高齢者は転倒しやすい!4つの原因と、自宅でできる対策を解説

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ライターの永野です!

近距離の実家には、87歳の祖母がおります。17年ほど前に脳梗塞か何かで倒れてから半身不随で車椅子生活ですが、着替えや歯磨き、食事、トイレなど最低限のことは自分でできていました。

しかし昨年の夏にトイレに行く途中で2度転倒し、腰を骨折しまして…。退院後は「せん妄」のような症状が出るなど、いろいろと大変でした。そして現在、完全に歩くことができなくなった祖母は、人の手がなければ着替えやトイレなどができない状態です。

我が家のようにもともと半身不随だったこととは関係なく、高齢者は転倒が多いといわれています。そして、転倒によるトラブルも深刻なことが多いため、注意が必要です。今回は、高齢者の転倒について、さまざまな情報をまとめました。高齢の家族がいる方は、ぜひ日々の対策の参考にしてください。

目次

高齢者が転倒する原因

65歳以上の高齢者のうち、1年のあいだで転倒する人の割合は、自宅暮らしで2割、施設入居者で3割以上だといわれています。また、80歳以上の不慮の事故による死亡のうち、転倒は3割近くを占めるほどです。

高齢者が転倒しやすい原因は、大きく4つあります。

身体機能の低下

年齢とともに、体のさまざまな機能が衰える人は少なくありません。視力や注意力、筋力など、身体機能が低下すると、転倒のリスクが高まります。転倒につながる身体機能の低下には、以下のようなものがあります。

・筋力低下
・運動速度低下
・姿勢反射の低下
・バランス力の低下
・深部感覚の低下
・視力、聴覚の低下
・姿勢の変化 など

運動不足

加齢とともに疲れやすくなる、外出の機会が減るなどして、運動不足に陥ることもあります。日頃から体を動かさないことで前述のような身体機能の低下が起こり、転倒しやすくなる人も少なくありません。

病気・薬などの影響

病気や服薬中の薬の影響で、転倒が起こりやすくなる人もいます。パーキンソン病や脳卒中など、脳から体への指令に関わる病気は、特に転倒の確率を高めるため危険です。また、薬の副作用でめまいやふらつきなどが起こり、転倒してしまうこともあります。

生活環境

年を取っても体をよく動かし、健康に大きな問題がないという人もいます。しかし、生活環境が転倒の原因になることもあるため、健康な人も油断できません。段差や床に落ちているものにつまずく、濡れた床で滑るなど、住み慣れた自宅にもさまざまな危険が潜んでいます。

永野

いろいろな要因で転倒が起こります

参考:フランスベッド|転倒を予防するには?高齢者が転ぶ原因と場所、予防グッズを紹介
国立長寿医療研究センター|転びやすくなる原因は?

高齢者が転倒するとどうなる?

高齢者が転倒すると、大きな怪我につながる可能性が高いため危険です。ここからは、転倒によりどのような被害が及ぶのかを解説します。

挫傷・打撲傷

挫傷とは、筋肉の結合組織や筋繊維が断裂を起こし、痛みが発生する損傷です。「肉離れ」といえば、わかる方も多いのではないでしょうか。打撲はぶつけたことなどにより、結合組織やも委細欠陥が挫滅し、出血した状態をいいます。

後述する骨折や頭部外傷と比べれば、挫傷や打撲は「軽症」かもしれません。しかし、転倒により肉離れやひどい打撲をしてしまうと、動くのも辛いほどの痛みを伴うこともあります。

骨折

年を重ねると、骨粗しょう症になる人も少なくありません。これは、骨密度の低下により骨がもろくなり、折れやすくなってしまうもので、骨粗しょう症の人は、転倒により骨折するリスクが高まります。骨折により入院し、その後いままで通りの生活が困難になり、介護が必要になるケースも多いです。

ちなみに、高齢になると転倒だけでなく、つまずく、ぶつけるという軽い衝撃でも骨折することがあります。筆者の義母は以前、ベランダに出る段差につまずき、転倒はしなかったものの足の指を骨折しましたので、少しの段差にも注意が必要です。

永野

骨折が起こる可能性は低くないので注意!

