、その人の素性や行動パターンを読み取ることがあります。個人情報が書かれた紙を捨てるときは破りましょう。シュレッダーでなくても、ハサミでバラバラに切ることができるものが販売されています。
そして、ゴミを出す際には外から個人情報が書かれたものが見えていないか確認することも大切です。レシートからも行動パターンが読み取れるので、同じく切って捨てるとより安心です。
洗濯物は室内または低い位置に
洗濯物は一人暮らしをするなかで比較的、注意が向くものかもしれませんね。安全なのは室内に干すことでしょう。
ですが、室内干しの匂いが気になり外に出したいという場合もあると思います。その場合、高さが低い物干し台を選び、外からは見えない高さに干すと良いでしょう。
なお、男性用の下着を一緒に干して防犯対策とする場合、本当に男性が生活しているのと同じくらいの数・種類を用意しないと、ダミーで干していることがすぐわかり、逆に一人暮らしであることがわかられてしまいます。
家の外の防犯対策|周囲を警戒、意味不明なマーク・エレベーター・郵便物に注意
帰宅時は自宅につくまえから周囲をチェック
玄関で襲われるということは、事前に狙われていることが多いでしょう。したがって、自宅への帰路では、ときどき周囲を見回し不審な人がいないかチェックすることが大切です。防犯の観点からも、スマートフォンの操作などに気を取られたまま歩くことは危険です。
過去の事件では、もうすぐ自宅という所で被害に遭ってしまったケースもあります。自宅への帰り道は気持ちもゆるみがちですが、念には念を入れて用心するくらいで良いでしょう。
意味不明なアルファベットや数字・マークに注意
繰り返しますが、狙っている人は下見をすると言われています。下見の際に、その家の家族構成や行動パターンを、アルファベットや数字などで残していることがあります。
これはマーキングとよばれるもので、表札やポスト・外壁などに残されます。たとえば女性を意味する「woman」から「W=女性」、「9ー18」は「9時から18時は不在」「〇=狙いやすい」といった感じです。
意味不明な印や数字などを見つけた場合には、大家さんや不動産会社に連絡をしてすぐ消しましょう。
エレベーターではボタンのまえで壁に背を向けて
エレベーターでは、できるだけ他人と二人きりになる状況は避けた方がよいでしょう。それでも乗らなければいけないときは、操作ボタンのまえで壁側に背を向けて立ちます。相手に背中を見せないように立つのです。非常ボタンの場所を確認しておくことも忘れずに。
郵便物類は「郵便局留」か「私書箱」、郵便物はため込まない
「自宅に他人が訪問する機会を減らす」という防犯対策の一つとして、郵便物や荷物は郵便局で受け取る「郵便局留」という方法があります。郵便局に取りに行く手間は生じますが、帰宅途中や職場近くなどで受け取ることができるので、便利なサービスとも言えるでしょう。宛名の書き方など詳しくは郵便局のサイトから確認することができます。
さらに、郵便物がたまっている状況は、狙っている人にとって「留守がち」と思われたり、チラシ類に紛れて個人情報が書かれた郵便物を抜き取られる危険性もあります。鍵をかけることができる郵便受けは鍵をかけて防犯対策を図り
ましょう。
頻繁に郵便物が届くときは「郵便私書箱」を利用するという方法もあります。利用できる条件や事前の申し込みが必要となるため、最寄りの郵便局で確認してみましょう。
一人暮らしの防犯対策は、ひとりでしなくてもいい
家族と離れて一人暮らしをはじめることは、楽しみだけでなく寂しかったり不安な気持ちもあることでしょう。その気持ちは、子どもに一人暮らしさせる親御さんも同じかもしれません。一人暮らしをするためには、その準備段階からはじまり実際の生活に至っても、一人でやらなければならないことが多くでてきます。
今回は、一人暮らしの防犯対策として「準備段階でできること、玄関・室内・家の外でできること」をお伝えしましたが、すべて一人ですべきことばかりではありません。ご家族ご友人の力を借りてできることもあるでしょう。
たとえば、女性が夜道を帰宅するときの防犯対策として、職場などから帰宅する際「友人や家族に帰宅予定時間を知らせる」というものがあります。万が一、事件にあったとき行動を追いやすいそうですが、帰宅したとき「いま自宅に着いたよ」と連絡を入れることで、お互いに安心感も生まれることでしょう。
安心できることや安心できる物をできるだけ多く備え、不安のある一人暮らしでも楽しく暮らせるようにしてくださいね。