ライターの永野です。
我が家の目の前は川なのですが、その影響なのか毎年蜂がめちゃくちゃ巣を作りに来ます。今年も例外ではなく、去年に引き続きエアコンの室外機のなかにも巣が…。ファンが回っていると風圧で戻れないらしく、室外機周辺を蜂がうろついている時期がありました。
室外機内の巣は、7月に無事に駆除できたのですが、8月に入ってからやたら玄関付近に蜂が出没するようになり、注意して見てみるとなんと雨樋と玄関ポーチ部分の屋根?のすき間にほっそ長い巣を発見。何度か玄関から手を伸ばして殺虫剤をかけましたが、巣には届かないようで蜂が戻ってきてしまい、最終的に夫が夜に殺虫剤を直接噴射して退治しました。
アシナガバチはよっぽど攻撃をしないと襲ってくることはないですが、「そこに巣がある」と気づいてしまうと玄関の出入りも怖くなってしまいますよね。しかも可哀想なことに、玄関先で育てていた長男のミニトマトに殺虫剤がかかったようで、葉っぱが枯れてしまいました。
まさかかかるとは思っていませんでしたが、きちんと対策をしなかったことを非常に反省しております。
そんなこんなしているうちに、子どもたちの夏休みも終盤。季節も夏から秋に変わっていきますが、最近は10月でも驚くほど暑い日があったり、逆にびっくりするぐらい急に冷え込んだりと、「異常気象」としかいいようのない気候続きで不安にもなります。
今回は、そんな「天気」に関するお仕事、気象予報士をテーマに、仕事内容や気象予報士になるための試験の難易度や費用相場などを解説します。
気象予報士とは?仕事の内容や年収、就職先を知ろう
まずは、気象予報士とはどのような仕事か、就職先や年収、資格を取得するメリットなどを確認しましょう。
気象予報士とは
気象予報士は、気象関連の情報を提供する専門的な職業です。その名の通り、気象予報(天気予報)が主な仕事ですが、メディアで気象関連の話題を提供することもあります。
気象の予報に用いられるのは、気象庁提供の気象衛星画像、気象レーダーのデータ、気象台などでの観測データなど、さまざまです。気象予報士は集まった情報をもとに、未来に起こる気象現象を予想し、その結果をネットやメディアで発表します。
資格取得のメリット
後述しますが、気象予報士は資格取得が難しく、簡単に合格できるものではありません。そんな気象予報士の資格を持っていると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
最大のメリットは、生涯有効の資格であるということです。気象予報士は一度資格を取得すれば、定期的な更新などは不要。履歴書の資格欄にも書きやすく、気象関連の企業や団体への就職はもちろん、さまざまな業界への就職・転職の際にもアピールでき、話題にもなります。難易度の高い珍しい資格を取得していれば、企業からの評価や印象もアップするのではないでしょうか。
また、高難易度の資格試験は「大学卒業以上」「専門的な仕事に一定年数従事していること」など、受験資格を設けているケースも少なくありませんが、気象予報士は、誰でも受験できます。性別・年齢・職業などを一切問わないので、興味を持って勉強すれば子どもでも受験可能です。ちなみに、2020年時点では、小学校6年生の11歳が最年少の取得者となっています。
反対に、年齢を重ねてから挑むこともできるので、気象関連の仕事に興味を持って転職したいと思ったら、気象予報士資格を取得すると転職に有利です。2023年の試験では、77歳の男性が合格しており、「老後の楽しみ」として勉強をして挑戦する方もいることがわかりますね。
試験勉強をしていれば、もちろん気象関連の専門知識が身につきます。気象予報士試験では、化学や物理などの基礎知識も求められるので、幅広い「学び」が得られるのも、気象予報士資格を取得するメリットです。資格勉強のなかで、日常生活にも役立つ天気の知識も得られるので、一石二鳥でしょう。
気象予報士の就職先
気象予報士資格を取得していると、気象関連のさまざまな場所で働けます。公的機関だと、気象庁はもちろん、防衛省にも気象予報士は存在します。ほかにも、日本気象協会や民間気象会社、地方自治体付属の機関などにも就職可能です。
気象予報士としてキャリアを積み、独立・開業してメディアに多数出演する方もいます。なかには「お天気キャスター」としてだけではなく、さまざまな番組に出演してタレント業を行っている気象予報士の方もいるようです。
気象予報士の年収
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、気象予報士の平均年収は、全国平均584.4万円。新卒の初任給は公務員・民間に関わらず年収300万円台でした。所属先や雇用形態、勤務年数などにより年収は大きく変わってきますが、正規雇用の場合は400~650万円ぐらいの方が多い傾向です。
