災害救援ボランティア~災害に備える活動と被災地での活動~

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災害に見舞われた被災地の映像を見て、「ボランティアとして役に立ちたい」と思われる方もいるのではないでしょうか。災害時のボランティア活動は、被災直後における活動から、被災者の自立に向けた長期的な活動まで、実に幅広くおこなわれます。

今回は、災害救援ボランティア推進委員会が実施している講座および、受講後の活動について紹介します。さらに、災害時のボランティア活動に必要な準備についてもお伝えしていきます。

その前に、まずは「災害救援ボランティア」と「災害ボランティア」について確認します。

目次

災害ボランティアと災害救援ボランティア

災害救援ボランティアと災害ボランティアは、同じとも言えるし違うとも言えます。そこで、ここでは「活動」と「講座」といういう視点で両者を説明します。

被災地で活動するボランティアを指す言い方の一つ

災害が発生した地域でボランティア活動をする人、を指す言い方はさまざまです。

どちらかというと「災害救援ボランティア」より「災害ボランティア」が一般的ではありますが、内閣府では「防災ボランティア」としています。また、各市町村のボランティアセンターをまとめる県のセンターを、「災害救援ボランティアセンター」としているところもあります。

このように、災害に関するボランティア活動を統一する呼称はありません。したがって、どちらも同じボランティア活動だと言うことができます。

鳥取県社会福祉協議会では「災害救援ボランティア」としているのですが、「救援」の意味について、丁寧に解説しているのでご紹介します。

『「救援」という言葉は「救助」と「援助」を併せ持った意味を持ちます。「救助」は消防や自衛隊による「人命救助」のイメージで、被害者をすばやく安全な場所へ誘導 または搬送する意味と捉える人が多いです。(中略) 一方「援助」は災害救助法では仮設住宅や医療などが含まれ、比較的長期にわたる支援をさします。』

【引用URL】鳥取県社会福祉協議会「Ⅱ災害救援ボランティアの基本的視点と活動」

http://www.tottori-wel.or.jp/system/site/upload/live/642/atc_1523264697.pdf

講座の主催団体である「災害救援ボランティア推進委員会」

「災害ボランティア講座」「災害ボランティアコーディネーター養成講座」のように各自治体などで、災害に関するボランティアを養成、育成する講座を実施しています。今回の記事でご紹介する講座は「災害救援ボランティア講座」です。

ボランティアの活動自体については「災害ボランティア」と違いがないのは、すでに説明したとおりですが、違うのは「講座を受けたあとにもらえる認定資格」の内容です。

それでは、「災害救援ボランティア講座」とは、どのような講座でどんな資格がとれるのか見ていきましょう。

災害救援ボランティア推進委員会が実施する講座で資格を取る

災害救援ボランティアの育成と防災教育を推進している民間団体「災害救援ボランティア推進員会」では、災害救援ボランティア講座を実施しています。2021年度にはオンラインでの開催も予定されています。

災害救援ボランティア講座は「講義」「実技」「討議・演習」を原則3日間で学ぶ

講座内容は開催場所によっても異なるのですが、今回は2021年7月に実施される内容をご紹介します。なお、講座日程はホームページからも確認することができます。

【引用URL】 災害救援ボランティア推進委員会 https://www.saigai.or.jp/

○1日目

 ・災害救援ボランティア理論

 ・神奈川県の災害対策

 ・認定と登録について

 ・災害ワークショップ「発生後の3:3:3を考える」

○2日目

 ・災害対応実技~技を身につけよう

 ・災害ボランティアの安全衛生

 ・普通救命講習

○3日目

 ・火災の基礎

 ・知っておくべき地方自治体の防災の実際

 ・訓練準備(バイタルチェック)

 ・消火、避難、煙体験訓練

 ・認定証授与

 災害ボランティアとして必要な基礎的知識から自治体の防災についてまで、広く学ぶことができる内容になっています。

講座修了者はセーフリーダーとして活動できる

「災害救援ボランティア講座」を修了すると、「セーフリーダー(通称:SL)」という認定が与えられます。認定証の取得後、どのような活動ができるのかについて、セーフティーリーダー(SL)が会員である「SL災害ボランティアネットワーク」の活動内容から、ご紹介します。

【引用URL】 公益社団法人 SL災害ボランティアネットワーク https://www.sl-saigai.com/

防災に役立つ知識、技術を身につける

災害救援ボランティア講座を受講したセーフィティーリーダー(SL)ですが、そこで学んだ知識・技術だけでなく、その向上を図るための活動を展開しています。

たとえば、2020年には災害食講座「非常用炊出袋を使った炊飯実習」が、オンラインで開催されました。また、知識の習得として「心肺蘇生法ガイドライン2020」について、変更点の確認やコロナ禍での応急手当の注意点についても学習しています。

