暖房器具として灯油を燃料とするストーブを使用する方もいますが、古い灯油や不良灯油はトラブルを引き起こす可能性があるので注意が必要です。とはいえ、古い灯油とは具体的にどれくらい経った灯油のことをいうのか、不良灯油はどのように見分けるのかが分からないというケースも少なくありません。
そこで今回は、不良灯油や古い灯油の見分け方や定義、これらを使用するとどのようなトラブルが起こるのか、さらに使用できない灯油の処分方法なども解説します。
不良灯油。古い灯油の見分け方
まずは不良灯油とはどういった灯油を指すのかやその見分け方、そして古い灯油の定義を見ていきましょう。
不良灯油とは変色や不純物混入が見られる灯油
不良灯油とはその名の通り、正常ではない灯油のことをいいます。
通常、灯油は無色透明ですが、成分の変質などにより変色したり、灯油特有のにおいではなく酸っぱいようなにおいがすることも。こうした灯油は「変質灯油」といわれます。
また、不良灯油のなかでもゴミや油、水といった不純物が混入しているものが「不純灯油」です。変質灯油は灯油の劣化、酸化が原因ですが、不純灯油は灯油を入れるタンクの管理がしっかりとできていないことが原因だといわれています。
不良灯油の見分け方
変質灯油は色やにおいに異常があるため、透明な容器に移し、においを嗅ぐことで見分けられます。
不純灯油も同じく透明な容器に移すと、ゴミなどが混入していないかどうか判断できるでしょう。灯油に水が混ざっている場合、水は灯油と分離して容器の底にたまりますが、油は混ざってしまって見分けるのが難しいです。
お手持ちの灯油が不良灯油にならないよう、ふたを閉め忘れない、結露する場所に置かないといった管理を日頃からきちんと行う必要があります。
古い灯油の定義は
古い灯油、といっても「どれくらいからが古いの?」となかなかイメージがつきにくいという方も多いでしょうが、一般的に古い灯油とは「前シーズンの灯油の残り」のことです。
たとえば11月から翌年3月頃まで灯油を使用し、4月から10月までは使用しないとすると、この「シーズンをまたいだ灯油」が古い灯油、ということになります。
また、当然ですが1年、2年以上経っている灯油も古い灯油の部類に入ります。もし使い忘れて何年もポリタンクに入ったままの灯油がある場合には、新しい灯油と混同しないようにしましょう。
不良灯油・古い灯油は使ってもいい?トラブルの可能性は?
不良灯油や古い灯油とはどういったものかを解説しましたが、これらの灯油は使っても問題ないのでしょうか。
結論からいいますと、不良灯油、古い灯油は使用してはいけません。これらの灯油を使うことでさまざまなトラブルが起こる可能性があるからです。
とはいえ、不良灯油については見た目やにおいに問題があるため「使うべきではない」とわかるでしょうが、古い灯油は「見た感じ使っても問題なさそう」と判断する人もいるでしょう。
実際、灯油には使用期限はありませんが、夏を越すと見た目は変わらずとも質が落ちることも少なくありません。多くのガス関連会社も「前シーズンの灯油は使わず処分しましょう」と謳っていますので、季節をまたいだ灯油は使用しないのが賢明でしょう。
不良灯油・古い灯油によるトラブル一覧
不良灯油や古い灯油は使うべきではない、ということはわかりましたが、使用することで具体的にどういった問題が起こるのでしょうか。
- 点火しても火がつかない
- 点火中に火花がでる
- 点火中に白煙が上がる
- 燃焼中の異臭・異音
- 燃焼中に黒い煙が出る
- 燃焼中に頭痛や目、喉の違和感を引き起こす
- 燃焼中なのに火が消えてしまう
- 停止しても火が消えない
- 暖房器具そのものが壊れる
不良灯油や古い灯油が正常に燃焼しないと、体調に異変をきたしたり、火災を引き起こす可能性もあります。また、大きなトラブルにならない場合も暖房器具の故障につながる恐れもあるので注意が必要です。
使ってはいけない灯油、どう処分する?
自宅に不良灯油、古い灯油がある場合は使わず処分しなければなりませんが、灯油はどこで処分することができるのでしょうか。
ガソリンスタンドやお店に持っていく
灯油がポリタンクいっぱい残っている場合は、ガソリンスタンドや灯油を買ったお店、ホームセンターなどに持っていって処分をしてもらいましょう。最近はセルフのガソリンスタンドも増えており、灯油の引き取りをしていないこともありますので、持ち込みの前に電話して確認するとスムーズです。
回収された灯油は「廃油」としてお店から産廃業者へ渡り、リサイクルされます。
回収業者を利用する
「車を持っていないから持ち込めない」「残っている灯油の量が多すぎて運ぶことができない」という場合には、回収業者を利用するのも1つの方法です。
不用品を回収してくれる業者は自宅まで取りに来てくれるので、重いものを運ぶ手間が省けます。また、スケジュールが合えば電話をして即日回収してくれるのもメリットの1つです。
処分にお金はかかる?
不良灯油や古い灯油を持ち込む、回収してもらう、いずれの場合も処分にはお金がかかる場合が多いです。処分する灯油の量にもよりますが、ガソリンスタンドは無料から500円程度と比較的安く処分ができます。
お店に持ち込む場合に費用はピンからキリまでです。事前に引き取りをしているかどうか、費用はいくらかを確認しましょう。
回収業者に頼む場合は、自宅まで回収に来てもらう分費用も高くなります。安くても4000円、高い場合は10000円近くなることもあるので、こちらも依頼時にある程度の金額の確認を忘れてはいけません。
灯油が少量の場合は
引き取りや回収を依頼するまでもない少量の灯油の場合は、紙や布にしみこませて可燃ごみと一緒に処分するという方法もあります。ただし、自治体によっては灯油のこうした処分方法を禁止しているところもあるので、ホームページなどで事前に確認しましょう。
また、この方法で処分する場合、空気に触れる面積が大きいと引火する危険性もあります。正しい処分方法を実践しないと火災などの大きなトラブルに繋がりますので、くれぐれも注意してください。
灯油の処分方法でNGなのは
インターネットなどで検索をすると、灯油を処分する場合のさまざまな方法が提案されていますが、なかにはNGなものもあります。
不良灯油、古い灯油を処分する際にとってはいけないのは、次のような手段です。
土に埋める
灯油は土に埋めてしまえば問題ない、という話もありますが、灯油は土中の微生物が分解できるものではありません。灯油を埋めた土は正常に戻らなくなるため、埋めるのは土壌汚染行為にあたります。
燃やす
シーズン終わりにストーブに残っている灯油を燃やして処分することもありますが、不良灯油や古い灯油は異常燃焼を起こす恐れがあるので、燃やしての処分はできません。
下水に流す
「少しの灯油」だからと下水道に流してしまうのも危険です。灯油が下水管内で気化すると、爆発する可能性もあります。もし問題なく処理場までいったとしても、きれいな水に戻すことはできません。
凝固剤を使う
灯「油」だからと食用油を固める凝固剤を使ってはいけません。常温の灯油に凝固剤を入れても溶けることはなく、効果はないといえます。火災につながる恐れがあるので凝固剤を使うために灯油を加熱するのもNGです。
まとめ
手持ちの灯油を使い切ることで、古い灯油を生むことは避けられますが、管理を怠ると不良灯油になってしまうことはあります。灯油をよい状態で保つために、日頃からポリタンクの置き場所や取り扱いには注意しましょう。
また、不良灯油・古い灯油がある場合にはトラブルや環境にも配慮し、必ず正しい方法で処分するようにしてください。