気象予報士は、契約社員・派遣社員などの非正規雇用を募集しているケースも多く、この場合は年収300~500万円が平均となります。国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」では、正社員は508万円、非正社員は198万円が平均年収と発表されているので、特別な資格がある気象予報士は、非正規雇用でも収入は「多いほう」だといえるでしょう。
気象予報士になるには試験が必須!難易度や合格率は
気象予報士として働くには、気象予報士資格が欠かせません。国家資格の1つである気象予報士資格の取得は、どれくらいの難易度や合格率なのでしょうか。
気象予報士試験の概要
気象予報士の資格試験は、気象業務法に基づき、気象業務支援センターが実施しています。例年、1月下旬と8月下旬の年2回実施され、試験会場は東京都・大阪府のほか、北海道・宮城県・福岡県・沖縄県の全6ヵ所に設置。試験を受ける場所は、希望・選択できます。
試験は学科試験と実技試験の大きく2つです。学科試験は「一般知識」と「専門知識」をマークシートで解答します。一方の実技試験は記述形式で、局地的な気象の予報や、台風などの緊急時における対応などが問われます。
気象予報士試験の難易度
気象予報士試験は、難易度が高い資格試験の1つに挙げられることも多いです。試験内容が難しいことはもちろん、ほかの国家資格と比較しても「難易度が高い」といわれています。
試験は一般試験・専門知識ともに15問出題され、正答率70%以上が合格基準です。実技試験も同様に、正答率が70%以上が求められます。しかし、これは「目安」であり、必ずしも70%正解したからといって合格になるわけではありません。その年の得点率や試験の難易度によって合格基準は前後することもありますので、8割以上正解していれば安心です。
気象予報士試験の合格率
高難易度の気象予報士試験の合格率は、5%前後。100人受験したら、5人くらいしか合格しない計算です。令和3年度の1月に実施された試験は合格率4.2%、平成28年には4.1%のときもあり、ここ数年のあいだに実施された試験で最も合格率が高かったときも、5.8%と、決して「合格率が高い試験」だとはいえません。
試験の受験者は毎回2,900名程度です。平成18年第1期の試験は5,074名が受験しましたが、ここをピークに年々受験者が減少しています。ここ数年は横ばいの状態が続いていますが、少子化や難易度の高さなどさまざまな原因により、受験者は今後さらに減少する可能性もあるでしょう。
気象予報士試験は免除制度もあり!
気象予報士試験は「学科試験」「実技試験」の2種類が実施されるといいましたが、学科試験をクリアしないと、実技試験の採点をしてもらえません。ただし、せっかく学科試験が基準を超えていても、実技試験で落ちてしまうこともあります。
「落ちたらまた1から試験を受けなければならない」と思うかもしれませんが、学科試験の一部、または全部に合格すると、1年間の免除措置が適用されます。1年以内に再度受験する場合は合格した科目が免除となるので、勉強する範囲が少なくて済む、ということです。
ちなみに、気象業務に関する資格・職務経歴がある場合も、申請すれば学科試験の一部、または全部を免除してもらえます。「絶対に気象予報士資格を取りたい!」という方は、合格を目指してゼロから資格勉強をすることはもちろん、就職先やその他の資格取得なども検討するとよいでしょう。
気象予報士になるためにかかる費用
気象予報士試験を受ける際には、当然受験費用が必要です。また、資格取得に向けて勉強するときにも、さまざまな費用が発生します。ここからは、気象予報士になるためにどれくらいの費用がかかるのかを見ていきましょう。
試験に必要な費用
気象予報士試験の受験料は、以下のように学科試験の免除科目によって異なります。
・免除科目なし(全科目受験):11,400円
・学科一科目免除:10,400円
・学科2科目免除:9,400円
学科の免除1科目ごとに、1,000円安くなるということですね。一発合格が理想ですが、もし一度目の試験に「実技試験」で落ちてしまった場合は、「2科目免除」の9,400円で受験できます。
試験を受けるだけならそこまで多額な出費にはなりませんが、試験会場が近くにない場合は、受験料に加えて交通費や宿泊費もかかるため、覚えておきましょう。
講座を受講する場合の費用相場
気象予報士資格取得のための講座は、さまざまなスクールで実施しています。形式も通信講座、対面講座などがあり、自分に合ったスタイルで勉強を進められるでしょう。講座を受講すれば、プロのノウハウで作成したテキスト、プロ講師による授業などで、合格の可能性が高まります。しかし、その分費用もかかってしまうため、「お金をかけずに勉強したい」という方には向きません。
気象予報士講座は、内容や提供する企業によって料金が大きく異なります。2万円弱で受講できる講座もありますが、なかには30万円以上かかるものも。初心者がしっかりと学ぶなら、10万円前後は必要です。
独学で気象予報士を目指せる?
