新幹線で地震が起こったらどうなる?備えや取るべき行動をまとめて解説

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ライターの永野です!

学生時代、東京に住んでいた頃は用事で月に1度くらいの頻度で帰省していたのですが、バスだと足がむくんでとんでもない腰痛に悩まされるので、新幹線を利用していました。

年間10回以上、往復で20回以上新幹線に乗っていた計算になりますが、幸いトラブルに見舞われたことはほぼなく…。記憶の限りでは一度だけ、何らかの不具合で静岡県の安倍川付近で数分ストップしたことがあるくらいです。

2015年に火災、2018年に新幹線車内での殺傷事件が頻繁に利用していた東海道新幹線で起こり、その後はコロナの影響もあったりで新幹線を利用する機会は各段に減りましたが、乗車すると警備員の方が新幹線内を巡回する姿を目にするようになりました。

高速で走行する密室で起こる事件や事故は恐ろしいものですが、いつ起こるかわからない天災に襲われる可能性もあることを想像すると、「あまり乗りたくないなぁ」となってしまいますが…。新幹線に乗っているときに本当に地震が起こってしまったら、私たちは安全に脱出することができるのでしょうか。

今回は、新幹線の地震対策や新幹線に乗っているときに地震が起こった場合の行動や乗車前にできる備えをまとめました。いつ、どこで、どういったトラブルが起こっても冷静に対処できるよう、基本的な知識を身につけておきましょう!

目次

最高時速300kmになることもある新幹線

新幹線は電車よりもさらに高速で、遠方へのスムーズな移動を実現してくれる有能な乗り物です。その精度は年々上がっており、現在日本で最も速い新幹線は、東北・秋田新幹線。その最高速度は時速320kmにもなります。

筆者がよく利用していた東海道新幹線は、東京から名古屋や大阪などを経由し、中国地方を抜け、九州・福岡県までをつないでいます。1987年は最高時速220kmでしたが、1992年に最高時速270kmに。現在は時速280kmまでスピードが出るそうです。ちなみに、山陽・九州新幹線「みずほ」も東北・秋田新幹線にはには及ばないものの、最高速度が時速300kmを出すことができます。

2027年開通予定のリニア新幹線はさらに速く、最高時速500kmを超えるといわれているので、より移動がスムーズになるのではないでしょうか。

地震が起こったとき、新幹線は大丈夫?

高速での移動は便利ですが、新幹線に乗っているときに地震が起こったら、甚大な被害が及ぶのではないかと心配する方もいるでしょう。車は速度が上がるほど事故の衝撃が大きくなるので、時速300km前後で走る新幹線も地震の影響が大きくなると考えるのは当たり前だといえます。

実際、新幹線は地震の衝撃に耐えられるのでしょうか。

東日本大震災での脱線は「なし」

記憶に新しい大震災といえば、東日本大震災です。東北地方を中心に広範囲を襲った東日本大震災が起こった瞬間にも、当然新幹線は運行していましたが、大きな揺れによる脱線事故は報告されていません。

しかし、東北新幹線の地上設備は多くのダメージを受け、電化柱が折れたりひび割れたり、架線が断線したりと、合計1,200か所の被害がありました。

あれだけ大きな揺れでも脱線事故が起こらなかったことを思うと、地震が起こった際に新幹線に乗っていても、深刻な事態に巻き込まれる可能性は「低い」といえるのではないでしょうか。

必ずしも大丈夫とは言い切れないのが事実

大きな揺れでも脱線事故が起こらなかったのは、地震対策が施されている証拠だといえます。しかし、新幹線に限らず災害による被害は「絶対に起こらない」とは言い切れないのも事実です。

東日本大震災では脱線事故はなかったものの、2022年3月に東北地方で起こった震度6強の地震の際には、東北新幹線の戦闘車両が脱線。また、東日本大震災以前の2004年に起きた新潟県中越地震でも、上越新幹線が脱線しています。

どちらも死者は出ませんでしたが、東北新幹線脱線事故では負傷者が5名。乗車人数や「新幹線が脱線した」という事実から見ると被害は非常に小さいように感じられますが、それでもけが人が出ていることには変わりないので、安心とはいえないでしょう。

地震に対する新幹線の備え

新幹線ほどのスピードが出る乗り物が、大地震でも大きな被害を出さないのは、地震対策に改良を重ねているからです。走行時に地震が起こると、新幹線はどういったアクションを起こすのでしょうか。

