移動性高気圧の“特徴”と発生時期に気をつけたい4つのこと

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身近な用語の意味を解説する、今回のテーマは「移動性高気圧」。

天気予報では「移動性高気圧におおわれ全国的に晴れるでしょう・・・」などと伝えられることがあります。

そこで「移動性高気圧とは何?」と調べてみると、その特徴ゆえに生活の中で気をつけたほうがよいことがあるとわかったのです。

そこで本記事では、移動性高気圧の特徴を簡単に確認したのち、その時期いつも以上に気をつけたい4つのことをお伝えします。

移動性高気圧の特徴そして日常にあるリスクを知り、次の季節に備えていきましょう。 

目次

移動性高気圧は春と秋に多く現れる|この時期のリスクとは?

移動性高気圧が日本にやってくる時期に気をつけたいのは、次の4点です。

  • 空気の乾燥による「火災」
  • 気温差による「体調不良」
  • 気温が下がった油断による「食中毒」
  • 放射冷却による「霜害(そうがい)」 

➀➁は1年中気をつけたいですが、③④は移動性高気圧がやってくる春と秋には特に注意が必要です。

なぜ移動性高気圧が近づくと、このような点に注意が必要となるのか、まずは移動性高気圧の定義と特徴をお伝えします。

その後に、気をつけたい4つのことについて解説します。

移動性高気圧の定義と特徴

気象庁では、移動性高気圧を次のように説明しています。

温帯低気圧と交互に東に移動していく高気圧。春、秋に多く現れる。

気象庁「気圧配置 気圧・高気圧・低気圧に関する用語」より引用

移動性高気圧を理解するうえでポイントとなるのが「温帯低気圧」そして「移動していく高気圧」です。

この点に着目しながら、移動性高気圧の特徴を解説します。

乾いた空気を伴う偏西風によって移動

温帯低気圧との関係は後述しますが、最初にお伝えする移動性高気圧の特徴は「移動する」ことです。

Sachiyo

移動性高気圧が移動する速さは、およそ時速40kmだとされています。

移動する原動力となるのが西から吹く偏西風なのですが、ここには大陸からの乾燥した空気が流れています。

そのため、移動性高気圧がもたらす空気は乾燥しているのです。

ちなみに、“移動性”というのは“停滞性”に対する用語であり、停滞性であるシベリア高気圧や太平洋高気圧(※本サイト内関連記事)は移動ではなく勢力に強弱があるとされています。

天気は周期的に変わり気温差が生じることも

出典:ウエザーニュース|天気予報でよく聞くシリーズ「移動性高気圧」編 https://weathernews.jp/s/topics/201810/160095/

そして移動性高気圧の特徴を知る、もう一つのポイントが「温帯低気圧」です。

実は、偏西風にのってやってくる移動性高気圧のすぐ後ろには温帯低気圧があると言いますそして、気象庁の説明にもあったように、それらは『交互に東へ移動』しているのです。

このことは、移動性高気圧がやってくる頃は「天気が周期的(3~4日ごと)に変わる」ことを意味しています。つまり、移動性高気圧がきて晴れた後には、温帯低気圧の影響によって雲や雨の日となるのです。

Sachiyo

天気の変化にともない「気温差」が生じることもあります。

それではこれらの特徴をふまえて、移動性高気圧が近づく頃に気をつけたい4つのことについて、それぞれお伝えします。

移動性高気圧がやってくる頃に気をつけたい4つのこと

あらためて、気をつけたい4つとは「火事」「体調不良」「食中毒」「霜害(そうがい)」です。

空気の乾燥による「火事」

まず、移動性高気圧は「乾燥した空気」をともなっているため、火事に気をつけなければなりません。

火を扱うときはもちろんですが、とくに秋は暖房器具の点検をしておくことも大切です。

たとえば、耐用年数を超えた暖房器具では部品が劣化していることがあります。また、シーズンオフの保管時に電源コードの上に重い物をのせていたことで、コードが断線している可能性もあるのです。

