ライターの永野です!
AEDについて調べて執筆をゴリゴリ進めているのですが、保育園のお迎えに行ったらしっかり入り口の目立つ場所にAEDが置いてあって「おっ」と思いました。
この記事を書いているのは12月22日ですが、明日は保育園に早めのサンタさんが来るらしく・・・
とはいえ私は保育園の役員をやらせていただいているもので、「それ、保育園がある地区の区長のおじさんやで・・・お礼のお菓子もママたちがしっかり用意してるし君たちがもらうプレゼントは保護者会費から捻出しt・・・」と余計なことばかり頭によぎります。
とはいえ、クリスマスにはしゃぐ息子たちを見ていると、やはりこちらまでワクワクするものです。「子は宝」という言葉は大げさでも何でもなく、我が子はもちろん、お友達、遠くにいる知らないお子さんたちも、健康に幸せに育って欲しいと思う今日この頃。
ということで、今回のテーマは「子どもの命」と「AED」に関連した内容です。
「こどもにAEDって使えるの?」ということと、「こどもにAEDのことを教えるのはどうしたらいいの」という2点が、大きなテーマになりそうですね。
早速、解説していきましょう!
こどもとAEDを学びたい!何歳くらいから教えられる?
実母が長男に、「夏休みにAEDがどこにあるか調べて地図を作ろう!」と自由研究の提案をしましたが、小1の息子は見事却下。まったく興味がないようでした。
AEDの必要性や使い方などは、こどもも知っておいたほうがよいとは思いますが、一体どれくらいからAEDについて教えればよいのでしょうか。
多くの中学・高校で指導がある
中高生になると、多くの学校でAEDに関する授業があります。高校生は保健体育で心肺蘇生法に関する座学と実技があり、思春期・人見知り大爆発だった当時の私はとてもいやな気分で授業に臨んだ記憶です。
しかし振り返ってみると、しっかりと実技まで行い「救命講習修了」の証明書をいただけたときは嬉しかったですし、万一のときに役立つ知識としてしっかりと頭と体に身についたなぁと思います。
一般市民のAED使用が可能になったのは、2004年からです。筆者が高校生だったのは2004~2007年頃なので、ちょうど導入時期。AEDに関する指導はなかったと思います。最近は、心肺蘇生法とともに、AEDについても学び学校に設置してあるAEDをもしものときに誰でも使用できるよう、中学生から指導が行われているので、ご家庭でも救急救命について話し、コミュニケーションを取るとよいのではないでしょうか。
小学校高学年向けの教材も
多くの中学校・高校ではAEDに関する指導がありますが、小学校ではどうでしょうか。日本学校保健会が運営する「子どもの未来を考える人のための学校保健」では、小学校高学年向けのAED指導教材を紹介しています。およそ12分の短編動画に、重要な内容がまとめられており、活用の手引きやワークシートも無料で提供中です。
動画はストーリー性もあるもので、小学生が主役なので、こどもも「自分ごと」として捉えられます。一般の方も自由に視聴できますので、ご家庭でこどもと見て話題にするのもおすすめです。
小学校低学年以下は…
小学校低学年、未就学児にAEDや心肺蘇生法に関する学びを伝えるのは、難しいかもしれません。もし知識として身についたとしても、実践はなかなかできないでしょう。しかし、前述の動画は命や救急救命の大切さを伝えることにも役立ちます。
小学校3年生くらいになったら、ご家庭で視聴してみてもよいのではないでしょうか。
こどもにAEDを使用する際は「小児用」の電極パッドを
ここからはテーマを替え、こどもにAEDを使用するときのポイントをお伝えしていきます。AEDは心室細動や不整脈を起こしたときに、心臓に電気ショックを与えるものです。
大人向けに作られているので、「こどもに大人用の電流を使用して大丈夫なのか」と不安になる保護者の方もいるでしょう。AEDには、こども向けの電極パッドが入っていたり、「小児モード」というものが存在したりするので、こどもにはこちらを使用します。
小児用電極パッド・小児モードとは
大人とこどもは体の大きさが違うので、大人と同じ電流を流すとこどもには負担になることもあるかもしれません。そこで用意されているのが、小児用電極パッドや、小児モードです。これらを使うと、電流をこどもの体向けの強さに調節してくれます。
小児用電極パッドは、大人用よりも小さめの電極パッドです。電極パッドではなくAED本体のモードで、大人とこどもを切り替えられるものもあります。
電極パッドかモード切り替えかは、AEDを作っているメーカーや機種によって異なるので、もしこどもにAEDを使用するシーンに遭遇したら、まずパッドやモードをよく確認しましょう。
何歳くらいまでが「小児」になる?