架線への送電が止まる

鉄道車両は急停止をしても、完全に停まるまでに一定の時間を要します。特に、高速で走る新幹線は停止までに数km走ることも。よって、いち早く揺れを検知して停止に向かう必要があります。

走行中に地震が起こると変電所に設置された地震計が揺れを感知し、架線への送電をストップします。送電がなくなれば車両を走らせるエネルギーがなくなるので、新幹線も迅速に停止できる、というわけです。

脱線防止ガードで事故リスクを軽減

いくら送電を止めても、近くで地震が起こっていれば停止が間に合わないこともあります。大きな揺れのなかで走行していると、新幹線が脱線・転覆する可能性があり危険です。

新幹線には、こうした大きな事故を防ぐための対策も施されています。東海道新幹線・九州新幹線には「脱線防止ガード」というものが導入されており、車輪の左右方向への動きを一定範囲に食い止めることが可能です。脱線防止ガードは左右のレールの内側に、L字のような断面の鋼材を追加して作られています。

さらに、代車の下部中央に突き出た「逸脱防止ストッパ」も、新幹線の脱線・転覆を最小限に食い止めることに貢献します。もし脱線してしまっても、左右どちらかのレールにこれが引っかかることで、大きな逸脱にならないという仕組みです。

停車して安全を確認

緊急停止できた新幹線では、速やかに安全確認が行われます。車内や車両の様子は、乗務員が異常がないか細かく確認。このほか、線路の保守を担当する係員が、線路を巡回し、安全に走行できる状態かどうかをチェックします。

状況に応じて徐行や運転見合わせも

列車や線路の状態に問題がなければ、運転を再開します。しかし、通常の速度での走行ができない、走行するには危険な状態になることもあるでしょう。

状況に応じて、速度規制をした上での走行、運転区間の限定、運転見合わせなどの判断がされます。地震による被害が大きい場合は、通常ダイヤに戻るまでに長い時間を要することもあるようです。

新幹線乗車時に地震!私たちが取るべき行動は

新幹線の車両や線路には、地震が起こった場合に被害を最小限に食い止めるための工夫が凝らされていることがわかりました。では、もし新幹線に乗っているときに地震が起こったら、私たちはどういった行動を取ればよいのでしょうか。

大きく4つのポイントを解説します。

衝撃に耐える姿勢を取る

地震により車両が左右に大きく振られる、急停止で体が投げ出されるような感覚に陥ることがあります。地震による急停止はアナウンスが入るケースがほとんどですので、アナウンスを聞いたら大きな衝撃に耐えられる姿勢を取りましょう。

衝撃に耐える姿勢は、飛行機内での緊急時と同じです。座席に深く座り、上体を低くします。手荷物が降ってくることもあるので、頭は手で抱えるようにしてください。

車両や座席によって安全度が変わる

地震や急ブレーキによる衝撃は、乗っている車両や座席の位置によって変わります。脱線事故は前方の車両で起こりやすい傾向です。また、急ブレーキの衝撃で荷物や体は前方に飛び出しやすいので、後方の座席を選ぶと荷物や衝撃で飛び出してしまった人の被害に巻き込まれにくくなります。

新幹線の座席を選ぶ際は、こうした点にも注意するともしものときも安全でしょう。

慌てて席を立ったり外に出ようとしない

緊急時にはパニック状態に陥る方もいます。「地震で脱線や炎上した車両に閉じ込められたら」などと不安になり、席を立ったり外に出ようとしたりしたくなるかもしれませんが、冷静ではない状態での判断や行動は危険です。

新幹線の扉から地面までは1メートル以上の高さがあります。また、どこで停止するかわからないため、扉の外には危険が待ち構えているかもしれません。

後ろから来た人に押されて落下する、将棋倒しになったりあとから出てきた人の下敷きになったりすることもあるので、近くで何かが燃えているなど緊急でない限りは席に座ったまま指示を待ちましょう。

トイレにいる場合はすぐに出てこない

座席だけでなく、新幹線内のトイレにいる最中に地震が起こる可能性もあります。急停止が始まってからの短時間で、トイレから座席まで安全に戻れる余裕はまずないでしょう。慌てて飛び出すと危険ですので、トイレにいるときは停止するまで出てこないようにします。

