餅の窒息事故をふせぐ5つのポイント~口のストレッチも効果的~

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お正月に食べる機会が増える「お餅」ですが、保存ができるため非常食として備えている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、毎年と言ってもいいほどお正月になるとニュースで取り上げられる「餅の窒息事故」についてお伝えします。

餅の窒息事故が起きる原因気をつけるべき5つのポイントのほかに、口の動きをよくするためのストレッチ法詰まったときの対処法もご紹介します。

ぜひ最後までお読みいただき、楽しい食事の時間をお過ごしくださいね。

目次

餅の窒息事故は食品のなかでもっとも多い

はじめに、餅の窒息事故について、厚生労働省のe-ヘルスネット「食品による窒息事故」のデータをみてみましょう。

頻度ですが、以下で示すように、餅はゼリーや飴よりも窒息事故の頻度が高いことがわかります。

※厚生労働省 e-ヘルスネット「表1:一口あたりの窒息事故頻度」より

2018年から2019年の2年間では、661人の方が餅の窒息により亡くなっており、その男女比は男性が72%と圧倒的に多く、死亡率は女性の2.6倍にもなることが明らかになりました。

また、発生月は1月がもっとも多く282件あり、そのうちお正月の三が日に127件と多く起きています。

餅の事故が起きる原因|餅の特性にも注意

なぜ、このような事故が起きるのでしょうか。その原因には体の機能の衰えと餅の特性があります。

口腔機能の衰え

年齢を重ねるごとに、次のような状態になってきます。

  • 噛む力、飲み込む力が弱くなる
  • 唾液の量が少なくなる(食べ物が飲みにくくなる)
  • 咳で、食べ物を押し返す力が弱くなってくる

後でご紹介する口のストレッチなどをおこなって、その機能が衰えないよう意識することが大切です。

餅の特性|冷えると付着性が高まる

餅の事故の原因には「餅の特性」を知っておくことも大切です。餅は温度が低くなると付着性が高くなります。

つまり、お椀の中でやわらかい餅も、口の中で噛んでいるうちに温度が下がり、喉の粘膜にくっつきやすい状態になるのです。

食品メーカーのニュートリー株式会社の実験でも、餅には飲み込みサポートゼリーの100倍もの付着性があることが明らかになりました。

これらの原因をふまえ、ではどうやったら餅の窒息による事故を防ぐことができるのか、次にお伝えします。

餅の窒息を防ぐために気をつけること~5つのポイント

餅の窒息事故を防ぐ具体的な対策として、気をつけるべき5つのポイントをお伝えします。

すでにわかっている点もあると思いますが、改めて確認してみてくださいね。

ポイント1 餅を小さく切る

焼いたり茹でるまえの餅は硬くて切るのが大変ですが、「餅きり機」なども使用しながら、できるだけ小さく切るようにしましょう。

また、やわらかい餅には「餅とり粉」をつけると切りやすくなります。片栗粉やコーンスターチで代用ができます。

ポイント2 餅を食べるまえに汁物を飲む

餅を食べる前に汁物を飲んで、喉の通りをよくしておきます。何となく、むせたときにお茶を飲むイメージがありますが、「むせる前に飲む」と覚えておくと良いですね。

ポイント3 姿勢を良くして顎を引いて食べる

餅を食べるときの姿勢も大切です。いつも以上に姿勢を意識して、顎を引いた状態で食べるようにしましょう。

ポイント4 おしゃべりは控える

楽しく会話をしながら食べたいところですが、噛むことに集中するためにも会話はできるだけ控えたほうが良いでしょう。

ポイント5 唾液(だえき)とまぜあわせながら、よく噛む

一般的にはツバと言われる唾液(だえき)。唾液には、舌や喉の動きをなめらかにする力があります。餅とまぜあわせながら、よく噛むようにしましょう。

唾液には消化を助けたり細菌による感染を防ぐ効果もあります。よく噛むことでその分泌は促進されるので、健康面でもよく噛むことは重要ですね。

また、ご家族に高齢の方などがいる場合は、餅を食べるときの様子をできるだけ見守ってあげると良いでしょう。

そうすることで、窒息をいち早く発見し、後述する対処法などを素早くおこなうことができ、最悪の事態を防ぐことにつながります。

よく噛むために口のストレッチをしよう!