被災地での活動

日本各地の被災地においてセーフティーリーダー(SL)は活動しています。

2016年熊本地震後、熊本県の承認を得て作成した「くまもんバッチ」の販売による募金活動をおこないました。また、2019年台風15号および19号による大雨の被災地では、「千葉県SLネット」が千葉県内各地で、がれきの片付けや物資提供等をおこなっています。

学校や自治体の講師として活動

SL災害ボランティアネットワークには、「倒壊家屋からの救出方法」や「DIG(防災マップ作り)」といった、子どもから大人まで幅広い年代を対象にしたさまざまな防災研修プログラムがあります。

災害ボランティアと聞くと、災害時だけのボランティア活動を思われるかもしれませんがご紹介したような「災害に備えるためのボランティア活動」もあります。

「なにかボランティア活動をしたい」という方にとっても、セーフティーリーダー(SL)の活動は、平常時にできるボランティア活動になります。ぜひ選択肢のひとつにいれてみてはいかがでしょうか。

全国の被災地支援・災害ボランティア情報を知るなら「全社協」

「全社協」とは、全国社会福祉協議会の略称です。社会福祉協議会とは、ボランティアに関わること以外にも、高齢者の福祉、障碍者の福祉、子どもの福祉に関わる活動を行っています。「全社協」は、各都道府県の社会福祉協議会の連合会として位置づけられています。

この「全社協」では、『全社協 被災地支援・災害ボランティア情報』を、消防庁やJVOAD(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク)といった関連団体のリンク先とともに、ホームページ上で公開しています。

ボランティア活動のまえには「ボランティア保険」に加入!

いざ被災地でボランティア活動をすることになってから、「ボランティア保険に入っていません」では困ります。各市町村の社会福祉協議会が、このボランティア保険の申込先になっています。全社協のサイトに、各地の社会福祉協議会ホームページが検索できる「全国社会福祉協議会一覧」がありますので、ぜひ事前に加入しておきましょう。

被災地に出発する前に加入することで、被災地までの移動における事故も補償対象となります。また、自分自身のケガへの補償だけではなく、被災者の家の物を壊してしまった場合などの損害賠償責任も補償しています。

被災地で「ご迷惑なボランティアさん」にならないために

ボランティア保険への加入もそうですが、被災地においては「自分のことは自分でする」のが原則です。活動に適した服装で行くのはもちろん、食事や宿泊先の確保も自分でおこないます。これは、被災地の人たちが、目の前の問題解決に集中できるようにするための配慮といえるでしょう。

被災地であっても、そこはあくまで「日本のなかのひとつの地域」です。都市環境や方言といった目や耳で分かる違いだけではなく、人との関わり方やボランティアに対する認識も実にさまざまです。

 「何とかしてあげたい!」というボランティアの思いは、とても大きなエネルギーがあり、被災して困っている人たちの役に立つこともたくさんあります。

しかし、いざ被災地に着いて現状を前にすると、その思いが強く前面に出すぎてしまうことがあります。現場を仕切る地元のスタッフに、県外からのボランティアが「そのやり方ではダメだ」と言い、かえって被災地の迷惑になったという話もあります。

被災地でのボランティア活動は、被災した人に寄り添っておこなう

被災者は災害にあい、まだ気持ちの整理もできない状態かもしれません。普段ならスムーズにできることも、被災時はそうはできないこともあるのです。

自分が講座で得た知識や技をどう現地で生かすか、そのやり方は被災地・被災者にとってさまざまです。被災した人たちは何を求めているのか、それをしっかりと聞くことが被災地でのボランティア活動にとっては特に大切になります。

被災地へ行く前の準備、被災地での活動の仕方を学ぶ

『政府広報オンライン』というサイトでは、「被災地を応援したい方へ 災害ボランティア活動の始め方」を解説しています。被災地へ行く前の準備から、被災地での活動の仕方までイラストをつかい分かりやすく説明していますので、ご覧になってみてください。

まとめ

今回は「災害救援ボランティア推進委員会」が実施している講座についてご紹介しました。災害時のボランティア活動や防災については、このほかにも講習会や資格認定をしている団体があります。

どのような災害ボランティアの講座があるのか、または資格があるのかを知ることは、「災害時に活動するための備える活動」と言えます。

ぜひ自分に合ったものを見つけ、自分にも相手にも負担にならないボランティア活動ができることを願っています。

【参考文献】

鳥取県社会福祉協議会『災害救援ボランティア活動支援マニュアル策定指針【平成29年度改訂版】』 http://www.tottori-wel.or.jp/p/jinzai/vol_top/2/

内閣府「防災情報のページ」特集 防災ボランティア http://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h22/01/special_01.html

全社協「被災地支援・災害ボランティア情報」 https://www.saigaivc.com/20210704/

政府広報オンライン「被災地を応援したい方へ 災害ボランティア活動の始め方」 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201909/4.html

※防災新聞では、防災士や防災リーダーについての記事もありますので、そちらも是非ごらんください。

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
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