消防団と消防士の違いとは?消防団の活動内容や課題を知ろう

本サイトはプロモーションが含まれています。

ライターの永野です!

田舎には(都会にも?)(一部地域だけ?)「広報」といって、地域のさまざまな情報を提供してくれる冊子があります。私の住む地域では1カ月に1度、各家庭に広報が配布され、市政や求人、市内の行事などを届けてくれます。

ズボラ系主婦なので割とこうした冊子は流し読みしてしまうのですが、あるとき「暇だな~。広報でも読むか~」と何気なく開いたら、その年の消防団員の名前がずらーっと並ぶページが。同級生の名前がいくつかあり、「仲のいい人で誘い合って入団したのかな」と思ったのですが、「そもそも消防団とは何ぞや」「消防士ではないのか」などと、ぼんやりと疑問を抱いた記憶があります。

消防団と消防士は別物です。では、消防団とはどういう人たちの集まりでどんな活動をしているのか、また消防団は全国共通の団体なのか…。気になると疑問がどんどん浮かんできます。

そこで今回は、消防団に関する情報をお届けします。

目次

消防団とは?消防士との違いは

私たちがよく知る「消防士」は、地方公務員の一種で、消防・救急・救助活動などを専門に行う職業です。消防士になるには、自治体の採用試験をクリアすることはもちろん、その後「消防学校」で訓練を受ける必要があります。

一方の消防団は、地域の消防や防災のために活動に携わる人材です。普段は会社員や自営業などそれぞれが仕事を持っており、災害発生時などに必要に応じて消防団員としての活動を行います。

消防団は全国にある?

消防団の設置や管理、運営は市町村など各自治体の責任です。都道府県や消防庁などは、必要に応じて指導や支援を行います。消防機関は市町村のトップ(市長など)が、消防事務処理のための機関として設けなければなりませんが、設置は消防本部・消防署及び消防団すべてではなく、一部のみでも問題ありません。

これは、消防組織法第9条で定められており、このため消防団がない地域、もともとあった消防団の統合・廃止を実施する地域も存在します。

消防団の役割

「消防団」という名前から、「火災時のサポート役」のような印象を抱く方もいるでしょうが、消防団の役割はこれだけではありません。もちろん消火活動も行いますが、災害時に救助者がいないか探したり、実際に救助を行ったりするのも、消防団の役割の1つです。

また、危険箇所の警戒活動、給水活動、地域防災への協力など、その活動は多岐にわたります。消防団はより地域に密着した存在として、いざというときに消防士をサポートしてくれる、非常に重要なポジションだといえるでしょう。

年齢、報酬、立ち位置…消防団に関するさまざまな情報

地域に消防団がある方は、「自分も入団できるのか」「活動による報酬はあるのか」など、入団条件や待遇などが気になるのではないでしょうか。ここからは、消防団について多く寄せられる疑問を解消する、さまざまな情報をまとめていきます。

消防団になれる年齢・性別

消防団の年齢制限は、一般的に18~65歳となっています。また、性別にとらわれずさまざまな人材を求める昨今、消防団も男女問わず募集している自治体がほとんどです。

しかし、年齢制限は地域によって異なり、18歳以上が多いものの、なかには20際以上から入団可能という地域もあります。上限についてはよりバラつきがあり、60歳未満、65歳未満、65歳以下など細かく分かれているので、詳しくは各自治体への確認が必要です。

消防団はいざというときに体力を使うため、年齢の上限は厳しい傾向ですが、自治体によっては高齢者もこうした活動に貢献できるよう、「シルバー消防団」のような団体を設けるケースもあります。

また、性別についても「男女問わず入団可能」という自治体が多い傾向ですが、体力差や女性であることへの配慮、少数の女性が男性と活動することへの懸念などから、入団に制限や条件を設けていることも。「男女平等」が当たり前になりつつある時代とはいえ、まだまだ実現が難しい地域もあるようです。

消防団は公務員?

消防団員は、普段は自分で別の仕事をしており、消防士のように専門的に消防活動を担っているわけではありません。しかし、「非常勤特別職」の地方公務員というポジションが設けられています。

本業があるなか自らの意思で参加するため、ある種のボランティア要素を含んだ立ち位置であるのも、消防団員の特徴でしょう。

消防団に入るための条件

各自治体の消防団に入団するためには、次の条件を満たしている必要があります。

・自治体の定める年齢制限をクリアしていること(一般的には18歳以上)
・日本国籍であること
・犯罪歴がなく、社会的信用があること
・聴力・視力・運動機能等が十分に保てる健康状態であること
・消防団員としての職務に必要な知識・技能を持ち、実務に従事できること
・所定の訓練を受け、消防団員としての責務を遵守できること

ただし、適正に当てはまっていても、家庭や仕事の都合で定期的な訓練や活動にあまり参加できない場合は、消防団員になれないケースも多いようです。また、公務員が消防団に入団する場合は、規定に従い許可を受ける必要があります。

消防団入団の流れ

消防団員になるためのステップは、大きく3つです。まずは、近くの消防団を探します。地域の消防団は、消防署に問い合わせて知ることもできますが、こちらからも簡単に全国の消防団を調べられます。

筆者の住む「岐阜県土岐市」と、その周辺の消防団も、クリック2つで簡単に検索できました。

消防団の検索結果

消防団が見つかったら、記載されている電話番号やメールアドレスに、入団希望者として問い合わせます。消防団入団のための条件や手続きに関する案内をしてもらったら、それに沿って手続きを進めましょう。手続きが完了したら、消防団員としての活動が可能になります。