頭部外傷

頭部外傷とは、何らかの外力により頭蓋骨や頭部の軟部組織、頭蓋内に損傷が起こることです。転倒が「何らかの外力」となり、頭部にさまざまな影響を及ぼす可能性も、ゼロではありません。

頭をぶつけてこぶができた場合は、「軽度な頭部外傷」となります。しかし、打ち所が悪いと頭蓋内で出血したり頭蓋骨を損傷したりと、命に関わることもあるため危険です。

参考:新百合ヶ丘総合病院|頭部外傷について
ケアコム|高齢者で転倒しやすい人の特徴とは?繰り返す原因や転倒予防の対策を解説

転倒は自宅で多発!自宅内でできる転倒防止策

若い世代が「転倒」と聞くと、運動中や外出中をイメージするかもしれません。しかし、高齢者の転倒は普段生活する自宅で起こることも多いため、自宅内での転倒対策が求められます。自宅内ではどのような転倒対策をすればよいのか、場所ごとに見ていきましょう。

玄関

玄関では靴の脱ぎ履きの際に転倒する可能性があります。手すりや椅子を設置すると、つかまったり座ったりしての着脱ができ安全です。また、玄関マットを踏んだときにずれてしまいすべって転倒することもあるため、玄関マットは滑り止めをして固定しましょう。

「上がりまち(玄関の段差)」が高い場合は、大きく足を上げたときに後ろにひっくり返ってしまうかもしれません。踏み台などで1段低めの段差を作ってあげると、安全に上がれます。

廊下・階段

廊下や階段にも手すりがあると、つかまって移動できるので転倒リスクが軽減できます。低い場所にものがあると気づかずつまずくことがあるので、廊下・階段にはものを置かないことも徹底しましょう。また、高齢者が自宅内を移動する際は、滑りやすいスリッパや靴下を脱いでおくのがおすすめです。

トイレなどで夜間に起きることも考慮し、廊下や階段には足元を照らせる照明があると、より安全だといえます。さらに階段には滑り止めをつけておくと、昇降時に転落しにくいでしょう。

リビング

家族が集まるリビングはものが多くなりがちですが、床にものを置くと転倒しやすいので注意しましょう。また、カーペットやこたつ布団、1~2センチの段差など、わずかな引っかかりが転倒の元になる可能性もあります。カーペットは敷かないか滑り止めをつける、段差にスロープをつけるなどすると安心です。

テレビや電子機器のコードも足を引っかけやすいので、できるだけ近くのプラグを使う、プラグが遠い場合は部屋の隅を這わせるなどの工夫をしましょう。

寝室

寝室も、リビング同様転倒リスクがあるものは置かないことが大切です。また、ベッドを利用している場合はベッドからの転倒防止のために壁に面した場所に置く、壁のない面にはベッドガードをつけるなどして対策をしてください。

ベッドは低めのものを選ぶと、万一転落したときにも衝撃を緩和できます。

浴室

服を脱ぐときにバランスを崩す、床が濡れていて滑るなど、浴室周辺は転倒の危険が多いといえます。脱衣所には椅子を置いて着替えは座って行う、入り口の段差を小さくする、浴室内は手すりをつけ滑り止めマットを敷くなどして対策しましょう。

浴槽への出入りで転倒することもあるので、浴槽用の手すりや浴槽台、「バスボード」と呼ばれる回転する台などを使うのもおすすめです。

トイレ

トイレにも手すりがあると、転倒防止に役立ちます。また、入り口に段差がある場合はスロープで段差をなくすと、つまずきや転倒を軽減できるでしょう。夜間のトイレは、脳が覚醒していない状態で移動するのでさらに危険です。

入り口付近にセンサーライトをつけて足元を照らすなどの対策も有効ですが、高齢者の体の状態によっては、夜間のみベッド横にポータブルトイレを設置して利用してもらうなどすると、移動時の転倒の不安がなくなります。

永野

ちょっとした工夫で住みやすい環境を!

