ビル火災から命を守る<煙にまかれず安全に避難する方法>

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職場や飲食店など、私たちが日常生活で行く場所の一つにビルがあります。

職場なら避難訓練に参加する機会もありますが、たまに行くビル内の飲食店や病院などでは、その機会もそう多くはないでしょう。だからと言って、全く何もせずに通い続けるのも不安です。

そこで今回は、火災発生時に命を守る重要なポイントとなる「煙から安全に避難する方法」と「避難時の注意点」、さらに「普段できるビル火災への備え」についてお伝えします。

いつどこで遭遇するかわからない火災への備え、ぜひご一読ください。

目次

火災では煙を吸わないこと!【煙の中の避難姿勢と行動】を5つのキーワードで解説

火災から命を守るうえで重要なポイントとなるのが「煙を吸わないこと」です。はじめに、煙の怖さを再確認しておきましょう。

火災では火よりも煙が怖い

火事の映像では火が燃えあがっているものも多いため、炎に対する恐怖心がある方も多いかもしれません。ですが、火災で怖いのは火よりも煙です。

もし、体に火が燃え移った場合は「ストップ、ドロップ&ロール(※)」など火を消し止める手段があります。

(※)「ストップ(止まる)、ドロップ(寝転ぶ)&ロール(転がる)」の方法

  • 炎が広がるのを防ぐためその場に「止まる」
  • 地面や床に「寝転び」炎が出ているとこを床に押し付ける
  • 床に体を押し付けたまま「左右に転がる」

しかし、火災で発生する煙には有害物質が多く含まれているため、たとえわずかであっても吸い込むと命に関わる危険があるのです。

煙の移動スピードは早く、天井にのぼる速さは1秒間に3~5m、横への速さは1秒間に0.5m~1mとされています。火災から安全に避難するためには「煙を吸い込まないように避難する」ことが大切です。 

煙は上にのぼっていくため、下にいくほど空気が残っている可能性があります。

そのため、煙の状況に応じた姿勢をとることが安全に避難するためには重要なのです。

それでは、煙にまかれず安全に避難するための5つのキーワードをご紹介します。

【キーワード 1】かがみごし避難

煙が天井付近にとどまっている場合でも、姿勢を低くして中腰のかがんだ状態で避難します。たとえ煙が背丈まで迫っていないからといって、油断してはいけません。

【キーワード 2】ダック・ウォーク(アヒル歩き)

かがみごし避難では煙を吸い込んでしまうという状況では、「ダック・ウォーク避難(アヒル歩き)」をおこないます。中腰のときよりさらに膝をしっかりと曲げた低い姿勢で避難します。

【キーワード 3】四つばい避難(クローリング)

煙が床に迫ってきている状況では、四つばいの姿勢です。煙が充満している状況はかなりの恐怖心に襲われるでしょう。ですが、床面付近や階段の隅には空気が残っている可能性があります。パニックにならず、壁または床に片方の手をあてながら四つばいの姿勢で避難しましょう。

【キーワード 4】ぶらさがり避難

最終手段ですが、2階の窓から避難するときは、ジャンプするのではなく、窓枠や手すりにぶら下がり足をのばした状態になってから、手を離します。着地面がコンクリートの場合には、ソファーや布団などを投げて緩衝材にするのもよいでしょう。

こうすることで、地面との距離が縮まりケガのリスクを減らすことができます。

【キーワード 5】サークルサーチ(環状検索)

