ため池の事故はなぜおこる?形状による原因と決壊リスクを解説

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ため池とは、農業用水を確保するため人工的につくられたものです。
雨があまり降らない所や、農業用水を取り込む大きな河川が周辺にない地域などで作られてきました。

江戸時代につくられたものが多く、なかには、所有者不明や老朽化への対策が必要なところもあります。

生活に必要な場所であるものの、そこでは毎年、人命が失われている現実があります。

それは事故だけでなく、豪雨や地震といった自然災害によっても同様です。

なぜ、これらの被害が繰り返されるのでしょうか。

ため池の事故・決壊について解説します。 

目次

ため池の事故では毎年「平均25人」が亡くなっている

今年(2022年)東北地方では、4月に宮城県栗原市で小学1年生、5月に青森県弘前市で中学生が、ため池で亡くなりました。いずれも、ため池で釣りをしている最中に転落したとみられています。

農林水産省『ため池の転落事故防⽌のための安全対策について(令和4年5月)』によると、ため池による事故では、毎年平均25人が死亡しており、5月から9月に多く発生しています。
年代は、70代が23%ともっとも多いものの、10歳未満から80代まで各世代で発生しています。

残念ながら、ため池による死亡事故はくり返されている現実があります。

それはなぜでしょうか。
ため池の事故から身を守るには、「立ち入り禁止!」の看板があるため池に入らないだけでなく、ため池の危険をしっかり理解することも必要でしょう。

次に、ため池の危険を解説します。

ため池に落ちたらなぜ上がれないのか|形状と滑りやすさ

ため池に落ちると、対策がとられていない池では上がってくることは困難とされています。

それは、すり鉢状のため池では、一歩足が入ってしまうとそのままズルっと池の中に落ち、しかも、遮水シートが張ってあったり藻や水草があるなどで、非常に滑りやすい状態のためです。

そのため「這い上がろうとすればするほど、足元は滑って上がれない」という状態に陥ってしまうのです。

ため池には、見た目の穏やかさからは想像できない危険があることを、しっかり頭に入れておきましょう。

ため池に落ちている人を見たら|浮くもの・長いものを投げ入れる

もし、あなたがため池に落ちている人を見かけたら、大声で周りの人に知らせ、「118番(海上保安庁)・110番(警察)・119番(消防)」に連絡しましょう。ペットボトルや浮き輪、長い棒や板などの「浮くもの」「長いもの」を投げ入れて救助する方法もあります。

助けに行こうと池に入るのは非常に危険です。

ため池の管理者は6割が集落・個人|アプリ活用で危険を共有

ここでは、ため池の管理者と管理するうえで便利につかえるアプリをご紹介します。

行政が管理しているため池は1割

農林水産省によると、ため池の管理者の約6割が「集落・個人等」であり、約2割が「水利組合」約1割が「行政」となっています。

令和元年7月1日に、ため池の適切な保全と決壊被害を防ぐことを目的とした法律(農業用ため池の管理及び保全に関する法律)が施行されました。

この法律では、所有者や管理者に対し、所在地や貯水量といった、ため池の情報を都道府県に届け出ることが義務付けられています。

もし、防災工事などの管理上必要な措置がなされていなければ、都道府県は管理者に勧告することができます。

この、届出された情報は、データベースとして公表するとされており、こちらから都道府県別の状況を確認することができます。

管理者向け「ため池アプリ」|危険を防災関係者と共有

ため池の管理者向けに、簡単にため池の点検結果を報告できるアプリ「ため池管理アプリ(MEAP)」が機構から開発されています。

災害時には、アプリをつかって被害状況を報告することで、防災関係者と共有することが可能になります。

アプリは、こちらからダウンロードできます。「App Store」「Google Play

農研機構では動画(約10分)でアプリの概要や操作方法を解説しています。

【参考動画】NAROchannel『ため池管理アプリ』

災害時には被害状況を正しく把握することが大切です。被害状況が共有されることで、迅速な災害支援へとつながることが可能になるでしょう。

ため池の決壊に備える防災とは|ハザードマップポータルサイトを活用

近年発生している豪雨では、ため池の決壊により土石流が下流の住宅を襲い、各地で人命が失われています。

2017年(平成29年)7月の九州北部豪雨では、福岡県朝倉市で9つのため池が決壊。2018年(平成30年)西日本豪雨では、広島県福山市で当時3歳の幼児が命を落としています。

