日本海寒帯気団収束帯とは?車内での注意点と対策・そなえておきたいもの

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2022年12月、新潟県で大雪による車の立ち往生が発生し、その原因となったのが「日本海寒帯気団収束帯」だとされています。

そこで今回は、「日本海寒帯気団収束帯とは?」「どのようなメカニズムで大雪となるのか」を解説します。

また「車内にとじこめられたときの注意点と対策」「大雪にそなえて準備しておきたいもの」についてもあわせてお伝えします。

これからますます寒くなる時期だからこそ、大雪をもたらす用語の意味やメカニズムを知り、今できる大雪へのそなえにとりかかりましょう。

目次

日本海寒帯気団収束帯は大雪をもたらす要因となる

はじめに、日本海寒帯気団収束帯(にほんかい かんたいきだん しゅうそくたい)という用語の意味と、そのメカニズムについてみてみましょう。

線状降水帯をイメージするとわかりやすい?

気象庁では日本海寒帯気団収束帯を下記のように記しています。ちょっとむずかしく感じるのではないでしょうか。

気象庁による「日本海寒帯気団収束帯」の解説

冬に日本海で、寒気の吹き出しに伴って形成される。水平スケールが1000km程度の収束帯。

この収束帯に伴う帯状の雲域を、「帯状雲」と呼ぶ。

強い冬型の気圧配置や上空の寒気が流れ込む時に、この収束帯付近で対流雲が組織的に発達し、本州日本海側の地域では局地的に大雪となることがある

Japan sea Polar air mass Convergence Zone

引用 気象庁: 気圧配置 気団・前線・気圧配置・天気図・気圧系の発達、移動に関する用語「前線に関する用語」より

※英語表記の頭文字をとって、「JPCZ」と略されます。

簡単に言うと、日本海寒帯気団収束帯とは、雪雲を発生させる領域のことです。聞き慣れない用語ですが、大雨をもたらす線状降水帯のイメージをもつとわかりやすいのではないでしょうか。

線状降水帯は大雨をもたらしますが、日本海寒帯気団収束帯は大雪をもたらす要因となるものです。

日本海寒帯気団収束帯のメカニズム「2つの風」と「帯状(線状)」がポイント

日本海寒帯気団収束帯の「収束帯」とは、「2つの風がぶつかりあってできた帯状(線状)の領域」のことです。

ポイントは「2つの風」と「帯状(線状)の領域」。この点を念頭において、日本海寒帯気団収束帯ができるメカニズムを確認しましょう。

◇日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)ができるメカニズム

1.冬型の気圧配置(西高東低)が強まる
2.シベリア大陸から冷たい風が吹くが、朝鮮半島の山脈でさえぎられて、2つに分かれる
3.風は風下にあたる日本海でぶつかりあい、収束帯(風がぶつかり帯状・線状になった領域)ができる。

日本海は比較的海水が温かいとされ、水蒸気が多く発生するため、日本海寒帯気団収束帯では雪雲が発達しやすいとされているのです。

日本海寒帯気団収束帯は「解説用語」、線状降水帯は「予報用語」

線状降水帯と日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)、どちらも天気を伝える用語として同じようなイメージをもちますが、その位置づけは異なっています。

気象庁では、線状降水帯は「予報用語」であるとして、『気象庁が発表する各種の予報、注意報、警報、気象情報などに用いる用語(気象庁「雨に関する用語」より引用)』だとしています。

一方、日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)は「解説用語」です。これは『気象庁が発表する報道発表資料、予報解説資料などに用いる用語(気象庁「前線に関する用語」より引用)』とされています。

したがって、日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)という言葉は、気象庁の発表にもとづいて報道機関等が用いることとなるでしょう。

(参考:気象庁「予報用語について」

ここまで、日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)の用語の意味と、大雪の要因となるそのメカニズムについてお伝えしました。

次に、「車内にとじこめられた際の注意点と対策」そして、「大雪へのそなえ」についてお伝えします。

大雪で車内にとじこめられたときの注意点と対策

今回、新潟県で発生した大雪では、30時間以上も車内に閉じ込められたり、停電のため車内で暖をとっていた方もいます。

車内にとじこめられた際は、次の点に気をつけましょう。

一酸化炭素中毒:車のマフラーの雪をどける

エンジンがかかっている車内では、一酸化炭素中毒に気をつけましょう。大雪がふりつづくなか車のマフラーが雪でふさがれてしまうと、一酸化炭素が車内に充満して命を落としかねません。

一酸化炭素はそれほど危険なものであるにもかかわらず、臭いがしません。そのため、気づかないうちに中毒になってしまう危険性があるのです。

中毒症状は、軽い頭痛からはじまり、めまいや吐き気、失神、そして死に至ります。

したがって、大雪が降るなか車内で暖をとっているときは、【車のマフラーが雪でふさがれていないかを意識】して、【マフラーの雪をどける】【風下側の窓を少し開けて寒気】といった対策をとりましょう。

(参考:一般社団法人 日本ガス石油機器工業会「一酸化炭素(CO)中毒に注意!」

エコノミー症候群:足の運動やマッサージをする

エコノミー症候群とは、狭い空間で十分に水分をとらずにいると血の固まりができ、肺の血管に詰まって呼吸困難や胸痛、ときに死をもたらすものです。 

エコノミー症候群にならないよう【足の指をグー・パー】と動かしたり、【足首を回す・ふくらはぎをマッサージ】といった対策をとりましょう。

厚生労働省では、エコノミー症候群の予防についてリーフレット(PDF)を作成しています。足の運動についてもイラスト入りで解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

