女性にAED使用する際の注意点は?訴えられるかどうかも解説

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ライターの永野です!

以前、救命講習に関するレポにも書きましたが、私は救急救命関連のボランティア団体に所属しています。名ばかりで活動できないままコロナの影響でイベントなどが相次いで中止となっていましたが、2023年春からは、徐々に活動が再開しています。

私も会員になるにあたり、過去に普通救命講習を2回受講。普及員・指導員の講習にも見学に行きました。

講習でも必ず説明があるのが、昨今、救急救命に欠かせないアイテムとなっているAED。AEDの使用で救われた方ももちろんいらっしゃいますが、「AED 女性」で検索すると、恐ろしいワードも・・・。

ラッコキーワードより

どうやら女性にAEDを使うと、「訴訟」や「訴えられる」可能性が少なからずありそうです。命を救わなければいけない緊急の状況でなぜ、とは思いますが、実際に使うと問題が起こるのでしょうか。

改めてAEDの重要性を確認するとともに、女性が抱える問題、女性にAEDを使う際の注意点などを解説します。

目次

「AED」は、命を救う道具の1つ

AEDの存在を知らない方も少ないでしょうが、AEDとは何をするものなのか、簡単に確認しましょう。

AEDは「Automated External  Defibrillator」の略で、日本語では「自動体外式除細動器」といいます。AEDは心室細動といい、事故や病気で心臓がけいれんし、血液を流すための機能を失った状態の心臓に電気ショックを与えるものです。

電気ショックは医療従事者のみが使えるものですが、平成16年7月より一般の方も使用できるようになりました。現在は医療機関はもちろん、学校や市役所、公民館、ターミナル駅、オフィスビルなどさまざまな場所に設置されており、設置台数は全国でおよそ62万台だといわれています。

年齢と関連したAEDの問題

AEDは緊急時に生存率を高める大切なアイテムです。しかし、全国に62万台設置されているAEDで、実際に使用されているのは年間1300台程度で、心停止後の使用率はたった4.2%ほどだといわれています。

実際に電気ショックを与えるかどうかは別としても、AEDを使用しなければ、電気ショックの有無についても判断できません。「そもそも自宅で倒れたからAEDが使用できなかった」などということもあるでしょうが、なぜAEDの使用率が上がらないのか、その原因の1つに「性別の違い」があります。

研究グループの調査結果

2019年のNHKライフチャットの記事によると、京都大学などの研究グループは、年齢・性別ごとのAED使用率を調査。結果、小中学生では男女の使用率に大きな差はなかったものの、高校生になると男女差が大きく現われたといいます。

学校内でのAED使用率は、男子高校生は8割を超えているのに対し、女子高校生は5割強。年齢が上がると、「女性の服を脱がせてパッドを装着する」ということに、抵抗を持つ方もいるようで、これが使用率に影響していると考えられます。

AEDで訴訟問題?

冒頭でお見せしたサジェストからも分かるように、女性にAEDを使うと「服を脱がせたことで訴訟問題になるのではないか」「痴漢で訴えられたらどうしよう」という方は一定数いるようです。では、実際に訴訟問題があったかどうか調べてみましたが、筆者が見る限り、具体的な訴訟事例はありませんでした。

弁護士の見解は…

訴える・訴えないは使用された女性の判断ですので、AEDを使用したことで「訴えられる」可能性はゼロではありません。しかし、厚生労働省の「非医療従事者による自動体外式除細動器(AED)の使用のあり方検討会報告書」によると、救命活動に関わる行為は損害賠償責任が問われないとされています。

また、ネット上では「女性にAEDを使用すると訴えられるのか」という問題に対して、多くの弁護士さんやAED、救命に関わる方が見解を述べていますが、どれを見ても痴漢やセクハラで訴えられる可能性は限りなく低いとされています。万一訴訟となっても、責任を問われたり、罪になったりすることもないというのが、筆者が調べた限りの回答でした。

