ライターの永野です!
我が家の前には小さな川が流れており、その影響もあってか毎年蜂が巣を作りにきます。巣が小さい段階で見つけた場合は、都度ハチ専用の殺虫剤で対処しているのですが、気づいたときには割と大きな巣になっていることも少なくありません。
蜂のピークは夏というイメージが強く、実際9月に入ってから巣を作られることはないものの、先日玄関先の掃除をしていたら、我が家の近くでよく見かけるものよりもはるかに大きな蜂が飛んでいました…。恐ろしい限りです。
スズメバチだったと思います…
「秋 蜂」で調べたところさまざまな情報が見つかりましたので、今回は秋の蜂についてまとめました。蜂の活動サイクルや巣を見つけた場合の対処法なども確認し、蜂から安全に身を守りましょう。
蜂の活動サイクルを見てみよう
まずは、蜂がどのようなサイクルで活動しているのかを見てみましょう。ここではアシナガバチを例に解説しますが、スズメバチもだいたい同じです。ミツバチは女王蜂以外も越冬できるため、アシナガバチ、スズメバチとはやや異なる点もあります。
【春】冬眠から目覚めた女王蜂が活動を開始
冬から春になり気温が高くなると、冬眠していた女王蜂が目覚め、活動を始めます。女王蜂は1匹で巣を作って産卵し、多くの働き蜂を作り出すのです。
冬眠を終えた女王蜂は空腹ですが、アシナガバチは生まれた巣を記憶しています。巣作りの前には古い巣に戻り、蓄えてあった花の蜜などで栄養を摂るようです。
【夏】働き蜂が最も増える
6月頃になると、女王蜂がはじめに産んだ卵が孵化し、働き蜂が産まれます。働き蜂は20日前後で幼虫から成虫になりますが、このあいだも女王蜂は幼虫を育てながらも産卵を続け、働き蜂をどんどん増やすのです。
7月に入ると成虫となった働き蜂が巣作りや子育てをするようになり、女王蜂は巣のなかで産卵だけを行います。幼虫が増えると、多くのエサが必要になりますし、巣も拡大しなければなりません。エサや巣作りのための材料を集めるために、外に出る回数や数が増えるため、夏はアシナガバチに遭遇しやすくなります。
【秋】新たな女王蜂が誕生する
9月、10月頃になると、新たな女王蜂と雄蜂が産まれ、繁殖を行います。繁殖は巣のなかではなく飛びながら行うので、秋には働き蜂よりもやや大きな女王蜂を見かける機会が増えるかもしれません。
繁殖を済ませると、女王蜂は冬を越すための越冬準備を始めます。暖かな場所を求める女王蜂が洗濯物や靴のなかに紛れ込み、気づかず刺されることもあるため注意が必要です。
女王蜂は1つの巣に1匹しかいないため、働き蜂ほど頻繁に遭遇することはないでしょうが、多くの蜂の巣がある場所では、巣の数だけ女王蜂が存在するといえます。ちなみに、雄蜂は繁殖のためだけに存在するようなもの。役目を終えると、冬を越さずに死んでしまいます。
雄は死んでしまう…切ない!
【冬】死滅と越冬
気温が下がり冬になると、旧女王蜂と働き蜂は死んでしまいます。冬を越せるのは、越冬準備をしている新女王蜂だけです。
女王蜂は秋頃に産まれ、新女王蜂が誕生し寒さに耐えられなくなるまで、およそ1年ほど生きますが、働き蜂の寿命は1~3ヵ月ほどといわれています。しかし、一部のアシナガバチは、働き蜂も女王蜂と一緒に集団で越冬するそうです。
参考:ハチの寿命はどのくらい?家の近くのハチはいつ死にますか?
蜂の季節は夏?秋?危険な時期は種類で違う!
「蜂が最も危険な季節は?」と問われた場合、いつを思い浮かべるでしょうか。筆者は、活動が盛んで見かける機会の多い夏だと答えますが、実は危険な時期は蜂の種類によって異なります。
調べてみると、最も穏やかそうな印象のミツバチが、実は危険な時期が長いことがわかりました。
夏はアシナガバチが最も危険
全国で蜂の駆除を行っている「ハチ110番」のコラムによると、アシナガバチの攻撃性が高まるのは、7月前後だそうです。夏は巣の最盛期ともいえる時期で、働き蜂は仲間や巣を守ろうするため、攻撃性は最高潮に達します。
この時期に巣に近づいたり壊そうとしたりすると、大量の働き蜂に一斉攻撃されることもあるため、大変危険です。
秋はスズメバチに注意!