とじこめにそなえ最低限、車内につんでおきたいもの

では次に、車内に長時間とじこめられた場合にそなえて、これだけは車内につんでおきたいと思うものをご紹介します。

防寒具

車内のエアコンで暖をとることもできますが、マフラーが雪でおおわれて一酸化炭素中毒をひきおこす危険性や、ガソリンの消費をおさえる観点からも、防寒具はつんでおきたいものです。

毛布やエマージェンシーシート、ホッカイロなどを人数に応じて準備しましょう。

スコップ・軍手

車のマフラーが雪でおおわれないよう、雪かき用のスコップや軍手も必要です。

また、車がスタック(=道路の雪にタイヤがうまり空転して進めなくなる)したときにも、タイヤの前にある雪をよけるためにあると便利です。

長靴

雪かきのとき靴に雪が入りこまないよう長靴もあるとよいでしょう。もし、長靴を持っていなければ、靴から膝下までを隠せるくらい大きなビニール袋でも良いでしょう。

足が雪で濡れてしまうと体が冷える原因となり、長時間の閉じ込めでは体調をくずしかねません。足をぬらさないための対策も忘れずにとりましょう。

飲み物

冬は夏ほど水分補給を意識しないかもしれませんが、エコノミー症候群を防ぐ観点からも水分はとりたいところです。

とくに、赤ちゃんなど脱水症状を引き起こしやすい方がいる場合は、水や紙パック飲料などを準備しておきましょう。

ここまで、車内につんでおきたいものをお伝えしました。

なお、雪道の運転はいつもよりガソリンを消費しますし、長時間のとじこめではエアコンの使用でなおさらつかわれます。雪がふる時期の運転では、ガソリンはできるだけ満タンに近い状態を心がけましょう。

万が一にそなえて持ち歩きたいもの

ここでは、万が一のときにそなえて持ち歩きたいものをご紹介します。

ここでとりあげるものは一部のため、常備薬などご自分にとって他に欠かせないものがないか考えながら、ぜひご覧ください。

携帯トイレ

車内へのとじこめは、大雪のときにかぎらず高速道路の事故渋滞などでもおこりえます。なかには「外ですれば・・」と思われる方がいるかもしれませんが、ホワイトアウトなど外に出ることが危険をまねく場合もあります。

また、電車を利用中に同じく大雪によって運行がストップする可能性も十分にあります。

なお、小さいお子さんがいらっしゃる方は、おむつを余分に準備することも必要ですね。

※携帯トイレについては本サイト内の記事、こちらでご紹介しています。

お菓子・栄養補助食品

お菓子や栄養補助食品は、かさばらずに持ち歩くことができるので、いつものバッグにいれておきたいものです。

ちょっとお腹が空いたとき用に持ち歩いているお菓子が、万が一のときのそなえにつながります。

※非常食になるお菓子については本サイト内の記事、こちらで紹介しています。

小型懐中電灯

明かりのない暗い場所では不安も強まるものです。車内のライトやスマホの明かりは、ガソリンや電池の消耗を考えると、できるだけ控えたいところです。

コンパクトで軽量な小型懐中電灯が販売されているので、バッグに入れておくと万が一のときの安心と便利さにつながるでしょう。ただし、周囲への影響を考えると、あまり明るすぎないものが良いでしょう。

※小型懐中電灯については本サイト内の記事、こちらでご紹介しています。

モバイルバッテリー

スマートフォンは、連絡手段としてだけでなく情報収集にも欠かせません。「重くて持ち歩きたくない・・」という方は、軽量タイプを選ぶなどと、全く充電手段がないよりはよいのではないでしょうか。

ただし、使っていなくても自然と放電するので、定期的に充電するようにしましょう。

※モバイルバッテリーについては本サイト内の記事、こちらでご紹介しています

大雪の影響は日活生活を直撃~そなえを見直して命を守ろう~

日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)という用語は、これまで馴染がないものでしたが、大雪による影響はこれまでも各地で発生しています。それは停電や断水・交通機関の運休など、私たちの日常生活に身近なことばかりです。

今回は車内のそなえを中心にお伝えしましたが、自宅やその周辺のそなえも欠かせません。

自宅に食料をストックしている方も多いと思いますが、停電にそなえて【懐中電灯(LEDライト)】や【寒さ対策】も必要です。乾電池を使用する石油ストーブがあれば停電時でも暖をとることができます。

また、雪かきにおける転落死をふせぐため、できれば2人以上でおこなう、もしくは近所の人や離れてくらす家族に連絡を入れておくといった対策も必要でしょう。

これから寒さがますます厳しくなってきます。今一度ご自宅等のそなえを見直して、大雪がもたらす影響を少しでも小さく、そして自分や大切な人の命を守っていきましょう。

【参考文献】
コトバンク デジタル大辞泉「収束帯」
YAHOO!ニュース:「JPCZ」って何? 大雪の原因となる「ライン状の雪雲」のメカニズムとは
神戸市ウエブサイト「降雪のタイプと日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)による大雪」

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(以上)

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
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