幼児と要介護者2名を抱える主婦ライターが、「災害弱者」に関わる情報をわかりやすく解説!

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ライターの永野です!

台風が来ると、「うぇ~い警報警報!学校休み!」などとはしゃいでいた不謹慎な小学生だった私ですが、年を重ね、東日本大震災のときは東京の木造2階建てで「あ、死ぬかも」と思うような体験をし、子どもが生まれ、家族に介護が必要な人間が増えるなかで、「災害が起こったら本当にまずいな」と思うようになりました。

健康な大人でも非常時は大変なのに、「こんなことに大切な息子たちが巻き込まれたら…」「一緒にいるときならまだいいかもしれないけど、もし学校や保育園に行っていたら?」などと思うと気が気じゃありません。介護が必要な父や祖母だって、もし水害が起こって逃げ遅れそうになったら?置いていくの?!いやいやまさか、などとよからぬ想像までしてしまいます。

そもそも災害が起こらないのがベストなのですが、それも難しいところでしょう。

というわけで(?)、今回のキーワードは「災害弱者」。一度は耳にしたことがある方も多いかと思いますが、実は「災害弱者」というのは正式な名称ではないとのこと。このあたりも踏まえながら、災害弱者がどのような人で、災害が起こった際にどうしたらよいのか、備えとして何ができるのかなどを、解説します。

目次

「災害弱者」は通称!正式名称は「要配慮者」

私は「災害弱者」という言葉を耳にしても違和感はありませんが、「弱者」という言葉が引っかかるという方も少なくありません。これは「障害者」なのか「障がい者」なのか、はたまた「障碍者」なのかという問題に近いかもしれませんが(まったく別問題の可能性もありますが…)、個々の価値観によるものでしょう。

とはいえ、「災害弱者」は通称で、自治体などの情報を見てみると、正式には「要配慮者」となっています。この記事では基本的に「災害弱者」と表記していきますが、「災害弱者」「要配慮者」とは、どういった立場の方を指すのでしょうか。

具体的にどんな人を指す?

Wikipediaによると、「災害弱者」には以下の意味があります。

災害時、自力での避難が通常の者より難しく、避難行動に支援を要する人々を指す。

Wikipediaより

防災行政上「要配慮者」と呼ぶようになったのは2014年4月以降。災害対策基本法の改正からです。それまでは「災害時要援護者」と呼ばれており、現在もこちらを使用している自治体も存在します。また、自治体によっては「災害時要支援者」のような独自の呼称を設けているところもあるようです。

具体的に「災害弱者」がどんな人を指すのか、見てみましょう。

災害弱者とは

・障害者:身体、知的、内部、視覚・聴覚など
・傷病者
・認知や体力の衰えがある高齢者
・妊婦
・乳幼児、子ども
・短期滞在の外国人
・旅行者

さまざまな事情で体が動かない、健常者よりも動きにくい場合、災害弱者とされます。また、理解力や判断力が乏しい場合や言葉がわからない場合、さらに旅行者のようにその土地の地理に疎い方も、災害弱者に含まれるとのこと。

反対に高齢者でも健康で自力で動け、判断力にも問題のない方は災害弱者には当てはまりません。

我が家の災害弱者は2名?3名?

この記事を読んでいる方のご家族には、災害弱者の方がいらっしゃるでしょうか。我が家は夫と2人の息子の4人暮らし。長男は小学校1年生ですが、次男は4歳(年中)で、まだ「幼児」にカテゴライズされるので、恐らく災害が起こった場合には「災害弱者」に分類されます。

保育園でも定期的に防災や防犯に関する訓練を実施していただいており、5歳にも近くなってくると「知らない人の車に乗らないんだよ」などとその日学んだことを教えてくれますが、それが定着しているのかは謎ですし、本当に災害が起こった場合、とっさの判断はできないでしょう。先生の指示は割と聞けるタイプですが、パニックに陥ればどのようになるかはわかりません。

