大雨の時にテレビでよく見かけるのが、マンホールや側溝の会所マスから勢いよく雨水が噴水のごとく吹き出ているシーンです。
側溝などなら「雨水だな」と理解できるのですが、マンホールの場合はどうなのでしょう。
トイレや家庭排水を流している汚水が逆流しているのであれば、汚くないのでしょうか?それに、家庭には影響がないのでしょうか?
そんな疑問にお答えできるよう、雨水の逆流について詳しく解説していきましょう。
下水道は分流式と合流式の2種類ある
先ず下水道には、雨水と汚水をわけている「分流式」と、雨水も汚水も同じ系統で処理する「合流式」の2種類が存在します。
分流式では雨水と汚水の系統が別々なので、雨水管路は川につながっており下水管路は下水処理場につながっています。
一方、合流式の場合は川につながっておらず、下水処理場のみとなっています。道路の脇にある側溝を流れる雨水は、分流式の場合は雨水管路に流れ、合流式の場合は汚水管路に流れる仕組みとなっているのです。
- 下水道は分流式と合流式の2種類存在する
- 分流式は汚水と雨水を別々に流している
- 合流式は汚水も雨水も一緒に流れる
- 同じ市内でも、分流式の地域と合流式の地域が別れて存在する
分流式の場合は逆流しても汚くない?
分流式の場合は雨水が流れ込むのは雨水管路なので、許容量がオーバーして逆流しても噴き出すのは雨水だけとなり、合流式よりも汚いことはありません。
ただし、浸水被害が起きるほどになれば話は別で、道路が完全に浸水したなら分流式の汚水マンホールからも家庭用の汚水があふれてしまいます。
合流式の場合は汚水も一緒に噴き出している
一方で合流式は汚水と雨水を一緒に流しているので、大雨の水は汚水管路に流れ込んでいきます。
オーバーフローで逆流し噴き出すのは、もちろん雨水だけでなく汚水も一緒に噴き出しているのです。
従ってこの場合は、衛生面ではかなりよくない状況になっているといえます。
合流式でもっと危険なのは家の中
大雨時に合流式がオーバーフローするのはあまりよくないことですが、実は道路にあるマンホールから噴き出すほどの状況であれば、もっと危険なのは家の中です。
トイレ・お風呂・洗面所・台所など、家中の排水は敷地内の汚水桝を介して下水管路に流れています。
その管路が水でいっぱいになったら、家からの排水はどうなるでしょう。そうです、止まってしまうのです。
そうなると、家の中に逆流してくるのでコチラの方が一大事となる訳です。
家中の排水口に「水のう」を置いて逆流を防ぐ
急激な大雨によって道路のマンホールから雨水が噴き出すほどであれば、家の中からの排水も逆流する可能性が高いので注意が必要です。
排水口から「ボコボコ」という音が聞こえてきたり、臭いにおいが部屋に充満してきたり、トイレの流れが悪くなったりしたら、逆流の合図だと思ってください。
そんな時は、ビニール袋やゴミ袋に水を入れて「水のう」を作りましょう。作った「水のう」は家中の排水口の上に置いて逆流を抑えるのに役立ちます。
逆流だけでなく、臭いにおいもシャットダウンできるのでとても有効です。
- ビニール袋やゴミ袋に水を入れて「水のう」を作る
- 家空の排水口の上に「水のう」を置く
- 逆流も臭いにおいも防いでくれる
こちらの記事で水のうの作り方が分かります。
同じ合流式でも下流側が逆流のリスクは高い
下水は管路の勾配によって雨水や汚水を流していますから、必ず上流側と下流側が存在します。
そのため、下流側の下水が早く雨水が溜まるため、同じ合流式の管路につながっていても下流側の家屋の方が逆流のリスクが高くなります。
ほとんど平地の個所だと、どこが上流なのか下流なのか見た目では判断できませんが、坂道の場合は坂の上が上流、下が下流と考えて問題ありません。
どうしても知りたい方は、役所の下水道課にいって管路図を閲覧すると下水の流れがわかりますよ。
まとめ
- 合流式のマンホールから噴き出す雨水は分流式より汚い
- 衛生的に問題があるものの大雨で数千倍に薄まっている
- 道路よりも家の中への逆流の方がとても危険
- 「水のう」を置いて対処しよう