とはいえ、過去に「危うくAEDを使われそうになった」と、大勢がいる場でAEDを使われること、男性にAEDを使われることに対して抵抗のある女性がTwitterで投稿しているのが話題になったことなどもあり、「罪にならなくても訴えられる可能性があること自体がこわい」と思う男性もいるようです。女性へのAED使用が「当たり前」になるには、男性・女性双方の意識を変えていくといった課題がありそうですね。

AEDを女性に「使用しない」ことで起こる深刻な問題も

「AEDを使わなくても、心肺蘇生法(心臓マッサージ)だけでなんとかなるのでは」と思われる方もいるかもしれませんが、実際、AEDを使用しなかったことが人命やのちの生活に大きな影響を与えるケースも。

たとえば、スポーツ大会で突如意識を失った女性は、すぐに心肺蘇生法を実施されましたが、AEDがあったにも関わらず「倒れたのは女性で、助けに行ったのが男性だったから」という理由で使用されませんでした。

救急車が到着したときに「AEDが必要だ」と判断され、電気ショックが行われ、女性は一命は取り留めたものの、重い意識障害が残ることに。到着前にAEDを使用しなかったことが、脳への酸素不足が長く続く原因になった可能性も、大いに考えられます。

女性はその後6年も寝たきりの状態で生活を続けており、「手元にあるAEDを使用していたら」と、女性のその後がAEDで変わっていたのかもしれないと思わずにはいられません。

もちろん、AEDを使用してものちに障害が残ってしまったり、命を失ってしまうことはあるでしょう。しかし、「使っていたら何か変わっていたのかも」と思う結果になってしまうのは、せっかくAEDが多くある日本ではできるだけ避けたいところです。

女性にAEDを使用する場合のポイント

男性に女性がAEDを使用する、大勢の方がいる場所でAEDを使用することで訴訟に発展するといった事例はほぼありません。もしものときは性別や年齢を問わず、命に関わる状態だと判断したら、迅速にAEDを使用したいところです。

女性にAEDを使用する際には、3つのポイントに注意しましょう。

服もブラジャーも脱がす必要は「なし」

AEDを使うときは「上半身を裸にする」というイメージがありますよね。筆者も救命講習で手順として「パッドを貼れるように服を脱がせる」といったことを学んだ記憶があります。

しかし、実際AEDを使用する場合、服をすべて脱がす必要はありません。ブラジャーなどの下着も脱がせなくても問題なく、パッドを貼る鎖骨下、脇腹あたりの素肌が出ていれば大丈夫です。

服は着せたまま手を入れて、パッドが素肌に直接つくよう下着をずらしてあげると、「人前で服を脱がされた!」というトラブルは避けられます。ただし、ブラジャーのワイヤー部分がパッドに触れると危険ですので、貼る場所にはじゅうぶん注意しましょう。

アクセサリー類には注意

ブラジャーのワイヤー以外にも、金属製のアクセサリーもパッドに触れないようにします。ネックレスなどは外したほうがよいイメージですが、実際は無理に取り外さなくてもよいです。

長めのネックレスは首から上のほうに避けるなどして対応し、無理に外して「アクセサリーを壊された!」というトラブルに発展するのを防ぎましょう。

妊娠中の女性へのAED使用可否について

もし妊婦さんがAEDの必要な状況になったとき、「おなかの赤ちゃんには影響ないのか」と心配になる方も多いのではないでしょうか。結論、妊娠中の女性にもAEDは使用して問題ありません。

母体が無事でなければ、赤ちゃんも助からない可能性は高くなってしまいます。妊娠中の女性も、心肺停止状態での処置内容は変わりませんので、AEDは可能な限り使うようにしましょう。