先述の法律では、市町村は、ため池の決壊時に想定される浸水区域や避難経路などを示したハザードマップを作成し、住民への周知に努めるようにとされています。

ため池のハザードマップは、ハザードマップポータルサイトから調べることができます。使い方は、ハザードマップポータルサイトのなかの「わがまちハザードマップ」からです。「地図で選ぶ」→「災害種別から選択する」→「ため池ハザードマップ」を選ぶと、インターネットで公開している地域のため池ハザードマップを確認することができます。

お住まいの地域によっては、台風や地震の防災を考えるときには、ため池の決壊についても念頭に入れる必要があるでしょう。

それにはまず「どこがどのように危険なのか」を知ることが大切です。是非お住まいの地域のため池にある、危険をチェックしてみてはいかがでしょうか。 

まとめ|ため池の危険と魅力を知る~ため池100選

ため池は、農業用水の確保を目的に人工的につくられたものです。現在あるため池は、江戸時代につくられたものが多く、当時と今では自然環境も大きく変化しています。

ため池の事故では毎年平均25人もの人命が失われ、また豪雨や地震による決壊でも甚大な被害が発生しています。これらの被害を生まないためには、ため池の危険を知ることが大切です。

一方、ため池には農業用水としてだけでなく、多様な生き物の住処であったり、洪水調整・非常時の防火用水としての役割もあります。

農林水産省は、ため池の保全とその役割を知ってもらおうと『ため池百選』を選定しています。これは、適切な管理がされており、農業用としてだけでなはい魅力のあるため池が選定されています。

サイトでは、選ばれたため池が各地方ごとに大まかな地図上で示され、写真とコメント付きで紹介されています。

早急に防災対策が必要なため池があるのも事実ですが、一方で、適切に管理され“ため池ならではの魅力”があるものもあります。

ため池の危険と魅力、その両方をぜひ知ってほしいと思います。

【参考文献】

農林水産省『ため池の転落事故防⽌のための 安全対策について』
https://www.maff.go.jp/j/nousin/bousai/bousai_saigai/b_tameike/attach/pdf/index-141.pdf

農林水産省『農業用ため池の管理及び保全に関する法律の概要』令和元年6月
https://www.maff.go.jp/j/nousin/bousai/bousai_saigai/b_tameike/attach/pdf/kanrihozenhou-2.pdf

農林水産省『ため池』
https://www.maff.go.jp/j/nousin/bousai/bousai_saigai/b_tameike/

農林水産省『農業用ため池の 届出制度が始まります』
https://www.maff.go.jp/j/nousin/bousai/bousai_saigai/b_tameike/attach/pdf/kanrihozenhou-1.pdf

農研機構:プレスリリース 『(研究成果) ため池管理アプリ 』
https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nire/142608.html

いなみ野ため池ミュージアム『ため池とは』
https://www.inamino-tameike-museum.com/what-is-a-pond/various-work.html

ウォーターセーフティガイド(海上保安庁)「溺れた人を見たときの対処法」
https://www6.kaiho.mlit.go.jp/watersafety/swimming/04_rescue/index.html

朝日新聞デジタル「ため池1400箇所、決壊リスク」2018年9月2日http://www.asahi.com/area/fukuoka/articles/MTW20180903410740001.html

農林水産省「ため池100選」
https://www.maff.go.jp/j/nousin/bousai/bousai_saigai/b_tameike/attach/pdf/index-142.pdf

(以上)

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
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