冬の代表的なレジャーのひとつであるスキーは、幻想的な銀世界のなかを滑りぬける爽快感を楽しめるスポーツです。ただし、スキーをする際にはさまざまな怪我や事故に注意する必要があります。
今回ご紹介するのは、スキーやスノーボードで起こりうるトラブルの種類や怪我・事故の原因、予防策です。さらに、万一事故に合った場合、事故を起こしてしまった場合の対処法にも触れていますので、スキーに行く前にチェックしてみてください。
楽しいスキーやスノボ!でもトラブルも…
スキー場には毎年、スキーやスノボ、そりなどさまざまな雪遊びを楽しみたい方が多く集まります。スキー場で起こりやすいトラブルは大きく4つです。
怪我をする
スキーは長いスキー板に足を固定して滑ります。滑っている最中に転倒してしまうと、骨折などの大きなけがをすることもあるので危険です。
滑走中の怪我の多くは、技術不足によります。自身のレベルを把握しておらず、ハイレベルなコースを選んでしまった、技術が足りないせいでスピードが出ているなかうまく受け身を取れなかった場合に、特に怪我が起こりやすい傾向です。
怪我をさせてしまう
自身が怪我をするだけでなく、衝突などで他人に怪我をさせてしまうこともあるため注意しましょう。無茶な滑り方をしたり、注意散漫で周りを見ていなかったりすると、関係ない方を巻き込んでしまうこともあります。
楽しく滑るのは悪いことではありませんが、他の方もいるということを意識して滑ることも忘れてはいけません。
盗難に遭う
スキーの際は慣れないスキー靴やスキーウエア、手袋、ゴーグルなどを着用しており、持ち物の管理がいつもより甘くなってしまうことも。貴重品はもちろん、スキー用品を狙った盗難も意外に多く、せっかく行ったスキーで犯罪に巻き込まれてしまう可能性もあるため注意が必要です。
貴重品をはじめとしたすべての持ち物は不用意に置きっぱなしにしない、ロッカーを活用し必要のないものは持ち歩かないといった工夫をすることをおすすめします。また、車上荒らしに遭った方も少なくないため、車の防犯対策にも気を遣いましょう。
ものを落とす
持ち物を落とす、忘れてしまうという方も、スキー場には多々存在します。特に、ゴーグルや手袋、帽子などをリフトに乗っている最中に落としてしまったという方は多く、落とした場所によっては取りに行けず手元に戻ってこないことも。
ポケットにいれていたスマホを、知らないうちに雪の中に落としてしまいそのまま紛失する、ということもあるので、スマホは持ち歩かない、屋内でしか取り出さないといった対策も考えておきましょう。
スキー場での怪我の原因
スキー場では滑走中の怪我に注意が必要です。主な原因は「転倒」と「衝突」の2つ。それぞれどのような怪我を起こしやすいのか、見ていきましょう。
1万人に1人は大怪我に…
「全国スキー安全対策協議会」の報告によると、スキー場で怪我をされた方のうちおよそ0.01%、1万人に1人は大怪我をしているそうです。
これは、スキー場に怪我人として報告された人数を基にしたすうじですので、軽い捻挫や打撲などで怪我の報告をしていない方は含まれません。こうした軽症の方を含むと、さらに多くの方がスキー中に怪我をしている計算になります。
転倒
怪我の主な原因の1つが、転倒です。転倒する原因の多くは、滑走中にバランスを崩したこと。これ以外にもジャンプやトリックなど高度な技を行おうとして失敗し、転倒してしまうという方もいます。
転倒はスキーよりもスノボをしている方のほうが起こしやすく、また初心者よりも中級・上級レベルの方に多い傾向です。レベルが上がれば上がるほどさまざまな技にチャレンジしたり難関コースを滑ったりするため、転倒のリスクが高くなります。
衝突
転倒に次いで多いのが、衝突による怪我です。人と人が衝突するケースが主ですが、木などの障害物にぶつかって怪我をすることもあります。
転倒・衝突ともに軽い場合は打撲や擦り傷など、ひどくなると捻挫や靭帯損傷、骨折といった大怪我につながります。また、転倒した場所や、衝突の際の当たり所がわるいと最悪の場合死に至ることもあるため、安全には充分配慮したいところです。
怪我・事故の予防策はある?