これらの点に気づかないまま使用し続けることは大変危険であり、実際にホットカーペットこたつ(※本サイト内関連記事)での火事も発生しています。

本格的な冬をむかえるまえに、各製品のメーカーサイトや取扱説明書で点検方法・買い換え時期の目安などを確認しておきましょう。

気温差による「体調不良」

一般的に季節の変わり目は体調を崩しやすいと言われています。移動性高気圧が近づく秋の季節も、昼間は暖かいものの明け方には冷え込むことがあるため、注意が必要です。

このような気温差は自律神経の過剰なはたらきを引き起こし、肩こりやだるさなどの「寒暖差疲労」をもたらすことがあります。また、ぜん息の発作も起きやすくなる時期です。

寒暖差疲労に関して、NHKの記事では症状改善のためのタオルを使ったセルフケアの方法を紹介しています。

このような対策も取りいれながら、体調を崩さぬよう気をつけましょう。

気温が下がった油断による「食中毒」 

真夏の暑い時期であれば食中毒への注意も向きやすくなりますが、涼しくなってくると油断しがちではないでしょうか?

実は、秋の移動性高気圧がやってくる時期も食中毒への注意が必要なのです。

下のグラフは、令和4年における病因物質別の食中毒発生件数ですが、なんと1年のなかで2番目に多いのが10月になっています。

出典:農林水産省「食中毒は年間を通して発生しています」https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/statistics.html

「もう大丈夫」と油断せず「まだ食中毒になるかもしれない」という危機意識をもち、調理器具を清潔に保つとともに残った料理は適切な保管を心がけるなど、対策を継続しましょう。 

Sachiyo

食中毒については、こちらでも詳しく解説しています!

食中毒の関連記事

放射冷却による「霜害(そうがい)」

最後にお伝えするのは「霜害(そうがい)」です。これは気象条件が農作物に被害をもたらす“農業気象災害”の1つで、霜(しも)による被害です。

霜が降りるとせっかく育ててきた農作物が一晩でダメになってしまうこともあるため、農家や家庭菜園をしている方は注意が必要です。

霜は“放射冷却”によって発生しますが、移動性高気圧の特徴である「晴れていて雲がなく風が弱い」という状況、そして夜間の冷え込み放射冷却を強めるのです。※放射冷却:ある物が熱を放すことでそれが冷える現象

Sachiyo

霜害をもたらす霜は、昼間にあたたまった地面の熱などから出た空気が、夜間に冷やされた結果、空気中の水蒸気が氷の結晶になったものです。

移動性高気圧がきたら次の季節にむけた備えをはじめよう

2023年の夏は過去125年間でもっとも暑い夏を記録しました。そのため、移動性高気圧の接近とともに秋をむかえる頃には「やっと涼しくなったぁ!」と安心している方も多いかもしれません。

ですが、この時期は食中毒や体調を崩す方が増える頃でもあります。

また、四季のある日本において春と秋は過ごしやすい季節である一方、本格的な夏や冬をむかえるまえの備えの時期であるとも言えるでしょう。

秋には暖房器具の点検などをおこなって火事を防ぎ、また霜による被害から農作物を守っていく必要があります。

夏の疲れを癒やしつつも、本記事を参考に、厳しい冬にむかう備えにつなげていただけると幸いです。

【参考文献】
*コトバンク「移動性高気圧」
*ウエザーニュース|天気予報でよく聞くシリーズ「移動性高気圧」編
*福岡管区気象台|はれるんマガジン「霜は晴れた日におりるのはどうして?」
*気象庁|はれるんライブラリー「放射冷却(ほうしゃれいきゃく)って何?」
*コトバンク「農業気象」
*気象予報士アカデミー「なぜ高気圧に覆われると晴れる?(高気圧とは)」
*ベネッセ 教育情報サイト【理科】温帯低気圧の天気の特徴は?

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(以上)

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
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