スズメバチの活動サイクルは基本的にアシナガバチと同じですので、巣のピークである夏場も危険性があります。しかし、スズメバチに特に注意したいのは夏ではなく秋です。
秋になると、だんだんスズメバチの栄養になるものが減ってくるので、スズメバチは必死にエサを探さなければなりません。また、秋は新たに誕生した女王蜂を守ることも必要です。種の存続がかかっているこの時期、スズメバチは最も危険性が高まるため注意しましょう。
スズメバチ各種の活動期間
スズメバチといっても、種類によって活動時期は異なります。日本で主に見かける4種類の活動時期、危険が高まる時期は、以下の通りです。
オオスズメバチ | コガタスズメバチ | ヒメスズメバチ | キイロスズメバチ | |
---|---|---|---|---|
活動期間 | 4月~10月半ば | 5~10月 | 6~9月 | 5~11月 |
最も危険! | 8~10月 | 7~10月 | 8~9月 | 7~10月 |
ヒメスズメバチを除いては、10月頃まで危険性が高いことがわかります。
ミツバチは秋だけでなく冬も攻撃性あり
主に新女王蜂のみが越冬するアシナガバチ、スズメバチとは異なり、ミツバチは働き蜂も含め、巣ごと越冬します。あまり攻撃性が高くないイメージもあるミツバチですが、越冬準備が必要な秋、10~11月頃は攻撃的になりがちです。
また、越冬直後の2~3月も攻撃性は高まっていますし、越冬中も巣を刺激すれば攻撃をしてくる可能性があります。ミツバチは大人しい反面、刺激すれば危険な時期が長いことも、覚えておきましょう。
参考:蜂の活動時期|スズメバチ・アシナガバチの危険な季節と巣作り対策に最適な期間
夏から秋にかけての蜂の時期に注意したいポイント
蜂は種類によって危険な時期が異なりますが、夏から秋にかけてはどの蜂も数が多くなるので、危険のないように過ごしたいところです。蜂の時期に生活のなかで注意したいポイントは、大きく4点あります。
刺激を与えなければ刺される可能性は低い
蜂に遭遇したら絶対に刺されるというわけではないことは、多くの方が理解していると思います。巣に近づいたり、活動している蜂を攻撃したりすると蜂も巣や身を守るために刺してくるので、蜂や蜂の巣を見かけても近づかない、触れないのがベストです。また、近くを飛んでいても大声を出したり手で振り払ったりするのは避けましょう。
ちなみに、「蜂は1度刺したら自分も死んでしまう」という理由から滅多に刺してこないと思われがちですが、実は刺したあとに死んでしまうのはミツバチだけで、そのミツバチですら100%死んでしまうことはありません。ミツバチの針は刺すと抜けづらい構造となっているため、抜くときに器官がちぎれてしまうのが、「1度刺したら死ぬ」ことが多い理由です。
民家などに多く巣を作るアシナガバチやスズメバチは、危険を感じたら容赦なく刺してくる可能性が高いので、刺激を与えないようにしましょう。
肌の露出や黒っぽい服はNG
蜂は色に反応して攻撃してくることもあります。黒色を見ると攻撃的になるので、夏場に蜂が多く出そうな場所へ行くときは、黒っぽい服装は避けましょう。靴や持ち物もできるだけ白系の淡い色のものを選び、髪が黒い人は帽子やタオルなどで隠すのがおすすめです。
また、もし刺されてしまったときの被害を最小限に抑えられるよう、肌の露出は控えましょう。そもそも山や森などでアウトドアを楽しむ場合は、蜂だけでなくさまざまな刺激や危険から身を守るために、長袖長ズボンで行くのが無難です。
自宅などに蜂の巣がある場合も、近くで作業をしなければいけないときには、黒い服装や肌の露出は控えてください。
駆除、応急処置のアイテムを用意する
何もしてこない蜂に攻撃を仕掛ける必要はありませんが、もしものときに身を守れるアイテムも、持っておくと安心です。自宅付近に蜂が出やすい場合は、蜂用の殺虫剤や蜂に刺されたときの応急処置用品などを常備しておくとよいでしょう。
また、アウトドアに出かける場合も、虫除けスプレーや応急処置セットに加えて、蜂対策のグッズも持って行くことをおすすめします。応急処置に何を使うとよいかわからなかったので調べたところ、「ポイズンリムーバー」という商品を見つけました。
製造メーカーによってデザインや価格は違いますが、これは虫に刺されたときに傷口から毒を吸い出す器具で、症状の軽減に貢献します。蜂だけでなく、ブヨやアブ、蚊など、さまざまな虫刺されに使えるようです。楽天市場にいろいろなポイズンリムーバーがありましたので、こちらもご参照ください。
また、抗ヒスタミン成分などの入った虫刺され用の軟膏も、一緒に用意しておきましょう。
蜂に刺されてしまったらどうする?
注意していても蜂に刺されてしまった場合には、以下の手順で対処しましょう。
①巣の近くから離れる
②毒を絞り出すように傷口周囲を圧迫しながら傷口を流水で洗う
③傷口に虫刺され用の薬をぬる
④安静にして傷口周囲を冷やす
傷口に尿をかけるのは絶対NG!