気象予報士に限らず、さまざまな資格取得に向けた講座が開講されていますが、どのような資格でも自分の力だけで合格する方も存在します。気象予報士も難易度の高い資格ですが、独学で合格したという方は一定数おり、「講座受講が絶対条件」ということはありません。
独学の場合はテキストや練習用の問題集、試験の過去問などを購入する費用がかかります。最低限の問題集購入なら数千円、受験料を含めても、費用は2~3万円程度で済みます。「金銭的に余裕がない」「高い講座に申し込んでも続くかわからない」という方は、お金をかけずに独学で気象予報士を目指すのも1つの方法です。
気象予報士に向いている人
漠然と「気象予報士になりたい」と思っても、仕事内容や勉強しなければいけない分野が自分の特性とマッチしていなければ、せっかく勉強しても成果がでない、資格を取得しても仕事が続かないということにもなりかねません。気象予報士に向いている人は、以下のような特徴を持った方です。
・数字に強い
・暗記・記憶が得意
・説明が上手
・体力がある
・コミュニケーション能力が高い
数字に強い、数学が得意という方は気象予報士に向いているといえます。気象予報は過去の天気図とその移り変わりから予測が行われるため、記憶力の高さも欠かせません。予測した今後の天気について、専門知識のない一般の方に分かりやすく伝えるのも、気象予報士の大切な仕事です。説明が上手ければお天気キャスターのように表に出る仕事も増えるでしょう。
気象関連の仕事は24時間365日で、異常気象や、災害につながるような悪天候の場合は、昼夜を問わず働かなければいけないこともあるでしょう。不規則な生活にも対応できる体力も、気象予報士に求められます。
そして、忙しい・寝不足が続いているなど、自分に余裕のない状況でも、感情的にならず周囲とコミュニケーションが取れなければ、仕事は務まりません。どのような仕事においてもコミュニケーションは欠かせませんが、気象予報士はいつでも正しい予報を分かりやすく伝えることも含め、コミュニケーション能力の高さが特に問われる職業だといえます。
気象予報士を目指す前に知っておきたいこと
気象予報士は資格取得だけでなく、就職後も大変なことが少なくない仕事だといえます。しかし、資格取得のメリットは多く、日々の暮らしに欠かせない重要な職業です。最後に、そんな気象予報士を目指す前に知っておきたい情報をまとめました。
試験会場が少ない
「概要」でお伝えしたとおり、気象予報士の試験会場は6都道府県でしか実施されません。自宅付近に試験会場が設置されていないという方も多く、受験のために新幹線や飛行機を利用する、宿泊をするという方もいるでしょう。
自宅近くの試験会場確認、アクセスや交通情報のチェックは、早い段階で行うことをおすすめします。バスや自家用車を利用する方は渋滞に注意が必要ですし、飛行機や新幹線などは悪天候などの影響でストップする可能性もゼロではありません。試験会場が遠方の方は、前乗りして会場近くのホテルに泊まると安心です。
試験の難易度が非常に高い
気象予報士の試験は難易度が高く、合格率が5%に満たないときもしばしばあります。合格までに必要な勉強時間は1,000時間ともいわれており、片手間に「何となく」勉強して、簡単に合格する資格でないことは一目瞭然です。
気象関連の話題に興味があり、「合格できれば御の字」程度で独学で勉強するならよいでしょうが、本格的に気象予報士を目指したい、高額の費用をかけて講座を受講するという方は、「狭き門」だということをしっかりと認識し、本腰を入れて勉強する必要があります。
試験分野により合格ラインが違う
気象予報士試験は「学科試験」「実技試験」の2種類で、学科試験はさらに「一般知識」「専門知識」に分類されます。それぞれ70%以上正解していないと合格できませんが、試験の難易度によって分野ごとの合格ラインは変動しますし、「全体で70%以上」のような合格ラインではないため、まんべんなく試験内容になるすべての分野を把握しておく必要があります。
「一般知識を捨てて専門知識・実技試験に集中する」「実技はあきらめて、学科で点数を稼ぐ」ということはできませんので、注意しましょう。
気象予報士資格は一生もの!合格に向けて講座受講も検討を
気象予報士になるのは簡単なことではありませんが、よっぽどのことをして資格剥奪の対象にならない限り、一生ものの資格になります。独学での合格も可能ですが、本格的に勉強をするなら、講座受講を検討する価値はあるでしょう。
決して楽な道のりではありませんが、自分に合った学習方法で合格を勝ち取ってください!
編集後記
ゴリゴリ文系の私は、数ⅡBでお手上げだったので、気象予報士には絶対に向いていないんだろうなと思います。しかし、こうして内容をまとめていると「資格取得か~」と興味を持ってしまうものです。
履歴書に書ける資格というと、「普通自動車免許(AT限定)」と、「日本語教育能力検定」のみ。小中学校の頃に取得した英検も日本語文章能力検定(現在は文章読解・作成能力検定になったようですね!)も、4級しか持っていないので、履歴書には書くほどのものではありません(涙)。
あんなに暇だった大学生時代、何をしていたんだろうと振り返ってみると、それなりに講義を受けて、そこそこ必死にレポートや論文を書いて、一生懸命アルバイトと飲酒に勤しんでいたようです。時間は「失ってから気づく」ものの1つで、いまとなっては「あのときもっと勉強していれば」という感じですが、「楽しい」というのも1つの経験。「自分と未来は変えられる」精神で、過去はよい思い出として、年齢にとらわれず今後も興味のあることに挑戦していければと思います。
参考サイト
・気象予報士試験の合格率と学習費用 さらに年収や就職先は?
・気象予報士になるには?必要資格や向いている人の特徴などを具体的に解説
・気象予報士は独学でも合格できる?試験の難易度は?おすすめの気象予報士講座まとめ
・気象予報士の資格は独学で取得できる?参考書の選び方や勉強法を紹介