高齢者は熱中症リスクが高いとわかっていても、親御さんが「エアコンをつけてくれず困っている」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
今回は、そのようなお悩み解決のヒントとなる便利グッズをご紹介します。
さらに、高齢者が熱中症になりやすい理由や予防のポイント、応急処置の方法についてもおつたえするので、ぜひ本記事を参考に高齢者を熱中症から守り、快適な夏を過ごしてもらいましょう。
高齢者の熱中症をふせぐ3つの便利グッズ
最近では室内温度があがると自動運転するエアコンも販売されています。
しかし、熱中症が心配といえどもエアコンを買い換えるのはむずかしいことも多いでしょう。
そこでここでは、今ついているエアコンはそのままで、高齢者にエアコン利用をうながすことができる便利グッズ3点をご紹介します。
アイシル|設定温度をこえると光や音声でお知らせ
アイシルとは「株式会社アイトシステム」の商品で、本体のボタン操作を毎日おこなうことで認知機能をチェックしたり、投薬や食事を光と音声で促すなどの機能があるものです。
この商品が熱中症対策に便利なのは、室内が設定温度以上になったとき『部屋の温度が上がっています。エアコンをつけましょう』と音声でつたえてくれること。メッセージは室内温度が下がるまでつたえられます。
しかも、一定時間対応がないと家族などにメールで通知がとどくので、高齢の親御さんが一人暮らしをしている方などにはありがたい機能です。
機器の買い取りもできますがレンタルも可能です。
ネイチャーリモ|エアコンを遠隔操作&スマートスピーカー対応
ネイチャーリモ(Nature Remo)は「Nature株式会社」の商品で、家電をスマホで遠隔操作できるものです。赤外線方式のリモコンでうごく家電であればメーカーも年式も問わずつかえます。
さらに便利なのがオートメーション機能。たとえば「温度が○度以上になったらエアコンをONにする」と設定できるので、高齢者が自分で室内温度を把握してエアコンを操作する手間がかかりません。
また、アレクサなど声で家電などを操作するスマートスピーカーとの連携も可能なので、思うように動けない高齢者にとっても便利でしょう。
見守りカメラ|温度センサーと双方向通話機能を活用
エアコンがつくだけでなく室内の様子も心配な方には、見守りカメラが便利です。
お留守番中の子どもやペットの見守りに役立つこのカメラには、室内の様子を撮影するだけでなく、「温度や湿度を測定する機能」がついているものもあります。
それらの情報はスマホで確認できるので、はなれた場所にいるご家族も安心でしょう。
さらに「双方向通話機能」があるものだと会話が可能なので、親御さんが熱中症にかかっていないか、実際に話をして確認できそうですね。
ここまで、高齢者の熱中症予防に役立つ便利グッズ3点をご紹介しました。
ですが、なお「うちの親は納得しないかも・・・」と感じる方もいるでしょう。親御さんには「今は昔よりも暑くなっている」ことにくわえ、「高齢者はなぜ熱中症リスクが高いのか」を知ってもらうことも大切です。
そこで「高齢者が熱中症になりやすい3つの理由」をおつたえするので、ぜひ親御さんとの話合いにお役立てください。
高齢者が熱中症になりやすい3つの理由
いつまでも若く元気でいたいと誰もが願いますが、加齢とともに体の機能が衰えていくのは自然なことです。
高齢者が熱中症になりやすい理由は、主に次の3点あります。
体の水分量が少ない
体内の水分量は加齢とともに少なくなり「成人で約60%」ですが、「65歳以上では50%」に下がるとされています。
これは、水分をたくわえている筋肉量が加齢によって減少するためです。
もともと体の水分量が少ない高齢者は脱水状態になりやすく、熱中症リスクが高まります。
暑さを感じにくい
加齢によって皮膚の温度センサーの感覚が低下するため、高齢者は暑さを感じにくいといわれます。
「暑くないからエアコンはいらない」と訴えるのも、ご本人にとっては当然のことなのですね。
体温調節機能が低下している
暑いと感じれば体は汗をかいて体内の熱を放出します。しかし、高齢者は体温調節機能が低下しているため汗をかきにくく、体内に熱がこもりやすくなります。
熱中症になるのは高齢者だけではありませんが、加齢にともなう特徴からとくに気をつけて見守りが必要ということでしょう。
ここまで、高齢者が熱中症になりやすい主な3つの理由を解説しました。
次に、熱中症予防のポイントをみてみましょう。
熱中症予防にかかせない室温管理と水分補給のポイント
熱中症予防には「暑さをさけて水分・塩分をとる」ことが重要というのは、みなさんご承知のとおりです。
ここではあらためて、これらを効果的におこなう方法をおつたえします。
温度上昇をふせぐ遮光カーテンやすだれ
熱中症は室内でも発生しているため、エアコンや扇風機をつかい室内温度の上昇に注意しましょう。遮光カーテンやすだれを活用するのもよいですね。
また暑い日はできるだけ外出を控えたいところですが、どうしても用事ででかけるときは吸汗速乾性に優れた服装にし、帽子や日傘で暑さを避けましょう。
水分補給はゼリーや果物でもOK
高齢者に必要な水分は1日におよそ1.6L、コップ6杯とされています。
喉の渇きを感じにくい高齢者には具体的に必要な摂取量、たとえばペットボトルに水を入れ「1日これくらい必要」と視覚で示すとわかりやすくなります。
また、水分を摂取するのがむずかしいということもあるでしょう。その場合はゼリーや果物でも良いとされています。冷たい水が苦手なときは温かくするなど、ご本人がとりやすいものを見つけましょう。
水分補給は起床時と就寝時、入浴前後は必須とし、それ以外も時間を決めておこなうとよいですね。
ここまで、熱中症予防に重要なポイントをおつたえしました。しかし、対策をとっていても「絶対にならない」とはいいきれません。
そこで最後に、ご家族などが熱中症の疑いがあるときどうすればよいか対処法をおつたえします。
熱中症かもしれないときチェックすべき4つのポイント
厚生労働省のサイトには、熱中症が疑われたときにチェックする4つのポイントと応急処置が示されているので、ご紹介します。
◆熱中症のチェックと応急処置
4つのポイントをまとめると、次のとおりです。
熱中症の症状がみられたら、まずは呼びかけに応えられるかどうかがポイントですね。
そのうえで、応えられたら「涼しい場所に移動」して「衣服をゆるめて」「体を冷やす」、応えられなければ「すぐに救急車」です。
なお、体を冷やすときは「首まわり・脇の下・足のつけね」が効果的とされています。
暑さ(災害)がもたらす熱中症から高齢者を守る
今回は、高齢者を熱中症から守るヒントなる便利グッズの紹介と、熱中症予防に大切な視点をおつたえしました。
近年の暑さは「災害」であるとも言われています。
災害に備えが必要なように、暑さがもたらす熱中症も予防することが重要です。
しかし、それでも災害の被害にあう、つまり熱中症になってしまう可能性は否めません。
誰もが熱中症になる可能性はあるものの、その特徴ゆえに高齢者は熱中症のリスクが高まります。
便利グッズもうまく活用しながら、みんなで高齢者を熱中症から守っていきましょう。
【参考サイト】
*熱中症予防 声かけプロジェクト|お年寄りへの声かけ
*環境省|高齢者のための熱中症対策
*環境省|熱中症予防情報サイト
*40歳からの遠距離介護|離れて暮らす親をスマートリモコン『Nature Remo』で見守り介護する方法
*公益財団 長寿科学振興財団:健康長寿ネット|脱水
*SECOM:あんしん介護のススメ|介護のプロが教える上手な「水分補給」のコツ
(以上)