長男に関しては、「子ども」ではあるものの、災害弱者にはならないと考えています。危険を知らせる情報を受け取れば、適切な行動を取れる可能性は高いです。「自分でゼロから考えて」というのがもし難しかったとしても、先生の指示を聞く、放送を聞いて選択肢から適切な判断をすることはできると思います。

ちなみに、車で1~2分の場所にある実家には、何度か記事でも登場しているパーキンソン病の父、半身不随の祖母がおり、2人とも要介護の判定が着いている状態です。祖母に至っては車椅子で、自力では数歩しか歩けません。父もコンディションが悪ければフラットな地面で転倒してしまうくらいには状態が悪いので、どちらも「危険を察知しても、適切な行動を取るのが困難」だと考えられます。

実家にいる祖母と父、そして我が家の次男。私の家族で災害弱者に当てはまるのは、おそらくこの3名でしょう。

災害弱者が災害時に困ることは?

災害弱者がどういった立場の方はわかりましたが、災害時に、具体的にどういったことに困るのでしょうか。避難前と避難時、避難後の3つのシチュエーションに分けて、解説します。

避難前

災害が起こり、避難が必要になった際、災害弱者の方が困ることには、次のような者があります。

・音声のみの情報では収集が不可能(聴覚障害者、日本語がわからない外国人など)
・どういった避難行動をとればよいかわからない(障害や言語の問題により情報収集ができない方、認知症の方、乳幼児など)
・避難のための準備ができない(身体障害者、認知症の方、妊婦、乳児を抱えた方など)

避難時

災害の度合いによってはその場に留まらず、迅速な避難が求められる場合もあります。しかし、視覚障害のある方は状況が見えないので、「危険性がわからない」「サポートがなくては逃げられない」ことも。実際、2018年の西日本豪雨では、避難指示に従って行動した視覚障害者は非常に少なかったようです。

認知能力のない方や身体障害のある方なども、1人での避難は困難だといえます。一見問題のなさそうな妊婦さんや産後間もない女性なども、体調が安定せず、自力では避難所までスムーズにたどり着けないケースがあるかもしれません。

避難後

避難指示が出た場合、たくさんの方が避難所で一定期間の生活を送ります。避難所では皆が平等に不自由な生活を余儀なくされますが、災害弱者の避難所生活は特に困難です。

たとえば体の状態で、通常のトイレが使えない、床に座ったり寝たりするので、車椅子の方などは寝転ぶこともできない可能性もあるでしょう。情報の入手や理解が難しい場合もあります。

乳幼児は慣れなく生活しづらい場所で、精神的に不安定になる可能性がありますし、妊婦さんなどは、流産などの危険にさらされるかもしれません。

「災害弱者」と一言でいっても、災害の内容や避難が困難な理由によって、困ることは異なります。場合によっては「妊婦だけど問題なく避難できた」ということがあるかもしれませんし、反対に「健康な高齢者のはずが、発災時にけがをして災害弱者になってしまった」という可能性もゼロではありません。

災害弱者の方への対応を考えると同時に、「もし自分が災害弱者になったら」ということも、健康な方は考える必要があるのではないでしょうか。

災害弱者の避難!注意すべきポイントは

災害弱者の方が避難する際、どういったポイントに注意すればよいのでしょうか。障害がある方でも、自身で考えたり判断できる場合は、服装や心がけなどを覚えておくとよいでしょう。

認知能力などの観点から「災害弱者」であると判断された方を抱えるご家族の方は、避難行動について知り、ご家族が安全に避難できるようサポートする方法を、考えてみてください。

服装のポイント

避難時に可能であれば、以下のような服装や装備をすると、より安全に避難できます。

・防災頭巾やヘルメットをかぶる
・長袖長ズボンで、動きやすい服装を意識する
・軍手をするとより安全
・足元は履き慣れたスニーカーなどがベスト
・荷物を持つ場合はリュックへ。両手を開ける

通常の避難と同様ですが、災害弱者の方はサポートがなければこうした服装をできない場合もあります。認知症の方などは、抵抗されることがあるかもしれませんが、この場合は無理に服装にこだわらず、避難を最優先しましょう。