参考:政府広報オンライン|たった一度の転倒で寝たきりになることも。転倒事故の起こりやすい箇所は?

高齢者が転倒したときの対処法

注意をして生活したり、対策をしたりしても、転倒してしまう可能性はゼロではありません。最後に、高齢者がもし転倒してしまった場合の対処法を解説します。

起こす

高齢者が体を起こせる状態であれば、まずは苦しくない姿勢に戻してあげましょう。自分で動ける場合は、次の手順で起こします。

1,椅子を持ってくる(肘置きがあるとよい)
2,体を起こす
3,四つん這いの姿勢にする
4,肘置きにつかまってもらう
5,骨盤を持って補助しながら上体を起こす
6.まっすぐ立たせる

立ったり体を起こしたりするのが難しい、痛がる場合は、無理に動かさないようにしましょう。うつ伏せから仰向けなど、苦しくない姿勢に直せる場合は可能な範囲で対処するとよいでしょうが、迷ったら「119」に連絡して指示を仰ぐのも1つの方法です。

状態や経過の観察

転倒により怪我をしていないか、重篤な症状がないかを観察しましょう。擦り傷や打撲などは見た目でわかりますが、頭蓋内の損傷や骨折などはわからないこともあります。以下の観察項目を参考に、状態をチェックしてください。

・意識障害はないか
・けいれんはないか
・頭痛や吐き気はないか
・嘔吐していないか
・頭部外傷はないか
・全身外傷はないか
・神経症状(しびれ、ふらつき、しゃべりにくい)はないか
・疼痛や腫脹、熱感はないか
・抗凝固剤は使用していないか

明らかな異変が見られた場合は、ただちに119番通報して医療機関を受診しましょう。

医療機関の受診

重症の場合は救急車で医療機関に向かいますが、特に大きな怪我や症状が見られないときも、念のため医療機関を受診してください。何科に行けばよいかわからない場合は救急相談センター「#7199」に問い合わせると、症状に合ったアドバイスがもらえます。

参考:総務省消防庁|救急安心センター事業をもっと詳しく!

高齢者の転倒はその後も大変!事前の対策で転倒を予防しよう

高齢者は転倒しやすく、転倒が原因で大きな怪我や病気を引き起こすこともあります。しかし、生活のなかでできる対策を施せば、環境要因による転倒の軽減が可能です。

高齢者自身の運動不足解消が、転倒を予防することもできます。元気に長生きすることは、本人にとっても家族にとっても大切なこと。ぜひ日頃からできる対策で、快適に過ごせる環境を用意してみてください。

編集後記

高齢者の転倒について調べていて、ふと「最近私、いつ転んだっけ」と考えました。記憶にあるような激しい転倒は、ここ数年していないような気がします。

在宅ワークと車社会のせいで、絵に描いたような運動不足だと自覚したのはここ最近。夏休みに子どもと全力ラジオ体操をした翌日に激しい筋肉痛に襲われ、さすがに危機感を覚えました。それからほぼ毎日15分のストレッチをするようになり、肩こりや頭痛が軽減。体重も1キロほど減り、運動不足が解消されたかは定かではありませんが、「あ~、体動かすの気持ちいい~」と、楽しく続けられています。

ストレッチで転倒を軽減できるかはわかりませんが、「体が柔らかければ転んでも激しい怪我をする可能性は低い」と勝手に思っているので、これからも続けていきたいです。また、妊娠中に骨粗しょう症気味といわれたので、転倒による骨折を避けるためにも、カルシウムと鉄分を摂りながら生きていこうと思いました。

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語教師を経て2018年よりライターに転身。子どもと学べる防災に関心を持ち、日々災害や備えについて勉強中。
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