炎天下のなか外で作業するのとはちがい「車はエアコンをつけていれば、熱中症にはならないのでは?」と思うのではないでしょうか?
しかし、エアコン(冷房)をつけた車内特有の熱中症リスクがあるため油断できません。
そこで今回は「車にひそむ熱中症リスク」について、JAFのテスト結果とともに解説します。
さらに「暑い車内温度を効果的に下げる方法」や「車内への子どもの置き去り対策の現状」についてもおつたえするので、ぜひ参考にご覧ください。
車内にひそむ熱中症のリスク「隠れ脱水」
車内での熱中症リスク、それはエアコン(冷房)をつけた車内では「隠れ脱水」になる可能性があるのです。
エアコン(冷房)をつかうと車内は乾燥
長時間エアコンの効いた室内にいると乾燥を感じる方もいるのではないでしょうか。
エアコン(冷房)は室内の水分を一度外に放出して冷却するため、室内の湿度は下がり乾燥状態になるのです。
車内も同様であり、エアコンをつけて涼しいからと水分をとらずにいると、脱水状態におちいる危険性があります。
乾燥がひきおこす熱中症の予備軍「隠れ脱水」
「隠れ脱水」は熱中症の予備軍といわれており、熱中症の症状がでていなくとも体内は水分不足気味になった状態です。
熱中症予防で水分補給をしつつ、車内が乾燥しすぎないようときどきエアコンを「外気導入」にしたり、窓をあけて外の空気を入れるといった対策をとりましょう。
「隠れ脱水」をチェックする簡単な方法
自分の指で「隠れ脱水」を簡単にチェックできる方法をご紹介します。
◆脱水症になっていいないかチェックする方法
①手の親指の爪を逆の指でつまみます。
引用:厚生労働省 熱中症を予防しよう!熱中症予備軍の隠れ脱水症の見つけ方
②つまんだ指を離した時、白かった爪の色が ピンクに戻るのに3秒以上かかれば、
脱水症を起こしている可能性があります!!
小さいお子さんなどは、自分で熱中症状態を訴えるのがむずかしいこともあります。
定期的にこのチェックをしながら熱中症対策をとっていきましょう。
車内はエアコン停止後どのくらいで熱中症リスクが発生?
では、エアコンをつけていない車内は、一体どれくらいの時間で熱中症の危険域に達するのでしょう。
ここでは、JAFがおこなったテストの結果をもとにおつたえします。
エアコン停止15分で“もっとも危険”な熱中症レベル!
気温や湿度などから熱中症の危険度を示す「暑さ指数(WBGT)」という数値があります。
これは「注意・警戒・厳重警戒・危険」の4段階にわかれており、全国各地の数値を環境省「熱中症予防情報サイト」などで知ることができます。
JAFがおこなったテスト(気温35度の炎天下・正午から4時間エアコンを稼働、その度エアコン停止)では、この暑さ指数(WBGT)をもとに熱中症リスクを測定しました。
その結果、エアコンをとめてわずか10分で車内温度は「厳重警戒」、15分後には最高レベル「危険」とされる値にまでなったのです。
炎天下のなか一度車から離れて再びもどったときの「ムッ」とした車内には、熱中症になる危険性が十分ひそんでいると認識しましょう。
窓をあけていても車内温度は40度超え
では、エアコンがついていない車内ではどうでしょう?