もし、煙にまかれて自分の居場所やどこから避難できるかわからなくなった場合どうするか。その時は「サークルアーチ(環状検索)」をおこないます。

四つばいの状態で片足を軸にして、片方の手をのばし、周囲360度の状況を手探りで把握します。こうやってドアや窓など避難できるルートを探すのです。

避難時の注意点|「そんなの当然」が火災時のパニック下ではできなくなるかも

安全に避難するためにはどのようなことに注意すればよいのでしょうか。

何事も起きていない時には「そんなの当たり前」と思うようなことでも、火災時にはパニックで気が動転してしまうかもしれません。事前にしっかり確認しておきましょう。

急いで避難行動をはじめる

火災時には一刻も早く避難行動を開始することが大切です。スマホや貴重品などを取りに戻ってはいけません

息は止めない

息を止めていて苦しくなった場合、次の一呼吸が深くなり、多量に煙を吸い込む危険があります。そのため、息は止めず、少しずつ浅い呼吸を維持しながら避難します。

鼻と口を覆う

煙を吸い込まないようにするため、ハンカチなどで鼻と口をおおった状態で避難します。ハンカチがない場合は、腕を鼻と口にあてる方法があります。

ドアを開けるときは慎重に

非常階段のドアなどを開けるときは、勢いよく開けてはいけません。万が一、階段にまで煙が充満していた場合、開けた瞬間に煙を吸い込んでしまうからです。

急いで避難しなければならないのはもちろんですが、ドアを開けるときは急に開けないことを頭に入れておきましょう。

エレベーターは使わない

地震のときもそうですが、火災でもエレベータは途中で止まる可能性があるため、使用してはいけません。階段または窓から避難します。

また、無事に避難して外に出ることができたら、中に戻ってはいけません。炎も煙の勢いも避難時とは異なる状況が予想されます。要救助者がいる場合は救急隊員に伝えましょう。

ビル内のお店を利用するときはここをチェック|事前にできるビル火災への備え

いつ起こるかわからない火災。私たちができる最低限のことをお伝えします。

非常口の場所を確認する

火災だけでなく、地震の際の避難にも言えますが、外出先では非常口の場所を確認するようにしましょう。もし場所がわからない場合は、スタッフの方に尋ねても良いでしょう。

非常口の場所を把握しておくことは、自分の命を守るために必要なことです。遠慮や恥ずかしい気持ちはいりません、勇気をもって行動しましょう。

非常階段やドアに物が置かれていないか

避難のとき、非常階段や出入口付近に物が置かれていては、素早く避難することが困難になってしまいます。過去には非常階段に物が置かれてあったことで、多くの方が犠牲になった事例もあります。

万が一、避難に支障があると思われる状態だった場合には、スタッフあるいは消防署に連絡するのも一つの手段でしょう。

次は、職場などがビル内の場合にできる備えを2点お伝えします

火災頭上訓練(FIG)をおこなう

FIGとは「Fire Image Game」の頭文字で、図面上でおこなう訓練のことです。各部屋と非常階段との位置関係、消火器やスプリンクラーなどの消防設備の場所などの現状を把握することができます。そうすることで、誰が何をするなど火災発生時に優先すべき行動がわかり円滑な避難行動につなげることができます。 

名古屋市のホームページでは、火災頭上訓練マニュアルや図面の参考例が活用できるようになっています。

また、名古屋市消防局が公開している火災頭上訓練(FIG)の動画『火災頭上訓練をやってみよう』の【準備編:約1分20秒】および【進め方編:約3分20秒】も紹介されています。

一次避難スペースを作る

階段での避難ができないほど煙が充満した場合に備え、一時的に避難するスペースを事前に作っておきます。一次避難スペースに適しているのは、外に面した窓があり扉などで区画されている所です。

では、一次避難スペースに備えておきたい備品、火災時に救助が到着するまでにおこなうべきことをお伝えします。

一次避難スペースに確保しておきたい備品

アルミテープ、避難器具、笛や拡声器、水、消火器

後述するように煙の侵入を防ぐ際にアルミテープが必要となります。

一次避難スペースでとるべき行動

・扉と壁との隙間や鍵穴などをテープやティッシュを貼る

こうすることで、一次避難スペースに煙が入り込むのを防ぐことができます

・窓から顔をだし大声で助けを求める

外に向かって消防隊や近所の人に助けを求めます。笛があると恐怖で声が出ないときでも自分の存在を知らせることができます。

・一次避難スペースにも煙が入ってきたら、窓から体を出して腰を「くの字」頭を下にして外気を確保する。

万が一に備えて、一時避難スペースを確保できないか、事前に検討してみることが大切です。

火災時は煙にまかれないよう避難することが大切

ビルの火災では、自分が火事を起こさないよう気をつけるというよりも、残念ながら被害者になってしまう危険性のほうが高いでしょう。

だからこそ、万が一の火災時に備え、安全に避難できる方法を知っておくことがとても大切です。火災時には「避難するときの注意点」をしっかりと守り、煙にまかれることがないよう「安全に避難するための姿勢・行動」をとりましょう。

もちろん「非常口の場所を確認する」といった日常のなかでできる備えも忘れないでくださいね。

【参考文献】

京都市消防局「火災から命を守る避難」https://www.city.kyoto.lg.jp/shobo/cmsfiles/contents/0000267/267003/kasaikarainotiwomamoru.pdf

名古屋市「火災対応検証訓練(実行動訓練)・火災頭上訓練(FIG)」https://www.city.nagoya.jp/shobo/page/0000132745.html

(以上)

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
詳しいプロフィールはこちら

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