消防団の報酬

消防団の報酬は、年間数万円です。地方自治法では、非常勤職員への日額報酬支給が減速となっているため、多くの自治体が年額報酬や、災害活動などに参加した場合の手当を用意しています。しかし、「条例で特別の定めをした場合は、この限りではない」ともあるため、地域によっては報酬が支払われないこともあるようです。

定期的な活動などに対する報酬のほか、消防団員には制服貸与、退職報償金、表彰制度などもあります。また、消防団員の活動中にもし死傷してしまった際には、公務災害補償金の対象となるなど、リスクの高い役割である分、さまざまな手当が用意されているのも特徴です。

消防団の現状と抱える課題

地域によっては、「消防団の人数がどれくらいいるかわからない」「活動をしているのか、消防団があるのかもわからない」ということがあるかもしれません。実は、全国の消防団員数は減少傾向にあり、深刻な課題を抱えているといえます。

現状と課題を理解すると、消防団への興味・関心、自分自身も消防団として活動したいという気持ちが生まれるのではないでしょうか。

【消防団員の現状】団員は年々減少している

総務省消防庁のデータによると、全国の消防団員数は年々減少しています。令和2年4月現在の消防団員数はおよそ82万人。前年比で1.3万人減っている状態です。

そんな現状とは裏腹に、将来的に大きな地震が各地で起こる可能性が懸念されるなか、消防団員は地域防災力アップのための重要な役割を担う存在として、より一層の活躍が求められています。

【消防団員の現状】女性・学生の団員は増加傾向

消防団員全体の人数は減少傾向にあるものの、女性や学生の消防団員は少しずつ増加しています。女性消防団員数は、令和2年4月現在、全国に約2.7万人。学生の消防団員は5,400人ほどです。

災害時には力仕事も多くありますが、後方支援活動や避難所の運営支援も欠かせません。また、日常的な防災教育や火災予防の普及啓発などにおいては、女性消防団員の活躍が期待されています。学生消防団員も、年齢の若いうちから積極的に活動に参加することで、地域防災への興味・関心をアップさせ、長期的に地域の安全を担う存在として重宝されているようです。

【消防団員の現状】平均年齢が上がっている

消防団員の平均年齢は、令和2年4月現在、41.9歳です。毎年少しずつではありますが、平均年齢は上昇しています。消防団員の仕事は幅広く、女性や年齢の高い方でも担える役割は多いものの、災害現場などでは体力のある若い男性が重宝されるのも事実です。

消防団員の「高齢化」を防ぎ、次の世代へのバトンをつなぐためにも、学生消防団員、また20代、30代の消防団員の増加が求められています。

消防団の今後の課題は…

消防団員の人数や年齢などの問題も含め、消防団員が今後の課題として取り組むべきことには、次のようなものがあります。

人員の確保:消防団員減少、平均年齢アップなどによる深刻な人手不足を、新たな人員確保によって解決すること
働き方の変化:意欲はあるものの、仕事や家庭の都合でなかなか活動に参加できない方が、「自分にもできること」を見つけて積極的に消防団に関われるような働き方の確立
設備・装備の充実:車両や機具の老朽化が深刻な自治体も多いため、現代に合った装備や設備の導入を検討する
「生きる訓練」の実施:費用や時間などの問題からなかなか実現できない訓練を充実化させ、より現場で生きる指導を行う
災害対応力向上:災害対策や地域防災計画などへの知識をアップさせる指導を行い、大災害が地域を襲った場合に即戦力として動ける人材の育成

課題クリアで消防団としての役割を強化できれば、入団希望者も増え、消防団員が増加。より心強い存在となっていくのではないでしょうか。

消防団に入団し、地域の災害に備えた活動に参加しよう

消防団は、年齢制限をクリアした健康な方なら、ほとんどの人が入団できる組織です。消防士ではないものの、いざというときには消防士と共に消火活動を行ったり、日常的に地域の方に寄り添い、安全のための対策を教えてくれたりと、幅広く活動します。

地域住民にとって心強い存在ではありますが、団員の減少や設備老朽化など、各自治体の消防団が抱える問題は深刻です。課題を1つずつクリアし、現代の防災や働き方に合った団体となることで、増員や消防団の強化が見込めます。

消防団としての活動を通して身につけられる知識や経験は、非常に多くありますので、防災や地域貢献などに興味のある方は、地域の消防団への入団を検討してみてはいかがでしょうか。

編集後記

結婚する前に、東京から実家に帰省していたときに、インターホンが鳴って消防署の関係者の方が消火器の点検に来て、「なんか見たことあるな~」となんとなく名札を見てみると、中学の部活の先輩だった、ということがありました。

20代前半の私は、「消防署の方なら消防士さんだろう」と思っていましたが、調べてみると消火器の点検は消防団員の方も行えるそう。先日も、近所の駐車場に消防車を停め、同級生を含む数人の男性が、消火栓設備の点検を行っていました。

となると、あのとき我が家を訪れた先輩は消防士だったのか、消防団員だったのか…。今となってはわかりませんが、日々訓練をしながら地域の防災力向上に尽力してくださる消防士さん、本業がありながらも休みの日などに地域貢献をしてくれる消防団員の方、どちらにしてもありがたい話だなと、頭の下がる思いです。

私が好きなポルノグラフィティの歌に「ほとんどの出来事には関われないとしても(中略)起こりうる出来事から逃げない受信者でいたい」という内容があるのですが、関われそうなことにはもう少し積極的に関われる人でありたいと、今回の記事を書きながら改めて思ったのでした。

参考サイト

総務省消防庁
都城市消防局「消防士と消防団員の違いを教えてください」
姫路市FAQ「地元の消防団に入りたいのですが、どうしたらいいですか」

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語教師を経て2018年よりライターに転身。子どもと学べる防災に関心を持ち、日々災害や備えについて勉強中。
詳しいプロフィールはこちら

目次