空き巣とは、住人が外出などで「不在のとき」に侵入・窃盗する手口のことです。
空き巣対策として、ホームセキュリティを導入するのもひとつの手段ですが、今回は、自分でできる空き巣対策をご紹介します。
自分でできるものから業者に依頼しておこなうものまで、ご自分にあった空き巣対策をみつけてくださいね。
空き巣は侵入・窃盗の手口でもっとも多い
下のグラフは、2020年(令和2年)に発生した住宅への侵入・窃盗の手口をあらわしたものです。「空き巣」の割合がもっとも多く、31.5%と約3割をしめています。
空き巣に続いて多い手口は、「忍込み」と「居空き」です。「忍込み」とは、住人が就寝している時間帯に侵入・窃盗をおこなう手口のことです。「居空き」とは、住人の昼寝中や、食事で一つの部屋に集まっているときなどのチョットした隙をねらっておこなわれる手口です。
空き巣対策は外出前の対策が重要
「忍込み」と「居空き」は、住人の在宅時におこなわれる犯罪ですが、「空き巣」は不在時です。このことから、空き巣対策は「外出前にしっかり対策をとっておく」ことが、大前提となるでしょう。
では、外出前の防犯対策とはなんでしょう。もちろん「ドアや窓に鍵をかけること」です。あたり前に思われるかもしれませんが、実はこれが意外とできていないのです。
家を留守にするのに鍵をかけていない
下のグラフは、住宅のタイプ別に「どうやって住宅に侵入したのか」をしめしたものです。ここからわかるのは、住宅のタイプに関わらず、いずれも「無締まり(むじまり)」、つまり「鍵をかけていないため、侵入できた」ということです。
そこで、はじめに窓の防犯対策からお伝えしましょう。
窓の鍵に防犯性能はない?!
窓の鍵と聞いて、サッシの中心部にある、ツマミを上下に動かして開閉するものを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
しかし、これ(クレセント錠)は、防犯を目的とした鍵ではなく、ガラスを密着させるためのものだというのです。たしかに、外からガラスを打ち破られてしまったら、簡単に開けられてしまいます。
では、どうしたらよいのでしょう。ここでは3つの方法をご紹介します。
窓ストッパーを取りつける
一つ目は補助錠をとりつけることです。万が一、ガラスが割られて解錠されても、補助錠があることで窓は簡単には開かず、侵入されにくくなります。
窓ストッパーという名称で売られていることが多く、100円ショップでも手に入れることができます。窓を防犯ガラスに交換するのは難しくても、窓ストッパーであれば取り入れやすいのではないでしょうか。
クレセント錠を交換する
二つ目の方法が、クレセント錠そのものを交換することです。クレセント錠にはダイヤル式や鍵付きのものまで、さまざまなタイプがあります。たとえば、ダイヤル式ならガラスを打ち破られても、数字が合わないと開かないため、容易に侵入することはできないでしょう。2000円台で購入できるものもあるため、一度チェックしてみるとよいですね。
窓用防犯ブザー・センサーを取りつける
3つ目は窓用の防犯ブザーやセンサーを取りつけることです。窓が開けられたときやガラスへの衝撃を感知して、ブザーで知らせてくれます。100円ショップでの扱いもありますが、ブザーの音量が変えられたりスマホと連動するなど種類もさまざまなので、ライフスタイルに合ったタイプを選ぶのがよいでしょう。
ここまでは、比較的手軽にできる窓への空き巣対策をお伝えしました。
しかし「これだけでは不安」と感じる方もいるのではないでしょうか。事実、先述のグラフでは、侵入・窃盗の手口として「無締まり」の次に多かったのが「ガラス破り」でした。
そこで次は、窓の空き巣対策として防犯性がより高いものをご紹介します。
空き巣対策の効果は窓ガラスの種類で明らかな差がでる
下の写真は、警察庁のサイトに掲載されているバールによる打ち破りの実験結果です。
サイトではすべての実験映像を動画でみることができ、たとえば、フロート板ガラス(板厚3mm)の実験映像では、簡単にガラスが割られ窓が開けられています。
ガラスを防犯ガラスに変える
防犯ガラスの実験映像では、ガラスにヒビは入っているものの、なかなか打ち破ることができません。簡単に割れてしまうガラスとくらべると、その差は歴然であり防犯ガラスのほうが打ち破るまでに時間を要しています。時間がかかることで、まさに「侵入しにくくする」対策と言えるでしょう。
ガラスに防犯フィルムを貼る
防犯ガラスと同様に高い防犯性能をもつのが、防犯フィルムです(防犯フィルムの実験映像はこちら)。
ひとつ注意が必要なのは、フィルムは一部分だけにはるのではなく全面に貼るということです。部分的に防犯フィルムを貼った実験映像では、貼ってある部分は残るものの、貼られていない部分が1回の打撃で割られてしまっています。
面格子を取りつける
窓の外側に面格子を取りつけると、窓の外側をしっかりガードするので侵入はむずかしくなるでしょう。開閉はできないものの風通しはあり、また、おしゃれな面格子として販売しているものもあります。
窓シャッターを取りつける
窓シャッターは、面格子とちがって窓全面を隠すことができるので、費用は高くなりますが、その分、防犯性もより高くなるでしょう。自動式タイプであれば手軽に開閉でき、台風や防音対策としても効果的ですね。
ここまで、窓の空き巣対策をご紹介しました。最後に、住宅の周辺や日常的におこないたい防犯対策をお伝えします。
空き巣対策は住宅の周辺・日常的にできることも忘れずに
侵入・窃盗をする前には、下見をするといわれています。下見の段階で「この家は侵入しにくそうだ」と思わせることも大切でしょう。
◇住宅の空き巣対策
・死角にセンサーライトや防犯カメラをつける
・通路に砂利を敷き、音がでるようにしておく
・敷地外からの見通しをよくしておく
・2階への足場となるような物を置かない など
また、特別な防犯対策をしなくても、次のようなことは日常的にできる対策となるでしょう。
◇日常的にできる防犯対策
・鍵をかけ忘れないようにする
・合い鍵を物置などに隠しておかない
・郵便物はためない(不在と思われやすくなるため)
・玄関を開けるまえに周囲を見渡す
・訪問者はドアスコープで確認してからドアを開ける
・ドアチェーンをしたまま対応する など
このように、日常的にできることを続けるなかで、防犯意識が高まっていく側面があるかもしれません。いつもの生活をチョット防犯の視点から見直してみるとよいですね。
【参考文献】
住まいる防犯110番「防犯性の高い建物部品の紹介」
(以上)