JAFは同様の条件下(気温35度・正午から4時間)において、エアコンはつけず窓を3㎝あけた場合の車内温度を測定しています。
その結果「車内の平均温度は42度」であり、「サンシェードをつけていても45度」だったのです。
最高気温30度の日でさえ熱中症リスクがさけばれるなか、40度をこえる狭い車内はいかに危険か想像できるのではないでしょうか。
【参考サイト】JAF「真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)」
車内の熱中症をふせぐため知っておきたい3つのこと
車内温度を効果的に下げる方法
これほど高温になる車内では、たとえわずかな時間であっても苦痛に感じるものです。
ここでは、効果的に車内温度を下げる方法をご紹介します。
◆車内温度を下げる3ステップ
ステップ1:窓を全開にする(車内の暑い空気を外にだします)
ステップ2:エアコンを「LOW(最低温度)」にする
ステップ3:「外気導入」モードにする
※車内の暑い空気がにげだら「内気循環」にもどします
【参考サイト】警視庁「真夏の車内温度を下げるには」
この状態で数分、走行するとより効果的だといいます。
一見、窓をあけると外の暑い空気が入りより暑くなりそうですが、そうではないのですね。
ハンドルやチャイルドシートも高温になっている
さきほどもおつたえしたように、エアコン停止から15分ほどで熱中症の危険レベルに達するほど、車内は高温になっています。
そのため、ハンドルやダッシュボード、そしてチャイルドシートといった車内にあるものも高温なのです。
触るまえには「暑いかもしれない」と心構え、できれば濡れたタオルでふくと気化熱で涼しく感じられるので、より効果的に温度を下げることができます。
とくにチャイルドシートには金具があるので、お子さんがいきなり触らないように気をつけましょう。
誰でも熱中症になる可能性がある
よく熱中症になりやすい人として「乳幼児や高齢者、肥満や持病のある人」があげられます。
しかし、それ以外の人が熱中症になりにくいという訳ではありません。
寝不足や風邪などで「体力が衰えている人」は体温調節機能が低下しており、熱中症のリスクがあります。また「運動不足の人」も汗をかく機能が低下しているため注意が必要です。
車内への子どもの置き去り対策~国内・海外の現状
車での熱中症と聞くと、幼稚園バスに子どもが置き去りにされて亡くなるというニュースを思いだす方も多いかもしれません。
あらためて、子どもの車内置き去りに関する現状をみてみましょう。
送迎バスには安全装置設置が義務化
日本では2021年7月に福岡県、2022年9月には静岡県において幼稚園の送迎バスに園児が置き去りにされて亡くなったことが、大きくニュースでとりあげられました。
国は今年2023年4月から幼稚園など送迎用バスに安全装置の設置を義務化しています。しかし、1年の経過措置があるため、まだ設置がすすんでいない現状もあるようです。
また、車への置き去りは故意、過失を問わず自家用車でもおこっています。この点について海外の状況をご紹介します。
アメリカでは1年で36件の置き去りが発生
アメリカで子どもが車内外に放置されることを防ぐ活動をおこなっている「Kids and Car Safty」によると、昨年(2022年)36件の車内置き去りが発生しています。
その原因は故意もありますが、半分以上が「知らずに放置」されているのです。
このような状況のなか、海外では子どもが車内に置き去りにされたことを検知する「CPD(=Child Presence Detection)」という機能が注目され、国によっては設置が義務づけられています。
まとめ~3つのQ&A~
今回は車内の熱中症リスクについて解説しました。
大事なポイントを3つのQ&Aにまとめるので、車を運転するときは念頭におき熱中症にならないようご注意ください。
- なぜエアコンをつけた車内でも熱中症リスクがある?
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エアコン(冷房)をつけた車内は乾燥しており「隠れ脱水」になる危険があります。
- エアコン停止後、どのくらいで車内は熱中症の危険レベルに達する?
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エアコン停止後「15分」で、熱中症になる危険がもっとも高いレベルになります。
- 車内の温度を効果的に下げる方法は?
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「窓を全開」にして、エアコンを「LOW(最低温度)」「外気導入」モードにします。
※車内の暑い空気がにげだら「内気循環」にもどす。
【参考サイト】
*熱中症予防 声かけプロジェクト|誰がなりやすいの?
*YAHOO!JAPANニュース/サンキュ|車内での熱中症原因は暑さだけじゃない!見落としがちなポイントを気象予報士が解説
*YAHOO!JAPANニュース/日テレNEWS|幼稚園バスなどの“置き去り防止”安全装置 設置完了は約5割にとどまる こども家庭庁調査
*日経BP|子どもの熱中症事故防げ、車載センサー開発は2025年がターゲット
(以上)