刺されたところの炎症や痛み、かゆみがひどい場合、体調不良を引き起こした場合などは、医療機関を受診してください。アナフィラキシーショックの場合は、刺されてから30分以内にショック状態となり、意識を失ったり呼吸困難になったりすることもあります。最悪の場合は命を落とすこともあるので、明らかな以上が見られたらすぐに救急車を呼びましょう。
自宅や周辺に蜂の巣を見つけたら…
蜂が飛んでいても刺激をしなければ問題ありませんが、もし自宅や近所に巣があるのを見つけたら…。何もしない可能性が高いとはいえ、不安になりますよね。
かくいう私も自宅の玄関付近に巣を作られたことが3回ほどあり、気づいていないあいだは平気で生活していたのに、知ってしまうと玄関を突破するのに毎回命がけでした(虫は全般苦手です)。
もし蜂の巣を見つけた場合は、どうすればよいのでしょうか。種類ごとの対処法を、ご紹介します。
アシナガバチの場合
よく見かける、作られる蜂の巣というと、恐らくアシナガバチの巣ではないでしょうか。アシナガバチの場合、雨風がしのげる軒下などに巣を作るケースが多いです。我が家では、シャッターを下ろしたらゴルフボール大の作りかけの蜂の巣がコンニチハしたことがありますし、ここ2年くらいはエアコンの室外機を頻繁に巣にされています…。
蜂の巣があることに気がつくと心配にもなりますが、日常生活に支障がない場所にある巣は、基本的にそっとしておけば、アシナガバチも攻撃してきません。しかし、そのままにしておけば巣は大きくなっていくので、危険を感じたら早めに駆除業者に相談しましょう。小さな巣でも、玄関など生活でよく使う場所の近くにある場合は、攻撃される可能性も高くなるので、早めの相談がおすすめです。
スズメバチの場合
スズメバチの巣は、放っておくと非常に大きくなります。アシナガバチよりも攻撃性が高く、何もしなくても近くを通るだけで襲ってくる可能性も高いので、見つけたらすぐに自治体や保健所に相談してください。
巣に近づく、刺激をするなどしなければむやみに刺しに来る可能性は低いので、駆除されるまでは不安かもしれませんが、そっとしておきましょう。
ミツバチの場合
筆者の住んでいる地域は主にアシナガバチしか見かけないため、「ミツバチが民家に巣を作ることはないのでは」と思っていました。しかし、ミツバチも民家に巣を作ることがあり、屋根裏や壁と壁のあいだの狭い場所などに巣を作られると、大型化してしまう危険性があるので、巣を作っているとわかったら、早めに駆除業者に相談しましょう。
ほかにも、ミツバチは木の枝などに無数に群がることがあります。これは「ぶんぽう」といい、巣を作っているわけではありません。そっとしておけば数時間から数日でいなくなりますし、刺激をしなければ危険性も少ないといえます。しかし、群がっている場所によっては生活に支障を来すことがあるので、困ったときには駆除業者に連絡し、対処してもらうとよいでしょう。
自分で巣を駆除してもよい?
蜂の巣の大きさや、巣が作られている場所によっては「自分でなんとかできるのでは」と思う方もいるでしょう。実際、蜂を瞬殺できるスプレーも販売されていますし、業者に頼まず自分で駆除する人も少なくありません。
しかし、巣が小さいから、蜂の数が少ないから必ずしも安全ではありませんし、巣の場所によっては刺されなくても駆除の最中に怪我をする可能性もあります。もし自分で駆除する場合も、服装や駆除に必要なアイテムをそろえ、順序をしっかりと理解したうえで、蜂の活動時間も考慮しながら作業をしてください。
我が家では、小さな巣なら自分や夫でなんとかしています。しかし、自分での駆除は胸を張っておすすめできる方法ではないので、本記事では詳しい駆除の方法については説明しません。蜂の巣の駆除は家族や知識のある方などと相談し、最も安全だと思う方法を選択しましょう。
刺されないのがいちばん!
蜂の季節は長い!夏だけでなく秋も注意して過ごそう
蜂は種類によって活動サイクルが異なり、夏だけでなく秋も攻撃性が高まるため危険なことがわかりました。とはいえ近づいたり刺激したりしなければ刺される可能性は低いといえます。蜂や蜂の巣を見つけても慌てず、冷静な行動を心がけましょう。
編集後記
幼稚園の頃に、同級生が「ズボンのなかにいた蜂に気がつかずそのまま履き、ソファに座ったらお尻を蜂に刺された」という理由で欠席をしたことがあります。恐らくですが、越冬に向けて暖かい場所を探していた女王蜂だったのだろうなと、今回いろいろと調べるなかで思いました。
いろいろなところに巣を作る蜂ですが、私がいちばんびっくりしたのは実家の玄関先にある置物のなかに巣を作っていたときです。大きなたぬきの置物の背中側にある穴を主な出入り口にしていたため気がつきませんでしたが、ある日たぬきの口から蜂が出てきて事態が発覚。口から蜂、というのはなかなか気分の悪い光景でした(笑)。
さらに余談ですが、室外機のなかに巣を作った蜂は、エアコン稼働シーズンに突入すると風圧でなかなか巣に帰れなくなります。跳ね返されながらもなんとか巣に戻っていく蜂の姿を見ながら、「来年は巣を作られる前に殺虫剤をまいておこう」と心に誓うのでした。