よく噛むためには舌がよく動いている必要があります。

一般社団法人日本訪問歯科協会「今日から始める口腔ケア」の中には、

『口を閉じて小さな声で話している時には「さしすせそ」と発音できていても、筋力が衰えている場合、大きく口を開けて話すと、「しゃしぃしゅしぇしょ」という発音になりがちです』とあります。

日本訪問歯科協会「さしすせそ」で滑舌チェック)より

病気や加齢だけでなく、コロナ禍で人との会話が減ったことなどによっても、知らぬ間にその機能が衰えている可能性もあります。また、本人は「よく噛んでいるつもり」でも、うまく噛めていないこともあります。

そこで、同じく日本訪問歯科協会が「よく噛むためのリハビリ」として口のストレッチを紹介しています(日本訪問歯科協会「咀嚼(そしゃく)のリハビリ」)。「自分は大丈夫」と過信せず、ぜひやってみてくださいね。

口のストレッチ

・舌を出したり引っ込めたりする。

・ほおをふくらませたり、へこませたりする。

・舌先を左右の口角につける。

・舌先を唇の上と下につける

※日本訪問歯科協会「咀嚼(そしゃく)のリハビリ」より

このサイトでは、ほかにも口腔リハビリテーションとして「歯ブラシでリハビリ」や「嚥下(えんげ)のリハビリ」が紹介されています。合わせてご覧ください。

特に、一人暮らしのご高齢の方は、日頃からこのようなリハビリをおこなうことが非常に重要です。家族やお近くに高齢の方が一人で住んでいる、という方は、ぜひ教えてあげてはいかがでしょう。

もし餅が喉につまったら 

家族が餅を喉につまらせてしまった場合に備えて、対処法を知っておくことも大切です。

人は窒息すると無意識に喉を親指と人差し指でつかみます。この仕草は「窒息のサイン(チョークサイン)」と呼ばれます。このとき、呼びかけなどに反応がある場合は「腹部突き上げ法」や「背部叩打法(はいぶこうだほう)」をおこないます。

窒息した人のほかに家族が一人しかいない時には、119番通報する前に、これらの方法をおこないます。

もし反応がない場合は、心肺蘇生法をおこないます。

下記に、日本医師会「救急蘇生法」より「腹部突き上げ法」と「背部叩打法(はいぶこうだほう)」のやり方を引用します。一度確認しておくと、いざという時に安心ですね。

日本医師会 救急蘇生法「気道異物除去の手順」より引用
日本医師会 救急蘇生法「気道異物除去の手順」 より引用

お子さんの窒息事故

窒息事故は、もちろん高齢の方だけでなく、小さいお子さんにも起こり得ます。

トイレットペーパーの芯(直径約4㎝)に入る大きさの物は、小さいお子さんの口に入る大きさと言われています。

政府インターネットテレビ「窒息事故から子どもを守る」では、子どもが窒息したときにみせる症状や対処法を動画(約8分)で解説しています。小さなお子さんがいる方は、こちらもぜひ確認してみてくださいね。

餅の窒息事故を防いで楽しい食事の時間を

餅は「食べるときに気をつけないといけない」、と多くの方はわかっているのではないでしょうか。

ではなぜ、餅による悲しい事故は繰り返されるのか。

今回は、餅の窒息事故の原因となる体の機能の衰えと餅の特性と、さらに、餅の窒息を防ぐための5つのポイントをお伝えしました。

また、自分では「よく噛んでいるつもり」でも、気づかぬうちに舌の動きが衰え、これまでと同じようには噛めなくなっている可能性もあります。

舌の状態をチェックする「滑舌のチェック」はすぐ簡単にできますし、「口のストレッチ」も、短い時間でやることができます。

これらの対策を日頃からおこない、どうか楽しい食事の時間をお過ごしください。


【参考文献】

消費者庁「高齢者の餅の窒息事故 1月は餅の窒息事故が急増します!」https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_009/pdf/caution_009_181226_0002.pd

消費者庁「年末年始、餅による窒息事故に御注意ください!-加齢に伴い、噛む力や飲み込む力が衰えてきます。小さく切って、少量ずつ食べましょう。-」https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/consumer_safety_cms204_20201223_01.pdf

厚生労働省 e-ヘルスネット「食品による窒息事故」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-10-001.html

一般社団法人 日本訪問歯科協会「今日からはじめる口腔ケア」https://www.houmonshika.org/oralcare/

株式会社 明治「実はすごい!唾液の働き|乳酸菌やインフルエンザとの関係は?」https://www.meiji.co.jp/karadakaizen/know/entry009.html

日本医師会「気道異物除去の手順」https://www.med.or.jp/99/kido.html

(以上)

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
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