女性へのAED使用時に周囲が配慮すべきこと

女性にAEDを使用するときは、実際に処置をする方はもちろん、周囲の方がさまざまな配慮をすることも重要です。救命活動の様子ができるだけ人目につかないような工夫で、のちのトラブルをできるだけ避けるようにしましょう。

脱がせた場合は「隠す配慮」を

服を脱がせなくてもAEDは使用できますが、冬場で服をたくさん着込んでいる、複雑なデザインの服を着ているなど、「脱がせた方が早く対応できる」というシーンもあるでしょう。もちろん、救助にあたり服を脱がせても問題にはなりませんが、脱がせたままにせず、できるだけ隠すよう配慮してください。

パッドを貼り付けた上から服やタオルをかけるだけで、女性の肌の露出をおさえ、周囲に裸を見られずに済みます。

できるだけ女性が行う

救助の場に男性しかいなければ、男性がAEDを使用します。躊躇するかもしれませんが、大切な命を救える可能性を信じ、AEDがあれば必ず使ってください。

その場に女性がいる場合は、女性にAEDの対応をしてもらうのも1つの方法です。女性同士ならのちのちトラブルになる可能性はより低くなります。

AEDは音声で手順をわかりやすくガイドしてくれるので、使ったことがない方も簡単に使用可能です。その場に人が大勢いれば、使い方を知っている人も必ずいるでしょうし、インターネットで使い方を検索してくれる方もいるかもしれません。音声ガイドや周囲の応援を活用し、女性が女性を助けるのも、AEDの使用率アップにつながるでしょう。

救助しない人を遠ざける

緊急の現場には、救助にあたらない方も大勢集まる場合があります。心配して様子をうかがっている方、できることがあれば助けたいという方もいますし、なかには興味本位で見に来ている方もいるかもしれません。

救助に必要なのは、救急車を呼ぶ人、AEDを持ってくる人、心肺蘇生法を行う方(2~3名で交代でできればベスト)の数名です。それ以外の方を遠ざけ、女性が救助されている様子を見せないという配慮も、忘れてはいけません。

もし救急救命について学んでいても、救助の手が足りていそうだと判断した場合は、「AEDを使うので離れてください」と周囲の方をできるだけ要救助者から離す役割に回りましょう。

命が優先!女性にもためらわずAEDを

女性へのAED使用は、「ためらわずに行って!」といわれても、男性からしたら行動にうつしにくいことかもしれません。しかし、もし大切なパートナーやお母さま、お子さまなどが「女性だから」という理由でAEDを使用されなかったら、どうでしょうか。

「他人だから面倒なことに関わりたくない」という気持ちはなくし、もしものときはAEDを積極的に使用しましょう。女性側も、自身が万一の場合に遭遇する可能性を想定し、男性にAEDを使用されること、屋外や公衆の面前でAEDを使用されることへの抵抗感をなくす努力をすることが大切です。

命を救う行為が最優先、という意識が、1人でも多くの方に芽生えることを、願っています。

編集後記

普通救命講習を受けたときに、「もし亡くなっても責任を負わされることはないので大丈夫です」というお話がありました。よく考えれば当たり前ですが、「救急救命を実施したところで、助からない可能性がある」ということを、私は考えていなかったんですね。

生死に関わる現場に遭遇しただけでもトラウマになるかもしれないのに、もし救助に関わった方が亡くなってしまったらと思うと、私は動くことができるだろうか、と深く考えさせられたことを覚えています。

しかし、「助けられないのがこわいから」と行動にうつさずに残念な結果になってしまったら、私はより後悔するなと思いました。女性へのAED使用も、「命を救える可能性」を信じ、使用していただければと思います。

事故や病気でのAED使用は誰しも避けたいところでしょうが、もし私が心肺停止などしてしまった際は、男性でも女性でもどなたでもかまいませんので、とにかく助けていただきたいなぁと思いました。

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語教師を経て2018年よりライターに転身。子どもと学べる防災に関心を持ち、日々災害や備えについて勉強中。
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