ここからは、怪我や事故の予防策をご紹介します。楽しいはずのスキーが怪我などで台無しにならないよう、事前にできること、滑走中に注意できることなどを覚えておきましょう。
準備運動をする
転倒時の怪我を少しでも緩和させるためには、滑走前の準備運動が必須です。体が固まったまま滑るよりも、準備運動で体をほぐしてから滑った方が、怪我をしにくくなります。
小学校などでするような基本的な準備運動で、特に手首や足首をほぐし、捻挫などをしないようにしましょう。
レベルに合った場所で楽しむ
滑るのに慣れてくると、さらに上のレベルに挑戦してみたいという気持ちになるのは自然なことです。しかし、自身のレベルとあまりにも合っていないコースでは、事故のリスクがより高まります。
基本的にはレベルに合った場所で滑走し、徐々に上級コースに向かうようにしてください。また、上級コースへ行った際は決して無理をせず、より慎重に滑ることを意識することも大切です。
道具を正しく使う
スキーウェアやスキー・スノボの道具は、自身の背丈などに合ったものを選び、正しく使いましょう。また、初心者の方だけでなく、上級コースに挑戦する方もプロテクターやヘルメットなどを着用することで、大事故を防げる可能性は高まります。
日本ではスキーの際のヘルメット着用率が低く、「ヘルメットは格好悪い」という風潮もありますが、万一のことを考えれば、ビジュアルを重視するよりも命を守るヘルメットを着用することのほうが大切なのは一目瞭然です。
初心者の近くで滑らない
初心者の方は滑りが安定せず、突然転んだり思わぬ方向へ滑走したりすることがあります。初心者の近くで滑っていると、こうした予期せぬ動きに巻き込まれ、怪我をしてしまう可能性があり危険です。
初心者だな、と思う方がいたら距離をとることを心がけましょう。また、初心者の方は我流で滑るのではなく、周囲や自身の安全を考慮し、スクールに入り転び方や衝突の回避法を学ぶことをおすすめします。
休憩しながら楽しむ
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうため「時間がもったいない」と滑り続けようとする方も少なくありません。しかし、スキーは寒さのなかで重いスキー板を装着し滑走するため、思いのほか体力を消耗します。
適度に休憩を取れば疲労による転倒や事故、注意力が散漫になることなどを避けられますので、無理して長時間続けて滑らないようにしましょう。
ルール・マナーを守る
ルールやマナーを守らない人が近くにいると、周囲の人は迷惑しますし、危険に巻き込まれる可能性も高まります。スキーに行く前にはスキー場でのルール、マナーを確認することを忘れてはいけません。
決められたルールのなかで楽しみ、羽目を外しすぎないようにすることも、怪我や事故を防ぐことにつながります。
保険に加入しておく
どんな場面においても「私だけは大丈夫」ということはなく、自身が怪我をする可能性はもちろん、誰かに怪我をさせてしまう、事故を引き起こしてしまうことも想定しておく必要があります。
スキーに行く際は保険に加入し、いざというときのために備えましょう。1日だけ加入できる保険は多く存在し、保険料も数百円からです。決して払えない額ではありませんので、万一のためのお守りだと思い、必ず入ってくださいね。
万一事故に遭う・起こしてしまったら…
どんなに気を付けていても怪我をしてしまうことはありますし、誰かに怪我をさせてしまう可能性もゼロではありません。もし事故に遭ったり起こしたりしてしまったら、どういった対処をすればよいのでしょうか。
自分が怪我をした場合
転倒や衝突などで自身が怪我をした場合、意識があれば安全を確認しながらコースの端に移動しましょう。そして、どこをぶつけたか、出血はないかなど、怪我の状態を確認します。打撲やかすり傷程度で動けるようであれば、滑走に戻っても構いません。
しかし、頭部をぶつけてしまった、骨折している可能性がある痛みである、歩くことができないといった深刻な症状がある場合には、パトロールに申告し、手当てをしてもらう必要があります。
怪我をした直後は気分が高ぶっていて重賞に気づけていないこともあるため、軽症だと思っても、しばらくは無茶をせず様子を見ながら滑走するようにしてください。
怪我をさせてしまった場合
滑走中に衝突などで誰かに怪我をさせてしまったときも、まずすることは安全確認です。周囲に気を配りながら、負傷した方を安全な場所へ移動させましょう。相手が自力で歩いたりできればよいですが、人手が必要な場合は1人で解決しようとせず、周囲に助けを求めてください。
その後、意識や怪我の状態を確認し、必要に応じてパトロールを呼び、状況を伝えます。双方で話して問題がない場合には、謝罪の意を伝えてから滑走に戻るようにしましょう。
衝突・転倒している人を見かけたら
滑走中に衝突や転倒している人を見かけた場合も同様で、負傷者を安全な場所へ移動させ、状態確認、必要に応じてパトロールを呼びます。
しかし、自身のスキーのレベルや事故が起こっている場所によっては、助けたくても助けられないこともあるでしょう。無理に救助に向かい二次災害が起こっては意味がありませんので決して無理はせず、滑り切った先にあるリフト乗り場や休憩所、パトロールの詰所などに報告し、救助に行ってもらうようにしてください。
まとめ
スキーは子どもから大人までが楽しめるスポーツで、冬場には多くの方がスキーやスノボを楽しみにスキー場に集まります。事故や怪我、盗難などのトラブルを100%避けることはできませんが、極力起こさない、巻き込まれないための対策をすることは可能です。
ルールを守り、安全にスキーを満喫しましょう!