避難時に心がけたいこと

自宅などから避難所へ行く際には、以下の点に注意しましょう。

・できるだけ複数人で避難する
・早めの行動を意識し、逃げ遅れないようにする
・自力での避難が難しい場合は、車椅子や担架で運んでもらう

災害弱者の方は、1人で行動せず、ご家族や近所の方などと、できるだけまとまって避難します。また、避難に時間がかかる場合もあるので、早めの行動を心がけましょう。段差や上り坂、足元の悪い状況などでは、非常に時間を要します。

災害時は健康な方も自身の避難で手一杯になってしまう可能性も。自力で動けない方は、1人でも多くの方に助けを求め、安全に避難できるようにしなければなりません。

災害弱者の方に、私たちができること

災害時はだれもが「被災者」として、厳しい状況のなかを避難したり、避難所生活を送ったりすることになります。健康な方も心身の状態が悪くなってしまうことがあり、自身のことで精一杯になる可能性もあるでしょう。

そんな状況でも、何かしらのサポートが必要な「災害弱者」の方に向けて、できることはあります。万一のときに適切な手助けができるよう、備えておきたいことや心構えは、次の通りです。

家族の備え

ご家族の方は、日頃から「災害が起こったら、災害弱者の家族をどう避難させるか」を考えておく必要があります。災害弱者とされる理由、必要なサポート、サポートのための人数などを事前に把握し、万一の時スムーズに避難することはもちろん、避難所で少しでも生活の困難を取り除くために使えるアイテムがあれば、防災バッグに入れておく、災害弱者の方に認知能力がある場合は、どういった行動を取るべきかなどを伝えておくことも大切です。

ご家族だけで避難が難しい場合に、頼れる方を見つけておくことも、忘れないようにしましょう。

地域の方の備え

地域の方々は、その地域にサポートが必要な災害弱者の方がいないか知っておき、災害時に声を掛け合いながら避難することを意識しましょう。そのためには、定期的に自治会での集まりを実施したり、地域での防災訓練を行ったりする必要があります。

こうした機会を繰り返すことで、災害弱者の方はもちろん、地域にどんな方がいるのかも知ることができ、避難時に取り残される方を減らせるでしょう。外国の方が多い地域では、外国人向けの防災訓練も行うのも有効です。

自治体の備え

自治体は、安全かつ多くの方が利用しやすい避難経路や避難所を確保し、発災後に災害弱者の方はもちろん、地域の方々が少しでも快適に生活できる工夫をする必要があります。一般的なバリアフリー導入はもちろん、外国人の方が安心していられる居場所を作る、乳幼児や妊婦さんにやさしい空間を確保するなど、より多くの立場に合った環境を提供することが大切です。

旅行者のように、地域になれていない方も、健康であっても災害弱者です。地元から離れた場所で被災し、不安になっている方をどうサポートし、自宅へ見送るかも、課題として日々考える必要があるでしょう。

緊急時に1人でも多くの命を救うために

災害が起こった際は誰もが被災者となり、避難をしたり、避難所で自分の身を守ったりすることに必死になるでしょう。しかし、1人での避難が困難な「災害弱者」は多く存在し、平常時と変わらず、もしくはそれ以上に、健康な方からのサポートを必要とします。

こうした状況下で、1人でも多くの方が安全に避難できるようにするためには、災害弱者を抱えるご家族はもちろん、地域や自治体も一丸となり、サポート体制を作る必要があるでしょう。

助け合いの精神で、災害を乗り切れるとよいですね。

編集後記

「編集後記」は編集時に書けなかった正直な感想や裏話などを書く場所らしいんですけど、あんまり記事の内容に関係ない、自分語りのスペースと化している気がします。

まったくの余談ですが、ずっと「サブ端末」的に音楽の試聴や調べ物に使っていた5年もののスマホが、電池パック膨張によりがま口のように「パッカーン」とひらきました。

動作には問題ないですが、この状態で充電すると爆発や発火の恐れがあるそうです。

一つ賢くなれました。

皆さんも、お気をつけください。

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語教師を経て2018年よりライターに転身。子どもと学べる防災に関心を持ち、日々災害や備えについて勉強中。
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