建物内と同じく、トイレのような狭くて壁の多い空間は構造が比較的強く、地震の際には安全なこともあります。トイレ内の壁などに強く頭や体を打たないようしっかりと踏ん張って、衝撃に耐えましょう。

新幹線で地震が起こった場合に備えてできることは

「新幹線に乗っているときに地震が起こったらどうしよう」と、常に不安を抱く必要はありませんが、いつ何が起こっても冷静に対処できるように日頃から備えておくことは大切です。

出張などで頻繁に新幹線を利用する方はもちろん、滅多に乗らない方も、新幹線に乗るときに準備しておくとよいアイテムを確認しましょう。

動きやすい靴を用意

運転が再開できないような状況では、足元の悪い場所を歩いて避難しなければなりません。こうした状況も想定し、動きやすい靴を用意しておきましょう。普段履いているスニーカーなどで乗車する場合は問題ありませんが、サンダルやヒールの高い靴、履き慣れない靴などを履いている方は、手荷物のなかにスニーカーを一足入れておくと安心です。

飲食物やモバイルバッテリーなどを携帯

点検に時間がかかると、長時間車内で過ごすことになります。また、積雪や停止位置など、屋外の状況によっても、新幹線のなかでしばらく待たなければならないこともあるでしょう。

長距離移動がメインの新幹線では、乗車時に飲み物や食べ物を持ち込む方も多い傾向です。水やお茶などの水分はもちろん、駅弁などにプラスしてカロリーメイトのような軽くて日持ちする食べ物や小腹を満たせるお菓子なども買っておくと、安心でしょう。

また、緊急停止した新幹線は送電もストップしているので、備え付けのプラグも使えません。スマートフォンは必要最小限の利用に留めるのがベストですが、重要な情報収集源や連絡手段でもあるので、モバイルバッテリーを持っておくと必要な際に気兼ねなく使えます。

地図を持っておくと安心

新幹線は長距離を移動するので、どこで停止したかわからなくなることもあります。大まかなものでもよいので地図を持っていると自分がどこにいるのか把握でき、安心材料にもなるでしょう。

スマートフォンの地図アプリも、紙の地図より詳細な位置やランドマークなどがわかり有効です。しかし、電波がない場所では使えないといったデメリットもあるので、特に知らない土地へ行く方やより遠方へ移動される方は、紙の地図も持っていくことをおすすめします。

地震はどこで起こるかわからない!新幹線乗車時も備えを忘れずに

自然災害は発生が予想しにくいものですが、特に地震は突発的に起こるため、いつ・どこで巻き込まれるかわかりません。新幹線は地震の際も脱線や転覆をしないよう工夫が凝らされていますが、急停止による衝撃や発災後の状況は回避できないので、もしものときに対応できる知識やものを備えておくことが重要です。

どのような場合でも自分や周囲の方の安全を最大限に確保できるよう、日頃から災害対策を積極的に実施しましょう。

編集後記

新幹線といえば、高校生の頃にDVDで見た「ドラゴンヘッド」という映画が、学生たちが新幹線に乗っている最中に事故に遭ったような話だったなぁということを思い出しました。

調べてみると映画の公開は2003年、ちょうど20年前ですね。そして修学旅行の帰りに大地震により新幹線がトンネルのなかで脱線事故に遭うという内容でした。

ここからはネタバレになりますが、生還したのはたったの3名。そしてトンネルから脱出できたのは主人公の男女2名でしたが、地震に伴う富士山の大噴火(トンネルは浜松付近で脱線したとのこと)により、目の前に広がるのは荒廃した世界…。

主人公の「絶対、生き延びてやるー!」みたいなセリフで終わるお話でしたが、「この状況で生き残るの絶対いやですわ自分」と思ったことだけは鮮明に覚えています(苦笑)。

U-NEXTの説明によると「パニックホラー」らしいです。「怖い」というより「気持ち悪い」という印象の強かった映画ですが、もしかしたら災害時の行動として役立つ知識があるかもしれないので、20年経ったいま、見返してみてもいいかなぁと思いました。

参考サイト

時速300kmで走行中に巨大地震発生! 助かる方法はあるのか?
・JR西日本「地震の場合
地震のとき、新幹線はどう対応している?いち早く検知する仕組みとは

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語教師を経て2018年よりライターに転身。子どもと学べる防災に関心を持ち、日々災害や備えについて勉強中。
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