「小児向け」の電極パッドやモードがわかったところで気になるのが、「何歳くらいまでの子どもに小児モードを使用するか」です。小児科には小学生も連れて行きますが、小学校1年生と6年生では体格が大きく異なります。
未就学児を見ても、0歳と6歳は全く違うので、迷ってしまうかもしれません。
一般的には、小児向け機能を使用するのは「未就学児」とされています。小学生は学年に関わらず成人用の電極パッドやモードを使用してよいとされているので覚えておきましょう。
AED使用の手順を確認しよう
AEDに関しては他の記事でも詳しくご紹介していますが、今一度、心肺蘇生法とともに使用の手順を確認しましょう。
①周囲の安全を確認し、傷病者に近づく。危険な場合は移動させる
②傷病者の反応があるかどうか確認する
③意識がない場合は周囲に応援を求め、119番通報とAEDを持ってきてもらうよう依頼する
④呼吸の確認をする
⑤呼吸がない場合はAEDが到着するまで胸骨圧迫を行う
⑥AEDが到着したらふたを開け、電源を入れる
⑦音声ガイダンスに従い電極パッドを取りつける
⑧電気ショックの支持があった場合、周囲の人を遠ざけ、ショックボタンを押す
⑨ショック終了の音声が流れたら、引き続き胸骨圧迫を行う
⑩再び心電図を解析するまで胸骨圧迫を続ける
胸骨圧迫は非常に大変なので、周囲の方と協力しながら交代で行いましょう。
AEDに「小児用」がないときはどうする?
AEDには小児用電極パッド、小児モードが存在し、未就学児にはこちらを使用することが分かりました。しかし、小児用の機能がないAEDもありますし、「小児モードを使用するかどうか」の判断が難しいこどももいます。
こういった場合、どうしたらよいのでしょうか。
成人用でも使用可能
未就学児には小児用のものを使用することが推奨されていますが、成人用でも使用可能です。小児モードがない、年齢が定かではないと判断に迷っていると、そのあいだに生存率はどんどん下がっていくことも。
「わからないから小児用にしよう」と判断すると、電気ショックのエネルギーが足りず、救命できない可能性もあります。迷ったら成人用モードを使うことを、覚えておきましょう。
成人用を使用する際の注意点
成人用の電極パッドやモードを使用する際は、電極パッドが触れたり重なったりしないようにしましょう。また、こどもがAEDを必要とするシーンでプールや川、海などで溺れてしまうということもありますが、体が濡れている場合はタオルなどでしっかりと拭き取ってから、電極パッドを貼ります。
貼り薬があればはがすこと、ペースメーカーや除細動器が埋め込まれているときは、埋め込まれている部分の出っ張りから離して貼ることも、注意したいポイントです。
電極パッドはどこに貼る?
子どもの体は小さいので、成人用のパッドが重なってしまう、2枚貼れないというケースは少なくありません。「1枚でなんとかなるかな」と思うかもしれませんが、大人も電極パッドで心臓を挟むように貼るので、子どもも心臓を挟むようにして貼ることが重要です。
ではどのように貼ればよいのか・・・。
こどもに使用するときは、胸と背中に貼って、心臓を挟むようにします。背中に貼るときも、濡れていないか、貼り薬がないかなどを確認し、落ち着いて救命行為にあたりましょう。
正しいAEDの使用で、こどもの命を守ろう
こどもは持病などがなくても、日常のなかでのふとした行動で、AEDを必要とする状況に陥ることがあります。まずは溺れる、ひもなどで首が絞まるといった不慮の事故を防げるよう、大人が見守りましょう。
こどもが大きくなると、ずっと目を行き届かせるということは難しくなります。ご家庭でも事故防止のための指導、AEDや心肺蘇生法に関する情報の共有を行い、命の大切さや命を守る行動を伝えてください。
大人もAEDの正しい使用法を改めて理解し、「迷ったら成人用」という気持ちで救命行為にあたりましょう。
編集後記
「こどもはドッジボールで強いボールを胸で受け止めただけでも、心肺停止になる可能性がある」ということを、昔聞いたことがあります。こどもに手がかからなくなるのはありがたいですが、目の行き届く時間が減ると本当にいろいろなことが心配で、大げさかもしれませんが朝送り出すときに「今日も笑顔で帰ってきてくれますように」と願わずにはいられません。
交通安全、防犯、災害時の行動などはしつこいほど話していますが「話に夢中になって注意不足になっていないだろうか」「階段から飛び降りるみたいな危ない遊びをしていないだろうか」と常に不安を抱えています。
しかし、自分がこどもの頃を振り返ってみると、幼稚園の頃からこどもだけで公園に行ったり近所を飛び回ったり、自転車で道路を爆走したり下校時刻ギリギリまで遊んで真っ暗ななかを1人で帰ったりしており、それを心配されたり咎められたりしても「なんでやねん」と思っていた記憶です。
「親の心子知らず」とはまさにこのことだなと、親になって初めて実感しているのでした。