地震は冬に多い?3つのデータを検証したら意外な結果に

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2023年はとても暑い夏でしたが、10月になって間もなく富士山の初冠雪が報じられました。

宮城県に住む筆者は「今度は冬への備えが必要だなあ・・・」と思うとともに、東日本大震災において雪が降る寒いなか、外で津波が迫ってくる様子を目の当たりにしたことを思い出すのです。

そして、震災以降も2021年2月・翌年2022年3月と震度6強の地震を観測しており、「冬になると地震が多いのかなあ」と思うことがあります。

そこで今回、「地震は冬に多いのか?」という仮説をたてて検証したところ、意外な結果になったのです。

地震はいつでもおきてほしくありませんが、傾向があるなら知りたいですよね・・・。

今回はそのような疑問を解決しましょう!

目次

本当に地震は冬に多いのか?検証に用いた3つのデータ

今回は、次の3つのデータをもとに「地震は冬に多いのか?」について検証しました。

【1】日本で直近10年に発生した地震 
 データ出典:気象庁「●過去 10 年間(2013 年~2022 年)の最大震度別の月別地震回数」

【2】明治時代以降に発生した“60”の地震
 データ出典:環境省 生物多様性センター『平成23年度 第1回人と自然との共生懇談会』より「日本の主な地震災害一覧(近世以降)」資料3-1

【3】世界で発生した地震(2022年)
 データ出典:気象庁「●令和4年(2022 年)の世界の主な地震」 

春夏秋冬は気象庁の区分を採用

そして、地震発生の季節(春夏秋冬)は、気象庁の区分をもとに次の通りとします。

  • 春=3月~5月
  • 夏=6月~8月
  • 秋=9月~11月
  • 冬=12月~2月

それでは、1つ目のデータから見ていきましょう。

日本で直近10年間に発生した地震

まずは、気象庁が提供する「2013年~2022年に発生した地震(震度1~震度7)の月別回数」です。

出典:気象庁「●過去 10 年間(2013 年~2022 年)の最大震度別の月別地震回数」令和4年12月地震・火山月報(防災編)https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/gaikyo/monthly/202212/2013-2022_tsukibetsu_kaisuu.pdf

集計は各年で「もっとも地震が多かった月」をピックアップし、次にそれを季節ごとに分類・合計数をだしています。

【データ出典元】気象庁「●過去 10 年間(2013 年~2022 年)の最大震度別の月別地震回数」令和4年12月地震・火山月報(防災編)

春がもっとも多い 

結果はご覧のとおり、もっとも多かった季節は「春(3月~5月)」です。

   季節その季節に地震がもっとも多かった年
春(3月~5月)2013年・2016年・2020年・2022年
夏(6月~8月)2017年・2019年
秋(9月~11月)2014年・2018年
冬(12月~2月)2015年・2021年
【データ出典元】をもとに筆者作成

この10年間には、2016年4月14日・16日発生の熊本地震もふくまれています。

4月|熊本地震1ヶ月で3,000回以上発生

各年ごとの「もっとも地震が多かった月」および「その月の地震発生回数」は、次のとおりです。

やはり、2016年の熊本地震がほかの年と比べてはるかに多く、1か月で3,000回以上の地震が発生しています。

発生年もっとも地震が多かった月もっとも地震が多かった月の「地震発生回数(震度1~震度7)」
2013年4月272回
2014年11月267回
2015年12月178回
2016年4月3,146回
2017年6月218回
2018年11月201回
2019年6月185回
2020年5月213回
2021年12月474回
2022年3月273回
【データ出典元】をもとに筆者作成

明治時代以降に発生した地震

次に、検証したのは『明治時代以降に発生した地震』です。

出典:生物多様性センター「日本の主な地震災害一覧(近世以降)」資料3-1
https://www.biodic.go.jp/biodiversity/activity/policy/kyosei/23-1/files/3-1-2.pdf

検証につかったデータには、1586年(天正13年)発生の地震から掲載されています。

ここではその中から、明治時代以降に発生した地震(60)を抜き出して、その発生月を割り出しました。

【データ出典元】環境省 生物多様性センター『平成23年度 第1回人と自然との共生懇談会』より「日本の主な地震災害一覧(近世以降)」資料3-1

夏がもっとも多い

その結果、もっとも地震が多かった季節は「夏(6月~8月)」になりました。

  季節その季節に発生した地震の
合計数
春(3月~5月)16
夏(6月~8月)19
秋(9月~11月)12
冬(12月~2月)13
【データ出典元】をもとに筆者作成

6月|東北地方で発生した2つの地震

明治・昭和時代と東北地方では、6月に2つの地震が発生しています。

まず、三陸沿岸を中心におよそ22,000人が亡くなった「明治三陸地震津波(マグニチュード8.2)」は1896(明治29)年6月15日に発生しています。

そして、1978(昭和53)年6月12日には13万棟以上の住宅が被災し、ブロック塀の倒壊による犠牲者が目立った宮城県沖地震※本サイト内関連記事(マグニチュード7.4)がおきています。

2022年に世界で発生した地震

最後に検証するのは「2022(令和4)年に世界で発生した地震」です。

出典:気象庁「表1 2022年に世界で発生したマグニチュード7.0以上または人的被害を伴った地震の震源要素等」https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/gaikyo/monthly/202212/202212nen_sekai_jishin.pdf

使用したデータには「マグニチュード7.0以上および死者が100人以上」となった43の地震があります。

これらの地震を発生月ごとに集計しました。

【データ出典元】気象庁|●令和4年(2022 年)の世界の主な地震

秋がもっとも多い 

結果はご覧のとおり、「秋(9月~11月)」がほかの季節よりもはるかに多くなっています。

   季節その季節に発生した地震の
合計数
春(3月~5月)7
夏(6月~8月)8
秋(9月~11月)20
冬(12月~2月)8
【データ出典元】をもとに筆者作成

11月|インドネシア・ジャワ島で300人以上が犠牲に

2022年11月21日にはインドネシアのジャワ島でマグニチュード5.6の地震が発生し、334人が亡くなるなど大きな被害が生じています。

このほか、11月にはトルコやネパールなどでも地震が発生しました。

まとめ|3つのデータではそれぞれ「春・夏・秋」に多かった

今回は「地震は冬に多いのか?」という疑問について、3つのデータをもとに検証しました。

結果は次のとおりです。

    検証した地震地震がもっとも多かった季節
日本で直近10年間に発生した地震「春(3月~5月)」
明治時代以降に発生した地震「夏(6月~8月)」
2022年に“世界”で発生した地震 「秋(9月~11月)」

意外にも、季節は春夏秋とデータごとに分れました。

したがって、今回の検証に限って言えば、地震は冬に多いとは限らないことがわかります。

地震はいつおこるか分かりません。まずは家具の配置の見直しや携帯トイレなどの備蓄、そして避難場所の確認といった基本的な対策が必要でしょう。

そのうえで、春夏には暑さ・秋冬には寒さ対策といった『季節に応じた備え』をすすめていきましょう!

【参考文献】
*NHK放送文化研究所「放送での四季(春夏秋冬)の区分は?」
*内閣府防災情報のページ「報告書(1896 明治三陸地震津波)」
*YAHOO!JAPAN天気・災害「明治三陸地震(1896年)」
*YAHOO!JAPAN天気・災害「宮城県沖地震(1978年)」
*気象庁|●特集.2022 年 11 月 21 日 インドネシア、ジャワの地震
*仙台管区気象台|2021年(令和3年)の東北地方の主な地震活動
*気象庁|東北地方の主な地震活動

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(以上)

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
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